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東京都知事選への立候補を表明している蓮舫氏に対し、怒涛のような攻撃が向けられている。「蓮舫いじり」が沸きに沸く状況で、SNS上では「#蓮舫パニックおじさん」というハッシュタグまで登場した。告示を目前にあふれる蓮舫批判に対し、元毎日新聞編集委員でジャーナリストの尾中香尚里氏は「日本政治の劣化が見て取れる」という。蓮舫氏に向けられている3つの攻撃をもとに、尾中氏が解説する。(JBpress) (尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員) 蓮舫氏への“罵詈雑言”から見えるもの 「七夕決戦」となる東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)は、まれに見る「与野党ガチンコ勝負」の構図となった。 3選を目指す現職の小池百合子知事を自民、公明両党が支援し、新人の蓮舫参院議員を、出身母体の立憲民主党、共産党、社民党が、それぞれ支援する。ここまで明確な「与野党ガチンコ対決」の様相を呈する都知事選は
「国立大学の学費を150万円に上げるべきだ」──。中央教育審議会・特別部会での慶應義塾長・伊藤公平氏の発言が波紋を呼んでいる。 国立大学が大学運営費交付金を学生1人あたり年平均230万円受け取っている状況が不健全な競争環境を生んでいるとの認識が発言の背景にある。一方、国立大学協会の永田恭介会長は6月7日、会見を開き「運営交付金は年々減り続けており、国立大学の運営はもう限界」と訴えている。 社会学が専門の英オックスフォード大教授・苅谷剛彦氏は「伊藤氏委員は重要な議論を巻き起こした」と評価。イギリスは留学生に3倍以上の授業料を払わせるなど「稼ぐ」仕組みを構築していると説く。 (湯浅大輝:フリージャーナリスト) ■英オックスフォード大・苅谷剛彦教授インタビュー (前編)日本の大学が世界で勝てない本当の理由、英オックスフォード大・苅谷教授が疑問視する「実力」 (後編)授業料3倍でも教育の質は上がら
交通事故の被害者を保護、救済することを目的に組織された「自賠責保険・共済紛争処理機構」が、約10年前から「違法」ともいえる運用で被害者に不利益を与えていたことが発覚した。それに気づき、裁判まで起こして是正させた札幌の青野渉弁護士に、この1年の闘いと、損保業界の変わらぬ払い渋り体質について、自賠責保険問題の追及を続けるジャーナリスト・柳原三佳が聞いた。 場合によっては賠償金に数千万円の差が 柳原三佳(以下、柳原) ビッグモーターによる保険金不正請求問題、保険のカルテル問題など、昨年から損保会社が絡んださまざまな不祥事が表面化し、大問題となっています。そんな中、青野先生はこの1年あまり、損保会社が深く関与しているある組織との闘いを続けてこられたそうですね。 青野渉弁護士(以下、青野) はい。損保業界が出資して設立された「一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構(通称/紛争処理機構)」が、ここ
同じことで、県警の捜査資料が意図せず流失したら、それは情報事故です。 一方、夏の花火大会、プロの花火師が点火した3尺玉(30号、直径90センチ、爆発時半径約275メートル、打ち上げ標準高度600メートル)が、誤って民家に打ちこまれて火事になったような場合、刑事責任には「業務上過失・・・」といった過失がつく。 同様に、県警の捜査資料を誤って同報メールで無関係な人に送ってしまえば過失犯となるでしょう。 ところが、民家に意図的に火をつければ放火犯ということになる。 でも同じ放火犯であっても、愉快犯的なものから、怨恨に基づく放火、一家心中から保険金目当ての営利犯まで、様々な「動機」があります。 その動機と実行行為、結果などから、検察官も起訴内容を決定し、法廷では裁判官が情状を酌量します。 さて、このような観点から、今回の鹿児島県情報流出/警本部長・不正隠蔽事件をきちんと検討する必要があります。 つ
