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tarafuku10working.hatenablog.com
アビゲイル・シュライアーの『Irreversible Damage』を読んだ。ご存じの方も多いと思うが、先日KADOKAWAが翻訳本の出版をアナウンスしたが、抗議にあって短期間のうちに出版を取りやめたという本である。 私自身はシュライアーが原書の発売時におそらくプロモーションとして出演した 動画を訳していたので、概要はわかった気になっていたのだが、今回日本でも大騒ぎになったということで自分でもしっかり読んでみることにした。 読んでみた感想だが、この本には少なくとも思春期の子供を持つ親の年代の人にすればまったくもって常識的なことしか書かれていない。ではなぜこの本が「反トランス」とか「差別的」とかセンセーショナルに叩かれるのか。それは活動家の教義に反することが書いてあるからだ。 ではその活動家の教義とは何か。ジェンダー肯定ケアである。思春期の少女が自分は男性だと考えれば医師はそれをそのまま肯定
カナダの先住民・クリー族の血を引くと主張して過去60年にわたって活動してきたフォークシンガー/人権活動家の出自に疑惑の目が向けられている。10月に放映されたカナダの放送局CBCの調査報道番組『The Fifth Estate』によれば、彼女は白人の両親のもとにマサチューセッツ州で生まれたアメリカ人だというのだ。 彼女の名前はバフィー・セントメリー。1960年代初頭からグリニッジ・ヴィレッジのコーヒーハウスなどで歌い始め、映画『いちご白書』や修正主義西部劇(開拓者を善玉とする単純な勧善懲悪ではない西部劇)の嚆矢となった映画『ソルジャー・ブルー』の主題歌を歌い、日本でも大ヒットした映画『愛と青春の旅立ち』の主題歌の作曲者にも名を連ねている。先住民を対象とした賞も数多く受賞しているほか、活動家としては先住民の権利のために積極的に発言していた。 バフィー・セントメリー: 2015年 (左) と19
「日本の性行同意年齢は13歳」という半真実 (half-truth)が欧米で広まったのは、伊藤詩織氏がヨーロッパの何か国かでテレビ番組に出演してレイプ被害を訴えた2018年からです。伊藤氏はそのインタビューの中で性をめぐる日本の状況について、事実と異なる、または誤解を招く表現をいくつか用いています。たとえば「日本社会で育つと誰でも性暴力や性的暴行を経験している」「女子高生として交通機関を使うようになると毎日そういう目に遭うようになる」などです。「日本の性交同意年齢は13歳」という発言もその中の1つです。 日本国の刑法では、1907年以来、性交同意年齢は13歳と定められていました (2023年7月にいくつかの条件付きで16歳に引き上げられました)。その意味では、伊藤氏の発言は嘘ではありません。しかし、伊藤氏が開示しなかった情報があります。それは、日本の性交同意に関する法律は2層 (two l
今年の4月から米国HBO MaxでTVドラマ『Tokyo Vice』(トウキョウ バイス)が放映された。舞台は1999年の東京。主人公は、ヤクザなどが蠢く日本のアンダーグラウンド社会に足を踏み入れたアメリカ人新聞記者だ。主演はアンセル・エルゴートで、渡辺謙や菊地凛子が脇を固める。 原作となる同名の回想録を書いたのはジェイク・エーデルスタインだ。来日後に上智大学で日本文学を学び、1992年に欧米人として初めて読売新聞の社員となり、12年間勤務した男である。 ドラマ『Tokyo Vice』のレビューはおおむね好評だ。映画評論サイトの Rotten Tomatoes によれば、平均評価点は10点中7.6点。同サイトの評論家コンセンサスにはこう書かれている。「『Tokyo Vice』で最も興味をそそらない要素は主人公である。だが、日本のアンダーワールドの複雑怪奇さとその背景の迫真性により、魅力的な
日経新聞の対談記事(2023/9/3公開)で駐日英国大使のジュリア・ロングボトム氏がジェンダー平等の点で日本は英国に30~40年遅れていると感じると発言しました。 私も日本がジェンダー平等の点で完璧な国だとは思っていませんが、自分の国の価値判断を絶対視して「日本は英国に30~40年遅れている」と無邪気に発言するのは外交官としてガードが下がりすぎているのではないかと心配になります。しかし、こうした要人の雑な発言を放っておくと、「日本は英国に30~40年遅れている」みたいな議論が通説となってしまうおそれがあるので、面倒くさがらずに反論をあてていったほうがいいと思うのです。 ジェンダー不平等指数 ジュリア・ロングボトム大使が持ち出すデータのひとつは、例によって世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数です。今年の同指数では日本は125位。政治・経済分野での女性の進出の少なさがこの順位の低さにつ
