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大谷翔平
www.rikenresearch.riken.jp
06 September 2013 脆弱X症候群に見られる神経細胞の形態異常を、キナーゼ阻害剤を毎日投与することで正常化できる可能性があることが、マウスを使った研究で明らかになった 脆弱X症候群(FXS)は、自閉症様症状や知的障害を伴う最も一般的な遺伝性の精神発達障害であり、多動性、反復行動、発作を特徴とする。この症候群に見られる行動および精神健康上の問題に対処するための薬剤はいくつかあるが、現時点では、病因に直接作用することが実証された治療法は存在しない。しかしながら、理研を中心とする研究チームが今回発見した化合物によって、そうした状況が一変するかもしれない。この物質は、成体マウスでFXSの症状を改善するだけでなく、FXSに見られる神経細胞の形態異常をも回復させることが分かったのだ1。 米国マサチューセッツ工科大学(MIT)RIKEN-MIT神経回路遺伝学研究センター(CNCG)の教授を
13 July 2012 視覚刺激が「見える・見えない」といったもっとも基本的な意識が、視覚情報の脳への入口に当たる第一次視覚野とはほとんどかかわりがないことが、脳機能イメージングにより示された 純粋に直観的な観点からすると、私たちが何かの対象に能動的に注意を向ける能力は、その対象を意識的に知覚する能力と密接に結びついていると考えるのが自然である。しかしながら、この考え方の正否については、研究者間で今なお活発な議論が続けられている。このたび、東京大学、理研およびマックス・プランク研究所(ドイツ)からなる国際共同研究チームが予想外の知見を得たことで、この議論はさらに激化することだろう。知覚のこうした側面がどのように脳の中で実現されているかを明らかにするには、視覚中枢が情報を処理する過程を詳しく解明する必要がある。第一次視覚野(V1)として知られる脳内領域は、網膜から伝えられるシグナルを受け取
29 July 2011 将棋のプロが直観的思考を行う際の脳活動は、アマチュアと大きく異なっている 霊長類、なかでもヒトは、他の脊椎動物とは異なり、思考を司る脳領域である大脳皮質が大きく肥大している。このほど、大脳皮質と他の進化的に古い脳部位との間で生じる連動や協調が思考に重要な役割を果たしていることが、理研脳科学総合研究センター(BSI;埼玉県和光市)の田中啓治チームリーダー(TL)らにより明らかになった。この成果は、『Science』に報告された1。 研究チームは、将棋のプロ棋士が、習慣的な行動と関連する脳部位を使って、最善の「次の一手」を決めており、これこそがアマチュア棋士との顕著な違いであることを見つけた(図1)。どうやらプロ棋士は、経験や訓練を重ねることで、迅速な神経処理の一部を、大脳皮質から、習慣的行動を担う大脳基底核へと割り振り、大脳皮質をより大局的な戦略の立案に専念させられ
10 June 2011 遺伝子組換え生物の化学的多様性を評価することは、その安全性を判断するための重要な第一段階である 図1: 遺伝子組換え(GM)トマトと在来品種のトマト 左から右へ:Moneymaker(遺伝的背景が同一の対照品種)、56B(GM)、7C(GM)、Aichi First、Alisa Craig、M82、Micro-Tom、Rutgers。 enlarge image 遺伝子組換え(GM)トマトは、在来品種と同じように見える(図1)。しかし、本当に同じなのであろうか。このほど、理研・植物科学研究センター(神奈川県横浜市)メタボローム研究推進部門の斉藤和季部門長率いる研究チームが、GMトマト株と対照株および既存の参照品種との化学的な差から両者を識別する方法を開発した1。消費者にとって、GMトマトが安全であるという確証は重要である。このため、最初のリスク評価で、化学的組成
