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ドラクエ3
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漫画家・藤本タツキが漫画家を描いた「漫画家モノ」としての側面を持つ「ルックバック」。そんな作品の劇場アニメ化にあたり、押山清高が監督を務めたのは必然と言えるかもしれない。『電脳コイル』で作画監督を務めたのち、『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』や宮﨑駿監督作品『風立ちぬ』『君たちはどう生きるか』など数々のアニメ作品の原画を描いた押山は、紛れもなく「絵描き」のアニメ監督だからだ。通常のアニメと異なる「ルックバック」の制作プロセスには、絵描きとしての“共通点”、漫画とアニメの“違い”、その両方が大きく関わっていた。 ※この記事は2024年6月25日に発売された雑誌「Rolling Stone Japan vol.27」に掲載されたものです。 押山監督による描き下ろしのイラストを使用した「Rolling Stone Japan」バックカバー 映画化をめぐる、藤本タツキとの対話 ー原作「ルックバック」
2024年、Tommy february6の再評価が海外を中心に起こり、国内外でその熱が高まっている。 the brilliant greenの川瀬智子が2001年に立ち上げたソロプロジェクト、Tommy february6。the brilliant green自身、J-POPの最前線でオルタナティブなバンドサウンドを鳴らし、1998年にリリースした3rdシングル「There will be love there -愛のある場所-」がダブル・プラチナを超えるヒットを記録するなど高い知名度を誇っていたが、本プロジェクトはスタッフからソロ活動も提案されたことから始まったという。当時は乗り気ではなかったが、セルフプロデュースで好きにしていいと言われて進めていくうちに好奇心が勝ったと、本人は過去のインタビューで語っている。 そのコンセプトは、トレードマークといえるメガネをかけ、ガーリーなファッシ
ティコ(Tycho)を象徴付けるものといえば、究極的にクリーンで、100メートル先の水底を見通せるほどのクリアなサウンドだろう。ただ、そのクリアサウンドを実現するには、ただ聴いただけでは分かり得ない、僅かに音を汚すような手段を用いることで、それを実現している。 今年8月に発表された最新アルバム『Infinite Health』では、グリズリー・ベアーのクリス・テイラーがプロデューサーとして参加しているのも、大きなトピックだ。テイラーがもたらした「汚し方」のアイデアによって、近年の作品にはなかったアナログ要素が付与され、格段に聴き心地が良い。それに、ボーズ・オブ・カナダと比較されたデビュー当初のサウンドと、ティコことスコット・ハンセンの音楽的原点である、フレンチハウスへの標榜もあり、彼の音楽遍歴が交錯する個人史的な作品でもある。 このインタビューでは、彼が究極のクリアサウンドを目指す理由や哲
5度のグラミー賞受賞を誇る現代屈指のボーカリスト、レイラ・ハサウェイ(Lalah Hathaway)。90年代初頭から活動する彼女はデビュー時からずっとトップ・アーティストであり続けているわけだが、2010年代以降の活躍は特筆すべきものがある。多くのアーティストがレイラの声を求め、そこからいくつもの傑作が生まれた。 ロバート・グラスパー『Black Radio』、スナーキー・パピー『Family Dinner』、ケンドリック・ラマー『To Pimp A Butterfly』など、レイラの高い技術と表現力はアーティストたちが時代を切り開くために必要な要素だった。特にロバート・グラスパーは『Black Radio』3部作のすべてで彼女とコラボ。しかも、アルバムの中でも鍵になるようなカバー曲で彼女を起用していた。「Jesus Children」ではグラミーを受賞。レイラの声がなければ『Black
