化学メーカー「日本触媒」の姫路製造所(兵庫県姫路市)の爆発で事故当時、化学薬品のアクリル酸貯蔵タンク近くにいた姫路市消防局の男性消防隊員(54)は、爆発時の様子をこう振り返った。 隊員は29日午後2時25分頃、現場に到着。既に日本触媒の自衛消防隊がタンクに向けて放水を続けていたが、タンク下部からは黄色い液体がザーッと流れ出て、高さ5・6メートルの上部からは噴水のように黄色い液があふれていた。 「どないなってるんや」。同社従業員に話を聞こうとタンクに背を向けた瞬間に爆発。防火服の背中に火がついた同僚隊員もおり、その後も「ゴーッ、ゴーッ」と大きな音が響いた。「また爆発するのでは」と恐れながら、消防局への連絡などに追われた。 現場では、放水準備中だった網干消防署の山本永浩・消防副士長(28)が死亡。隊員は「自分たちは生命を守る仕事をしているのに、仲間を守りきれなかったことは残念で悔しい」と話す。