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■ニーチェかサルトルか 昭和51年、日本の高度経済成長のまっただ中、こんなTVCMが流行した・・・「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか~、ニ、ニ、ニーチェかサルトルか~、みーんな悩んで大きくなった~」作家の野坂昭如が歌ったウィスキーのCMである。哲学者をまとめてコケにしたようなバチ当たりなCMだが、悪意は感じられない。彼の不思議なキャラのおかげだろう。野坂昭如は、言動はハチャメチャだが、どこか憎めない。何をしても許されそうな・・・ そういえば、大島渚監督の結婚30周年パーティで、主役をグーで殴って大騒動になった。犯行映像も残っており、証拠は万全なのだが、訴えられたという話は聞かない。とはいえ、彼のすべてが不真面目というわけではない。直木賞を受賞した「火垂るの墓」は何度もみても泣ける(ただしアニメ版)。 ところで・・・冒頭のCMは、哲学者の有名どころはソクラテス、プラトン、ニーチェ、サルトルと言
■末人 末人・・・不吉な響きをもつ言葉だが、何の目的もなく、人生を放浪し、生をむさぼるだけの人間。哲学者ニーチェはそれを末人とよんだ。さらに、ニーチェは、このような末人が「神が死んだ」終末に出現し、ノミのように地球にはびこると予言した。 なんとも暗い未来だが、根拠はあるのだろうか? 今から3000年前、古代ギリシャでオリュンピア祭が始まった。4年に一度の競技大会で、現代オリンピックの起源である。ただし、競技種目は今よりずっと少なかった。水泳競技はなく、トラック競技、やり投げ、レスリング、ボクシング・・・早い話が「バトル(戦闘)」。つまり、スポーツの原点は疑似暴力(アグロ)だったのである。 ところで、オリュンピア祭で讃えられたのは? もちろん、敗者ではなく、勝者。 つまり、この時代は、 ・強者=価値が高い→善 ・弱者=価値が低い→悪 だったのである。 じつは、「強者=善、弱者=悪」には科学的
■文明はなぜ滅ぶのか? 地球5000年の歴史は、文明の興亡の歴史でもある。シュメール、アレクサンドロス王国、ローマ帝国、モンゴル帝国、清帝国・・・その全盛期を思えば「滅亡」など想像もできない。 ところが、現実は・・・みんな滅んでしまった。建国以来、「万世一系(一つの皇統が続く)」を貫いているのは、日本のみ。 つまるところ、 文明は、生まれ、栄え、滅ぶのである。 では、あらためて・・・文明はなぜ滅ぶのか? 異民族の侵入、内乱・革命、自然災害、気候変動、原因はいろいろあるが、行き着くところ、 「問題の複雑さ>人間の問題解決能力」 つまり、問題の複雑さが人智を超えたとき、問題は先送りにされ、積もり積もって、カタストロフィ(大破局)に至るのである。この境目を、社会学者レベッカ・コスタは「認知閾(にんちいき)」とよんだ(※1)。 では、文明は、どのようなプロセスを経て「認知閾」に達するのか? 歴史上
■優生学の時代 アーリア人の神話は強力である。 最強の人種にして、文明を担う者、そして、地球の支配者、それがアーリア人・・・だったはずなのに、今では、カスピ海周辺からイランやインドに流れ着いた集団、で落ち着いている。 ではなぜ、それが神話にまで登り詰めたのか? ことの発端は、19世紀、フランスで出版された書「人種の不平等論」までさかのぼる。この中で、著者アルテュール・ゴビノーは、白人が最も優秀で、とりわけアーリア人が一番で、「支配人種」とまで持ち上げたのである。 さらに、ゴビノーは恐るべき警告を発している。 「黒、黄、白の肌の色の違いは、自然が設定した人種の『壁』、だから温血は禁じるべきである。混血で人種の『壁』が崩壊し、文明が退化するから」 混血で、なぜ文明が退化するかわからないが、「黒、黄」側にしてみれば、心穏やかではない。ところが、これを正当化したのが「優生学」だった。 「優生学」は
