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体力トレーニング
note.com/saclaco
十代の終わりに地元中野区内の書店で、ミルキィ・イソベ氏によるきらびやかな装幀のその本に惹かれて手にとり、頁をひらけば文字の大きさが自由自在に変化し、それ以上に紙面を縦横無尽に飛びまわることばに一瞬で恋に落ちてすぐさまレジへとむかい、純文学こそが目指すべき言語芸術のありかたなのだと蒙を啓かれてから、笙野頼子は唯一無二の憧れの存在であった。『タイムスリップ・コンビナート』を読んで沢野千本が辿った通りに中野から海芝浦駅へと「聖地巡礼」をおこない、『夢の死体』で描かれるY――つまりは職も持たずに親の脛を囓って自室にひきこもり、ひたすら本を読んで小説を書いた笙野頼子に自身をかさね、「皇帝」に倣えば「性的死者」として生きてしまっていることへの孤独さや後ろめたさを本を読むことでどうにかこうにかまぎらわした日々は、いまでさえ遠ざかったのだとはおもわれない。これまでの人生のほぼ半分は笙野頼子によってはげまさ
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