Rolling Stone Japanでサマラ・ジョイ(Samara Joy)にインタビューするのは2回目。グラミー賞で最優秀新人賞と最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムを受賞した際には大きな話題になった彼女だが、その直後の取材でも随分落ち着いていたのを覚えている。そして、受賞の喜びは感じさせつつも、浮ついたところは全くなく、むしろ堅実さを感じさせる話しぶりだった。 その後、ジャズフェスなどでの出演するステージはどんどん大きくなり、更に大きな人気を獲得し、もはやその地位を確立していると言ってもいいだろう。しかし、サマラ・ジョイはいい意味で変わらなかった。その落ち着いた雰囲気のまま、誠実に音楽に向き合っている。 スタンダード曲を歌ったデビュー作に続く、2作目『Linger Awhile』の時点で過去のジャズの楽曲に新たな歌詞を付けて歌ったり、少しずつチャレンジを忍ばせていたが、最新アルバム『P
Rolling Stone Japanでは一昨年、エズラ・コレクティヴ(Ezra Collective)のインタビューを二度行なっている。イギリスの黒人文化らの影響や彼らの音楽に宿るダンスの文脈などを丁寧に聞いてきた。その中でもリーダーで、ドラマーのフェミ・コレオソが語っていた「UKジャズはダンス・ミュージック」という話は特に記憶に残っている。ジャズをダンスミュージックとして機能させることにここまでこだわり、そこにここまで誇りを持っているジャズ・ミュージシャンを僕は他に知らない。 そんなエズラ・コレクティヴは去年、マーキュリー・プライズを獲得した。UKのジャズ・ミュージシャンがようやくこの賞を受賞したことで、シーンはまた一歩先に進んだような気がする。 受賞後、エズラ・コレクティヴはすぐに新作の制作に取り掛かり、『Dance, No One's Watching』を完成させた。UK独自の文脈
HOME ジャズ新世代イマニュエル・ウィルキンスが語る、黒人の歴史と「抽象化」から生まれた未来へのタイムカプセル 2020年のデビュー作『Omega』を発表してすぐに、イマニュエル・ウィルキンス(Immanuel Wilkins)はジャズシーンで最も注目される存在になった。2022年の2作目の『The 7th Hand』では大きな期待を軽々と受け止め、何倍にもして打ち返してしまった。世界中のジャズリスナーがイマニュエルの虜になった。 これまでのスタイルを比較に出して形容しづらいアルトサックス奏者としての個性や、コンテンポラリーでありながら、フリージャズをも飲み込んだヒリヒリするようなスリリングさを共存させた作曲だけでなく、BLMに呼応したメッセージを込めたり、黒人としての自身の中にあるスピリチュアルな側面を表現したり、その作品の背景やコンセプトに関しても卓越している。 イマニュエルの凄さは
HOME エイフェックス・ツイン最大の問題作『Selected Ambient Works Volume II』はなぜ衝撃的だったのか? エイフェックス・ツイン(Aphex Twin)『Selected Ambient Works Volume II』の30周年を記念し、追加音源を加えた新装エクスパンデッド・エディションがリリースされた。リチャード・D・ジェイムスが若干22歳で発表したアンビエントの金字塔はなぜ画期的だったのか? 音楽批評家・八木皓平に考察してもらった。 『Selected Ambient Works Volume II (Expanded Edition)』は日本限定3枚組CDボックスセット(写真)、日本語帯付き4枚組LP、輸入盤3枚組CD、輸入盤4枚組LPでリリース。Tシャツ付セットもあり これまでLP盤のみでしか聴けなかった「#19」、初めてフィジカル・フォーマットで
オアシス(Oasis)はどのようにして、あそこまで大きな“現象”を巻き起こすことができたのか? それを検証するには、彼らを輩出したマンチェスターの音楽シーンと、UKインディ・ロックの90年代前半を振り返る必要がある。 オアシス台頭前夜のUKロックシーン ストーン・ローゼズは1990年5月にスパイク・アイランドで約27000人以上を動員した歴史的なコンサートを行なった後、7月にシルヴァートーン・レコード在籍時最後のシングル、「One Love」をリリース(全英シングルチャート4位まで上昇)。飛ぶ鳥を落とす勢いだった彼らは、シルヴァートーンの待遇に不満を抱き、契約解消を求めて法廷闘争に突入する。多額の前払金を獲得してゲフィン・レコードへ移籍するも、待望の2ndアルバムは制作が遅れに遅れ、一向に完成しない。ようやく出来上がった『Second Coming』がリリースされたのは1994年12月。英
