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日経平均株価は34年ぶりに史上最高値を更新し、4万円を突破したのも束の間、イスラエルとイランの対立による地政学リスクの顕在化、日銀から追加利上げを検討する発言が出るなど複数の要因が重なり、日経平均株価は急落しました。 終値ベースで4月19日には前日から1011円下落し3万7068円となり、4月12日の3万9523円から1週間で2455円下落しました。 これから下落相場になるかと思いきや、本稿執筆時点の4月24日の終値は3万8460円と、前日の3万7552円から907円の上げ幅となりました。 このところ、株式相場は上下に激しく動いています。上がる分には問題はないですが、急激に下がると不安になるのが、投資家心理です。2024年から新NISAで投資を始めたばかりの投資初心者にとっては不安でいっぱいでしょう。今回は、暴落に備える心構えと対策をお伝えします。 (頼藤 太希:Money&You代表取締
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 仕事もあり、最近、今後の岸田政権の行く末を占う島根1区に通っております。割と新鮮なんですよ。というのも、本来、私の専門は調査の中でも首都圏の有権者の皆さまの動向を見るものであって、地方での選挙でどっぷりご一緒する機会はそれほど多くはありません。 そこで、今回は久しぶりに約400人、のべ3000時間以上、島根県民の皆さんのお話を2カ月かけて聞いてきました。 世界でも有数の大都市圏、東京のど真ん中に住み、先日、親父が亡くなって相続と3人の介護と4人の子どもの面倒を見ている私と、島根に根を張り日々暮らしておられる有権者の皆さんとでは、同じ日本語を話しているのに、着眼点や現実を見るまなざしの角度が違うなあと痛感させられます。 解散総選挙の「条件」となった島根1区 今回の島根1区での補選は細田博之・前衆院議長の死去に伴うもので、折しもパー
人材を「資本」と捉え、その価値を最大限まで引き出し企業価値の向上につなげる「人的資本経営」がクローズアップされている。今、人事管理が「人的資本経営」として語られる背景とは。また、AIやデータの存在感がますます大きくなる中、人事部門はどう対応すべきなのか。人事管理、雇用システムの研究者である神戸大学准教授の江夏幾多郎氏に話を聞いた。 企業でのフィールドワークが人事管理研究の原点 ――江夏さんは人事管理や雇用システムについて研究されています。どのような経緯で人事管理を研究するようになったのですか。 江夏幾多郎氏(以下敬称略) 博士論文を書くために、メーカーの人事部で1年ほどインターンとして働きながら人事評価制度の運用実態について調べたのですが、その時の経験が、私の研究者としての原点となりました。 約15年前、多くの企業が評価制度に成果主義を採り入れた時代です。しかし現場では、人事部が期待するよ
米アップルがアプリストア「App Store」の中国版で、米メタの対話アプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」や短文投稿アプリ「Threads(スレッズ)」などを削除したことが分かった。中国当局による要求を受けた措置だ。 アップルはこれまでも同国で数千本のゲームアプリを削除してきた。急成長する同社のサービス事業や、国内競合との競争が激化するスマートフォン事業への影響が懸念される。 「WhatsApp」「Threads」削除の背景 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、中国でサイバーセキュリティー法を所管する国家インターネット情報弁公室(CAC)が問題のあるアプリをApp Storeから削除するよう要請した。問題とされたものには秘匿性が高い「シグナル(Signal)」や「Telegram(テレグラム)」もあった。これらアプリで習近平(シー・ジンピン)国家主席に関する言及など
