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アメリカ大統領選
cruel.org
CC BY-SA 4.0 ©⼭形浩⽣ http://en.kremlin.ru/events/president/news/66181 ウラジーミル・プーチン 2021 年 7 ⽉ 12 ⽇ (⼭形浩⽣ 訳 hiyori13@alum.mit.edu) 最近の「ウラジーミル・プーチンとの直通電話1 」で、ロシア=ウクライナ関係について 尋ねられたとき、私はロシア⼈とウクライナ⼈は⼀つの⺠なのだと述べた̶̶単⼀の全体 なのだ。この発⾔は単に、何やら短期的な考察に基づくものや、現在の政治的な⽂脈に促 されたものではない。これは私が無数の機会にのべてきたことだし、私の固い信念でもあ る。従って、⾃分の⽴場を詳細に説明して、今⽇の状況についての私の⾒解を述べておく べきだろう。 まず、最近になってロシアとウクライナの間に⽣まれた壁、基本的には同じ歴史的、精 神的/宗教的な空間だったものの、別々の部
解説:我一介の滑稽なり (大室幹雄『滑稽』(2001、岩波現代文庫)解説 pp.378-385) 山形浩生 まずは基本的な情報から。本書は、古代中国を徘徊していた遊説知識人たちについて分析・論述した本だ。遊説知識人と言ってわからなければ、孔子とか、孟子とか、荀子とか、あなたのさぼっていたつまらない漢文の授業(いや、最近の「ゆとり教育」と称する衆愚不教育のもとじゃ、もう選択科目にすらなってないのかもね)にでてきた、いろんな「子」のつく名前の人たちのことだと思えばいい。そうでない人もちょっと入っているけれど、まあそれについては中身を読んでくれ。 本書はそういう本だ。 たぶん、これだけで買い気をそそられる人はあんまりいないだろう。あの「子曰く」とかの世界を思い出すだけで、多くの人は睡魔の猛攻にさらされるからだ。でも、慌てて本書を置く前に、もうちょっとだけ話をきいて欲しいのだ。理由は二つある。孔子
日時:1984 年 12 月 5 日 場所:東京・渋谷 インタヴューア:山形浩生・中瀬秀司 (東大 SF 研究会・狂茶党同人) 初出 「野阿梓ファンクラブ会誌・Dead Soldier」創刊号 1986 年 6 月 Introduction 山形:まず、ビブリオ的なことから伺いたいんですが。 野阿:えーと(図を描く)。こんな具合。今年に入ってからは、なーんも書いていない。 1979 debut →花狩人→ハムレット行→雨天 ブルーバードの 飛ぶ 1980 Trial and Terror (600枚)→「SFの本」 1981 銀河赤道祭(1200 枚)→? 1982 眼狩都市 1983 武装音楽祭 山形:では「武装音楽祭」は新作なんですね。それで安心しました。実は、「眼狩都市」まで読んで、野阿梓はダメになる一方だ、という感触があったんですが、「武装音楽祭」は大逆転ホームランでした。実に面白
ノイズ Noise (Journal of Finance, July, 1986) フィッシャー・ブラック 山形浩生 訳 要約: 世界と私たちの世界観にノイズが与える影響は大きい。小さな事象が大量にあるという意味でのノイズは、しばしば少数の大きな事象よりも、要因としてずっと強力なものとなる。ノイズは金融市場でのトレードを可能にするし、したがって金融資産の価格が観察できるようにしてくれる。ノイズは市場を少し非効率にするが、しばしばその非効率性を人々が利用するのを阻止する。産業部門ごとの将来の嗜好や技術についての不確実性という形のノイズは、景気循環を作り出し、政府介入を通じた改善をきわめて困難にする。合理的なルールに必ずしも従わない期待という形のノイズは、現状のインフレを引き起こす。少なくとも金本位制や固定為替レートがなければそうなる。他の取引価格との対比における相対価格についてのノイズは
