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円安とは
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新型コロナウイルス感染症流行下の心理的状況・予防行動と性格の関連について調べた研究の結果が、昨日PLOS ONE誌に公表されました。 -https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371%2Fjournal.pone.0235883&fbclid=IwAR04m79ME4RkuB4ja05wQTGRQp6xfNvXc7Prr3eSL3B9Nbb6SSWg30tkimk 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言発出直後の2020年4月8日からオンライン調査を開始し、第一回の調査では日本全国から1856名の有効回答を得ました。その後6月中旬まで毎週調査を実施し、10回分の時系列データを得ましたが、今回の論文は第一回の調査結果を分析したものです。この研究では、市民の性格が予防行動や心理的負担(ストレス・不安・抑うつなど)に影響するのではないか、
1月7日に環境省「次期生物多様性国家戦略研究会」第一回が開催され、「2050年の自然との共生の実現(案)」に関する議論が行われるそうです。 この研究会に先立ち、GFBさんは「里山ナショナリズムの源流を追う 21世紀環境立国戦略特別部会資料から」を公表し、「日本人は昔から自然と共生してきた」という、これまでの政府の環境政策文書に繰り返し書かれてきた見方に疑問を提起されています。 私は、湯本貴和さんを代表とする総合地球環境研究所プロジェクト「日本列島における人間ー自然相互関係の歴史的・文化的検討」(2006-2010年度)に参加し、「日本列島では生物資源の持続的利用も、その破綻もあった」ことを明らかにする研究に貢献しました。湯本プロジェクトの成果として刊行された『シリーズ日本列島の三万五千年史』の第一巻に書いた以下の論考は、次期生物多様性国家戦略研究会の委員の方々にぜひ読んでいただきたいので、
今日の午前中は、中央環境審議会野生生物部会に出席した。議題は、トキの野生復帰のために、佐渡東部の国指定鳥獣保護区を拡大する提案だった。この提案自体にとくに反対する理由はないのだが、本土から移入されて増えているホンドテンなどを駆除して生態系を管理するという計画が別途にきちんと必要である。 この機会に、トキの増殖・放鳥計画に関して、関連する文献をチェックしてみた。 トキ野生復帰 環境再生ビジョン(平成15年環境省) トキ保護増殖事業計画(平成16年農水省・国交省・環境省) 佐渡市トキ野生復帰実行計画 しかし、どの資料を見ても、トキはなぜ減ったのか、どうすれば野生復帰が可能なのかについての明確な説明がない。そこで、会議では、自然再生事業指針に言及して、「現状認識の明確化ができていない」「どのような仮説で対策をたてているのかがわからない」という厳しい意見を言わせていただいた。 上記の「環境再生ビジ
GFBさんの力作「里山ナショナリズムの源流を追う 21世紀環境立国戦略特別部会資料から」がnoteに公表されました。 https://note.com/gfb/n/n480031b828bc この記事を読んでまず気づかされたのは、私が政府の政策にコミットする機会はまったくなかったこと。私は鷲谷さんと共著で「保全生態学入門」を書き、環境省のレッドリスト作成に深く関わり、CBD COP10に向けて環境省に協力してプレ国際会議を開催したり、愛知目標策定に向けての科学外交に関わってきました。渡辺綱男さんとも何度もお目にかかっています。鷲谷さんが委員で加わっているから、分野のバランスを考慮して、私は委員からはずされた、ということかもしれません。鷲谷さんが、政策と関わる「汚れ役」は自分が引き受け、私には研究面で頑張ってもらおうと配慮されたのかもしれません。また、私は鷲谷さんより一回り若いので、年齢的な
3連休が終わりますね。みなさん、どう過ごされたでしょうか。私は土曜日は教え子の結婚祝賀会に出ました。研究指導したことに加え、決断科学大学院プログラムで苦楽を共にしたKさん。私が決断科学大学院プログラムをコーディネートしたことで、二人の人生を変えてしまった。教師というのは、人の人生を変えうる仕事なのだと、痛感しました。今回はたぶん、幸いな方向に変わったケースなので、教師冥利に尽きます。祝賀会はたくさんの仲間が集まり、温かくて楽しい会でした。決断科学大学院プログラムをプロデュースースするとき、一生の宝物になる友人や教師との出会いを実現したいと思っていたので、その思いがひとつ形になって、うれしく思います。日曜日は、数百サンプルのマテバシイ属の系統解析結果が届いたので、系統樹と照合しながら数百サンプルのスライドをチェックしました。いろいろ他にやるべき仕事があったのですが、連休の中日くらいは、好きな