電気自動車(EV)市場の伸びが鈍化している。逆風が吹くなか、本格普及に向けて必要なことはなんだろうか。 電池コストの削減や航続距離の伸長などのカギになると見られる全固体電池については開発競争が加速しており、日産自動車はパイロット生産ラインを公開した。 だが、本格普及に向けて必要なのは革新的な電池だけではない。(JBpress) (桃田健史:自動車ジャーナリスト) 日産自動車(以下、日産)は4月16日、横浜工場(横浜市神奈川区)で全固体電池のパイロット生産ラインを公開した。今年8月に各工程の設備を搬入し、来年3月に稼働を開始する予定だ。 今回、現地視察取材会に参加したが、現状ではこれまでエンジン部品の加工などで使っていたスペースをリノベーションし、新しいエアダクトや壁などが設置された状態だった。 ここでは、電極を構成する部材を混ぜる電極工程、パウチ型のセルに仕立てる工程、複数のセルをモジュー
イスラエルとイランは歴史的な敵対関係にあるが、今回の攻撃は、イランによるイスラエルに対する初の直接攻撃である。 イランは、今回の攻撃は4月1日に行われた在シリアのイラン大使館領事部ビルに対する空爆への報復だとしている。 イスラエル軍報道官によると、攻撃には無人機約170機や巡航ミサイル30発以上、弾道ミサイル120発以上が使われた。 イランだけでなくイラクやイエメン領内からも発射された。イスラエル軍は「99%」を迎撃し、弾道ミサイルの一部が着弾したと発表した。 米ABCニュースによると、少なくとも弾道ミサイル9発が着弾し、ネバティム空軍基地など2か所の基地に落下した。輸送機1機や使われていない滑走路などに軽微な被害が出たという。 イスラエルメディアによると、南部では少女がミサイルの破片で重傷を負った。 99%の撃墜率は驚きの数字である。 イスラエルはよく知られた地上発射型の防空システム「ア
(黒木 亮:作家) 小池百合子東京都知事が、自己の学歴詐称疑惑を隠蔽するため、2020年6月9日に日本外国特派員協会(FCCJ)で開かれた郷原信郎弁護士と筆者の記者会見にぶつける形で、カイロ大学の声明文を“自作自演”したことが、元側近の小島敏郎氏が「文藝春秋」に寄稿した手記によって暴露された。 小池氏は、筆者らの会見前日に元ジャーナリストでやはり当時側近だったA氏に対し、「明日の4時から郷原と黒木亮が外国記者クラブで記者会見とのこと。その前に全部済ませます」とメールしていた。 しかし、あの会見に関する小池氏の工作は、それだけではなかったようだ。 直前に公開された声明文をしっかり印刷して手元に FCCJでの会見で、質疑応答セッションが始まると、日本在住のあるアラブ人ジャーナリストが真っ先に手を挙げ、事前にプリントアウトしたカイロ大学の声明文の全文を時間をかけて読み上げ、「この声明文についてど
イランから発射されたミサイルを迎撃するイスラエルの防空システム「アイアンドーム」。4月14日撮影(写真:AP/アフロ) (国際ジャーナリスト・木村正人) イラン国内からイスラエルを攻撃するのは初 [ロンドン発]イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)航空宇宙軍は4月13日、イラン国内からイスラエルへの大規模な自爆ドローン(無人航空機)とミサイルの攻撃を行った。イスラエルの空爆によりシリアで精鋭コッズ部隊の上級司令官を殺害されたことに対する報復だ。 米シンクタンク「戦争研究所」のまとめによると、イスラエルは同月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館につながる建物を空爆。IRGCの対外工作機関「コッズ部隊」の上級司令官モハマド・レザ・ザヘディ准将と部下数人を殺害した。
2018年に経産省が公開した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」は、当時の日本の産業界に衝撃を与え、多くの企業がDXへ舵を切るきっかけとなった。そのレポートの実質的な著者である和泉憲明氏は現在、日本の国際競争力強化に向け、デジタル変革のための政策展開基盤となる官民連携スキーム「ウラノス・エコシステム(Ouranos Ecosystem)」の社会実装を進めている。 ウラノス・エコシステムが立ち上がったことで、和泉氏は「日本が本気でグローバルで勝てる土壌が整った」と話す。日本はいかにデジタル時代を勝ち抜くのか。そのとき、行政や企業はどう振る舞うべきか。和泉氏に聞いた。 急速な社会変化に対応しうる新たな意思決定のための枠組み ――アーキテクチャ戦略を主導する立場として、アーキテクチャ政策が必要となる社会的背景はどこにあると考えていますか。 和泉 憲明/経済産