米マイクロソフトが出資する米オープンAIや米グーグル傘下のGoogle DeepMind(グーグル・ディープマインド)といったAI(人工知能)企業の現職および元従業員が、AIがもたらすリスクについての懸念を表明する書簡を公開した。人類の絶滅につながる恐れがあると警鐘を鳴らしている。 「先進的なAIについて警告する権利」 書簡のタイトルは「A Right to Warn about Advanced Artificial Intelligence(先進AIについて警告する権利)」。AI企業の現・元従業員グループは、「秘密保持契約、内部告発者保護の欠如、報復の恐れのために、AIが人類に及ぼす脅威について懸念を表明できない」と現状を説明した。従業員が社内および公の場で安全に発言できる通報ルートを設けるべきだと主張している。 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、オープンAI元従業
大阪・関西万博の開催まで1年を切ったが、目玉である「空飛ぶクルマ」に来場客を乗せて飛ばすことは本当に可能なのだろうか。 「Japan Drone/ 次世代エアモビリティEXPO 2024」(6月5〜7日)で空飛ぶクルマやドローンの開発に携わる現場の声を拾うと、本格的な実用化に向けては厳しい状況が浮かび上がってくる。 現実的な解を見出そうと各社試行錯誤を続けているが、業界には淘汰の波が早くも押し寄せてきそうだ。(JBpress) (桃田 健史:自動車ジャーナリスト) 「空飛ぶクルマ」や「ドローン」はどう進化するのか? 本当に、日本国際博覧会(大阪・関西万博:2025年4月13日〜10月13日)で「空飛ぶクルマ」による運航は可能なのだろうか? 開催まで1年を切った現時点では、機体の開発企業や運航管理に携わる企業は「最後まで全力を尽くす」という、開催ギリギリまで調整が続くという見方を示している。
教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、男子校で広がり始めた性教育とジェンダー教育の現場に迫る連載「ルポ・男子校の性教育」。今回は2024年に東大に44人の合格者を出している、中学受験の超人気校・駒場東邦中学校・高等学校。同校では、中3で、「コンドームの達人」の異名をもつ泌尿器科医の岩室紳也さんによる性教育講演会を行うのが恒例になっている。 (おおたとしまさ:教育ジャーナリスト) 【関連記事】 「彼女が頭いいとなぜムカつく?」東大合格常連校、駒場東邦の中3男子を揺さぶる性差・学歴…「生きづらさ」の深層 「私は『命を大切に』という言葉が大嫌いです。何度その言葉を聞けば命の大切さがわかるというのでしょうか。ひとは経験から学びます。経験していないことはぜんぶ他人事です。私の運命を変えてくれたのはエイズという病気です」
大阪府豊中市と吹田市にまたがる千里丘陵に造成された「千里ニュータウン」は日本初の大規模ニュータウンといわれる。初入居は1962年。その後、日本各地にニュータウンが誕生したが、その多くは人口減少と高齢化に悩まされている。一部では、道路・上下水道といったインフラが朽ち果て、住宅地として機能していない“限界ニュータウン”もあるが、他方で再生の兆しを見せるニュータウンも出てきている。一体その明暗はどこで分かれたのか──。フリーランスライターの小川裕夫氏が分析する。 >>【写真9枚】鉄道整備で街の明暗を分けた「千里ニュータウン」と「桃花台ニュータウン」 日本初の大規模ニュータウンとして誕生した「千里ニュータウン」 2024年3月、北大阪急行電鉄(以下、北急)が延伸を果たした。北急は新たに千里中央駅―箕面萱野駅の約2.5kmを開業させ、大阪府箕面市にも進出した。この延伸により、梅田・天王寺・難波などと