ミレニアムを解き放つ Unleashing The Millennium (Fortune, March 6, 2000) ポール・クルーグマン 山形浩生 訳 要約: 100年にわたる試行錯誤——そして1930年代と1970年代のえらく暗黒な日々を経て——経済人がやっと解放される。 20世紀末、資本主義は勝ったように見える。他の競合制度が打倒されて、なんだかんだ言いつつ、自由な市場体制がいちばんいいようだ、というコンセンサスができつつある。経済危機その他、解明されていない問題はあるし、また情報時代の経済はこれまでの理論が通用しづらい面はある。だがそれが中心的な課題とはならない。完璧ではないけれど、これが精一杯ということで今後も続いていくことになるのでは? なんでも、新しいテレビ番組があるそうで (観てないけど)、一見すると普通の高校生たちが、実はエイリアンなのだという。気持はわかる。ぼくも
血も涙もない損得勘定だけの冷血ファイナンス屋養成講座 講師:山形浩生(野村総合研究所 社会産業研究部、内線0-6227) 更新:1998.07.02 02:13 次回講義案内更新! 次回案内: テーマ:ケーススタディのおこたえ 日時:1998年7月16日(木) 18:30-20:00 場所:新大手町ビル NRI 旧社会産業研究部会議室 目次 1. 目的 / 2. 受講の見返り / 3. 対象者 / 4. 場所と時間 / 5. 講義内容とスケジュール / 6. 参考文献 1. 目的: 経済のグローバル化とサービス化にともない、日本経済も未曾有の大競争時代に突入し、さらに金融ビッグバンにともなって、新たなファイナンスの専門性が情報世紀の創造企業たる弊社にも、ますますシビアに要求されつつある・・・・・・ なーんてのは笑止! ファイナンスは、実は非常に単純な原理に基づいていて、専門性な
*1 2006 6 30 *1 (1857 - 1929). 1981 , 1976) 3 1 ( 6 2 7 7 ) 1 1.1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 1.2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 1.3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 1.4 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 1.5 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4 1.6
死ぬとか死なないとか口走ったりすることには、たぶんちょっとした冒険気分と快楽と、そして安心感がついてまわるんだろう。ああぼくだって、世の中にはほんとうに、死んだほうがよっぽどましなほど劣悪で悲惨な状況に置かれている人がいるのは知っている。ほんとうにバランスがとれなくて、目をはなしたらすぐに首をくくりかねない人がいるのも知っている。そういう人たちはまた話が別だ。でも今回のぼくの話は(そして今回の別冊宝島がたぶん念頭においているのは)、そういう切実な人たちの話じゃない。むしろそういう切実な人たちに対する社会の反応を見て、それと適当に戯れることでなにか達成感を得ている、そういう人たちの話だ。 そういう人たちだって、自分ではそれなりに切実なつもりなんだろう。そして本人が切実なつもりである以上、それは切実以外のなにものでもないんだろう。ただぼくには、そういう人たちの一部がいかにもお気楽に見えるし、と
© Hiroo Yamagata This work is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License. 1 ⼭形浩⽣ ⽬次 1.本書の概要:スノーデンの思想形成史 ......................................................................2 2.本書の関連資料...........................................................................................................4 3.個⼈的な疑問.....................................................................