「FIA ABB Formula E World Championship 2024 Tokyo E-Prix」を観戦した小池百合子都知事(3月30日東京ビッグサイトで、写真:松尾/アフロスポーツ) いきなりですが、この原稿を書こうとネットにアクセスすると、突然、「東大病院血管の名医が解決法を伝授 医療用インソール」という文字が現れました。 なぜか文京区・本郷の東京大学付属病院(東大病院)ではなく、目黒区白金台の東京大学医科学研究所(東大医科研)の写真がレイアウトされた「フェイク広告」が表示されました。 こんなものは、東大病院と一切関係のないまがい物に過ぎません。でも、さすがにここまで露骨な詐称は問題です。 学内で検討するべく、いま証拠を一通り押さえてから、この原稿を書き始めました。これと同じくらいに、見る人が見れば、あまりに露骨な「フェイク」なので。 4月9日「文藝春秋・電子版」に小池百
4年前、JBpressで黒木亮氏が徹底追及した小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑が再び大問題となっている。小池都知事の元側近が月刊「文藝春秋」にて、4年前に都知事自ら隠蔽工作をしていたとの手記を公表したことがきっかけだ。手記によれば、この隠蔽工作により駐日エジプト大使館のFacebookに、小池氏の卒業を認める“カイロ大学の声明文”が掲載された。その結果、小池氏らの目論見通り、疑惑追及の力は失われていったという。小池氏側の工作の実態が明らかにされた今、黒木氏が改めて都知事の疑惑を論じる(JBperss編集部) 「証言」と小池氏・カイロ大学の主張が食い違う理由を解明する (黒木 亮:作家) 小池百合子東京都知事の側近といわれた元都民ファーストの会東京都議団政務調査会事務総長、小島敏郎氏が、「大学を卒業していない小池さんは、(カイロ大学の)声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです」とい
米スタートアップが2024年3月に発表した生成AI「Claude(クロード)3」が注目を集めています。生成AIは米オープンAIが「ChatGPT」を2022年11月に発表してから、米アルファベットが「Bard(後にGeminiに改名)」を公開して猛追するなど、開発競争が激しくなっています。「Claude3」の開発会社は、生成AIの能力を測る様々な指標でChatGPTを超えたと表明。実際に利用したユーザーからは日本語能力の高さを評価する声も聞かれます。「Claude3」とはどのような生成AIなのか。やさしく解説します。(JBpress) アマゾンが6000億円出資 「Claude(クロード)3」は米スタートアップのAnthropic(アンソロピック)が2024年3月に発表した生成AIです。生成AIとは学習したデータをもとに、文章や画像など様々なコンテンツを作り出すAIを意味します。有名な生成
グラフェン状のハニカム素材から励起されたマヨラナ粒子のイメージ。 Image by Jill Hemman and Oak Ridge National Laboratory, under CC BY 2.0. (小谷太郎:大学教員・サイエンスライター) 2024年3月、東京大学の大学院生今村薫平氏らの研究グループが、「マヨラナ粒子」について、立て続けに新発見を発表しました(※1-2)。マヨラナ粒子が塩化ルテニウムという物質の中に存在する証拠が見つかったといいます。 このなんだかユーモラスな響きの粒子は、ある種の素粒子理論から予想されたものですが、まだ存在が確認されていません。 この粒子の特筆すべき点は名前だけではありません。マヨラナ粒子を利用すると量子コンピューターが実現できるという可能性が指摘されています。そのため現在、量子コンピューターや物性実験、素粒子実験といったさまざまな研究分野
2024年度の東京大学合格者に占める女性の割合は、一般選抜で20%を下回った。学校推薦型選抜(推薦入試)を含めると20.6%だが、男女比「8:2」は世界的に見ると極端に少ない。例えばプリンストン、ケンブリッジ、北京大学の女性比率はほぼ半数。女性が少ない大学と認識されてきたソウル大学でも、女性比率は4割程度だ。なぜ東大だけが変われないのか。この問いは、なぜ日本が変われないかに直結する。 こうした状況に危機感を抱く、現役の東大副学長・矢口祐人教授が『なぜ東大は男だらけなのか』(集英社新書)を上梓した。矢口教授は本書で、日本社会で連綿と続く男性中心の価値体系の歴史をひもといた上で、東大が変わるための具体策を提案する。「男女比率を改善しないと日本の大学と社会は変わらない」と説く矢口教授に話を聞いた。 「東大に入ると結婚できなくなる」といまだに言われる令和日本 ──大学への進学比率は男女ほぼ同じなの