図1:特別に開発された回転するクライオスタット(低温恒温装置)。15ミリケルビンまで冷やすことができ、超固体が存在する証拠の発見に使われている。 enlarge image 超固体と超流体は、量子力学的現象の中で最も不思議な部類に入るといってよい。超流体は粘性なしに流れ、容器の壁に沿って流れるときにも摩擦が生じない。これは、液体を構成する原子が「凝縮」して高度にコヒーレントな状態になっているからである。超固体もコヒーレントな状態を特徴とするが、こちらは、固体を構成する原子だけではなく、結晶格子の空格子点が重要な役割を果たすコヒーレントな状態になっていると考えられている。超固体の生成は、円筒状の固体ヘリウム4をきわめて低い温度まで冷却する実験において慣性モーメントの減少が確認されたことで、初めて証明された。慣性モーメントが減少したのは、ヘリウムの一部が超固体になって試料棒の残りの部分から分離
04 March 2011 反陽子を分子に衝突させると原子に衝突させたときとは違った振る舞いをすることが分かった。しかも、これは理論的予測とは大きく異なる。 図1: 反陽子と水素分子の衝突実験に使われたCERNの反陽子減速器の説明図。反陽子と水素分子の衝突により生成する粒子を分析することで、その相互作用を解明することができる。 enlarge image スイスのジュネーブ近郊にある欧州原子核共同研究機関(CERN)では、SFでおなじみの反物質が日常的に作り出され、原子や分子のよりよい理解をもたらすために貢献している。理研の研究者たちは今回、デンマーク、日本、英国、ハンガリーの研究者と共同で、反陽子(陽子と同じ質量をもつが負の電荷をもつ粒子)が分子と衝突するときの振る舞いが、原子と衝突するときとは大きく異なっていることを明らかにした1。この研究結果は、今後の原子衝突理論の妥当性を判断する
28 January 2011 2つの酵素が連携して、転移RNAにわざと誤ったアミノ酸を付加してから修正する巧妙な仕組みが明らかになった 細胞内で新しいタンパク質が合成される際には、その構成単位である20種類のアミノ酸が、それぞれに対応する転移RNA(tRNA)分子によって、タンパク質合成装置であるリボソームへと運搬される。この運搬プロセスで、アミノ酸をその運び手であるtRNAに付加しているのは、それぞれのアミノ酸に対応するアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)である。ところが、多くの細菌や古細菌では、20種すべてのアミノ酸に対応するaaRSが存在するわけではない。例えば、グルタミン(Gln)に対応するaaRS(GlnRS)は存在しない。このため、グルタミンが付加されたtRNA(Gln-tRNAGln)は、2つの段階を経て形成される。この過程ではまず、グルタミルtRNA合成酵素(GluR
図1: EF-P-GenX複合体(左上)は、tRNA-aaRS複合体(左下)と構造が極めてよく似ている。これは、EF-P(右上)が核酸を主体とするL字型のtRNA(右下)と似た構造となるように進化したためである。EF-PとtRNAは、構造上同等の部位(EF-PのLys34とtRNAのA76)でそれぞれの相手となる酵素と相互作用する。 enlarge image DNAに記載されている遺伝情報(タンパク質の情報)は、伝令RNA(メッセンジャーRNA;mRNA)に「転写」された後、細胞内のタンパク質合成工場であるリボソームで「翻訳」、つまり、アミノ酸が遺伝コードどおりに繋げられタンパク質が合成される。このとき、mRNAに転写された遺伝コードに従ってアミノ酸をリボソームに運び込むのが、転移RNA(トランスファーRNA;tRNA)である。タンパク質を構成する20種のアミノ酸には、それぞれに特異的に
01 October 2010 少数細胞の遺伝子発現の詳細な解析を可能にする、2つの分子生物学的技術が開発された 細胞に含まれるRNAの量は、ある時点の遺伝子発現活性の全体像を表す。このためRNA量は、特定の細胞の作用機序だけでなく、疾患や環境変化による機能異常に関しても、極めて多くの情報をもたらす(図1)。 理研オミックス基盤研究領域(神奈川県横浜市)のピエロ・カルニンチ チームリーダー(TL)らが開発したCAGE(cap-analysis of gene expression)法は、こうしたプロファイル解析に極めて有用なツールであり、細胞内に存在するさまざまな種類のRNAからメッセンジャーRNA(mRNA)を分離・増幅してcDNAライブラリーを作製することができる1。しかしCAGE法はマイクログラムレベルという大量のRNAを必要とするため、特定の細胞に焦点を合わせて解析を行うには限界
