2020年9月に北海道白老町の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」を訪問した。本稿はその感想である。 ウポポイならびにその一部である国立アイヌ民族博物館についてはすでに多くの訪問機や記事が書かれている。その中でも小田原のどか氏の以下の記事は、私のウポポイ理解と共通している部分が多く、また基本的な事実を詳細に記述しているので、まず紹介しておく。 ガイドのホスピタリティーは高く、展示には体験を重視するさまざまな工夫が凝らされており、ウポポイが意欲的であることは確かだ。しかし、小田原氏も指摘しているように、和人によるアイヌへの差別の歴史の体系的な説明が足りない点も間違いない。一方で、SNS上では言及されることが少ないが、ウポポイは現在のアイヌが過去を復興しようとする取り組みの多様性やその困難を表現することに力点をおいており、そのことは肯定的に評価すべきである。本稿ではこの両面について触れ、その上で「