(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使) 10日に投票が行われた韓国の総選挙の結果が出た。国会の300議席(小選挙区254議席、比例区46議席)を争う選挙である。 韓国の国会はこれまで、与党「国民の力」114議席、最大野党「共に民主党」156議席という「ねじれ」状態にあったため、国政に必要な法案の可決もままならず、政府与党にとっては今回の選挙で多数を獲得することが悲願であった。 一方、野党は尹錫悦政権の独走を阻止するため、政策論争ではなく「政権審判論」を打ち出して対抗した。 「与党優勢」の状況を変えた玉ねぎ男 選挙戦の情勢分析について、3月上旬ごろまでは、与党が五分ないしそれ以上の戦いを繰り広げていると見られていたのだが、文在寅政権時の法相で不正疑惑が噴出し「玉ねぎ男」と呼ばれた曺国(チョ・グク)氏が「祖国革新党」を立ち上げ、比例区に候補者を立てたころから革新系野党に勢いが出始めた。その勢いの
>>>近江鉄道・ローカル線のギャラリーページへ(20枚) (土井勉:一般社団法人グローカル交流推進機構 理事長) 4.1上下分離スタート、安堵感と緊張感と 「これ以上、民間会社では鉄道を存続することは無理」という、いわばギブアップ宣言を近江鉄道株式会社が発出したのは2016年だった。以後、2024年までの8年間、様々な取り組みや試行錯誤を重ねてきた。 当初は、鉄道会社と行政とが円滑にコミュニケーションを進めるということさえ難しい状況であった。だが、様々なやりとりを通じて次第にワンチームになっていき、2024年4月1日、上下分離による公有民営方式で新たな鉄道がスタートすることになった。
報道では、厳しい国際情勢を背景として、防衛面での協力を深めるとともに、経済安全保障や宇宙などの分野での連携強化を確認するという。 筆者の専門は安全保障だが、ロシア・ウクライナ戦争の教訓を踏まえ、最近とくに宇宙安全保障の重要性を発信している。 本稿では、宇宙安全保障と関係の深い日本の宇宙開発をテーマとして記述する。 日本の宇宙開発における最近の成果 我が国は最近、宇宙開発の分野で特筆すべき成果を収めているので、簡単に紹介したい。 まず、月面着陸だ。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年1月20日、無人探査機「SLIM(スリム)」の月面着陸成功を発表した。 月面着陸に成功したのは旧ソ連、米国、中国、インドであり、日本は5カ国目の国家になった。 特筆すべきは、その月面着陸が世界で初めてのピンポイント着陸だった点だ。ピンポイント着陸とは、狙った場所に確実に着陸することである。 SLIMは2
3月28日に開廷された「松本人志」裁判、第1回口頭弁論以降の所作が、およそ芸人のそれではないのですが、当初はそれを指摘する声を見かけませんでした。 今のメディアはすでに、そういう分別が分からない世代の記者たちなのでしょう。 そんなことを思っていたら、4月4日発売の「フライデー」で中田カウスから正論が出てきました。 「松本はアウトやで。本当に客、素人に手をつけたのであれば」という分かりやすい一刀両断。 確かにその通り。玄人と素人の区別がついていない、素人の振る舞いです。 「お客を大事にせなあかん、という芸人の意識があったらそういう気分にならへん」 中田カウスについては「怪芸人」とも呼ばれ、「黒い交際」なども報じられる人物ですが、ここで言っているのは「芸人の所作」ということでしょう。 いま「松本人志」が見せている「裁判」「名誉棄損」あるいは「多額の損害賠償請求」など、どれ一つ取っても、仮に勝っ
2015年10月、ロシア軍によるシリア爆撃でも滑空爆弾が威力を発揮した。写真はKAB-500を発射するロシア空軍のSu-34(提供:Russian Defence Ministry's Press and Information Department/TASS/アフロ)
今回は、コンタクトレンズなどを製造販売する光学機器大手HOYAが被害を受けたことが判明した。 「解析には相当の日数を要する見込み」 これを受け、同社は次のような声明を出している。 <2024年3月30日未明、海外の事業所においてシステム挙動に不審な点があったことから調査をしたところ、当社グループの国内外の事業所においてシステム障害が起きていることを確認しました。当社は障害が起きたサーバーの隔離などの対応を直ちに行うとともに関係当局へ報告しました。外部の専門家を交えた調査の結果によれば、本件は第三者による当社サーバーへの不正アクセスに起因する可能性が高いとみられています。 本件により現在、複数の製品について、生産工場内のシステムや受注システムが停止しています。当社では、在庫出荷等の業務については、マニュアルで対応するなど最大限、顧客の需要にお応えするべく務めております。なお、当社が保有する機