(歴史ライター:西股 総生) 甲府の地をとりわけ重視した秀吉 「甲府は盆地である。四辺、皆、山である」 甲府で新婚生活をスタートさせた太宰治は、同地を舞台にした短編小説『新樹の言葉』を、こんな一文で始めている。 「シルクハットを倒(さか)さまにして、その帽子の底に、小さい小さい旗を立てた、それが甲府だと思えば、間違いない」と。であるなら甲府城は、その小さい旗の掲揚台にたとえられようか。
幼い頃から本の虫だった文芸評論家の三宅香帆氏は、IT企業に就職してまったく読書ができなくなった。週5フルタイムで働き、疲れ、通勤電車や就寝前に本を開いても、ついSNSやYouTubeをぼーっと眺めてしまう。なぜ、働いていると本が読めなくなるのか? 誰もが漠然と感じている疑問に真正面から向き合い解を探った。(JBpress) (*)本稿は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆、集英社新書)の一部を抜粋・再編集したものです。 ■なぜ働いていると本が読めなくなるのか (1)週5フルタイムで働き、疲れ、本を読みたくてもSNSやYouTubeをぼーっと眺めてしまう、そんな生活おかしくないか? (2)「本を読むこと」は人生に不可欠な「文化」、ChatGPTなどAIが仕事を奪う世の中で人間らしい働き方とは (3)男も女も全身全霊ではなく半身で働く…仕事以外の「ノイズ」も聴ける余裕が「働きなが
中国政府が2週間ほど前に打ち出した不動産市場救済策「517房市新政」の効果が見えない。むしろ、共産党中枢に激震が走っているほど、市場の状況は悪化している。 住宅ローンの大幅緩和や売れ残った不動産を大規模に買い上げるプロジェクトを打ち出したが、むしろ狙いは不動産市場の救済ではなく別にあるのではないか。 かつて毛沢東は地主から土地を巻き上げ農民に分け与え、権威の確立とともに経済をコントロールしようとしたが、習近平国家主席も似たような政策を考えているのかもしれない。(JBpress) (福島 香織:ジャーナリスト) 中国経済の危険な兆候がますますはっきりしてきた。 5月17日に中国政府が打ち出した不動産市場救済の切り札、通称「517房市新政」の評価については、専門家たちはいろいろ分析していたが、私はこれは、うまくいかないと見ている。わずか政策発表後2週間にもう失敗だと断言するのは早すぎると言われ
欧州各地でショッピングセンターなどへの放火や破壊工作、航空機を狙ったGPS妨害などが相次いでいる。 各国当局などはロシアの関与を疑っており、北大西洋条約機構(NATO)との「欧露戦争」の前哨戦として「影の戦争」を仕掛けているのではと警戒を強めている。 現地の報道などから、ロシアの関与が疑われる事件の数々を詳報する。(JBpress) (楠 佳那子:フリー・テレビディレクター) 6月6〜9日まで、欧州連合(EU)加盟各国では5年に一度の欧州議会選挙が実施されている。右派の躍進が見込まれているなか、欧州各地では近頃、放火による大規模火災や、亡命外国人に対する襲撃、また民間航空機にも影響を及ぼしかねないGPS妨害などが頻発している。 欧州各国の当局関係者は、各地で起きているこうした事象が、一見、関連性のない個別の事例のようでありながら、実際には「破壊工作」に該当すると指摘。背景にロシアが暗躍し、
生成AIを活用すれば、プログラミング言語やアルゴリズムなどの知識やスキルがない人でもコーディングが可能な時代になった。 だが、最新の研究結果によれば、コーディングが得意な学生は生成AIを活用することで効率的にタスクを処理したが、苦手な学生は生成AIを活用することで、逆にスキルの習得から遠ざかる結果になった。 生成AIによって何でも効率的にできると思いがちだが、AIに頼るにしても、賢くなったのはAIであり、自分自身の継続的なスキルアップが不可欠だ。 (小林 啓倫:経営コンサルタント) 歓迎されるコード生成AI さまざまな分野に普及しつつある生成AIだが、中でも大きな期待が寄せられているものの一つがコーディング(プログラミング)の世界だ。 コード(プログラム)を書くためには、それに使用するプログラミング言語に関する知識と、アルゴリズムを考える論理的思考力が求められる。しかも、コーディングは予算