09 July 2010 実験用マウスは、変異を起こしてメラトニンを合成できなくなり、早く性成熟するように進化していた 実験用動物は、生物に関する基本的な知識だけでなく、人間の病気についても貴重な知見を与えてくれる。しかし、実験用の動物は人に長年飼われてきた結果、野生本来の特性を失い、人間の生理機能と異なってしまったため、実験や解析が難しくなる場合もある。 理研脳科学総合研究センター(埼玉県和光市)の加藤忠史チームリーダー(TL)と笠原和起副TLは、まさにそうした難題に遭遇してしまった。2人は、自分たちが開発した双極性障害のマウスモデルを用い、メラトニンが双極性障害のマウスモデルに与える効果を調べようとしていた。メラトニンは、生体の1日周期の概日リズムを微調整するホルモンで、脳の松果体から夜になると分泌される。「以前から、研究者や精神科医は、メラトニンは気分障害と何か関係があるのではないか
図1: eGFRDのアルゴリズムに基づいて、細胞内の異なる分子の会合をシミュレーションしたときの三次元像。 enlarge image 細胞内の生物学的プロセスのシミュレーションにおける最大の課題の1つは、実際の分子の動きを正確に反映した数理モデルを開発することである。これを目的として、1996年慶應義塾大学で「E-Cell」プロジェクトが発足し、国産の細胞シミュレーター「E-Cell」が開発された。そのプロジェクトの創設メンバーの1人である理研基幹研究所(神奈川県横浜市)の高橋恒一チームリーダー(TL)は、これまで一貫して細胞丸ごと規模の包括的シミュレーション法の開発に取り組んできた。 高橋TLが現在重点的に研究しているのは、シグナル伝達分子群の動的な挙動である。この種の解析は従来、分子が細胞内に均一に分布していると仮定する「平均場」理論に基づくことが多かった。こうした単純化したモデルは
18 June 2010 世界的な農業害虫アブラムシのゲノム解析から、その細胞内に棲む共生細菌との驚くべき関係が明らかとなった。 アブラムシは、植物の師管を流れる液(師管液)を餌として吸い、世界中の農作物に大きな被害を与えている。およそ5000種が知られているアブラムシの生物学的特性について理解を進めれば、効果的な防除法の開発に役立つと考えられる。アブラムシは、昆虫の中でもとりわけユニークで複雑な性質をもつ。例えば、同一のゲノムをもつ個体であっても、環境条件に応じて変幻自在に姿を変えることができる。また、アブラムシは師管液のみでは生存できず、師管液にない栄養分を共生細菌に補ってもらっている。 このほど、国際アブラムシゲノム解析コンソーシアム(IAGC)は、アブラムシで初めてゲノム解読に成功した1。IAGCが解析対象としたのは、エンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon pis
12 March 2010 サルに道具使用の訓練をすると一部の脳領域が膨張することが、最先端のイメージング技術によって明らかになった かつては、ヒトの脳は成人後に大きく変化することはない、と考えられていた。しかしこうした考え方は、この2、30年間ですっかり覆された。さまざまな研究によって、成人の脳にも非常に柔軟性があり、脳を使うことで大きく変化することが明らかになってきたのだ。 このほど、理研脳科学総合研究センター(BSI;埼玉県和光市)の入来篤史チームリーダー(TL)らは、ニホンザルに道具の使い方を習得させ、脳構造がどのように変化するかを直接とらえることに成功した1。これは、非侵襲的なイメージング技術によって、個体レベルで脳の変化が明らかになった最初の成果であり、ヒトの知性の進化を解明するための糸口となるであろう。学ぶと膨らむ 図1: 野生のニホンザルは道具を使うことはほとんどないが、人