HOME ブルース・スプリングスティーンが語る「アメリカン・ドリーム」の定義、エルヴィス、マイケル、プリンスへの想い ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)の日本独自企画盤『ボーン・イン・ザ・U.S.A.(40周年記念ジャパン・エディション)』が9月25日に発売されたことを記念して、40年前の1984年に掲載された米ローリングストーン誌の16000字カバーストーリーを前後編でお届けする。こちらは後編。 >>>前編はこちら ブルース・スプリングスティーンが語る『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』の真実 富と名声を得た「根無し草」 ―今年はマーケットで広く成功を収めました。『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』ツアーでは全米のアリーナを埋め尽くし、アルバムは世界で500万枚以上を売り上げています。大金持ちになったことで、あなた自身に変化はありましたか。 BS:確かに変わ
サックス奏者のヌバイア・ガルシア(Nubya Garcia)は、UKジャズ・シーンの象徴として君臨してきた。2020年のデビュー作『SOURCE』ではガイアナ共和国の母とトリニダード・トバゴの父をもつ自身のルーツを音楽的に表現し、同作のリミックス版『Source ⧺ We Move』や、2023年発表の「Lean In」ではジャングルやドラムンベース、UKガラージに至るイギリスのクラブ・カルチャーと接続した。Rolling Stone Japanでは過去2回の取材で、それらの部分にフォーカスして話を聞いている。 そんな彼女がニューアルバム『Odyssey』を発表した。ここにはレゲエ×ジャズの最新型といえる「Triumphance」、クラブミュージックとジャズの融合をさらに推し進めた「The Seer」など、過去作からステップアップした姿が記録されている。さらに、即興の自由度が上がり、バンド
2023年1月、ある冬の日の昼下がり、ジンジャー・ルート(Ginger Root)ことキャメロン・ルーは中央線に乗って高円寺駅へと向かっていた。子どものはしゃぐ声と車内アナウンスの他には何も聞こえない静かな車内には、清冽な日差しが差し込んでいる。彼はiPhoneを取り出し、敬愛してやまない日本の音楽を聴き始めた。電車が駅に止まる。忙しなく乗降する乗客たち。座席に一人座ったままのジンジャー・ルートの頬には透明な涙が伝っていた——。 アメリカ・カリフォルニア州出身のアーティスト、ジンジャー・ルート。中華系アメリカ人の3世である彼は、コロナ禍中に山下達郎、細野晴臣、大貫妙子、竹内まりやを始めとした日本の音楽やアニメ、映画などのポップカルチャーに出会い、心酔。この3年間で日本語も勉強し、今では取材を受けられるまでの流暢さになった。テレビや雑誌などで「昭和レトロを現代に甦らせる外国人」というような切
現代の音楽界における最大の叡智を、フローティング・ポインツ(Floating Points)ことサム・シェパードと見做しても、それほど多くの文句は上がらないだろう。クラブシーンでの影響力は言うに及ばず。近年は故ファラオ・サンダースと大傑作『Promises』を共作し、昨年には、バレエ作品『Mere Mortals』がサンフランシスコ・バレエ団によって上演されるなど、ジャズやクラシックの方面でも活躍を見せている。これらは彼がマンチェスターの少年時代を過ごしたチェサム音楽院で培ったものから来るものでもある。 それと同時に、地元のレコードストアで経験した、ダンスミュージックとの出会いこそが、彼の作家としての軸となっている。そんなティーンの頃の原体験と、音楽制作の原点に立ち返ったのが最新作『Cascade』だ。2019年の前作『Crash』の続編という位置付けではあるが、よりフィジカルで、よりアク
ブルーノートはこれまでに山のようなコンピレーションを作ってきた。作っても作ってもどれも違うものになるし、ブルーノートのカタログがいかに豊かで、奥深いものなのかを思い知らされる。CDサイズのたった70分に、このレーベルの魅力をすべて収めるなんて不可能だ。 そんな作業にブルーノートの社長ドン・ウォズがみずから挑んだ。レーベルの創立85周年を記念した『Blue Spirits: 85 Years of Blue Note Records』は彼らしい解釈で、ブルーノートの歴史を切り取った2枚組。現在の視点からブルーノートを聴くための最良の入門編にもなるだろうし、再検証をさりげなく促しているのもさすがだ。 そこで今回は、このコンピレーションを切り口に、ドン・ウォズが今考えているレーベル観や社長としての運営論について話を聞いた。今、ブルーノートは再び最盛期を迎えている。そんな状況を作り出したドンに、そ
