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一年が経ち、このごろは落ち着きを取り戻してきました。 かれらの生と業績が忘れ去られることがないよう記録を続けている方々には敬意と感謝をささげますが、私はかれらについての記事を読んだり映像を見たりすることは出来ないままで、これはたぶんこの先もそうなのでしょう。ただかれらが作り上げたものを愛している人がいると知るたび、わずかに慰めをおぼえるだけです。 去った人たちに対して自分ができることはあまりにも少ない、もしかしたら何も無いという事実に、ずっと向き合っています。
京都アニメーションが襲われたという凶報に接し、いまでも、信じたくない気持ちが去りません。 当日は風邪で伏せっていましたが、携帯電話のニュースで第一報を見て、重体者がいると知りました。どうか助かってほしいと息を詰めて続報を待つにつれ、犠牲者は時を追って増え続け、祈るよりほかに出来ることもなく、言葉が出ませんでした。 京都アニメーションとは、アニメ「氷菓」でお仕事をご一緒しました。 私は、アニメにはまったく詳しくありません。それだけに、拙作を見込んでお話を頂けたことを嬉しく思いつつも、制作に関してはすべてお任せするつもりでいました。しかし京都アニメーション社制作陣の皆様の、一緒に作ろうという強い熱意に打たれ、及ばずながら私も準備段階に加わることになりました。 物語というのは得体の知れないもので、きらめきがあるお話でも、ちょっとしたことですべてが色褪せてしまいます。制作陣の皆様は、忍び寄る色褪せ
こんにちは。米沢穂積です。 休憩します。 新宿駅の地下通路を歩きました。 壁に禁止事項のプレートが掲げてあったので、立ち止まって読みました。 ここでは 寝ること、 食べること、 飲むこと、 煙草を吸うこと 唾を吐くこと、 立ち止まることをしてはいけない 甲高い笛の音が響いたかと思うと、私はたちまち警備員に囲まれました。 彼らは(ここでは立ち止まってはいけないので)私のまわりをぐるぐると廻りながら、厳しく糾弾してきました。 「なぜ立ち止まったのだ。ここで立ち止まってはならんのだ」 「このプレートを読もうと思ったのです」 「そんなことのために立ち止まる者がいるはずはない。これまでただのひとりも、プレートを読むために立ち止まったりはしなかった。さあ、何が目的だ。なぜお前は立ち止まったのだ」 「してはならないことを知ろうと思ったのです」 「それは嘘だ。本当のことを言え。素直に言えば許してやる」 「
こんにちは。米澤です。 先日、ちょっと仕事の手が空いたので、パソコンのデスクトップを掃除しました。 あまりデスクトップにアイコンは置かない主義なのですが、仕事が立て込むと「小説本体」「小説のプロット」「小説のボツ文」などなど、何かと物が増えて困ります。 さて、そんなデスクトップで、数々のアイコンに紛れていたテキストファイルを見つけました。 ファイル名は「折木の本棚.txt」。〈古典部〉シリーズの主人公、折木奉太郎の部屋に並んでいる本をリストアップしたもので、以前メディアミックスの機会を頂いたとき作画の参考になればと作りました。 何しろ折木奉太郎と私は読書の趣味が違いますので(彼はあまりミステリを読みません!)、ああでもないこうでもないと試行錯誤するのが楽しかった記憶があります。 ところどころに変な本が入っていますが、それはたぶん、折木供恵が残していった本です。 蛇足と思われる方もいらっしゃ
作画はタスクオーナさん。掲載誌は「月刊少年エース」(角川書店)です。 「33」が「45」になっていることに時の流れを感じずにいられません。 第一回は1月26日発売の3月号に掲載されます。 お楽しみ頂けることを願っています。
こんにちは。米澤穂信です。 拙作〈古典部〉シリーズのアニメ化が決まり、告知がありました。 制作は京都アニメーション社。 題名は『氷菓』です。 詳しいことは、またおいおいお伝えしていけると思います。
著:米澤穂信 写真:清水厚 装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。 出版社:角川書店 発売日:2012年6月22日 定価:本体552円 ISBN:978-4-04-100325-1 十五冊目です。 〈古典部〉シリーズの第五巻になります。 一年が経ち、折木奉太郎たち古典部員は二年生になりました。神山高校の多種多様な部活動は新入生獲得に血道を上げ、古典部もまた、いちおう勧誘活動を行います。折木はいつもの通り座って喋っているだけでしたが、成り行きで女子生徒が一人、入部することになりました。 名を大日向友子。折木とは同じ中学校の出身です。 新入部員を迎え、古典部はにわかに活気づきます。 ホームパーティーに、開店を間近に控えた喫茶店のモニター客。それらはどれも大日向が画策したものでした。 しかし、入部から二ヶ月。 部員としての正式な登録を前にして、大日向は突如、古典部には入らないと言いました。