■歴史のウソ 歴史の定説はじつは大ウソだった・・・はよくある話。 その中には・・・すでにウソとバレたもの、まだウソとバレていないもの、ウソはバレバレなのに世間では衆知されていないもの・・・の3つがある。もちろん、ストレスが溜まるのは3番目。ウソだと分かっているのに、誰も信じてくれないのだから。 一方、限りなくウソっぽいが、ホントかも?というのもある。たとえば、「シュメール宇宙人説」。現在、人類(ホモ・サピエンス・サピエンス)は、500万年前に類人猿から分岐したと考えられている。ところが、この2つをつなぐ生物種が特定されていないのだ。そのため、「失われたつながり」という意味で「ミッシング・リンク」とよばれている。そこで、アメリカの著作家ゼカリア・シッチンは閃いた!「ミッシング・リンク」を解く鍵はメソポタミア神話の中にあると。 シッチンの説によれば(※1)・・・紀元前4000年、惑星ニビルの統
■哲学者ニーチェの妹 哲学者ニーチェの人生は波瀾万丈である・・・皮肉に満ちて。 正気の時代は無名で、気が触れると「狂気の哲学者」で有名になり、死して後、「ナチスの予言者」となった。 天才画家ゴッホを彷彿させる切ない人生だが、ゴッホ同様、ニーチェに責任があるわけではない。じつは、ニーチェの名声は彼が正気を失った後、偽造されたものなのである。しかも、偽造したのがニーチェの妹だというから、皮肉な話だ。 とはいえ、偽造されなければ、ニーチェは無名で終わっていた。 偽りの名声か、ありのままの無名か? まさに、究極の選択だが、ニーチェが生きていたら、きっと、後者を望んだだろう。プラトンなみに理想論と抽象論を愛した人物だから。 では、「ニーチェ」はいかにして偽造されたのか? ニーチェは、発狂した時点で、哲学者としての寿命は尽きていた。しかも、原稿の多くは未発表だった。このままでは、ニーチェが世に出る術は
全タイトル 第570話本の歴史(4)~本が消える日~ 第569話本の歴史(3)~謎の叙事詩 ウズ・ルジアダス~ 第568話本の歴史(2)~イーリアスとオデュッセイア~ 第567話本の歴史(1)~ホメーロスと吟遊詩人~ 第566話高い城の男とガイアチャンネル~原作と二次創作~ 第565話セクシー田中さん(2)~出版社とテレビ局の本音~ 第564話セクシー田中さん(1)~原作者はなぜ自殺したか~ 第563話IFの歴史・世界恐慌がない世界(7) 第562話IFの歴史・世界恐慌がない世界(6) 第561話IFの歴史・世界恐慌がない世界(5) 第560話IFの歴史・世界恐慌がない世界(4) 第559話IFの歴史・世界恐慌がない世界(3) 第558話IFの歴史・世界恐慌がない世界(2) 第557話IFの歴史・世界恐慌がない世界(1) 第556話骨折しました(2)~全身麻酔と死について~ 第555話骨折
■未来のノートパソコン 世界一美しいノートパソコンはMacBookAir! なんて言うと、おまえはAppleフリークだろ、と白い目でみられそうだが、美しいものは美しい それだけの話だ。 しかも、MacBookAirは、絶対品質もコストパーフォーマンスも最高・・・ 1.高剛性のアルミニウム一枚岩ボディ。 2.透明感のあるヴィヴィッドな液晶。 3.打刻感のあるしっかりしたキーボード。 4.12時間の長寿命バッテリー。 5.ゲームも可能な高性能3Dチップと、HDDより5倍~10倍高速なSSD。 6.Windowsより5年は進化したOSX(Mavericks)。 ただし、Windowsが劣るのはパソコンメーカーの責任ではない。供給しているのはマイクロソフトだから。それにしても、最新の「Windows8」と「Windows8.1」はヒドすぎる・・・よくこんなものを思いついたものだ。しかも、それを作っ