ずいぶん前の話になりますが、2006年にデイビッド・マクニールが産経の古森さんをだまし討ちでインタビューしたことがありました。 マクニールは英国インデペンデント紙の特派員として古森さんにコンタクトし、同紙の記事にするという約束でインタビューを行いました。ところが同紙には記事は掲載されず、マクニールが編集者を務める『Japan Focus』というネット論壇に古森さんの取材中の発言がほぼすべて掲載されました。 インタビューの目的も「靖国参拝についてのいろいろな人の意見をまとめる記事を書くため」とマクニールは言っていたのですが、彼のほんとうの目的は別のところにあったようです。 ことの顛末を古森さんがコラムにし、その書き起こしはCatNAさんのブログなどで読むことができたのですが、コラムが掲載された正確な日付がわからなかったので、今回、神奈川県立図書館で紙面を確認してきました。古森さんのコラムが掲
マルコム・シユーネの『ウォークネス―事務方主義の最高の段階としての』を訳してみた。保守系シンクタンクのマンハッタン・インスティチュートが発行する雑誌『City Journal』の2022年春号に掲載されたコラム。 20世紀前半、アメリカの思想家であるジェームズ・バーナムは、専門化した経営者が資本家に代わって会社を支配するようになるだろうと予測した。すなわち、資本主義の後を継ぐのは社会主義者ではなく、ある種の職能集団であるということだ。ある意味、その予測は実現しつつある。ただし、シユーネによれば、新しく支配権を握ろうとしているのは経営者ではなくウォーキズムである。 マルコム・シユーネは1987年生まれのスウェーデンの評論家。本人はマルクス主義者であるとしているが、ポピュリズムに好意的であることから保守派であるとみなされることが多い。 タイトルの『Wokeness, the Highest S
水木しげるの漫画『従軍慰安婦』には次のような描写がある。場所は第二次世界大戦時のココボ (ラバウルの近く)。「日本のピーの前には100人くらい。ナワピー(沖縄出身)は90人くらい、朝鮮ピーは80人くらいだった」「これを1人の女性で処理するのだ」(中略)「1人30分とみてもとても今日中にできるとは思われない、軽く1週間くらいかかるはずだ」。ピーとはいわゆる慰安婦を指す。 水木の別の漫画『総員 玉砕せよ!』では、同じココボでの話として次のような描写がある。営業終了まであと5分だというのにピー屋の前に70人ほどの兵士が並んでいる。5時になって閉店を告げられた兵士たちはもう少し営業してくれと懇願するのだが、女たちが「女郎の歌」を歌いだし、兵士も声をあわせて合唱する。翌日、「きのうはどうだった?」と仲間に聞かれた兵士は「2、3人はできたかしんねえけど、なにしろ5分間しかねえのに70人もならんでんだ。
ムンク・ディベートは、カナダのトロントで年に2回開催される討論イベントだ。世界最大の産金会社であるバリック・ゴールド社などで巨額の富をなしたカナダ人実業家、ピーター・ムンク (Peter Munk) が妻のメラニーと共に始めたもの。 討論のテーマは主に社会的/政治的なもので、ディベーターも毎回豪華な人が登場。 たとえば、心理学者のスティーブン・ピンカーが登壇した2015年下半期のお題は「人類の未来は明るいか?」。このときの様子は本として出版されて日本語にも翻訳されている (『人類は絶滅を逃れられるのか』ダイアモンド社)。 また、2016年上半期には、UKIP党(当時)のマイケル・ファラージなどを呼んで、移民の推進について討論。討論の前後に聴衆にアンケートを取り、より多くの人の意見を変えさせた方が勝者となるのだが、このときはファラージのいた移民反対(慎重)陣営の方が大差で勝利した。 私がムン
米国のジャーナリストであるレイトン・ウッドハウス氏のSubstackから「ザ・ルンペンブルジョワジー」という記事を訳してみた。IT企業をはじめとして、アメリカ社会はなぜこれほどまでにウォーク(左傾)化してしまったのか。今回のTwitter社の大量レイオフにもつながる話です。 「ルンペンブルジョワジー」とは、ここでは生産性は低いが高給と社会的尊敬を得られる職についている大卒社会人ぐらいの意味。労働市場での競争で明確に有利となるスキルを持たない主に人文系の卒業生が各産業に入り込み、大学で吹き込まれた道徳的資本を頼みの綱にしてキャリアを築こうとする。その過程で社会がWoke化していったとする議論。 イーロン・マスクが今回レイオフしたのは、こうしたルンペンブルジョワジーの階級に属する人々だったのかもしれません。 leightonwoodhouse.substack.com (翻訳ここから) ザ・ル