大隅典子さんが「消費者が動かした ダイソー“発がん性農薬”販売中止の英断」という記事をツイッターで拡散されていますが、私は除草剤としてグリホサートを通常の使用量で使うことによって発がんリスクが高まる、という科学的証拠は脆弱だと判断しています。以下のような論文に依拠して、冷静な議論をする必要があると思います。 8月4日Facebookより とある方の記事について、以下のようなコメントを書きました。私のタイムラインにも転載しておきます。もし私が参照している論文が適切ではないとか、グリホサートの発がん性について信頼できる証拠がある、という情報があれば、ぜひご教示ください。私は、自分が間違っている可能性については、常に謙虚にチェックするつもりです。「農薬をひとくくりにして危険だというのは非科学的だと思います。ネオニコチノイドは多くの動物に対して毒性がありますが、除草剤グリホサートは植物のシキミ酸回
論文を書き続けるのは、道なき道をかきわけて山に登るのに似ていて、しんどいですね。ここしばらくは、おいしげった藪をこいで、力づくで前に進むような論文執筆作業を続けています。見通しが効かず、どちらに進んで良いかわからず、少し進んでは引き返して、別の道を進むという試行錯誤の繰り返し。体力(脳力)を使う、しんどい作業です。早朝覚醒型の不眠症が続き、血圧も高止まり。 なんでこんなにまでして書くかと言えば、完成すると楽しいからです。山に登頂したときの喜びに似ています。いや、作品として残るから、それ以上の喜びですね、私にとっては。 書いているのは、”Decision Science for Future Earth"というコンセプト論文。社会的問題解決の現場での意思決定に関する総説です。意欲作ですよ。7年前に始めた決断科学大学院プログラムの成果です。いろいろな分野の方から学んだ知識を総動員し、『決断科学
22日に書いた記事には、たくさんの訪問があり、このテーマに関心を持つ人が多いことがわかったので、続編を書きます。 情緒的な「里山概念」という表現を見て、そうだそのとおり、と思った方と、やや不愉快な気持ちになられた方がいらっしゃるのではないでしょうか。「里山」という言葉は、里山は良いものだ、というある種の価値観と結びついているので、その言葉に批判的なことを書けば、このようなポジティブ・ネガティブな感情を呼びさましてしまうものと思います。 保全生態学は、価値観を相手にせざるを得ない点で、基礎生態学とは違う困難さをかかえているのです。この点について、「自然再生事業指針」では次のように書きました。 2−5 科学的命題と価値観にもとづく判断 <自然再生に関連する諸問題の中には , 科学的 (客観 的)に真偽が 検証できる命題 と,ある価値観 に基く判断が混在 していることに注意すべきである.生物多様
「里山資本主義」に続いて「里海資本論」という本が出版されていることをtwitterで知り、昨日九大生協で買って読みました。2015年の出版ですね。数日前まで知らずにいました。 この本は、科学の本ではなく、著者の社会ビジョンを述べた本です。このような社会ビジョンには価値観がともなっており、「正しい」「間違っている」という判定はできません。著者の井上さんのビジョンに共感される方もたくさんいらっしゃるでしょう。私は「違いを認め合う社会」を理想としていますので、著者の社会ビジョンは尊重します。 ただし、二分法、二項対立は避けていただきたい。 <人間が、人間らしさや人間性を差し出してまでも、科学技術を最優先にした豊かさをくみ上げてきた「旧来型の文明」。それにとってかわる「新たな文明」が、にこやかに顔を出している。(139ページ)> このように、文明を「旧来型の文明」と「新たな文明」に二分してとらえ(