■邪馬台国論争 邪馬台国はどこにあったのか?こんな論争が200年以上も続いている。はた目でみると、利害がらみで初めに結論ありき、理由は後づけ、あるいは、考えることそのものが楽しい、等々、真実を追求する姿勢はあまり見られない。普通に考えれば、「邪馬台国の場所=九州中部から北部」なのに、なぜそんな難しく考えるのだろう。 邪馬台国の場所がいまだ特定できないのは、中国の書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」を真に受けるからである。「魏志倭人伝」とは「三国志」に出てくる倭人のエピソードで、三国志は言わずと知れた魏・蜀・呉の歴史物語。ところが、その三国志、著作権が切れたのをいいことに、小説、漫画、映画、ドラマ、ゲームと、骨の髄までしゃぶりつくされている。 もっとも、歴史好きに言わせると、「三国志」は正史だが、エンターの原作は「三国志演義(三国演義)」で、こっちはマンガ、ということらしい。とはいえ、内容が大
■隕石の観測 巨大隕石の衝突は地球最後の日を意味する。それは生物の「個体」ではなく「種」を絶滅させるからである。では、そのようなデススター(巨大隕石)の条件とは?直径1km以上!たかだか1kmの隕石が世界を破滅させる?なんとかならないものか・・・隕石衝突を回避するには、まず発見すること。 ということで、物騒な隕石を発見すべく、世界中で地道な観測が続けられている。公的天文台が中心だが、アマチュア天文家の活躍も大きい。きっと、天文オタクなんだろうけど、人類を救うオタクなので、安易にさげすまないように。一般に、天体とは宇宙に存在する物体の総称で、恒星、惑星、小惑星、星間物質をさす。この中で、地球人類を破滅させる可能性があるのが小惑星だ。 一方、隕石とは地球に落下したものをさすが、ここでは小惑星も隕石にくくることにする。では、危ない隕石を発見したとして、どうやって回避するのか?2つの物体の衝突を回
■クレタ島 「迷宮に死者は住む」・・・読むほどに、考えるほどに、背筋が寒くなる本だった。著者はヴンダリーヒというドイツの地質学者である。30年ほど前に出版され、すでに絶版になっている。しかも、紛失して手元にない。そのため、うろ覚えの記憶をたどりながら話を進めるので、多少記憶違いがあるかもしれない。 内容はクレタ島のクノッソス宮殿に関するものである。クレタ島はエーゲ海の中央にある大きな島で、四国の半分ほどの面積をもつ。クレタ島と聞いて、あのユニークな三角帆の風車を思い浮かべる人もいるかもしれない。その北方にクノッソス宮殿の遺跡が発掘されている。このあたりは古代ミノス文明の都クノッソスがあった場所なので、クノッソス宮殿はミノス文明の王宮と考えられている。 ミノス文明は謎が多い文明である。まず、彼らが使用した線文字Aはいまだ解読されていない(2005年7月現在)。さらに、エーゲ海といえば誰でも思
表を順番に見ていこう。まずは帆。初期のキャラベル船をのぞいて、すべて「縦帆+横帆」である。大きな推力と高い操縦性を得るにはこれしかない。 次に船体のサイズ。表から分かるように、 「ガレオン船>キャラック船>キャラベル船」 外洋は波が高いので、船を安定させるには、「重くて大きい」が重要だ。また、船体が大きいほど、積める荷も増えるので、航海の回数が減り、コスト削減になる。さらに、乗員の生活物資も大量に積めるので、寄港の回数も減る。寄港の回数が減れば、大洋のど真ん中を突っ切る最短コースがとれる。まさに、いいことずくめ。 つぎに、船幅と船長の比率。当然、「船幅<船長」であるほどスマートで、水の抵抗も少ない。その分、スピードも出る。ガレオン船は図体がでかいわりに、高速なのはそのためだ。貿易は航海日数が短いほどコスト削減につながるので、航行速度は速いほどいい。 航行速度を極限まで追求したのが、19世紀
