早稲田大学名誉教授・浅川基男氏の著書『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』より一部を抜粋・再編集し、各国と比べた日本の現状について見ていきます。 日本の凋落は「他国の前進」…講演会で痛感したこと 日本の凋落は、裏返せば中国や東南アジア、欧米諸国の躍進・前進である。 2015年、筆者は台湾の鉄鋼メーカーから、棒線圧延の講演を依頼された。棒線圧延工場を見学後、30人ばかりの棒線技術者を対象に、塑性加工に始まり、圧延の力学、そして棒線圧延の理論と実際について講演した。日本鉄鋼協会でもたびたび講演している内容なので、地元台湾人の流暢な通訳に助けられ、1.5時間ほどで講演を終了した。 終了後、幹部による雑談を交えた食事会があり、さて辞去しようと思っていたところ、再び講演会場に戻された。そこには、講演を聞いた先ほどの若手エンジニアが待っており、質問タイムとなった。質問は40代、50代の幹部からでは