こんにちは。米澤です。 拙作『インシテミル』が映画化が決まり、制作発表がありました。 監督は中田秀夫氏。 配給はワーナーブラザース映画。 芸能プロダクション・ホリプロの創立50周年記念映画となります。 初めて接したミステリは「新本格」でした。 その後さまざまなミステリを好きになり、また幸いなことに自ら書く機会にも恵まれてきましたが、初めてのミステリへの思いはどこかに持ち続けていました。 ある時、こういうミステリもまた好きだったという思いにひたすら淫してみようと思い立ち、書き始めました。仕上げた千枚の原稿には『インシテミル』という題をつけました。 本が店頭に並んだ時、読者の皆様に喜んで頂けることを願う一方で、自らの思い出に決着をつけたような満足を覚えてもいました。 あれから三年。こういう成り行きになろうとは。 さすがに、ちょっと驚きましたね。 映画の公開は2010年秋予定だそうです。
こんにちは。米澤です。 先日、スクウェア・エニックス社の新春記念パーティーに招かれて行ってきました。 壇上での発表によりますと、昨年のコミックの売り上げが三強に次いで業界四位だったとか。どういう数字を用いた比較なのかわかりませんので一概には言えませんが、好調は確かなようで、まことにめでたいことです。 ちなみに今年のゲストはパパイヤ鈴木でした。「MY FIRE」や「TUBTHUMPING」、「JUMP」などなど懐かしい音楽に合わせてパパイヤ鈴木が基本的なダンス動作を解説付きで披露してくれるという、たいへん贅沢な時間でした。 私はじっとチョコレートファウンテンを見つめていたので踊りはしなかったのですが……。 さて、そんなスクウェア・エニックス社の「Gファンタジー」誌で、拙作『夏期限定トロピカルパフェ事件』のコミカライズが始まります。 来月、2月18日発売の3月号に第一回が掲載されます。 構成に
こんにちは。米澤です。 さっきこのblogを読み返してみたんですが、何だかぜんぜん仕事をしていないように見えて衝撃を受けました。このまま「お一人さまの夕食・放浪篇」を書き続けるのも悪くはないかもしれませんが、その判断は今後の検討課題として先送りして、少しミステリっぽいことを書くことにします。 先日、ちょっと古いミステリを読んでいました(ええと、1985年ですね)。メインの物語と一見それとは関係のない状況が双方向的に進み、いくつかの魅力的なエピソードも添えられて、いよいよ事件の幕が上がったのは一冊の本も中盤にさしかかった頃でした。状況は悪く、物語は悲劇的結末を避け得ないかに見えました。 ところで私は、書き手としてはあまりそういう気配を見せていないと思いますが、読み手としては新本格ミステリの時代を経てきています。つまり、その、少々口はばったい言い方になりますが、私をじょじゅることは容易ではない
泡坂先生が亡くなられました。 私にとって泡坂先生は、憧れの人でありました。精緻巧緻にして技に臭みがなく、あくまでも軽妙洒脱。奥行きはあるのにそれを自慢げに広げることがない。文章は上手く、読みやすい。なんとかその技を盗み取れないものかと、拙い筆を振りまわしてきました。 泡坂作品と出会ったのは、創元推理文庫の『亜愛一郎』シリーズが最初でした。思えば幸せな邂逅をしたものです。とにかくどの短篇を取っても、趣向が凝らされた、一読忘れがたいものばかりでした。短篇集というとどうしても一篇か二篇は「まあ中にはこんなものもあるさ」と思ってしまうものが含まれがちですが、『亜愛一郎』にはそんなハズレがありません。あれも面白いこれも面白いと思ううちに三冊するっと呑み込んでしまいました。 こうして読み返すと、特に好きな作品は二冊目『亜愛一郎の転倒』に多いことがわかります。逆説ミステリとはどんなものですかと尋ね
著:米澤穂信 装画:片山若子 出版社:東京創元社 発売日:2009年2月27日 定価:税込609円 文庫判 ISBN:978-4-488-45105-9 とのことです。 新聞部員の瓜野高彦くんが、部長の堂島健吾に反発を覚えながらも頑張って連続放火事件を記事にしていく話です。 こういうまとめ方をすると、小鳩も小佐内も出てこないような感じがしてしまいますね。 シリーズ三作目、長くお待たせしてしまいました。その分、楽しんでいただけるものに仕上がっていることを、願っています。
28冊目です。 遭難したスノーボーダーが発見された。一人は重傷、そしてもう一人は死体となって。県警葛班は捜査本部に加わり、殺人容疑で捜査を開始する。犯人はわかっている、だが、凶器がない……。 雪降る崖下の、凶器なき殺人。――「崖の下」 強盗致傷事件が発生。犯人の「稼ぎ」は少額で、事件は続発するおそれが大きい。強行軍で捜査する捜査本部に、最有力被疑者が交通事故を起こしたという一報が入る。 葛の前に現れたのは、あまりにも好都合な証言者たちだった。――「ねむけ」 花咲く行楽地で、切り刻まれた死体が発見された。捜索が行われ、死体の部位は次々に発見される。遺体の身元も判明し、捜査は着々と進展するが、葛は事件の全体像とかみあわない一点を決して看過しなかった。すなわち……犯人はなぜ、死体を刻んだのか?――「命の恩」 強風地帯で連続放火事件が発生する。葛班が捜査に乗り出すが、その途端犯行は停止した。捜査員
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