■西洋の憂鬱 大航海時代とは、大海を越えて、地球をわがものにしようとしたヨーロッパ人たちの破壊と殺戮の歴史と、鉄砲と聖書をかかえ、未知の世界に飛び込んでいった勇敢なヨーロッパ人たちの物語である。この2つは不可分なのだが、それぞれ別の思いを込めて語り継がれるべきものである。 地球の歴史が、西洋中心になったのは、大航海時代以後のことである。光り輝くギリシャ文明からローマ帝国への系譜をのぞけば、西洋が優勢だったことはほとんどない。476年の秋、西ローマ帝国は、煮え切らない謀反人オドアケルの手によって、あっけなく滅んだ。広大なガリアを征服し、歴史に燦然と輝く名将ハンニバルを撃退し、地中海世界に君臨した大帝国にしては、あっけない最期であった。 以後、大航海時代が始まるまでの1000年間、西洋の歴史は憂鬱なものだった。次々と現れる東方の新興国に、土足で踏み込まれ、略奪され、残されたのは土だけ、という国
■ノアの方舟伝説 はるか遠い昔、地球を丸呑みにする大洪水がおこり、1つの家族と動物1つがいづつが生きのびた。彼らは神の命に従い、舟を造り、難を逃れたのである。これが「ノアの方舟伝説」。 しかし・・・ ノアの方舟(旧約聖書・創世記)は、史料としては信用できない。同時代の目撃者によるいわゆる「一次資料」ではないからだ。後世、誰かが、何かを元に、編纂した可能性が高い。根拠は2つ。第1に、創世記は紀元前5世紀~紀元前10世紀に成立したが、その間に明らかな追記がある。第2に、創世記より古い資料の中に「ノアの方舟」そっくりの話が見つかっている。さては、パクリ? まずは、追記の件。ノアの方舟が記された「創世記」は旧約聖書のモーセ五書の1つだが、複数のバージョンが存在する。たとえば、 1.ヤハウェ資料(J):紀元前8世紀~紀元前10世紀に編集 2.祭司資料(P):紀元前5世紀~紀元前6世紀に編集 上記の祭
年明け早々、世の不景気を憂い、デスクでしんみりしていると、デザイン担当の役員から電話があった。今日、東京から来客があるので、同席してくれという。 夕方、デザイン会社の社長が到着。自社のプレゼンの後、「仕事ありませんか?」最近、こんなケースが多い。 デザイン会社といっても、昔のように、印刷物だけという会社は少ない。雑誌広告は激減しているし、そもそも、出版業界が危機的状況だ。盤石と言われた小学館や集英社まで、フラフラ(失礼)。 ということで、デザイン会社が生き残るには、デジタルコンテンツは必須。 もっとも、映画のようなハイエンドなCGを手がける会社は、ごく一部。圧倒的に多いのがウェブ系だ。簡単に参入できるし、難易度は低いし、一人でも可能。反面、差別化が難しいコモディティな世界だ。不毛の消耗戦は避けられない。 来社したデザイン会社は、数十名の社員をかかえ、ヤリクリが大変そう。じつは、これくらいの
・尖閣諸島で有事勃発! ・偶然に偶然が重なり、世界を巻き込む全面核戦争へ! ・地球5000年の歴史にくわえ、「全面核戦争シミュレーション」を追加。 ・イベントつまみ食い再生機能の追加 (待ち時間なしで、イベントだけ連続再生できます)。 ・2008年10月のリーマン・ショックまでの歴史シナリオを追加( 総イベント数 10017 )。 ・地理情報を2008年5月時点に更新。 ・バグ修正。
■デスクトップからウェブへ 昔は良かった。パソコンといえば、Wordで文書を作り、Excelで表計算し、気晴らしにゲーム・・・何をするにも机の上のパソコンで完結できた。これが、デスクトップコンピューティング。 ところが・・・ 月日は流れ、時代はウェブコンピューティングへ。PC(パソコン)はネットワークにつないで使うのが大前提になった。何をするにも、クライアント(ユーザーPC)からサーバー(インターネット上のPC)に指示を送り、サーバーで処理し、結果をクライアントに返信する。ネットワークがないと何もできないわけだ。 そこで、飛行機、地下鉄、未開の地で、大忙しのビジネスマンたちはネットワークがないと仕事ができん!と不満をもらすようになった。さらに、ムダに世界を救うのに忙しいゲーマーたちは「ブラウザゲーム」は遅すぎて重要なミッションがこなせん、と真顔で訴えた。「ブラウザゲーム」とはブラウザ(Ex