アファーマティブ・アクションだけでは社会全体としては不十分 このような批判はあっても、出身家庭のSES、出身地域、性別による格差が存在する以上、現在はまだ小さい規模のアファーマティブ・アクションが文科省の後押しを受けてより広く行われるようになり、学生構成の多様化を達成する大学も出てくるかもしれない。 実際に、東大を含む難関大は、学校推薦型選抜と総合型選抜などの手段で、第一世代(親非大卒)枠、地方枠、女性枠を設置・拡大することで、学生構成の多様化がある程度は可能なはずだ。ただ、そのような事例が増えても、社会全体として出身家庭のSES、出身地域、性別といった「生まれ」と結果が無関係になる公平性の達成には程遠いだろう。 課題は主に2つある。 まず、これらの枠で合格する人たちは、他の観点で恵まれている可能性が高いことにある。1つのカテゴリーでは「不利な層」でも、他の側面では有利な学生を集めることに
2023年6月、米最高裁は大学入試で人種を考慮するアファーマティブ・アクションを「違憲」と判断。この判決には抗議デモが展開され、バイデン大統領も「異議」を唱えた(写真:新華社/共同通信イメージズ) 拡大画像表示 東大含む(いわゆる)旧帝大合格者のうち、東京圏出身者の割合が近年顕著に増えている――。3日付の毎日新聞朝刊が、長年『サンデー毎日』が収集してきたデータをもとに、こんな分析結果を報じた。本人が選択しえない「生まれ」による教育格差は、いまどんな状況にあるのか。出身地域の多様性が下がったキャンパスは、学生たちにどんな影響を与えるのか。『教育格差』(ちくま新書)の著書がある龍谷大学社会学部の松岡亮二・准教授が、3回にわたり、毎日新聞が報じたデータを独自分析した上で詳しく解説する。 #2/全3回 <前編>東大合格、増える東京圏出身者 北大・東北大では地元合格を押し下げ…進む「地域格差」は社会
高校普通科在籍率:東京88.6%、宮崎45.4% 現在でも大学進学を望む人が進学しているのだから「地域格差は個人の“自由”な選択の結果」という意見もあるかもしれない。しかし、どのような選択肢が18歳にとって現実的かどうかは制度的に制約されている実態がある。 特に義務教育ではない高校教育は制度的な格差が明確だ。最も分かりやすいのは、学科の区分だろう。 普通科と職業学科ではカリキュラム、進路指導、先輩の進路、同級生のSESや大学進学意欲、学校外教育利用率など様々な違いがあり、都道府県によって学科の比率はかなり異なる。 2023年の高校3年生でみると、最も普通科在籍率が高いのは東京都で88.6%、47都道府県で最も低いのは宮崎県の45.4%だ。
ソウルに住む義弟の奥さんから連絡が来た。その連絡を聞いて喜んだのは、うちの子供たちだった。 特に4年生の次男と1年生になった末娘は、いとこも自分たちと同じ兄妹のような感覚でいる。 以前から、義弟夫婦が姪っ子を連れて遊びに来ることを知ると、「妹が来る!」と友達や先生たちに嬉しそうに話していた。 娘は去年「いとこ」という言葉をまだ覚えていなかった。 インターネット授業の先生に「妹が遊びに来るの。私の妹はいつも一緒に住んではいないけど」と話しているのを聞いたときは、焦って「いとこです」と横から声だけ割り込んだ。 何か訳アリの家族のように聞こえてしまうではないか。 平凡な微笑ましい家族に見えるが、実は筆者の家族は韓国では貴重な存在なのだ。 韓国では日本よりも急激に少子化が進み、2022年の出生率は0.78で、今年の予想出生率は0.68と衝撃的な数値が発表されている。 娘を連れて買い物などに出かける
東大含む(いわゆる)旧帝大合格者のうち、東京圏出身者の割合が近年顕著に増えている――。3日付の毎日新聞朝刊が、長年『サンデー毎日』が収集してきたデータをもとに、こんな分析結果を報じた。本人が選択しえない「生まれ」による教育格差は、いまどんな状況にあるのか。出身地域の多様性が下がったキャンパスは、学生たちにどんな影響を与えるのか。『教育格差』(ちくま新書)の著書がある龍谷大学社会学部の松岡亮二・准教授が、3回にわたり、毎日新聞が報じたデータを独自分析した上で詳しく解説する。 #3/全3回 <前編>東大合格、増える東京圏出身者 北大・東北大では地元合格を押し下げ…進む「地域格差」は社会に何をもたらすか <中編>親非大卒枠、地方出身枠、女子枠…大学入試のアファーマティブ・アクション、拡充でも公平性達成は程遠いワケ ◎毎日新聞特集ページ「受験格差」 (松岡 亮二:龍谷大学社会学部 准教授) 都道府