ハッカー界小史 A Brief History of Hackerdom <http://www.catb.org/~esr/faqs/hacker-hist.html> 著者 エリック・レイモンド <esr@thyrsus.com> 訳者 山形浩生 <hiyori13@alum.mit.edu> ©1998 Eric S. Raymond, ©1999 YAMAGATA Hiroo 本文書はGPLのもとにおかれておるのだ。コピー改変再配布してもよろしいが、そいつもちゃんとGPLにして、版権表示もちゃんと入れるのだぞ。 この文書の古い版に基づく、中谷千絵の古い訳があるそうだけれど、今回の訳ではまったく参照していない。あと、倉骨彰訳でこの文の別の訳が「真のプログラマたちの国 概略史」というタイトルで、『オープンソースソフトウェア』(オライリー)に収録されるはずだが、とっても不安の多い代物にな
(The Economist Vol 376, No. 8437 (2005/07/30), "Down with trees," p. 70) 一般に、木は環境によいと思われている。木は二酸化炭素――温暖化ガスの一つ――を大気から吸収し、炭素を固定して酸素を放出するので、森林は「地球の肺」と呼ばれたりする。木の根は地中の水分や養分を固定し、近くの川がきちんと流れるようにする。木はまた、そうした川の流量を雨期と乾季でそこそこ一定にさせて、干ばつや洪水を防ぐので偉いのだ、とされてきた。今週刊行された2つの研究は、これが悪質なナンセンスだよ、と述べている。 一つはイギリスのニューキャッスル大学とオランダはアムステルダムの自由大学の研究者たちが率いる国際研究で、森林と水との関係に関する神話をいくつか指摘している。たとえば、乾燥地や準乾燥地では、樹木は固定するより遙かに大量の水を消費する。そして水
人間活動における理性 (v.1.01) (既存の邦題は「意思決定と合理性」) スタンフォード大学ハリー・キャンプ記念講義、 1982 Reason in Human Affairs ハーバート・A・サイモン*1 訳:山形浩生*2 2020 年 10 月 22 日 *1 ©1983 Board of Trustees of the Leland Stanford Junior University *2 ©2020 山形浩生 禁無断転載、無断複製。 i 人間理性への無限の信頼と、人間の温かみの比類無き蓄えを擁していた ヤシュカ・マルシャックの想い出に スタンフォード大学におけるハリー・キャンプ記念講義、1982 ハリー・キャンプ記念基金は 1959 年に、スタンフォード大学において人間個人の尊厳 と価値に関する話題についての一連の講演を可能にするために設立された。 iii はじめに 人間の理
原子爆弾のやさしいつくりかた 小宮山亮磨訳 以下の文書はThe Journal of Irreproducible Results, Volume 25/Number4/1979. P.O. Box 234 Chicago Heights, Illinois 60411(訳注1) より転載。 1.はじめに アメリカ合衆国法廷で、原子爆弾のつくりかたを記した記事の大衆誌掲載を制限する判決がいくつか下されたために、近年世界的な論争が巻き起こっています。そのような情報が世間に広く知れわたれば、国家の安全が危うくなるから、というのがおきまりの判決理由です。でも、大都市にあるほとんどの図書館に行けば、原爆製造に必要なすべての情報がすぐ手に入るのはよく知られていることで、したがって裁判所の公式見解がもっと重要な要素、すなわち平均的な市民はアホすぎて原爆なんか作れやしないという事実を隠蔽せんとするもので