海外の人が好きそうな日本の話題をニュースポータル的に英語で発信するX (旧 Twitter) アカウントがある。1つは「Unseen Japan」というアカウント。フォロワーは10万人以上いる。2008年頃に問題になった『毎日デイリーニューズWaiWai』のような悪意に満ちた根も葉もない嘘を発信しているわけではないが、外国人 (西洋人) が持つ日本人のステレオタイプにおもねるような投稿が多い。たとえば日本は閉鎖的だ、LGBTに関して意識が低い、などだ。翻訳のまちがいも散見される。中の人のひとりは Jay Allenという米国人でこういう人らしい↓。 このアカウントが最近拡散した不正確な情報の1つは、ミス日本を辞退した椎野カロリーナさんについてである。彼女がミス日本を辞退したのは不倫問題とその説明で嘘をついたからなのだが、Unseen Japanは日本および海外からヘイトを受けたという情報だ
チェルシー・センディ・シーダー (Chelsea Szendi Schieder) は、ラムザイヤー論文の撤回を要求している歴史家グループの1人である。米国コロンビア大学で日本現代史の博士号を取得している。現在は青山学院大学の准教授である。 シーダーは、「The History the Japanese Government Is Trying to Erase」(日本政府が消そうとしている歴史) という記事をザ・ネイション誌に寄稿した (2021年5月26日公開)。日本政府や右翼が第二次世界大戦時の歴史を変えようとしていると主張する記事である。 この記事の中でシーダーは、青学の自分の生徒たちが慰安婦について教えられていないことを嘆いてみせる。戦時の国家が何をしたか教えないと、ミソジニー(女性差別)やレイシズム(人種差別)がはびこることになるというのである。 では、翻ってアメリカはどうなの
ラムザイヤー論文の撤回を要求している歴史家グループの1人、エイミー・スタンリーが書いたエッセイ『On Contract』の問題点を指摘したい。 このエッセイにおいてスタンリーは、インドネシアで起きたスマラン慰安所事件(注)のような拉致強姦が韓国でも日本軍によって広く行われていたのだと、確たる証拠もあげずに読者に信じ込ませようとしている。 注: 1944年2月、南方軍管轄の第16軍幹部候補生隊が、オランダ人女性35人を民間人抑留所からジャワ島のスマランにあった慰安所に強制連行し強制売春させ強姦した事件。戦後、国際軍事裁判所において当該軍人や軍属に有罪が宣告され、数名は死刑に処された。 しかし、スマラン慰安所事件の前後の状況をちゃんと見れば、現地女性を拉致して”慰安婦”にする意図が日本の軍部に組織としてはなかったことが逆に明確になるのだ。 (1) 吉見義明の『従軍慰安婦』には、軍司令部は慰安所
第二次世界大戦でノルマンジー上陸後に米軍兵士による現地女性への性犯罪が多発した。強姦犯として処罰された兵士における黒人の割合は非常に高かった。その理由の1つは、米軍上層部が責任逃れのため「レイプは米軍の問題ではなく、黒人の問題だ」というイメージ操作を行う意図があったから。 1940年代の話だから軍にも被害者の側にも偏見はあった。名ばかりの裁判では、黒人が被告の場合は被害者のフランス人女性の証言が信用されたし、白人が被告の場合は被告の証言の方が信用された。「黒人は性欲が強い」という当時はびこっていたステレオタイプのイメージも利用された。 強姦犯は有罪になると、公開で絞首刑になった。処刑の場所は、犯罪が行われた地域。住民の心をなだめるためだ。メアリー・ルイーズ・ロバーツの『兵士とセックス』に記載されたある事例を次に紹介する。 憲兵が被害者の前に12人の黒人兵士を並ばせ、ただちに確認するよう迫っ