26 February 2010 精密にチューニングされた希土類触媒による相互作用を利用して、分子を位置選択的に合成する 図1: スカンジウムをベースとする触媒(Sc+-Cp*)とシリルエーテル基(SiO)の間の相互作用により、メチルアルミニウム(青色の構造)が高い選択性をもって炭素間三重結合に付加する。 enlarge image 周期表に並ぶ金属間のほんのわずかな電子構造の違いにより、その化学反応性に極めて大きな差が生じることがある。このほど理研基幹研究所(埼玉県和光市)の侯召民(Hou Zhaomin)主任研究員が率いるチームは、これまでほとんど研究されてこなかった希土類金属のスカンジウムが、他の金属よりも選択的に、炭素間不飽和結合に官能基を付加する反応を触媒する1ことを見いだした。この成果は、分子の組み立てを精密にコントロールする方法を探し求めている化学者にとって朗報である。 希
ウェブから新たな情報を生み出す 新しい検索エンジンの開発で、科学論文やオミックスデータを含む多数のデータベースの統計解析が可能に 図1:理研の生命情報基盤研究(BASE)部門の研究者が開発した新しい検索エンジンは、科学論文やオミックスデータを含む多数のデータベースからなるセマンティックウェブを機械が統計的に解析することを可能にする。 High resolution image and legend 発表済みの科学論文やオミックスデータを収集したデータベース群から重要な情報を統計的に発見するための検索エンジンを、理研の生命情報基盤研究(BASE)部門(旧ゲノム科学総合研究センター、神奈川県横浜市)の研究者が開発した。この技術は、例えば、マウスに化学的に遺伝子変異を誘発させた場合、外部から観察できる表現型の特徴を使って変異が起きた遺伝子の位置を推定するなど、さまざまな問題に応用できる。
ミックスナッツの箱をしばらく揺すっていると、いちばん大きなナッツが上に出てくる。この現象は、ブラジルナッツ効果としてよく知られている。理研の研究者たちは今回、この興味深い現象が、いちばん大きなナッツの間に働く遠距離力の影響を受けている可能性を示唆した。この力は、ナッツが触れあっていないときにも作用しているという。 ブラジルナッツ効果は、さまざまな粉流体(液体のように流れる固体粒子の混合物)にみられ、薬物の調合などの産業プロセスに影響を及ぼすことがある。けれども、この現象の予測は容易ではない。混合物の組成や粒子の相対的な大きさによって、大きな粒子が混合物の表面に出たり下に潜ったりするからである。 今回、理研フロンティア研究システム(和光市)とミシガン大学(米国)に所属する物理学者Franco Noriとその同僚が結成した国際チームは、コンピュータシミュレーションを行い、その結果からこ
量子コンピューターの実現に向けた新たな一歩 (26 Sept 2008) 論理ゲートをゆっくりと操作して量子コンピューターの性能を改善 paper published in Physical Review Letters スピンと電子輸送現象とのホットな関係 (26 Sept 2008) 固体物質における特定のスピントポロジーは、熱的に生じる電子輸送に強い影響を及ぼす paper published in Physical Review Letters
Structural 窶�snapshots窶� of a protein implicated in Alzheimer窶冱 disease (26 Sept 2008) New experiments reveal detailed physical features of a protein thought to exacerbate the pathology of Alzheimer窶冱 disease paper published in Molecular and Cellular Biology Metamaterials shake up electrons (26 Sept 2008) New man-made materials could produce unique chaotic motion in electron beams paper publ
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