■奴隷貿易船 1人分のスペースが、80センチ×18センチ。 こんな棺桶(かんおけ)みたいな空間に閉じこめられ、3ヶ月から9ヶ月も航海するのである。しかも、航海中の死亡率は8~34パーセント。つまり、3人に1人は死ぬ。これが、アフリカとアメリカを結ぶ奴隷貿易の実態であった。 この時代、大西洋を横断するのは命がけで、コストも高くついた。儲けを増やすには、1回の航海で、できるだけ多くの奴隷を運ぶしかない。奴隷たちは、身動きできないほど詰め込まれ、一寸のムダもなく、整然と並べられた。まるで食器棚の食器のように。こうして、奴隷貿易船は生き地獄と化した。 しかも、その先に待っているのは、さらなる地獄・・・奴隷市場。たった100トンの船に414人の奴隷を載せたという記録もある。当時、奴隷貿易に使われたのはガレオン船で、100トンクラスなら、全長30mほど。運動場で長さ30mの直線を引き、そこに400人を
■栄光 チャールズ・リンドバーグは、大西洋単独無着陸飛行により、歴史にその名を刻んだ。その偉業は人類の歴史がつづくかぎり、語り継がれるだろう。ところが、この時がリンドバーグの人生の頂点だった。その後、彼には栄光と同じほどの苦しみが待ち受けていたのである。 1927年5月21日、リンドバーグがパリのル・ブルジェ空港に降り立ったとき、15万人もの市民が出迎えた。小さな都市の人口に匹敵する観衆である。さらに、1927年6月11日、アメリカ大統領クーリッジは、この偉大な英雄をニューヨークまで運ぶために軍艦を送り込んだ。 帰国後、ニューヨークで行われた祝賀パレードでは、天をおおいつくすほどの紙吹雪が舞った。さらに、リンドバーグは予備役少尉から一気に大佐に昇進。その後、世界中の国々が彼を招待し、その功績を讃えた。1931年8月26日には、日本の霞ヶ浦にも立ち寄っている。リンドバーグは20世紀最大の英雄
■永遠なる神の子 永遠なる神の子、チンギス・ハーンの子孫はこう呼ばれた。ユーラシア大陸をまたぐ広大な支配地、無敵の騎馬軍団が彼らに永遠の支配を約束したかのようにみえた。だが、彼らは神の子ではなかった。 1241年、モンゴル帝国の第2代オゴタイ・ハーンは、遊牧民によく見られる深酒がもとで急逝する。後継者は指名されておらず、モンゴルの主力軍は遠くヨーロッパにいた。訃報を聞いたモンゴル軍はハンガリーの包囲を解いて、あわただしく帰国の途についた。こうして、ヨーロッパは再び破滅から救われたのである。 モンゴル帝国の創始者チンギス・ハーンが死んだ時、帝国がゆらぐことはなかった。オゴタイ・ハーンを中心に、ジュチ家、チャガタイ家、オゴタイ家、トゥルイ家が結束したからである。ところが、3代目になると、創始者の記憶は薄れ、外敵の脅威もなく、チンギス・ハーンの子孫たちは内を見るようになっていた。永遠なる神の子が
■高専のアドバンテージ 理工系離れがすすみ、IT業界が嫌われ、空前の求人難の中、ソフト技術者を募集することになった。今回採用するのは、組み込みソフトウェアの技術者。組み込みソフトウェアとは、専用機器に組み込むソフトで、いわゆるパソコン用ソフトではない。 今回の採用のキモは、大卒ではなく、高専にフォーカスしたこと。大学時代、研究室に天才としか思えない大学院生がいたが、彼は高専からの編入者だった。就職した会社でも、高専卒はたいてい大卒より頭が切れた。大手電機メーカーに勤める大学時代の友人曰く、 「高専は優秀だよなぁ。俺たち大卒は名ばかりかも」 そういえば、大学時代、電気工学科の同期40人のうち、4年で卒業したのは20人強。授業は出ないし、試験も受けないのだから、卒業できるわけがない。あの時代は、そんな風潮だったような気もするが。 都心部は「普通高校→大学」の固定観念があるが、地方では意外に高専
