2013年3月1日、マレーシアのサバ州東海岸ラハダトゥで「スールー王国軍」を名乗るフィリピン人武装集団とマレーシアの治安部隊の間で銃撃戦となり、双方あわせて14人の死者が出る事件が発生した。その翌日には、別の村で地元警察と武装集団の銃撃戦が生じ、双方あわせて少なくとも13人が死亡した。さらに戦闘はほかの地域にも広がりつつあるとの報道もある。3月5日にはマレーシアの警察と国軍による大規模な軍事作戦が展開され、「スールー王国軍」の殲滅作戦が展開されている。 意見の違いを暴力の行使に頼らずに解決する文化を作り上げてきたマレーシアで、多数の死傷者が出る銃撃戦や大規模な軍事作戦の展開が続いていることをどのように理解すればよいのか。「サバ領有権問題」「旧スールー王国のスルタンの末裔」「イスラム武装集団」などの言葉で語られている今回の出来事をどのように把握すればよいのか、何回かに分けて背景をまとめてみた