それは、5月5日の解放記念日(bevrijdingsdag=オランダの終戦記念日、日本の8月15日に当たる)の翌日、月曜日の夕方6時を少しまわった頃のことだった。仕事から戻ってテレビを見ていた夫が言った、「あれっ?! ピム・フォルタインが撃たれたみたいだよ」。午後6時過ぎというと、オランダの家庭はだいたい夕食時である。ご多分にもれず夕食の仕度をしていた私も、菜箸を持ったままテレビの前に立った。現場の報道関係者の混乱やスタジオの緊迫した雰囲気が、画面上から伝わってくる。第一報のしばらく後に、撃たれた政治家が息を引きとった、という報道が続く。この日のニュースは臨時生中継のまま、深夜まで続いていた。 こうして近代オランダ政治史を揺るがす大事件は起きたのだった、というと大げさに響くかもしれないが、本当なのである。今回の事件を機に私も改めて知ったのだが、この国の歴史を辿ってみると、「オランダ建国
さらに前回id:hizzz:20090309の続き。 ギリシャ神話に、フェニキアの女王エウロベというのが登場する。エロウベ=ヨーロッパの語源である。彼女はレバノンあたりに住んでいた。それをゼウスが一目ぼれして、牛に化けて、背中に載せて海を越える。これを「エロウベの誘惑」という。こうしてギリシャ=ローマ文明に始まるヨーロッパの輝かしい時代が花開く道スジとなるが、そのギリシャは、オリエントとの混血だということは、ヨーロッパ人は忘れている。 ギリシャ神話で扱う地域は、せいぜいレバノン・シリア・バビロンまでで、エジプト文明より500年早くバグダッドのアッパース王朝が栄え、エジプトがメソポタミアやシリアと交易や王家同士の婚姻をしていたこと、要するにエジプトとペルシャの文明が一緒になってギリシャ文明が出来たことをシカトして、ボッチチェリの如く地中海からヴィーナスが湧いて出たように歴史を描く。以降、id
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