■採用計画 デザイン中心の会社なので、ソフトウェア技術者はいい学生がいたら採ろう、ぐらいに考えていた。ソフト開発部と管理部を兼任し、個別の開発案件までかかえている。あー、忙しい忙しい、リクルートなんぞ後回しだ・・・ところが、ひょんなことから状況が一変した。来春、ソフトウェア技術者を1名確保する必要に迫られたのである。 全国区の大手リクルート会社と、地元に強いリクルート会社の2社と契約していたので、とりあえず担当者を呼んだ。 担当者: 「今年は空前の求人難であることは、ご存じですよね?」 「そう言えば、テレビでなんか言ってたような・・・」 担当者: 「ベンチャー企業の採用担当の方に多いんですけど、採用を片手間でやって、採用ゼロ、なんて笑えない話があるんですよ」 担当者が、さぐるような目つきで、顔をのぞき込んでいる。 「あー、まー、今日から、悔い改めてがんばりますよ」 担当者: 「・・・」 「
■歴史は繰り返す ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」がブームになっている。原作本はもちろん、映画、関連グッズも大売れで、商売繁盛。書店では類似品も並べられ、「ダ・ヴィンチ・コード」特需を狙っている。歴史は繰り返すのかもしれない。じつは、1990年代初頭、似たようなブームが起こっている。「イエスのミステリー~死海文書で謎を解く~」が世界10ケ国でベストセラーになったのだ。それが引き金になり、死海文書ブームとなったわけだ。 だが、今回の盛り上がりは、15年前のはるか上を行く。聖書に無関心な人まで巻き込んでいるからだ。一見すると、この2つのブームの源はキリスト教に見えるが、「宗教」だけで世界中を騒がせるのは難しい。もっと分かりやすいモチベーションが必要だ。ということで、根は「陰謀」。古今東西をとわず、人間は「陰謀」が大好きなのだ。退屈でつまらない現実から逃れるために。 ■死海文書 「死海文
■戯曲のカリスマ 「オイディプス王」は戯曲のカリスマである。戯曲とは演劇の脚本のことで、役者のセリフや動き、演出などが細かく書かれている。いわば、演劇の設計図で、普通の人が読んでも面白くもなんともない。 戯曲「オイディプス王」は古代ギリシャの劇作家ソフォクレスによって書かれた。時代は紀元前5世紀頃。ギリシャ3大悲劇の一つとされるが、実のところ、頭抜けてナンバーワン、戯曲の最高傑作と言っていいだろう。 「オイディプス王」が戯曲のカリスマと言われるのは、本編より、ネタ本(批評、解釈)方が有名だから。例えば、心理学者フロイトは「オイディプス王」の物語から、息子が父を憎悪し、母を愛する「エディプス・コンプレックス」を提唱した。あのフロイトまで加担すれば、カリスマは決まったようなものだ。 「オイディプス王」は今でもさかんに演じられている。ビッグネーム、蜷川幸雄&野村萬斎の「オイディプス王」のアテネ公
「第5世代コンピュータ・プロジェクト」は、通産省(現経産省)が主導し、ICOT(新世代コンピュータ開発機構)が推進した国家プロジェクトだった。今では死語同然の「人工知能コンピュータ」の実用化を目指した。エキスパートシステムが喧伝され、国民は、医師に代わって、コンピュータが診察するようになると信じ込んだ。そして、10年の歳月と570億円の国費を費やしたあげく、失敗した。 当事者たちは、「本来の目標は達成した」と言うが、その成果は地球上のどこにあるというのだ?重箱をつつけば、ホコリぐらいは出るだろうが、研究者の、研究者による、研究者のための文学作品で終わったのである。しかも、この文学、今では読む者もいない。書かれた文学(ソフトウェア)は専用のハードでしか動かないし、そのハードはもう作られていないからだ。個人の趣味をポケットマネーでやるのはいい。だが、このプロジェクトに投じられた570億円は、国
