ベンヤミンの言語哲学を、初期の言語論「言語一般および人間の言語について」(1916年)から、最晩年の「歴史の概念について」(1940年)に至るまで、他者に応答する言葉の可能性の解放という一貫したモチーフの中に描き出した、〈現代〉が召喚した待望のベンヤミン論。 目次 はしがき 序章 ベンヤミンの言語哲学の射程 プロローグ 天使という思考の像 第1節 今、言語を問う 第2節 ベンヤミンの言語哲学の射程 第1章 翻訳としての言語へ ──「言語一般および人間の言語について」の言語哲学── 第1節 ベンヤミンの言語哲学をめぐる思想史的布置 第2節 言語とは媒体である 第3節 言語とは名である 第4節 言語とは翻訳である 第2章 「母語」を越えて翻訳する ──「翻訳者の課題」とその布置── 第1節 ディアスポラから言語を見つめ直す 第2節 ベンヤミンとローゼンツヴァイクにおける言語の創造としての翻訳