マグヌス・ヒルシュフェルトの『戦争と性』を読んでいるのだが、宮台真司の解説が付いていて、その中になぜアメリカの日本近現代史の先生たちがラムザイヤー論文にあれほど強い拒絶反応を示すのかを理解するためのヒントとなるようなことが書いてあった。 ヒルシュフェルト(1868-1935)はドイツの医師・性科学者。『戦争と性』は、第一次世界大戦時の欧州における性愛関連の振舞いについて詳細につづった本である。 宮台「ドイツが第一次世界大戦で採った国家による管理売春は、兵站としての性の提供であり、性病と暴力の管理を目的としました。この図式は第二次大戦期やその後にかけて広がりを見せましたが、米国だけはこれを採用しませんでした」。理由はピューリタニズムとコストの削減。 日本は米国に占領されたので、第二次大戦直後は例外的に米国の枠組みを受け入れた。そのしわよせを深刻に被ったのが沖縄。沖縄の女性が多数、米兵士による
『トランプの政治集会に参加した私は、民主党が2020年の準備ができていないことを悟った』という記事を訳してみました。記事を書いたのは、ニューハンプシャー州に住むカーリン・ボリセンコという女性。心理学の博士号を持っていて、ふだんは、労働環境などについて企業にアドバイスする仕事をしているそうです。 gen.medium.com 20年にわたる民主党支持者で、趣味の編み物に没頭していた彼女が、なぜトランプの政治集会に参加し、なぜ考えを変えたのか。彼女は、この記事を書くまで特に政治的な言論活動をしていたわけではなかったのですが、それはどうしても言葉にしなければならない体験だったようです。 記事を掲載したのは、ミディアム (Medium) というオンライン・プラットフォーム。Twitter や Blogger の共同設立者であるエヴァン・ウィリアムズが主宰するプラットフォームです。 記事が公開された
大統領選挙の投票が終わり、大手メディアはバイデン氏の当選を宣言しました。トランプ氏は選挙の不正を主張して徹底抗戦の構え。まだまだひと悶着もふた悶着もありそうです。 人種差別主義者、性差別主義者などとメディアにレッテルを貼られ続けたトランプ大統領ですが、2016年と比べて白人男性以外の人種/性別で得票を増やしているというデータが出ています。(Edison 社の出口調査)。 君らがブラック・ライブズ・マターと叫んで店を略奪し街を焼き、黒人同士で殺し合ってる間に、トランプ大統領は全てのマイノリティ男女間での支持率を伸ばしましたw この事実は定期的に蒸し返そうと思いますw 大変ありがとうございました🙌🏻 pic.twitter.com/8gPOCjv7E9— Blah 🇺🇸大統領選HQ LetItRock (@yousayblah) 2020年11月8日 また、LGBT コミュニティーから
日本外国特派員協会のデイビッド・マクニールが、アイリッシュ・タイムズ紙に安倍首相辞任に関する記事を書いていた。 www.irishtimes.com 2011年8月の菅直人の退陣時に彼が書いた記事と比べてみると、彼がジャーナリストとしての責務よりも、自分の政治的・思想的アジェンダを優先する人間であることがよくわかっておもしろい。 www.irishtimes.com 経済にも外交にも原発事故の処理にも、菅直人はいいところを見せられなかったのは周知の事実だが、それでもマクニールの記事は菅に非常に同情的だ。2人の学者 (上智の中野晃一とテンプル大のジェフ・キングストン) の言葉を引用して管を擁護する。反対意見は紹介されない。 今回の記事では、マクニールは安倍が祖父の岸信介の墓参りをして「日本の真の独立を取り戻す」と誓った話から入り、岸がA級戦犯で逮捕されていたことにも触れ、安倍が右翼的な政治家
ラッパーのカニエ・ウェストが、大統領選挙に出馬すると宣言して話題になっています。そこで、ちょっと古い記事なのですが、彼について書かれた Quillette 誌の 2018年4月の記事を訳してみました。タイトルを『カニエ・ウェスト、そして黒人保守派の未来』といいます。 quillette.com ウェストが、黒人女性の保守派論客でトランプ支持のキャンディス・オーウェンズに賛同したことで、大騒ぎになったころの記事です。 リベラル・エリートは、なぜそれほどまでに黒人の保守派を脅威に感じ、その声を無視しようとするのか、についてです。 記事を書いたコールマン・ヒューズは、このときまだコロンビア大学の学生。記事の翻訳のあとに、彼の簡単な紹介文も書きました。 (翻訳ここから) カニエ・ウェスト、そして黒人保守派の未来 2018年4月24日 文: コールマン・ヒューズ (2018年) 4 月 21 日、カ