財務省が発表した対外資産負債残高によれば、2023年末時点の対外純資産残高は471兆3061億円と5年連続で過去最大を更新した。33年連続の「世界最大の対外純資産国」である。 この事実をポジティブに捉える向きも少なくないが、対外純資産残高が積み上がったのは日本国内に期待収益率の高い投資機会が乏しかったため。結果、企業の海外投資が加速し、「戻らぬ円」の割合が膨れ上がった。 今の日本は統計上でこそ黒字だが、キャッシュフローでは断続的に赤字。対外純債務国よりも救いはあるが、対外資産が半永久的に回帰しなければ、純債務国に近いような通貨売りに直面する場面もあり得る。 (唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト) 33年連続世界最大の対外純資産 依然、ドル/円相場は年初来高値圏での推移を強いられている日本だが、5月28日、財務省から2023年末時点の「本邦対外資産負債残高」が公表された。日
シャープは、テレビ向けの液晶パネルを生産する堺工場を停止し、大型液晶パネルの生産から撤退すると5月14日に発表した。2024年3月期の連結最終損益は1499億円の赤字だ。中国企業との価格競争が激しく、採算割れが続いていたのだ。 シャープは、かつて債務超過に陥り、2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った。その鴻海から派遣された戴正呉(たい・せいご)社長が、債務超過の解消等により、見事にシャープ再建を成し遂げたはずだった。 しかし、シャープが鴻海傘下に入って8年――初めて自己資本比率が10%未満にまで落ち込んでしまった。 なぜシャープは「再崩壊」したのか? ある新聞は「液晶撤退が遅すぎた」、ある学者は「マーケティングによる商品開発が悪い」、アナリストは「堺工場運営会社の子会社化が悪い」などと、後出しジャンケンのごとく評論家的にコメントしている。だが、ここから現場で苦闘する経営者
今週月曜日(6月3日)、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領室で、「国政ブリーフィング」を行うと発表があった。2022年5月に大統領就任以来、記者会見嫌いで知られ、これまで一度もこのような会見を開いたことがなかった。そのためある記者は、「すわ、北朝鮮と開戦か?」と脳裏を掠(かす)めたという。 だが、「国政ブリーフィング」に登壇した尹錫悦大統領は、満面の笑顔。話は「石油と天然ガス」に関することだった。以下、少し長くなるが、尹錫悦大統領の発言全文をお伝えする。 4年分の石油と29年分の天然ガス 「尊敬する国民の皆さん、浦項(ポハン)の迎日(ヨンイル)湾沖に、莫大な石油と天然ガスが埋蔵されている可能性が高いという物理探査の結果が出ました。国民の皆さんに、この事実を報告しようと思います。 皆さんよくご存じのように、わが国は1966年から、海底の石油・ガス田の探査を、た
レガシーを超短期間でフルクラウド化、「丸亀製麺」運営のトリドールHD磯村CIO兼CTOが語る「超速DX」の進め方 キーワードは「フルクラウド」「ゼロトラストセキュリティー」「BPO」、店舗ではAI需要予測の導入も 讃岐うどん専門店「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングス(以下、トリドール)。同社では2021年から全社的なDXを進め、短期間でレガシーシステムからフルクラウドへの移行を実現。AIを活用した店舗マネジメントの効率化や自動化などにも取り組んでいる。同社のDXをけん引するCIO兼CTOの磯村康典氏と、デジタルシフトウェーブ社長の鈴木康弘氏がオンラインセミナー「SMBC Group Digital FES 2024」(主催:三井住友フィナンシャルグループ、プラリタウン)で語った、トリドールのDXの進め方、DXを成功させるポイントなどについてレポートする。 デジタル基盤を整え