おたく男は乙女におすすめ A Girl's Guide to Geek Guys ミッキー・ハルピン & ヴィクトリア・マート 久霧亜子 訳 出版者コメント:許可をとらずにこの記事をコピーするでない! 考えてもごらんよ――オリジナリティのかけらもないではないの。しかも、初出の Bunnyhop にリンクすらはらずに、この記事をむしってった連中が何十人もいるんだよ。意地悪してるみたいでいやなんだけどさ、ごめんね。 ――セス 出版者コメントその 2:この記事は、著者たちの見解および経験を述べたもので、本誌の見解とは関係ないのだ。さらに、この記事が書かれたのは 1994 年だってのはお忘れなく。ジェインウェイ船長になんで触れてないとか新シリーズのスタートレックなんたらがどうしたとかいうお怒りの手紙を送る前に、そこんとこちょいと考えておくれよね。 ほうほう、女々しく引きずってた、あのザ・サンドボッ
ことばと自由とリアリティ 『現代詩手帖』バロウズ特集収録 (1990年) 山形浩生 要約: バロウズは、カットアップを通じて作る側の自由を追求していたが、結果として読者に不自由を強いるものとなってしまっている。 一、 「ウィリアム・バロウズの何たるかについて説明がいるようなら、あなたは読む雑誌をまちがえている」 ――Semiotext(e) 14(1989) ウィリアム・バロウズが好きか、といえば、多少なりとも目はしがきいて、大文字の体制とか権力とかには一応斜にかまえてみせているような人間は誰でも「うん」と答えるだろう。ふつうなら、なぜ好きなのかをきくのは間抜けなことだ。人は別に、理詰めでものが好きになるわけじゃない。はじめに「好き」が来て、理由は後づけでくる。しかし、ときどき、自分にだけは「なぜ?」ときいておいたほうがいいこともある。その対象の何かが、一種の符丁として流通しているときだ。
きみは進化のために何ができるか? バカやブスの存在理由について。 (『CUT』2004 年 12 月) 山形浩生 鏡をのぞきこんで「なぜ自分はもうちょっと見た目がよくないのか」とため息や涙を漏らしたことのあるあなた。なぜ神様は自分をもうちょっと頭良く作ってくれなかったのか、とお嘆きのあなた。それにはちゃんと、人類進化上の理由があったのです。それを説明する、悲しくもおもしろい本がでましたよ。ニコラス・ハンフリー『喪失と獲得』だ。 進化と遺伝と心の話というと、日本ではドーキンスが普及してきた直後に、竹内久美子がとてもいやな形で汚染して、下ネタおやじギャグで悪しきセクハラ現状維持の屁理屈をこねるトンデモ分野という印象を構築してしまった(新潮社の「進化論の現在」シリーズは、彼女の訳や解説であるが故に手を出さなかった人がかなりいると思う)。国内ではそれに対抗できる人材があまりなく、なんかいかがわしい
連載第?回 大英帝国のスーパーおばさんが見た李朝朝鮮の実態。 (『CUT』2006 年 11 月) 山形浩生 要約: 本書は李氏朝鮮のひどい状況を、イギリス帝国主義下のスーパーおばさんが 19 世紀末に実際に見て歩いた希有な一冊。ただの高圧的たかり屋にすぎない貴族/役人階級と、少しでもがんばるとかえってたかり屋に目をつけられるから、一切努力をしない一般市民の姿は、朝鮮の衰退が朝鮮自身のせいであることをはっきり描き出す。高い文化を持っていた朝鮮を日帝が収奪して衰退させたというのは明らかなウソ。その一方で、本書をひく『嫌韓流』も、日本のおかげでないことを日本に帰着させたりして、うのみにできないこともわかる。 しばらく前に『嫌韓流』という本がベストセラーになって、いろいろ議論を呼んだ。韓国や北朝鮮が何かと第二次世界大戦中のあれやこれやを持ち出して、謝罪と賠償を請求してみたり、内政干渉じみたことを
アート的感性と生物学的能力 diatxt. 連載: アート・カウンターパンチ #6 diatxt. number 14 (京都デザインセンター, 2005/1) pp. 142-145 山形浩生 この連載では何度かスティーブン・ピンカーを参照してあれこれモノを言っている。さてそのスティーブン・ピンカーが、最近邦訳の出た傑作『人間の本性を考える』でアートとかの役割についてあれこれ言っている。これまでの著書でも、ちょろちょろと触れてはいたんだけれど、今回のやつではまるまる一章を割いてかなり詳細な議論をしているのだ。ちょいとおもしろいので、今回はその話をしておこう。ぼくの考えともかなりちがうこともあるし。 ピンカーはもちろん発達心理学の人だし、遺伝と進化を通じて人間のいろんな特性が決まってきた、という話をしつこくしている。『人間の本性を考える』の主要な主張は、人間というのがどんなふうにでも条
ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』2005年版追加章について 山形浩生 草思社の倒産で一時はどうなるかと思った『銃、病原菌、鉄』邦訳だが、無事に復活して文庫にもなって、まずはめでたい。おもしろい本だし非常に含蓄があるので、これが入手困難になるのは大変痛かったもので。 しかし、アマゾンのレビューを見ていると、変な記述に出くわした。これだ: 翻訳されていない一節 (Tsiroeht Emag) 訳されなかった章がある? そんなバカな。草思社が(愚かにも)参考文献をカットしたのに怒ってみんなで訳したときに、原書はちゃんと見ているがそんな章はなかったぞ。(なお、草思社も知恵をつけて、その後参考文献をウェブで公開したうえ、文庫版にはちゃんと載せているのでご安心を。)それも日本人に関する章で人間宣言がどうしたこうした? そんな最近の話を扱っているわけもないと思って、コメントにもそう書いたんだが…… 調べて
研修資料の余白に:『はだかの王様の経済学』は戦慄すべき本である (2008/06/16, 17 日に 注 等細かい加筆, 22日にコメントなど加筆。) 山形浩生 要約:松尾『はだかの王様の経済学』は、解説されている疎外論がひがみ屋の責任転嫁論でしかないうえ、それを根拠づける「本来の姿」だの「実感」だのがあまりに恣意的で確認しようがなく、まったく使えない。そして「みんなで決め」ればすべてうまく行くというお花畑な発想は悪質なニュースピークによる詐欺であるばかりか、最後にはポル・ポトまがいの抑圧思想に直結していて戦慄させられる。 目次 序 「設備投資」は「コントロールできない」か? 疎外とはひがみ屋の天国である。 「本来の姿」ってだれが決めるの? 市場を超える「話し合い」って? 「みんな」で決めればだれも不満はない? おわりに 本稿への反応など 蛇足コメント 1. 序 松尾筺『はだかの王様の経済
経済思想史ウェブサイト日本語版:new school の HET ページの翻訳。経済思想の歴史について、古代から現代まで情報やリンクを集めたサイトなんめり。学生や素人で、経済学について歴史的な流れを理解したい人たち向けのサイトだが、中身的にはそこらの専門書より視野が広くて高度だったりするぞ。
リンクするなら黙ってやれ! 山形浩生 リンクを張らせろとかいうしゃらくせぇメールはよこすなバカ野郎! ケチなんかつけねーから、どこへでも黙ってさっさと張れ! そういうメールをよこしやがったら、断るからな。いちいち相手の身元を確認していいの悪いの判断するほど暇じゃねーんだ! そんなけちくさい真似するくらいなら、最初っから無料でこんなもん公開したりしねーぞ! 世間様におめもじさせられねぇと思ったら、その時点で引っ込めるわい。 黙って張る分にはなんの文句もつけない。絶賛リンクも結構、「こんなバカがいる」的罵倒嘲笑リンクも大いに結構。煮るなり焼くなり好きにしやがれ。ファンメールもかねた事後報告もオッケー。あとおひねりでもくれるってんなら、もらってやるからありがたく思え。いいの悪いの返事も書いて愛想の一つも振りまこうってなもんだ。 でも、そうでなきゃそんなメール受け取って、読んで、おまけに返事書くだ
「社会主義計算」論争が生じたのは19世紀末だ。産業革命がもたらした壮絶な貧困を証拠として、社会主義者たち、マルクス主義者たちなど、自由放任の批判者たちは自由市場がつまりは失敗し、生産と分配についてコントロールできる優しい政府のほうが、財をもっと効率よく平等に割り振れるのだ、と論じた。「社会主義計算」論争が起きたのは、自由放任の支持者たちが市場のほうがリソースをうまく、あるいは少なくとも無限に賢い政府と比べてもひけをとらないくらいにうまく割り振れるのだ、と論じて、これが論争となった。 この論争は、マルクス主義学派が登場したときから始まっていたとはいえ、正式に「社会主義計算」論争を真剣に議論したのはワルラス派経済学者であるエンリコ・バローネだ。バローネは、1908 年論文「集産主義国家における生産省」でこれを論じ、続いてパレート (1896; 1906: p.266-9) も独自の考察を行った
