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ノーベル賞
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「引きこもりは日本固有の現象ではない。韓国や欧米でも、引きこもりは現れてきている」という表現を見かけるようになった。このうち、韓国や台湾のような、日本に比較的近く、儒教的・東アジア的な文化圏で、引きこもりが増えるというのはなんとなくピンと来る。だが、ひきこもりが欧米でも本当に増えているのか?もしそうだとしたら、どういった状況なのか?。このあたりは、Pubmedで“hikikomori”を検索しただけでは、あまり資料が引っかからず、いまいちわからない(2011年11月現在)。 そんな折、2011年の精神神経学会で、「引きこもりの国際比較――欧米と日本」というシンポジウムが開催されることになったので、話を聞きに行ってみるみることにした。欧米とはいえ、フランス・イタリアを中心にした話だったが、余所ではあまり聴けなさそうな話だったので、会場で見聞したものを以下にまとめてみた。 【本文に入る前のおこ
・変容性内在化 transmuting internalization (2009年頃記述、2012/11/02修正) 人間が自己対象との一体感を介して自己愛を充たしているとき(=自己対象体験)、自己対象として主観的に体験されている対象のイメージと、実物そのままの対象との間には多かれ少なかれギャップが存在することが多い。 例えば、ホステスにチヤホヤされている男性が自己愛を充たしているとしても、そのホステス自身は客のいない場所で醒めて退屈な表情を浮かべているかもしれないわけで、無意識な期待や願望を含んだまま体験される主観的なイメージと、素のままの相手がイコールということは現実にはありえない。そこまで極端でなくても、「理想の先生だと思っていたのに見損なった」というような形で、理想と現実のギャップに気づいて落胆するような経験は誰にでもあるだろう。 しかし、こうしたギャップへの気付きが許容可能なレ
多くのトライアンドエラーには失敗が含まれ、そうした失敗・失恋・挫折を恥ずかしいとみなす人は案外多い。また、「分からないことを聞く」を無知の露出として恥ずかしがる人も少なくない。とくに自分自身の価値に疑問を感じているような人の場合には、こうした一つ一つの失敗や恥に遭遇するたび、自分自身の価値が暴落したかのように体感されやすく、ひとつ恥を感じるたびに自分が全否定されたのように思い込んでしまいやすい。恥に敏感な人達にとって、恥と体感される諸々は辛い経験であり、あわよくば避けて通りたい痛みでもある。 このため、恥に敏感な人ほど、自分が恥ずかしくなりそうなトライアンドエラーやリスクを極度に回避する処世術になりがちだ。 彼/彼女らは、自分が失敗しそうにない領域に閉じこもろうし、そこでの安全な蓄積を好む。かつて、こうした恥回避の処世術は1970~80年代前半生まれのオタクでこそ観測しやすかったが、現在は
・[1.他人を映し鏡にして自己愛を充たす] ・[2.理想の対象を介して自己愛を充たす] ・[3.自分に似た対象を介して自己愛を充たす] ここまで、三系統の自己愛の充たし方を紹介してきた。「自己愛を充たす」にはバリエーションがあって、チヤホヤされたり衆目を集めたりするだけが自己愛の充たし方とは限らない、というニュアンスが少しでも伝わっていればいいなと思う。 とはいえ、三系統の自己愛の充たしかたには共通しているところもある。それは、自己愛を充たすには何らかの対象が必要で、完全に一人ぼっちでは充たしようがない、という点だ。 [1.他人を映し鏡にして自己愛を充たす]ならい自分を褒めたり見つめたりしてくれる対象が必要だし、[2.理想の対象を通して自己愛を充たす]なら自分が理想や尊敬を仮託できる対象が必要になる。[3.自分に似た対象を通して自己愛を充たす]にも、自分と共通点があると感じられるような対象
コフートは自己愛の充たし方を、大まかに分けて三つのタイプに分類しているが、まず最初に紹介するのは、評価や声援やアテンションといった他人の反応を映し鏡にして、自分自身の値打ちや存在意義を確認し、それでもって自己愛が充たされるタイプだ。 例えば、運動会や文化祭で活躍して拍手や声援を集めた時の高揚感を思い出してみて欲しい。あるいはソーシャルゲームやネットゲームでランキング上位に到達した時の気持ちや、facebookの「いいね!」・ブログのアクセス数が集まった時の気持ちを想像して欲しい。 こういう高揚感やうれしい気持ちは、自分がベストを尽くしたという充実感だけに由来するのではなく、評価やアテンションを送ってくれる人達のリアクションやまなざしを媒介物として、自分自身が満更じゃないと確認できるからこそ成立している部分も大きい筈だ。この、自分がまんざらではないことを他人を介して体験している時のうれしさや
・鏡映自己対象転移 mirroring selfobject transference (2009年頃記述、2012/11/03修正) 鏡映自己対象として期待できる人に対して、承認や賞賛を求めて思わずポッと出た自己対象転移。自己対象転移の性格上、幼児が養育者に求めるような、ハイレベルな承認や賞賛の求めとなることが多い。鏡映的自己対象への渇望度合いがとても高い人が、承認や賞賛のチャンスに遭遇したなどに、ついついやってしまいがち。 例1:普段はあまり褒められたり賞賛されたりすることの無い根暗なオタクが、「君ってアニメに詳しいんだね」とクラスメートに言葉をかけられて、舞い上がってしまって自分の秘蔵コレクションを全部学校に持って来て朝からアニメ薀蓄をマシンガントークしてしまった。 例2:ガールフレンドが出来るたび、ガールフレンドに対して過剰な要求をしてしまう男性。ガールフレンドが出来るまでは、賞賛
