◆投資回収が“壁”、安全対策費用は膨大に 欧米で原子力発電所の廃炉決定が相次いでいる。卸市場価格の暴落や安全対策費の増大などによる採算性の悪化を理由に10月、米国で1基、スウェーデンで4基の廃炉が決まった。いずれも1970年代に運開したプラントだ。海外電力調査会は「廃炉決定には固有の事情もあるが、自由市場の問題が顕在化したという点では共通している」(黒田雄二上席研究員)とし、投資を回収できる仕組みの必要性を指摘する。 廃炉決定は10月13~15日に相次いで発表された。米国では13日、エンタジーがマサチューセッツ州のピルグリム発電所(BWR、68万キロワット)を2019年1月までに廃止すると発表した。同社は昨年末にも経済性を理由にバーモント州のバーモントヤンキー発電所(BWR、60万キロワット)を閉鎖している。 ◇維持が難しく スウェーデンでは運転中の10基のうち4基の廃炉が決まった。独エー