山形の著書訳書など われながらいっぱいやってるなあ。なるべく全文をアップするようにはするけれど、ゲラ段階での赤字は当然ながら反映されていない。ぼくは一発オッケーの人だから、ゲラはほとんどいじらない。だから大きな差は出ないけれど。むしろ、ゲラの段階で編集者から一部表現(および罵倒)を削除されることが多いので、ここにあるほうが「あるべき姿」っつーかなんとゆーか。 著書いろいろ 訳書さまざま 著書 『世界のカフェから』(2012) 世界漫遊記。 ■山形浩生『経済のトリセツ』(亜紀書房、2021.07) 山形の経済雑文集。例によって、経済全般、クルーグマン、ピケティ、リフレ関連、その他各種雑文といった構成でだいたいやっております。ピケティとか、同じネタであちこちに書いているので、重複がそこそこあって苦労しました。あとネットにあげている文章も多いけれど、一応紙にしておいたほうが、いろいろ参
OpenBSD の巣窟 あー、本家ページの翻訳を探してる人はこっちへどうぞ。ここはそれも含めたリソース集のページにしたのだ。 toc 1. OpenBSDとわ 2. OpenBSDのなりたち 3. OpenBSDをつかおう 4. OpenBSD links OpenBSDとわ OpenBSD というのは、FreeBSD や NetBSD と並ぶ、オープンソース系の BSD Unix 類の一つだ。いちばんの特徴としては、セキュリティをとっても重視しているということが挙げられる。セキュリティの最大の敵は、各種バグであるという観点から、かれらは各種ソフトのソースコードを地道かつ徹底的に見直してどんどんバグをなおしている。さらに、デフォルトでkerberosやsshなど各種暗号採用システムを導入することで、セキュリティを強化している。最近では、ディスクのスワップ領域に書き込まれるデータを暗号化する
山形浩生 『atプラス04』2010年5月 特集:エコノミストはなぜ経済成長の夢を見るか? 要約:経済成長は本当に必要なのかどうかとか、それが要るのはわからなくもないが、橋本治は個人としてはなくてもかまわないとかいう話。 ——橋本治さんは『大不況には本を読む』(中公新書ラクレ、二〇〇九年)の中で、「いるんだかいらないんだかわからないものを買って経済を拡大させる」という、成長が前提となった産業革命以後の体制にブレーキをかけ、「自分のものは自分で作る」という、経済タームでは「保護主義的」と呼ばれるあり方を、人間のあり方に立脚する立場から「自立」として提案されました。しかも、「我が身のありよう」を考えるのも大事なら、現実生活を維持するために働く「金稼ぎ」も大事であり、これは二者択一の問題ではなく、両者は両立して存在すべきだと書いていらっしゃいます。だからこそ、「大不況」という経済の話と、人のあり
原文はこちら、(c) Copyright JASSS アクセルロッド『対立と協調の科学』書評:「しっぺ返し」はそんなにすごいものではありません Ken Binmore ELSE, Economics Department, University College London. (1998, JASSS vol 1, no 1.) 要約:ゲーム理論の偉い人、ビンモアによるアクセルロッド&「しっぺ返し戦略」称揚に対する強い批判。アクセルロッドは前著『つきあい方の科学』で反復型囚人のジレンマゲームのコンテストを開催し、ラポポートの「しっぺ返し」戦略がもっとも有力だった(そしてそれを進化型ゲームに適用しても有力だった)ということを根拠に、しっぺ返しがあらゆる協力の発生と成長の根幹となる原理だ、といわんばかりの主張を行い、それが一人歩きしている。でもこれが成功するのはごく一部の状況で、安易に一般化で
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