ちょっと古い話になってしまうのだが、先月、新型コロナウイルス関連のポッドキャスト動画をYouTubeで見ていた。その中で、識者 (学者やジャーナリスト) が中国に対して非常に否定的な見解をあからさまに述べる動画がいくつもあったので3つほどご紹介します。 地上波や新聞などのメインストリーム・メディアでは、ここまではっきりと中国に否定的な論調が出てくることは (私の見る限り) あまりない。 まず、UnHerdという英国のオンライン・マガジンのポッドキャスト。インタビューに答えるのは、ニール・ファーガソン (Niall Ferguson) という英国出身で米国在住の歴史学者。政治的には保守。コロナウイルス感染症について英国政府に助言した公衆衛生研究者のニール・ファーガソン (Neil Ferguson) とは別人。5/20公開の動画。 www.youtube.com 25:07 あたりから。「ア
2018年にBBCで放映された『日本の秘められた恥』(原題: Japan’s Secret Shame) という番組が、最近またツイッターなどで議論の的になっている。この番組は、性的暴行を受けた(と主張する)伊藤詩織氏を追ったドキュメンタリーである。 www.bbc.com 議論の的になっているのは、上記のBBCのページに掲載された、上から2番目の動画。この動画で、伊藤氏は英語でこう語る。 If you grow up in Japanese society, everyone have experienced sexual violence, or sexual assault, but not everyone consider it was. Especially when you start using public transportation as a high-school
ミネアポリスで黒人男性が警官に殺されたことを受けて、英国でもデモが各地で発生しています。ボリス・ジョンソン首相は人種平等対策委員会の設置を決め、そのトップにはミュニラ・マーザ氏が任命されました。 彼女は、イングランド北部のオールダム出身。1978年生まれ。父母はパキスタンからの移民です。ジョンソンがロンドン市長だったときに、教育/文化担当市長代理を務めていました。若い頃は共産主義の政党に参加するなど左翼だったのですが、時を経るにつれて政治志向は変化したようです。ブレグジットでは離脱派。また、アイデンティティ・ポリティクスには非常に懐疑的な態度を示しています。 今回の人選には、英国の左派は不満のようで、ガーディアン紙などは癇癪を起こしたかのように批判記事を書いています。 www.theguardian.com この批判記事に対する学者さんの反応を2つご紹介します。 A high-achiev
私がよく見るポッドキャスト番組の1つに『TRIGGERnometry』という番組があります。司会はコンスタンティン・キシンとフランシス・フォスター。2人ともイギリス人コメディアン。キシンはロシア出身、フォスターは母親がベネズエラ人でベネズエラで暮らした経験あり。つまり、共産主義(または、その名残)を経験しているというわけです。 最近のブラック・ライヴズ・マター (BLM) の抗議運動についてキシンは懐疑的で、いろいろと発言しています。その中から2つほどご紹介します。 まず、Talkradioという局のラジオ番組のインタビュー。聞き役はジュリア・ハートリー=ブリュワー。彼がBLMを支持しない理由について。 Why I don't support BLM. https://t.co/cBCGfhKr76— Konstantin Kisin (@KonstantinKisin) 2020年6月1
ミネアポリスで黒人男性が警官に圧死させられた事件に関連して、「『制度化されたレイシズムが警察には存在する』という作り話」(The Myth of Systemic Police Racism)という記事が、6月2日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のオピニオン欄に掲載されました。 www.wsj.com 書いたのはヘザー・マクドナルド氏。彼女はマンハッタン・インスティチュートという保守系シンクタンクのフェローで、『The War On Cops』(対 警察官 戦争)という著書もあります。 黒人男性を死に至らしめた警察官の責任は追及されるべきだが、黒人に対する「制度化された差別」が警察に存在するというのはまったく根拠のない話である、という主張です。 以下に翻訳しました(約2000字)。 (翻訳ここから) 『制度化されたレイシズムが警察には存在する』という作り話 文: ヘザー・マクドナルド
