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ノーベル賞
scrapbox.io/makiono
衝動のあるところに、自我をあらしめよ。 〜ジークムント・フロイト〜 1 長い、夢を見ていたようだ。 あなたは、鉛のように重くなった身体をどうにか起こした。 辺りを見回しても、なにもない。 なにもない、と表現するしかない暗闇ばかりが広がっていた。 まだ悪い夢が続いているのかもしれないと、しばらく息を潜めて目が覚めるのを待っていたが、なにひとつ変化はなかった。 耳を澄ましても、なにも聞こえない。 身体の感覚でさえ不確かで、自分が男なのか女なのかさえ曖昧だった。 そこで、あなたは気づいた。 あなたには、記憶がない。 夢なのか現実なのか、今みたいに思考する言葉は覚えている。 だが、自分の名前はなんなのか、自分がどこの誰なのか、あるいは他にどんな人間と知り合っていたのかは、霧がかかったように思い出せない。もちろん、どうして自分がこんな場所にいるのかも思い出せなかった。 次第に暗闇に目が慣れてきたのか
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