ジャイルス・ピーターソン、ブルーイ(インコグニート)がSTR4TAを結成し、アルバム『Aspects』を通じて、歴史のなかに埋もれていたブリット・ファンクの存在を世に知らしめたのが2020年のこと。二人はその後も、2022年の次作『Str4tasfear』でストリートソウルに光を当て、イギリス音楽史の再編を迫るように作品を発表してきた。 そして2024年、ジャイルスと彼が主宰するブラウンズウッド・レコーディングスの次の一手はアシッド・ジャズの再解釈だ。象徴的グループのひとつ、ガリアーノ(Galliano)が復活し、28年ぶりのアルバム『Halfway Somewhere』をリリースした。この流れは、STR4TAで80年代のUKを再検証したあと、そこから連なる1990年代のアシッド・ジャズにも取り組み始めたと言えるだろう。 アシッド・ジャズはよく知られているにもかかわらず、その実態をうまく言
「オアシスは終わった」とリアム・ギャラガーは2019年に語った。「見逃したなら、そいつはファッキン不運だったな」。あれから5年、ノエルとリアムのギャラガー兄弟が来年の再結成ツアーを計画していると噂されており、2009年から活動休止しているバンドにとっては大きなニュースだ。なにせオアシスは、ロバート・プラントが"レッド・ツェッペリン"という言葉を口にするよりも頻繁に、2人の最重要メンバーが再結成の可能性を力強く否定してきたバンドである(かの兄弟はバンドが活動している間、一緒に素晴らしい音楽をたくさん作ってきたが、リアムの誕生まで遡る揉め事に事欠かない)。 再結成についていくつかの疑問も残るなか、ノエルとリアムが「オアシスは絶対に再結成しない」と語ってきた歴史を簡単な年表にまとめた。 ※注:このリストで全てを網羅しようとしなかったのは、コンプリートをめざすと無限大に近づき、インターネットのサー
オアシス再結成ツアーの噂がネット上で広まり始めたとき、イギリスのマスコミがまたもやでっち上げた噂だと片付けるのは簡単だった。ザ・スミスやキンクスの再結成が報じられながら実現に至らなかった例は、これまでにも何度もあった。しかし、今回の報道はデイリー・ミラーやデイリー・エクスプレスといったタブロイド紙から発信されたものではなく、れっきとしたタイムズ紙によるものだ。 "業界関係者は来年の夏、ノエルとリアム・ギャラガーが2009年8月22日にスタッフォードで開催されたVフェスティバル以来、初めて同じステージで再会することを固く信じている。「オアシスは2025年の夏、マンチェスターとロンドンで、それぞれヒートン・パークとウェンブリー・スタジアムで大規模なライブを行う予定だ。ある噂によると、後者の会場は10日間予約されているようで、そうなると今年テイラー・スウィフトが打ち立てた8公演の記録は、わずか1
8月17日・18日のサマーソニックにヘッドライナーとして登場したブリング・ミー・ザ・ホライズン(Bring Me The Horizon)。18日・東京公演の模様をライター・和田信一郎(s.h.i.)がレポート。 【写真ギャラリー】ブリング・ミー・ザ・ホライズン・サマソニ東京公演 ライブ写真(全33点) 本当に素晴らしいライブだった。日本のゲームをオマージュした演出はNEX_FESTの延長線上、今年を代表する傑作となったニューアルバム『POST HUMAN: NeX GEn』のモードというよりはベストヒットの構成だったが、様々な音楽ファンが集まり予備知識なしで観る人も多いフェスの場ではこれこそが正解だった。バンドサウンドは完全にスタジアムクラスになっているのに、持ち前の親密さはまったく損なわれない。ネガティブな感情を慈しみあい無理なく前を向く音楽がこれほどの規模で成り立つのは稀ではないか。
Rolling Stone Japanではモーニング娘。の小田さくらに定期的に話を聞いている。前回はそこに小田と同様、モーニング娘。に1人で加入した櫻井梨央も加わり、より広がりのあるトークを展開した。今回は、久しぶりに2人にご登場願い、この1年半の間にあった出来事を振り返ってもらったあと、新曲「なんだかセンチメンタルな時の歌 / 最KIYOU」やこれからのモーニング娘。についてたっぷり語ってもらった。 【写真をすべて見る】小田さくら+櫻井梨央(ソロカットあり) 小田が最近抱えている悩みとは、ハロー!プロジェクト随一の人たらし櫻井の凄さとは――。モーニング娘。の歴史や伝統にも触れるロングインタビューをじっくり味わってほしい。 ―前回、2人のインタビューが掲載されたのは昨年2月のことでした。まずは、それ以降から2024年の上半期までの活動を振り返っていただけますか。 小田 去年の2月……。 櫻