ダイヤモンドプリンセス号について扇情的で薄っぺらなレポートをしたBBCのルパート・ウィングフィールド=ヘイズ氏。彼が過去に犯した誤報について書いておきたいと思う。 2017年7月、ウィングフィールド=ヘイズは「Sexless in Japan」(セックスレスな日本の若者たち それはなぜ)という動画レポートを公開した。セックスしない傾向にある日本の若者について、少子化とからめてレポートしたものである。 英語版 www.youtube.com 日本語版 www.youtube.com このレポートの中で、ウィングフィールド=ヘイズはあからさまなフェイク・ニュースを流している。 彼のレポートによれば、日本人の18~34歳までの43%が一度も性体験をもったことがない。しかし、これは明らかな間違い。 この数字は日本の国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(2015年)を出典としたと思われ
ジョーダン・ピーターソンの病状を説明するYouTube動画を娘さんのミカエラさんが先日公開しましたが、この件について友人であるダグラス・マレーがメール・オン・サンデー紙のコラムに書いていたので訳してみました。 www.dailymail.co.uk (翻訳ここから) 言論の自由の殉教者: ジョーダン・ピーターソンはポリティカル・コレクトネスに対する反対運動の先頭に立ったことで左派に非難された大学教授だ。その彼が重い病を患っている。彼が支払った高価な代償について、親しい友人であるダグラス・マレーが明らかにする 文: ダグラス・マレー (Douglas Murray) 2020年2月16日 先週、心を揺さぶられる動画がYouTubeにアップロードされた。ある女性が、非常にプライベートな出来事をカメラに向かって語った。 www.youtube.com 彼女の父親は、'ポリティカル・コレクトネスに
オーストラリアのオンライン・マガジン「Quillette」誌に掲載された三島由紀夫についての記事を訳してみた。執筆したのはイギリス人の日本文学研究家であるアンドリュー・ランキン氏。 海外で三島由紀夫がカルト的な人気を誇っているのはご存じの方も多いと思いますが、この記事を読めば、その理由が少しわかるかもしれません。 文中、三島の発言/文章からの引用があるのですが、日本語の原典を見つけることができなかったので、一部私なりに翻訳したものがあります。そうした箇所には「原典不明」と訳注をつけています。ご了承ください。 quillette.com (翻訳ここから) 三島由紀夫: 日本の文化的殉教者 文: アンドリュー・ランキン (Andrew Rankin) 2019年12月11日 先ごろ、日本の人々は、新しい天皇である徳仁の即位を熱烈に祝福した。それを見れば、日本がどれほど皇室制度への自信を取り戻し
2018年8月に米アトランティック誌に掲載された「なぜ左派はそれほどまでにジョーダン・ピーターソンを恐れるのか」を訳してみた。書いたのはケイトリン・フラナガンという女性コラムニスト。 民主党の牙城ともいえるLAのリベラルな中産階級家庭で育った白人の男子学生たちに、ピーターソンがどのように受容されていったのか。そのあたりが面白かったので、ちょっと古い記事ですが、訳してみました。 www.theatlantic.com (翻訳ここから) なぜ左派はそれほどまでにジョーダン・ピーターソンを恐れるのか このカナダ人の心理学教授が大きな注目を集めるのは、左派が衰退しており、非常に脆弱であることの証拠である。 2018年8月9日 ケイトリン・フラナガン(Caitlin Flanagan) 2年前のこと。私が1階に下りると、ティーンエイジャーの息子の1人が、風変りなYouTube動画をテレビで見ていた。
2019年12月に行われた英国総選挙。今回は、左派の主張も聞いてみようということで、選挙の2日前にガーディアン紙に掲載された記事を訳してみました。題して「労働党が労働者階級の支持を失ったというのは虚構にすぎない」。しかし、選挙結果は皆さんがご存じのとおり。 筆者のアッシュ・サーカーは、英国のジャーナリスト/共産主義活動家。20代女性。 www.theguardian.com (翻訳ここから) 労働党が労働者階級の支持を失ったというのは虚構にすぎない 2019年12月10日 アッシュ・サーカー(Ash Sarker) 世論調査会社は50年前に作られた社会階層分けの方法で階級を測り、若者の経済的な現実を無視している イギリスの政治番組を信頼するのであれば、この総選挙で重要な意味を持つ戦場は1種類しかない。サウスウェストの自由民主党と保守党の激戦区など忘れてもよい(うとうとするほど退屈だ)。スコ
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