GFBさんのツイート(https://twitter.com/MC_sashiba/status/918463407363260416)で、トキやコウノトリの野生復帰をめざす事業が行政の後押しも受けてやや前のめりになっていることを知りました。ツイートにリンクされている行政文書を斜め読みして、とりあえず以下のツイートを書いておきました。 「関東でトキやコウノトリの野生復帰を目標にする計画は、「自然再生事業指針」にまとめた原則(下記)に照らして、再検討が必要だと思います。まず、「基本認識の明確化」が不十分。」 この手の野生復帰事業は、植物の移植と一緒で、復帰先(移植先)の環境を整えずに、放鳥(移植)をやろうとしています。復帰先(移植先)の環境を整えて、自然に分布を広げてくれるようにするのが基本です。復帰先(移植先)の環境を整えずに放鳥(移植)しても、うまくいきません。これは生態学的な復元事業の
博士課程教育リーディングプログラムは、「優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進する事業」です(公募要領より)。とくにオールラウンド型では、「人文・社会科学、生命科学、理学・工学の専門分野を統合した学位プログラムの構築」を求められています。無茶ですね。文部科学行政始まって以来の無茶ぶりと言っても言い過ぎではないように感じています。 しかし、すぐれた社会的リーダーが求められていることは確かです。このニーズに対して、今の大学院教育はほとんど応えられていない。専門分野を深く極めた人材の養成には成功していますが、専門
10月28日のブログで紹介した、ヒナノボンボリ属の新種には、ヤクノヒナホシ(屋久の雛星)という名前をつけた。 先週後半に、研究プロジェクトの現地報告会のために屋久島を訪問したところ、発見者Yさんの友人のNさんから取材を受け、あれよあれよという間に、南日本新聞に発表されてしまった。ヤクシカ問題の取材で屋久島入りしていた朝日新聞やNHKの記者からも、南日本新聞を見たのでぜひ話を聞きたいと言われ、取材に応じた。NHKではテレビで報道されたようだ(あたりまえか)。 論文を投稿しないうちに名前が出てしまったので、予定をはやめて金曜日中に大学に戻り、かきかけの記載論文の完成を急いだ。 週末は、今津干潟のワークショップ、国立公園に関する原稿のしめきり、グローバルCOE学内ヒアリング準備(月曜9時からヒアリングを受けた)、授業の準備などなどで忙しかったが、気分転換に原稿の加筆・修正を続け、ついに今日、投稿
昨日開催されたシンポジウム参加中に書いたツイートを転載します。 パネルディスカッションを、「学生をおいてきぼりにした大人の議論だなぁ」、と思いながら聞いていましたが、最後に会場の名古屋大院生から「まるで学生が商品のような議論だ」「学生を(特定の人材養成の枠組みに)あてはめるのではなく、未知の可能性に学生を開いていくのが中心」だというまっすぐな発言があり、心が晴れました。 私も、学生と一緒に未来を作っていくという初心を忘れないようにしなければ。 博士課程教育リーディングプログラム オールラウンド型7大学シンポジウム2016はじまる。昨日は実施担当者による非公開の討論。今日は公開。ホスト校の東京工業大学三島学長のあいさつ。志の大事さを強調された。昨日の討論でも、志という言葉を何回か聞いた。志って何だろうね。 #AR7— Tetsukazu Yahara (@TetYahara) 2016, 1
少しかっこつけて言うと、人生は「自分とは何か」を見つけるための、長い旅なのだと思う。そしてその旅の中で、「自分とは何か」をもっとも純粋に考えることができるのは、高校時代だろう。中学生ではまだ考える力が不足だし、大学生になると大人の発想が頭をもたげてくる。知力と純粋さが共存しているのは、高校生だけだ。その高校生による自分探しの旅を、この小説では「演劇部」という絶妙な舞台を設定して、みずみずしく描いている。 主人公のさおりは、地区大会をいつも敗退している弱小演劇部の部長をつとめる女子高校生。彼女は、大会優勝をめざす演劇部の仲間たちや、新任の吉岡先生に背中を押されて、脚本を書き、演出を担当する。最初は、何をテーマにするかで悩む。いじめのようなお決まりのテーマは、「高校生らしい」という評価を審査員から得られやすいが、でも自分たちにとってさしせまった現実ではない。そもそも「高校生らしさ」って何だ。審
コンビニおにぎりと弁当は危険!原価5円?添加物まみれで健康被害の恐れ と題するBuisiness Journalの記事(書いたのは食品ジャーナリストの郡司和夫さん)が話題になっている。「コンビニおにぎり」+「原価」または「添加物」で検索すると、この記事をシェアしたページがたくさんヒットする。 しかし、一読して私は、この記事は信用できないと判断し、根拠を調べてみた。結論として、コンビニおにぎりで使われているグリシンの健康リスクは無視して良い。また、原価5円という計算も、怪しい。 まず、グリシン問題から検討する。郡司さんは、「人間の体内でつくられるアミノ酸のグリシンと、人工的につくられた添加物のグリシンとは別の物質」と書いているが、これは明らかに間違っている。人間の体内で作られようが、化学合成されようが、グリシンはグリシンだ。この記述を読んだ時点で、この著者に対する私の信頼は、ゼロになった。