東大含む(いわゆる)旧帝大合格者のうち、東京圏出身者の割合が近年顕著に増えている――。3日付の毎日新聞朝刊が、長年『サンデー毎日』が収集してきたデータをもとに、こんな分析結果を報じた。本人が選択しえない「生まれ」による教育格差は、いまどんな状況にあるのか。出身地域の多様性が下がったキャンパスは、学生・社会にどんな影響を与えるのか。『教育格差』(ちくま新書)の著書がある龍谷大学社会学部の松岡亮二・准教授が、3回にわたり、毎日新聞が報じたデータを独自分析した上で詳しく解説する。 #1/全3回 ◎毎日新聞特集ページ「受験格差」 (松岡 亮二:龍谷大学社会学部 准教授) 非三大都市圏の東大合格者:41.1%→30.7% 東京大学の合格者に占める東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)出身者1の割合が近年増加傾向にある2。 センター試験初年度である1990年を起点とすると(図1)3、東京圏出身者が
良い睡眠を持つことが、健康の面でも、仕事や勉強といったパフォーマンスの面でも極めて重要だと言われ、睡眠に対する世の中の関心は近年高まっている。しかし、眠るということはどういうことなのか。正しい眠り方はあるのか。『眠っている間に体の中で何が起こっているのか』(草思社)を上梓した早稲田大学睡眠研究所所長で、精神科医の西多昌規氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト) ──「ほぼすべての精神障害には、不眠あるいは過眠、日中の強い眠気など、睡眠の問題が伴います」と書かれています。なぜ睡眠はこれほど精神の問題と関係しているのでしょうか。 西多昌規氏(以下、西多):メンタルの問題というものは、食欲や性欲、睡眠などに影響を及ぼします。うつ病も食欲不振が多いのですが、過食が見られることもあります。睡眠も同じように眠れなくなったり、逆に通常よりも多く眠るようになったりします。 ストレスによって、本
2021年、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島が世界自然遺産に登録された。新型コロナウイルスの第5類移行による移動の制限がなくなった今、南の島で自然とたわむれる人も少なくないのではないか。 ただ、奄美群島をはじめとする南の離島に訪れる際には、心しておかなければならないことが一つある。毒ヘビとして悪名をとどろかせるハブの存在だ。『奄美でハブを40年研究してきました。』(新潮社)を上梓した服部正策氏(2020年3月まで東京大学医科学研究所・奄美病害動物研究施設に40年間勤務)に、ハブの生態やハブ対策の術について、話を聞いた。(聞き手:関瑶子、ライター&ビデオクリエイター) ※記事中にはハブの写真が多数掲載されています。蛇が苦手な方は見ない方がいいかもしれません。 ──なぜ40年間、奄美でハブの研究をしていたのですか。 服部正策氏(以下、服部):東京大学農学部畜産獣医学科で留年を繰り返して、
自動配送ロボットに関する最新の研究で明らかになったのは、ロボットの任務を支援する人間の姿だった。 公共空間で活動する新しい技術やサービスに適応し、それを円滑に受け入れるために行うaccommodation work(適応作業)の一種だ。 ネコ型の配膳ロボットにみられるように、人間は自律型ロボットを受け入れるために、自分たちの習慣や行為を変える用意があるようだ。 (小林 啓倫:経営コンサルタント) ロボット掃除機のためにお掃除する人間 すっかり家電として定着した感のある「ロボット掃除機」。その先駆けと言えるアイロボット社の「ルンバ」が登場したころ、「ルンバのためにお掃除をするようになった」という、本末転倒のような声がSNS上でみられた。 現在ではかなり性能が向上し、ロボット掃除機が障害物にぶつかるなどして立ち往生してしまうことは少なくなったが、それでもロボット掃除機が散らかった部屋の片づけま
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