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ようやく年内の仕事に一区切りついたので続き。訳語についてつらつらと。かなり長いよ。 延続・耐続(perdure/endure) これには本当に紆余曲折があった。そもそも僕が最初にperdure /endureに出会ったのは、院生時代のゼミでLewisとLoweのやり取りが取りあげられたときか。そのときから、これはどう訳しても良い訳にならないと思っていた。なにしろ、元の英語ですらそんなニュアンスの違いはないんだから。実際「訳を放棄する」という方針を取ったこともある。 ひとつの転機は、やはり青山訳の「永存・耐時」。特に「耐」という漢字を使うなんて思いもつかなかったが、確かにそれでendureの雰囲気がより伝わる。しかし、青山訳の問題は「永存」。本書のあとがきでも述べられているが、perdureと「永遠・永久」は直接結びついていない。特に、ここを安易に結びつけてはいけないというのがSiderの論
id:shinichiroinabaさんの期待に応えるべく、昨日の予告通りexduranceについて書いてみた。とても長くなった…。 最初は「exduranceって要は段階説(stage theory)のことなんだからわざわざ別の用語を作る必要ないじゃん」と思っていたんだけれど、ちゃんと考えてみると、そう言い切るのはいろいろ厄介だということに気付いた。ただ、それでもexduranceを耐続(endurance)とも延続(perdurance)とも異なる第三の持続とみなすのはなかなか大変だと思う。ポイントは次の二点。 exduranceとはSiderの段階説をワームに依存しないように解釈したものだが、その結果、問題点が無闇に増えている。 exduranceは意味論に関する理論であって、耐続vs延続という存在論的論争とはレイヤーが異なる。したがって「exdurance」という用語は不適当。 以
気がつけば、また三ヶ月ぶりの更新とかになってますが、みなさんお元気でしょうか。 前置きはさておき、この土日は応用哲学会の第一回年次研究大会へ行ってきた*1。参加者も予想以上に集まり、懇親会の雰囲気も和気あいあいとして非常に良く、生まれたての学会としていい出発になったと思う。個人的にも、とても楽しかった。 さて今日は目玉の公開シンポジウム。パネリストに茂木健一郎を呼び、テーマはなんと、「これが応用哲学だ!」*2 このシンポジウム、当初はいろいろと不安もあったんだけれど、茂木健一郎の発表も決してお仕事という感じではなく、言いたいことを言った感じで非常に良かった(まあ、内容はあれだけど)。パネリストの三人が向かった結論も非常に納得できるものだった。やっぱみんなそう思ってるんだよね。 シンポジウムを聞いててひとつ思ったのは、哲学者に求められているのは、シンポジウムで言われたことに加えて(←ここ重要
最近ずっとLewisの様相実在論について考えているんだけれど(おかげで本来の仕事がさっぱり進まない)、今日ようやく一段落着いた。嬉しいので最近見つけた小ネタを書くことにする(ちなみに様相実在論とは何の関係もない)。 まずは前置き(って前段落も前置きか)。もちろん「単位取得退学のパラドックス」なんてものは存在しない(ちゃんとgoogleで検索してみた・笑)。これから書くことは単位取得退学に関することで、ちょっと面白いので大げさにパラドックスと呼んでみただけ。 ここから本題。ここを読んでいる人なら誰でも知っていると思うが、大学院の博士課程には「単位取得退学」なるものがある(「満期退学」など別の言い方もされるが)。かくいう僕も経験者の一人。退学届を出すときにはさすがに感慨深いものがあったなあ。で、この「単位取得退学」、ふつうの退学とはちょっと違う。どう違うかは各自検索してもらいたいが、言ってみれ
しばらく体調を崩してたせいで更新が遅くなった。実は、その原因もこの日に遡る話だったりする。 ふだんの火曜日はNYUへKit Fineのセミナーを受けに行ってるが、この日ばかりはさぼらなくてはいけなかった。なにしろ、Cian DorrがRutgersで講演するから。講演の内容は量子力学絡みの、まあ彼らしいと言うか、Pitsらしいと言うか、あれなんだけれど、Dorrは6月の基礎論での発表で取り上げたし、今もそれに基づいた論文を書いているので、できれば直接いろいろ聞いてみたいと思っていた。彼の英語は結構分かりにくいんだが(この日記を参照)、結果的には、勇気を振り絞ってチャレンジした価値があった。 さて、講演。タイトルは「Rationality, Self-locating Belief and Many-Worlds Interpretation of Quantum Mechanics」。これ
ここしばらく、K大学のMetaphysics勉強会でのレジュメ担当で忙しかった。担当箇所はOn the Plurality of Worldsからの抜粋。もはや知らない人はモグリだと言っても過言ではない、分析的形而上学の記念碑的作品。じっくり読む機会が得られてとても有益だった。 ただ、今日の箇所にはだいぶひっかかりやすいところがあった。というか、ぶっちゃけ誤植もあるので、これから読む人の助けになるようにここで記録しておく。 問題の箇所は、4.3節「Against Trans-World Individuals」のp. 214から始まる星付き言語(starred language)を定義しているところ。星付き言語というのは、「*-Humphrey」「*-win the presidency」のように、ふつうの名辞や述語に「*-」がついているもの。要は、貫世界的個体に対して用いられる表現として
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