スパイに対抗するため密告に報奨金 中国では毎年4月15日を「国家安全保障教育の日」と定めている。それに合わせて、中国の情報機関「国家安全部」がメッセージアプリのWeChat(ウィーチャット、微信)で、「イノベーションの進化で、国家安全保障を研ぎ澄ます」と題する30分の動画を公開した。 スペインに本部を置く人権保護団体「セーフ・ガード・ディフェンダーズ」の調査報道(2024年4月23日付)でわかったものだが、同団体によれば、動画の中には中国のテレビで自白した「重大犯罪者」の外国人スパイも含まれているという。 「反スパイ法」が制定されたのは2014年。中国は「敵対的な外国勢力」から深刻かつ絶え間ない脅威にさらされていると主張して、長期にわたって国内で警戒を強めてきた。それが2023年7月、「反スパイ法」が改正・強化されて、「スパイ」の定義として、国家機密および機密情報にとどまらず、「国家安全保
コロナ禍で明らかになったように、科学者など専門家の話を一般的な人に分かりやすく伝えるのは想像以上に難しい。 こうしたサイエンスコミュニケーションの分野で、生成AIの有効性が明らかになりつつある。 反ワクチンや闇の政府、ウクライナ戦争の有無など、様々な陰謀論が渦巻いているが、社会を蝕む陰謀論にどう対処すればいいのだろうか。 (小林 啓倫:経営コンサルタント) パンデミックで露呈した科学コミュニケーションの難しさ 突然だが、ワクチン、特に今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で注目を浴びた「mRNAワクチン」が機能する仕組みについて、皆さんはどこまで理解されているだろうか? いきなり上から目線で始めてしまったが、かく言う筆者もよく分かっていない。「ワクチンを接種すると体内に抗体(ウイルスと戦ってくれるヒーローのような存在?)ができて、病気になりにくくなるんだよなぁ。『mRNAワクチ
「子どもが言うことを聞かない」「どう子どもに接すればいいかわからない」。そんな子育てに悩む親に知ってほしいのが、心理学三大巨頭の一人・アドラーの言葉だ。子育てにおいて親は何を重視し、何を子どもに伝えるべきなのか。長年、アドラー心理学を研究・普及してきた岩井俊憲氏が、アドラーの言葉をわかりやすく「超訳」してお伝えする。 (*)本稿は『超訳 アドラーの言葉』(アルフレッド・アドラー著、岩井俊憲編訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・再編集したものです。 【関連】アドラー心理学:「どうせ自分なんて」が口癖の人たちへ…アドラーが説く、今日の人間社会は「すべて劣等感から生まれた」ということ 親は「信頼できる他者がいる」ことを示せ 親の一番初めにする大きな仕事は、自分の子どもに「信頼できる他者がいる」という経験を与えることだ。 のちに親はこの信頼感を、家族、友人、学校、地域社会、人間社会
赤字ローカル線に未来はないのか――? 人口減・東京一極集中がとどまらぬ中、全国の地方でローカル線の廃線危機が叫ばれている。経済合理性の名のもとに「廃線やむなし」の決断が下されるケースが、今後相次ぐこともありそうだ。一方で世界では、そもそもローカル線は「儲かるわけない」が“常識”なのだという。儲からないローカル線は、いったいどのように運行されているのか。赤字でも「廃止論」が巻き起こらないのはなぜか。路面電車やバスが充実したオーストリアの首都・ウィーンを拠点に研究を続ける柴山多佳児氏が、公共交通の“世界基準”をシリーズで解説する。(JBpress) (柴山多佳児:ウィーン工科大学交通研究所 上席研究員) 5分歩けば駅がある 筆者は交通計画、そのなかでも特に公共交通計画・政策を専門として、ヨーロッパ中部に位置するオーストリアの首都ウィーンの工科大学に勤務している。 ウィーン工科大学は1815年創