ポツダム会議の開催地として、ポツダムの名は、日本人にはよく知られている。しかし、どんな都市かを知る人は少ないだろう。ポツダムは、ベルリンの西に位置する人口14万人の小都市であり、大王と呼ばれたプロイセン王フリードリッヒII世が暮らした歴史のある街である。 歴史に名を残すフリードリッヒII世には二人いる。一人は神聖ローマ帝国皇帝(在位:1215- 1250年)で、ローマ法王から破門されながらも、イスラム世界との和平を追及したユニークな人物。9ヶ国語に通じていたと言われ、多くの著作や詩を残した。また、ナポリ大学を開いて学問を奨励し、自らは鷹に関する研究を重ね、近代鳥類学の礎を築いたとする評価もあるくらい、学者肌の人物でもあった。 1740年にプロイセン国王に即位したフリードリッヒII世が、同じ名を持つ神聖ローマ帝国皇帝を意識したことは、想像に難くない。彼は即位前には『反マキャヴェリ論』を著し、
サバティカルをとっているというのに、何かと忙しい。6月に入ってから、終日仕事ができたのは、4日の日曜日だけ。4日は福岡にいたので、いろいろなしめきりに対応するだけで、1日が終わってしまった。 今日はひさしぶりに、終日、隠れ家で仕事に集中できる。今日の予定。 学振特別研究員採択率に関する重要な情報をブログに書く(このあとで) 日本生態学会誌の原稿を完成させる(Sさん、コメントは届いています) P&P(学内研究助成金)ヒアリング(21日)の準備 N論文改訂作業 日本学術振興会プログラムオフィサー(正式には学術システム研究センター生物系科学専門調査班専門研究員:名簿はコチラ。このメンバーで科研費・学振特別研究員の審査員を選ぶ)をつとめているので、かねてから知りたかった特別研究員の「個体群動態」に関する資料が入手できる。 会議の配布資料とウェブサイトに公表されている資料から、将来の見通しを推測して
60歳になりました。定年まであと5年11カ月です。 今年度の大きな仕事は、「決断科学大学院プログラム」を軌道に乗せることです。「軌道に乗せる」とはどういうことかというと、現在採用している51名の学生(昨年度に中途採用した31名に加え、今日新たに20名を採用)全員が、このプログラムをとって良かった、このプログラムで成長できたと思える状況を作ることです。ビジョンは明確なのですが、まだ各モジュールでのプログラムの進め方が十分には具体化できていません。いま、その具体化を進めています。今日も健康モジュールと環境モジュールのセミナーに出て、議論に加わります。 人を育てるプロジェクトですから、セミナーに出て、学生やスタッフと直接話をして、お互いに高めあっていく過程が大事だと考えています。 採択時点での評価がきわめて高かったにもかかわらず、今年度は約6000万円予算を減らされました。そのため、「決断科学基
古市憲寿著『誰も戦争を教えてくれなかった』(講談社)を通勤電車の中で読んだ。著作の本体よりも、巻末に掲載されているももクロの対談のほうが、百倍くらい面白かった。古市さんは大変な勉強家だ。さらに、世界中の戦争博物館を見てまわるという行動力も持っている。その知識と経験が詰まった本書を読むと、とても勉強になる。しかし、目からうろこは落ちなかった。ところが、巻末の対談では、目からうろこが、少なくとも数枚は落ちた。 古市:国のトップが全て理性的だったらいいんだけど、彼らも人間だからなあ。政治や外交って、そういう人間らしい世界で動く面もある。 彩夏:何が大切かは、本当はわかってるんだろうけどね。うちらでもわかるくらいだから。 夏菜子:でも逆に忘れちゃうかもね。うちらなんて難しいことわかんないけど、難しいことばかり考えてる人は単純な考えができない。もしかしたらバカな人が必要なのかも知れない。今すごい自分