男女を問わず、自分自身に自信や価値が根本的に欠けているような人、あるいは病的というほどではないけれども自己愛の成熟度合いが低めの人に高頻度でみられる思考傾向に、「0か100か思考」というのがある。この「0か100か思考」という造語的表現で示したいのは、自分や他人を評価する際に「絶対的に素晴らしい」「絶対的にダメ」の両極端に走りがちで、50点や70点といった、中間的な価値づけが困難な思考傾向のことだ。 この心的傾向を持つ人は、自分自身に関しては、[有頂天にあらずんば、全くのどん底][自分が素晴らしく感じられる状況か、自分がクズのように感じられる状況]という二極の間を行ったりきたりすることが多く、心理的な安定感を欠くこと甚だしい。この傾向が極端な人が精神科を受診すると、2012年現在、高確率で双極性障害(bipolar disorder、躁鬱病とも)と診断されてしまうだろうし、たぶん私もそうす
2014年10月に、花伝社『融解するオタク・サブカル・ヤンキー ファスト風土適応論』を出版しました。それに関する補足記事などを紹介する予定です。 ・『融解するオタク・サブカル・ヤンキー』冒頭パート
かんたん自己心理学 このサイトを読むのに必要最低限な自己心理学 1.はじめに ・このカテゴリをお読みいただく前に ・このサイトで自己心理学を採用するにあたっての個人的ガイドライン 2.このサイトを読むのに必要最低限な自己心理学 0.まず、辞書に載っている「自己愛」の意味を確認してみよう 1.他人を映し鏡にして自己愛を充たす 2.理想の対象を介して自己愛を充たす 3.自分に似た対象を介して自己愛を充たす 4.自己愛を充たしてくれる対象を「自己対象」と呼ぶ 5.自己愛の成熟度≒自己対象への要求水準 6.未熟な自己愛にありがちな処世術(1)垂直分裂ポジション 7.未熟な自己愛にありがちな処世術(2)水平分裂ポジション 8.どのようにして自己愛は成熟していくのか 9.未熟な自己愛への道 ツイート 適応関連テキストのページまでもどる このウェブサイトのindexまでもどる
前のテキストで紹介した1.他人を映し鏡にして自己愛を充たすは、ナルシストのうぬぼれの延長線上にあるような、しかしもっとマイルドで社会化された形式だったので、割と自己愛という言葉を連想しやすく、殆どの人に身に覚えのあるものだったと思う。 けれども精神分析の世界、特に自己心理学の世界では、自己愛の充たし方はほかにもあるとされる。コフートは、もう一つの重要な自己愛の充たし方として[2.理想の対象を介して自己愛を充たす]という方式を挙げていて、[1.他人を映し鏡として自己愛を充たす]と同じぐらい重要視している 。この、二つ目の自己愛の充たし方パターンについてこれから紹介してみる。 世間一般では、自己愛の充たしかたというと、自分自身に称賛やアテンションを集めたり、チヤホヤされたりするしかないとみなされがちだが、正反対に、称賛やまなざしや承認を、理想の相手に投げかけている時にも自己愛が充たされる、のだ
・新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 ・ブログの2018年まとめをアップロードしました。 ・blog『シロクマの屑籠』は随時更新しています。 ・「人の数だけ適応のかたちは存在する」「多くの人に共通するスタイルも存在する」――『汎用適応技術研究』では、現代社会で生きていくための方法について考え続けていきます。 ・関連して、心理/精神医学関連についてや、オタク界隈で観測される現象についても触れていきます。 ・いわば『適応wiki』のようなものを目指しています。数年かけて整備していく予定です。 ・業務連絡:外からのリンク先はhttps://polar.shirokumaice.com/で。 →Index:このページです。 →About:このサイトについて、筆者紹介、注意事項ほか →MyBooks:拙著『ロスジェネ心理学』のページ。拡張キット頒布など。 →Text
現代社会とオタク サブカルチャー全般も含めて 1.「萌え」の歴史と自己愛 ・1990年代~2010年頃に隆盛をきわめた「萌え」と、自己愛との関係についてのまとめ。 1.「萌え」前夜 (90年代以前) 2.萌えの登場 (1990年代前半まで) 3.第一次萌えブーム(90年代後半~2000年頃) 4.『電車男』以降の萌えブーム 5.キャラクターは「萌える」ための骨組みとして機能している 6.自己愛を充たしてくれる対象としての「萌え」キャラクター 7.鏡映自己対象として自己愛を充たすのに適した「萌え属性」 8.理想化自己対象として自己愛を充たすのに適した「萌え属性」 9.双子自己対象として自己愛を充たすのに適した「萌え属性」 10.「萌え」の近況と、これからの予測(2012年追記あり) 2.オタクとサブカルの歴史――90年代以降を中心に ・ ・ 3. なぜ少女が湯水のように消費されるのか 男性オ
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