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体力トレーニング
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山の中に、一人の赤鬼が住んでいました。赤鬼は、人間たちとも仲良くしたいと考えて、自分の家の前に、 「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸かしてございます。」 と書いた、立て札を立てました。 けれども、人間は疑って、誰一人遊びにきませんでした。赤鬼は悲しみ、信用してもらえないことをくやしがり、おしまいには腹を立てて、立て札を引き抜いてしまいました。そこへ、友達の青鬼が訪ねて来ました。青鬼は、わけを聞いて、赤鬼のために次のようなことを考えてやりました。 青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば、人間たちにも、赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう、と言うのでした。しかし、それでは青鬼にすまない、としぶる赤鬼を、青鬼は、無理やり引っ張って、村へ出かけて行きました。 計画は成功して、村の人たちは
別役実 そのサーカスでいちばん人気があったのは、なんといっても、空中ブランコ乗リのキキでした。サーカスの、大テントの見上げるように高い所を、こちらのブランコからあちらのブランコヘ、三回宙返リをしながらキキが飛ぶと、テントにぎっしりいっぱいの観客は、いつも割れるような拍手をするのです。 「まるで、鳥みたいじゃないか。」 「いえ、どちらかというと、ひょうですね。」 「いや、お魚さ。あゆはちょうどあんなふうに跳ねるよ。」 人々はみんな、キキの三回宙返りを見るために、そのサーカスにやって来ました。どの町へ行っても、キキの評判を知っていて、だからそのサーカスは、いつでも大入り満員でした。 「なあ、キキ…。」 団長さんは、いつも言っておりました。 「おまえさんは、世界一のブランコ乗りさ。だってどこのサーカスのブランコ乗りも、二回宙返りしかできないんだからね。」 「でも、団長さん。いつか、だれかがやりま
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