7月22日(月)に、東京大学弥生講堂で公開シンポジウム「ウナギの持続的利用は可能か ‐うな丼の未来」が開催されます。 東アジア鰻資源協議会、GCOE「自然共生社会を拓くアジア保全生態学」、東大農学が共催です。 漁業者、養殖業者、かば焼き商、報道、環境行政、水産行政、研究者といった、多様な関係者が一堂に会し、もっとも重要なステークホルダーである一般消費者(聴衆)の前でウナギの現状を語ります。そのうえで、人間とウナギのつき合い方を新たに見つめなおそうというのが、このシンポジウムの趣旨です。 GCOEにも参加されていた塚本先生を始め、ウナギ完全養殖成功の中心となった田中秀樹氏、水産資源学の勝川俊雄氏、「ウナギ」「マグロ」などの著書で知られる共同通信の井田徹治氏のほか、水産庁からは宮原正典次官、環境省からは中島慶二野生生物課長らが講演を行います。 なお、シンポジウムの内容はUstreamを通じ、下
熱帯生態学会公開シンポジウム:多様性の持つ潜在力、スタート。まず百村さんによる趣旨説明。日本語で「多様性」をググると生物多様性>組織多様性、英語でdiversityをググると、人間の多様性についての記事が多い。これは面白い視点ですね。 日本では2008年をピークとして人口が急速に減少している。アジア全体でも2050年をピークに人口が減り始める。この中で熱帯研究者はどう取り組んでいくのか。 奥田講演:REDD+による資金だけではオイルパームへの土地転換をした場合の収入を上回れない→差額を他の生態系サービスや生物多様性へのクレジットで補う必要がある。→地元住民参加の生態系修復;オイルパーム園内での森林回廊再生。 オイルパーム園にメンフクロウの巣箱を置くとメンフクロウが増え、ネズミが減る(Duckett 1991)。 奥田講演のまとめ:森林劣化については低インパクト伐採の採用などの対策により生物
成田空港に無事到着しました。待ち時間や機内で書いた記事をアップします。 先日、ももクロが広い支持を集め、感動を生んでいることについて、「社会現象として、とても興味深い」と書きました。その理由について、もうすこし詳しく書いてみます。 ももクロは、日本が戦後を通じて作り上げた「青春」に対するイメージをすっかり変えてしまいました。ももクロの歌詞と、これまでの「青春ソング」の歌詞を比較すれば、その違いが明らかです。 「風」(はしだのりひことシューベルツ1969) 人は誰も人生につまづいて 人は誰も夢破れ ふりかえる 振り返らずただ一人 一歩ずつ 振り返らず泣かないで 歩くんだ 「青春時代」(森田公一とトップギャラン1976) 青春時代の真ん中は 胸に刺さす ことばかり このように、60年代以降に歌われた青春といえば、壁にぶつかって、夢破れて、泣きながら生きる、という感傷的なものでした。「青春」に対
ももクロのことを書いたら、早速トラックバックが返ってきましたね。ももクロファンは、生態学会でも確実に増えているようです。ただし、私はももクロファンではありません。やや黄色い声が、いまひとつ私の趣味ではないのです。平原綾香とか、いきものがかりの声の方が好きですね。 ではなぜももクロに注目するかというと、その人材養成法と人心掌握術に惹かれているのです。トラックバックをくださった日々粗忽さんが、 http://d.hatena.ne.jp/sawagani550/20111013/p3 で書かれているように、「ももクロの魅力は,現在進行形の青春映画/成長物語であるところ」にあります。要するに、少年ジャンプの成功方程式=友情+努力+勝利、を現在進行形のドラマとして実演して、その物語をファンと共有するという戦略です。これは、人心掌握術としては見事ですね。このアイドル養成モデルの原型は、AKB48でし
昨日は東大で「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン:文理協働による統域科学のキックオフ」という公開シンポジウムを開きました。96名入りの会場に100名以上の参加者がありました。講演も討論も充実した、とても有意義なシンポジウムでした。その懇親会で、参加者から、「矢原先生は剛力彩芽のファンですか?」と尋ねられました。 http://d.hatena.ne.jp/yahara/20130115 を読んでそう思われたようですが、私は橋本愛のほうが役者が上と書いたつもりでした。剛力彩芽がとくに嫌いというわけではありませんが、とくに好きというほどではありません。 懇親会では何人もの方に名刺をいただきましたが、ここでも「ブログをいつも読んでます」とおっしゃってくださる方があり、久しぶりに書いています。忙しい様子を書いても楽しくないので、気楽な話を書きます。 上京中(たしか3月31日)に、ホテルにもどっ