東京・渋谷駅周辺では大規模な再開発が進められ、「100年に一度の大規模再開発」といわれているが、「100年に一度」は渋谷の専売特許ではない。都内でも各所で大規模再開発が進められており、中でも中野駅周辺は、中野サンプラザの建て替えのほか、JR中野駅が最先端の駅へとリニューアルされる。そして、駅に直結する大規模商業施設やタワーマンションの建設が進められ、中野区でも「100年に一度の大規模再開発」とうたっている。住宅ジャーナリストの山下和之氏が、変わりゆく中野の街をレポートする。(JBpress編集部) >>【写真】大規模マンション「パークシティ中野」の魅力、ほか 「新宿駅まで5分、東京駅まで20分」のアクセスの良さ JR中央・総武線、そして東京メトロ東西線の停車駅である「中野」。JRなら新宿駅までは乗車時間5分ほど、東京駅は20分、東京メトロだと大手町・日本橋も20分前後で着くなど都心部とのア
コロナ禍で米国の雇用環境は大きく変化、「売り手市場」を背景に賃金上昇が続く。 カリフォルニア州ではファストフードチェーン従業員の最低賃金が20ドル(3000円超)に達した。 働き手には朗報だが、政治家の「人気取り」による人工的な引き上げは、悪影響をもたらす懸念もある。 (水野 亮:米Teruko Weinberg エグゼクティブリサーチャー) カリフォルニア州の規定より4ドル高い最低時給 米国では賃金の上昇が続いている。 カリフォルニア州政府は2024年4月1日、米国内で60店以上を展開するファストフードチェーンの従業員について、最低賃金を時給20ドルに引き上げた。同州では、労働組合の政治的影響力が強い特定産業には、一般的な最低賃金を上回る時給が設定されており、州が定めた2024年の最低時給16ドルを4ドルも上回る水準となった。 時給20ドルは、現在の為替レート(1ドル=156円)で換算す
現在、「新青森駅(青森市)─新函館北斗駅(北海道北斗市)」間を走る北海道新幹線。2030年度末に道都・札幌市の玄関となる札幌駅までの延伸開業を目指していたが、延期する見通しとなった。だが、そもそも札幌延伸によってさまざまな問題が生じてくる恐れがあるという。ライターの小川裕夫氏が、北海道新幹線が抱える「難題」についてレポートする。(JBpress編集部) >>【写真8枚】ミニ新幹線として開業した山形新幹線・秋田新幹線ほか 新幹線の札幌延伸でJRから切り離される「並行在来線」 北海道新幹線を運行するのは北海道旅客鉄道(JR北海道)だが、札幌駅までの延伸は独立行政法人である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が建設主体として工事を担当している。その同機構が延伸開業の延期を正式に発表した。
シェア型書店「BOOK MANSION(ブックマンション)」を運営する中西功。楽天時代にEC事業を経験したことがシェア型書店経営にも生きているという 深刻な出版不況に突入した2000年代。ジャーナリストの故・佐野眞一は、2001年に刊行した『だれが「本」を殺すのか』(プレジデント社)で業界の構造的な問題について言及した。その後も、本を巡る状況は厳しくなる一方だ。それでもさまざまな形で本を届けようとする動きは生まれている。今回取材したのは、各地で開店が相次ぐ「シェア型書店」の名付け親で、楽天出身の起業家。業界注目の新ビジネスモデルは、書店・出版とは無縁だったからこそ生み出せた。(本文は敬称略) (浜田 敬子:ジャーナリスト) 【本連載を初回から読む】 ◎書店業界と決別した風雲児が15年ぶりに復帰、開店した「シェア型本屋」とは 「金属疲労」に蝕まれる書店・出版業界のビジネスモデルと流通 202