今では、誰も知らない歴史シミュレーションゲーム「GE・TEN~戦国信長伝・下天~」。それを作ったのが、僕たち4人だった。その4人も、今はバラバラ、別の道を歩んでいる。 その昔、日本のパソコンのデファクトスタンダード(事実上の標準)は、「PC-9801」だった。CPU速度は、今の200分の1、メモリ容量は、今の2万分の1、OSは、MS-DOS、表示能力は、解像度640×400ドット、色数16色!メーカーはNEC。あの頃のNECは、勢いがあったなぁ。今は、ドツボだけど。 この頃、パソコンの使い道といえば、1.ゲーム2.パソコンのお勉強本格的な仕事には、まだまだ使えなかった。 その頃、PCゲーム業界に君臨したのが、光栄(現コーエーテクモ)だった。歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」は、出せば必ず、10万本は売れた。PCゲームの全ジャンルで、ナンバー1。僕は、そこに風穴をあけようともくろんだ。
■必然と偶然 今日は8月14日、終戦記念日。日本と連合国が戦った第二次世界大戦は、60年前のこの日に終わった。例年のごとく、テレビの特番がくまれ、あの戦争の悲惨な映像も放映された。ところが、地球規模の世界戦争であったにもかかわらず、風化はすすみ、かつて日本とアメリカが戦ったことを知らない高校生もいる。 歴史には2つのタイプがあるように思える。原因と結果がはっきりしている、つまり必然。もう一つは、確率五分五分で、たまたまどちらかに転がった、つまり偶然。後者は歴史としては面白いが、前者を考えると、気が重くなる。逃れようのない「歴史の方程式」を感じるからだ。 「歴史の方程式」は複数の数式と、多数の変数からなるが、たいてい、変数の方が多いので、そのままでは解けない。つまり、予測不能。それでも、起こってしまえば、全ての変数がわかるので、原因と結果も明らかになる。その時、歴史の因果律が読み取れるわけだ
■マリー・アントワネット 1783年のある日、パリに時計工房をもつアブラアン・ルイ・ブレゲのもとに、前代未聞の注文が舞い込んだ。依頼主はフランス王妃マリー・アントワネット、注文内容は、 「金に糸目をつけない最高の懐中時計」 であった。 マリー・アントワネットの歴史は光と闇の中にある。ヨーロッパを代表する大名家ハプスブルク家に生まれ、フランス国王ルイ16世の王妃となった光の部分、ギロチン斬首刑という闇の部分である。1780年代、フランス民衆が貧困と飢えに苦しみ、こう訴えた。 「パンをよこせ」 それを聞いたマリー・アントワネットはこうつぶやいた。 「パンがなければ、お菓子を食べればいいのに」 ブラックジョークと取れないこともないが、食うや食わずでは、冗談ではすまされない。それどころか、この発言がフランス革命につながったという説まである。本当かどうかはさておき、マリー・アントワネットがフランス国
■チャコス写本 ユダは、主イエスを銀貨30枚で売った罪で、2000年の呪いがかけられている。今でも「ユダ」は裏切り者の代名詞だ。ダンテの「神曲」によれば、歴史上の裏切り者たちは地獄の最下層を流れる嘆きの川「コーキュートス」に氷漬けにされているという。シーザーを裏切ったブルータス、そして、ユダもその一人だ。だが、ユダの呪いはもうすぐ解けるかもしれない。エジプトで発見された古文書によって。 1978年、エジプトの洞窟で、古いパピルス文書が見つかった。エジプトで古美術商をいとなむハンナは、このパピルス文書を手入れ、一儲けをもくろんだ。ところが、間の悪いことに、転売する前に盗まれてしまった。その後、ハンナはこの文書をなんとか取り戻したものの、買い手はなかなか見つからない。法外な高値をふっかけたからである。 2000年4月、スイスの古美術商チャコスはこのパピルス文書を購入し、アメリカ・アイビーリーグ
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