生態学界のスーパーマリオ、こと東正剛さんが、この3月で北大を退官されるそうだ。この退官記念に、弟子たちが書いた本、そのタイトルはといえば、「パワー・エコロジー」。 http://www.cris.hokudai.ac.jp/koizumi/powerecology.pdf 生態学会書籍売り場で本書を手に取ってみて、やっとその意味を理解した。「ちからわざの生態学」という意味である。本書の執筆者は、「頭はついてさえいれば良い、生態学は体力だ」、という正剛イズムに感化された学生たち。彼ら(+彼女1名)は、北海道はもちろんのこと、パナマ・ボルネオ・オーストラリア・ケニアなど世界各地のフィールドで正剛イズムを実践し、悪戦苦闘しつつもフィールドワークの楽しさにとりつかれ、悔いなき道を歩んだ。本書は彼らの「青春群像」が浮かび上がる「自伝集」。東京から福岡にもどるJALの機内で一気に読んだ。読んでいてうれ
生態学会参加中のみなさん。発表の合間にぜひ書籍ブース(会場6階)に足を運び、本を買いましょう。最近では、生態学関連の良書がたくさん出版されています。私が学生のころには、生態学関連の良書はごくごく限られていたので、今の若い世代がうらやましいです。 私の「一押し」は、以下の本。昨年に出版された本ですが、ここ数年で出版された生態学関連書籍の中で、ダントツに面白い。この執筆陣は豪華ですね。生態学の新時代を切り拓いている若手研究者が顔をそろえ、自分の研究内容を熱く語っています。このシリーズ(種生物学シリーズ)は、論文では書けない、リアルな研究現場の興奮を伝えることをコンセプトにしていますが、このコンセプトが見事に結実しています。しかも、以下の本で取り上げられているテーマはどれも意外性に満ちていて面白く、しかも研究の水準が傑出したものばかり。生態学を学ぶ大学院生には、必読の一冊です。 種間関係の生物学
K省に、ファイルを送信し、一件落着。しかし、ほっとする間もなく、N区役所から、シンポジウムの講演資料の督促。今夜中に送りますと返事した。今日も、もうひと頑張りしよう。 気分転換に、「心理的本質主義」をキーワードにgoogleを検索してみて、驚いた。たった9件しかヒットしなかった。日本では、この考え方はまったく紹介されていないようだ。 leeswijzerさんのサイトが4件ヒット。4/9=約4割だよ〜。このうち次の2つは、ウェブで読める、ほとんど唯一の「心理的本質主義」紹介ですね。 クラスター分析の光と闇―なぜヒトは分類に憑かれるのか? インテルメッツオ 「心理的本質主義」は、もともとは自然類natural-kindsのカテゴリー化について提唱されえた考え方だが、最近では、社会的カテゴリーにまでこのアイデアを拡張しようという研究が進んでいる。 社会的カテゴリーの本質に関するしろうと理論(1)
未来の話。少女アスカは宇宙で事故にあい、命をうしなった。ただし、脳死に至る前に、彼女の体は「救出」された。この時代には、脳を生かしたまま運び移植する技術と、細胞から個体を再生する技術が発達していた。アスカの体は移植可能な状態で地球に運ばれ、その体の細胞から、少女の体が再生された。発生・発育を早め、10数年間を数週間に短縮して少女の体を再生する技術もまたこの時代には利用可能になっていた。少女の脳は数週間の間、培養液中で維持された。脳だけは、移植しないと記憶が引き継がれないのだ。しかし、この時代の技術をもってしても、脳移植には失敗のリスクが大きかった。 アスカには双子の妹と、恋人の少年がいた。アスカはみんなに好かれていたが、妹はそれに反発し、みんなに嫌われるような行動をとっていた。周囲は、妹の体にアスカの脳を移植すれば良いのにという。少年はそれに反対したが、もしアスカの脳の移植が失敗したときに
4月22日の記事(http://d.hatena.ne.jp/yahara/20120422)で、ツルランの大群落が消失したことを書いた。10月7日には、この群落があった斜面に2004年に設置した6m×30mの調査区(3m×3mの方形区20個)の再調査を行った。ツルランだけでなく、ユウコクラン、ヤクシマアカシュスラン、ノシラン、アオノクマタケラン、フウトウカズラ、リュウビンタイ、ヒロハノコギリシダ、シマシロヤマシダ、ニセコクモウクジャクなど多くの林床植物種が、完全消失またはほぼ消失していた。かつての記録が残っているので何が消えたかを正確に言える。 この調査のあと、尾の間歩道をさらにのぼり、蛇の口滝への分岐付近に設置したもうひとつの6m×30mの調査区をチェックした。3m×3mの方形区1個分(つまり1/20)のデータをとる時間しかなかったが、やはり多くの林床植物種が消失していた。この2つの調
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