新宿のタワーマンションに住む25歳の女性が、51歳男性に刺殺された事件。報道によれば、容疑者は愛車を売り1000万円以上を女性に渡したが、女性に冷たくされ犯行に及んだという。 昨今、いわゆる男性の恋愛感情を利用し金銭を騙しとる「頂き女子」と餌食になる「おぢ」、という関係性が話題になっており、今回の事件と関連づけて論じる向きもある。 作家の橘玲氏はこうした事件が起きるのは「エロス資本のマネタイズが容易になったことが背景にある」と分析。今後も同様の事件が起きると予測する。インタビューを3回に分けてお届けする。 湯浅大輝(フリージャーナリスト) 【連載:橘玲氏に聞く「エロス資本」】 (上)新宿タワマン刺殺事件を「頂き女子」文脈で語ってはいけない…橘玲氏が問う、エロス資本のマネタイズはダメなのか? (中)橘玲氏が「頂き女子りりちゃん」マニュアルを分析…“ギバーおぢ”は単なる「金づる」、ナンパ師との
「新宿タワマン刺殺事件」の被害者はかつてガールズバーを経営していたという。写真はイメージ(写真:Stock image/Shutterstock) 新宿のタワーマンションに住む25歳の女性が、51歳男性に刺殺された事件。報道によれば、容疑者は愛車を売り1000万円以上を女性に渡したが、女性に冷たくされ犯行に及んだという。 昨今、いわゆる男性の恋愛感情を利用し金銭を騙しとる「頂き女子」と餌食になる「おぢ」、という関係性が話題になっており、今回の事件と関連づけて論じる向きもある。 作家の橘玲氏はこうした事件が起きるのは「エロス資本のマネタイズが容易になったことが背景にある」と分析。今後も同様の事件が起きると予測する。インタビューを3回に分けてお届けする。 湯浅大輝(フリージャーナリスト) 【連載:橘玲氏に聞く「エロス資本」】 (上)新宿タワマン刺殺事件を「頂き女子」文脈で語ってはいけない…橘玲
BEVの充電問題 EVについてニュースに上らない日がありません。単なるニュースにとどまらず、必ず賛否両論を伴っているところがEVの“存在としての新しさ”ゆえのことなのでしょう。 議論を伴う最大のものは、充電に関するものです。代表的なものを挙げてみましょう。 ・EVは自宅なり職場で夜中に充電するのが基本。そうすれば、毎朝、満充電の状態で出発することができる。出先での充電はあくまでも継ぎ足し。(集合住宅に住んでいる人のほとんどは自宅で充電できないので、EVは向いていない) ・日本の高速道路のサービスエリアや商業施設の駐車場などに用意されている急速充電器の数量も品質も、欧米や中国などに較べるとあまりにもお粗末。充電器の数自体が少ないし、充電性能も低い。(だから、急速充電器が欧米や中国なみに充実しなければEVは購入したくない) ・いくら“急速”充電器と言ったって、8割まで充電するのに数十分も要して
新宿のタワーマンションに住む25歳の女性が、51歳男性に刺殺された事件。報道によれば、容疑者は愛車を売り1000万円以上を女性に渡したが、女性に冷たくされ犯行に及んだという。 昨今、いわゆる男性の恋愛感情を利用し金銭を騙しとる「頂き女子」と餌食になる「おぢ」、という関係性が話題になっており、今回の事件と関連づけて論じる向きもある。 作家の橘玲氏はこうした事件が起きるのは「エロス資本のマネタイズが容易になったことが背景にある」と分析。今後も同様の事件が起きると予測する。インタビューを3回に分けてお届けする。 湯浅大輝(フリージャーナリスト) 【連載:橘玲氏に聞く「エロス資本」】 (上)新宿タワマン刺殺事件を「頂き女子」文脈で語ってはいけない…橘玲氏が問う、エロス資本のマネタイズはダメなのか? (中)橘玲氏が「頂き女子りりちゃん」マニュアルを分析…“ギバーおぢ”は単なる「金づる」、ナンパ師と
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