南ロンドンから頭角を現し、みるみるうちにUK最注目バンドの座に躍り出たザ・ラスト・ディナー・パーティー(The Last Dinner Party)。先日のフジロックでは堂々たるステージングで2日目のグリーンステージを沸かせた。恵比寿リキッドルームでの単独公演も、初来日とは思えない親密な雰囲気を作り出し、さらなる飛躍を予感させた。デビューアルバム『Prelude to Ecstasy』では、ミニマリズムの逆を行くマキシマリズム(過剰主義)的な美学で過去のロックやポップを貪欲に吸収し、自分たちなりにアウトプット。サウンドはもちろん、ヴィジュアルやファン・コミュニティのありかたも興味深い。単独公演が行なわれる数時間前、5人のメンバーのうちアビゲイル、オーロラ、エミリーの3人に、バンドの現在について聞いた。 —まずは読者に自己紹介をお願いします。 アビゲイル:私はアビゲイル。リードシンガーです。
近年のアンダーワールド(Underworld)は再び充実期を迎えている。そんなふうに言われると意外に思う人もいるかもしれない。だが2023年から次々とリリースされている最新シングル群は、90年代の黄金期を彷彿とさせるようなエナジーに満ちたダンストラックばかり。現時点での最新オリジナルアルバム『Barbara Barbara, we face a shining future』(2016年)も円熟期を迎えたバンドの理想的作品として高い評価を得ていたが、それとはまた違った形で、今の彼らはクリエイティビティの高まりを見せているのが感じられるのだ。 となれば、今年のソニックマニア(8月16日開催)やサマーソニック大阪(8月18日出演)でアンダーワールドを観るのは絶好のタイミング。そこで本稿では、90年代の大アンセムから最新曲まで、今の彼らのライブを楽しむために絶対に知っておきたい10曲を厳選して紹
ルイス・コール(Louis Cole)の最新アルバム『nothing』は、まさかのオーケストラとのコラボ作だ。近年はソロやノウワーとして日本でもビッグバンドとの共演を行なっており、アンサンブルへの関心が増しているようなのは伝わっていたが、ここまでやるのか……と正直驚いた。 今回、彼がコラボしたのはオランダのメトロポール・オーケストラ。ジャズを中心にあらゆる音楽に対応できる名門で、過去にはロバート・グラスパーやスナーキー・パピー、ジェイコブ・コリアー、ローラ・マヴーラ、ジェイムスズーやヘンリク・シュワルツなどとも共演している。 そんな世界最高峰のポップオーケストラと手を組んだルイスは、自身のアレンジャーとしての能力を最大限に発揮し、自宅でのDIYな制作環境で生み出してきたこれまでの音楽的魅力を損なうことなく、むしろリスナーの予想する遥か上へと拡張し、そのポテンシャルの高さを見せつけることに成
エスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)がミルトン・ナシメントと連名でアルバムをリリースすると聞いたとき、自分としては何の驚きもなかった。遡ると2008年の『Esperanza Spalding』でミルトンの曲「Ponta De Areia」をカバーし、2010年の『Chamber Music Society』でもゲストボーカリストとして彼を迎えている。その後、エスペランサはコンセプチュアルな作品が続くようになり、カバー曲は姿を消し、ゲストの起用も減っていったわけだが、ミルトンは彼女にとってデビュー当初から一大影響源だった。 そんなミルトンは80歳を迎えた年にステージからの引退を発表し、2022年にヨーロッパ、アメリカ、そして母国ブラジルを回るラスト・ツアーを行った。そのとき、エスペランサは即座に反応し、ミルトンのアメリカでのラストツアーに同行している。 Na
長谷川白紙の『魔法学校』が大きな話題を呼んでいる。フライング・ロータス率いるレーベル、Brainfeederと契約後初のアルバムとなる今作は、前作『エアにに』で挑戦された「声」の実験がさらにもう一歩踏み込んだ形で試されており、結果的に、これまでにないポップさへと昇華されている。 今回はミュージシャンとの共演も多く、ジャズ・ベーシストのサム・ウィルクスが参加した「口の花火」や、KID FRESINOとの共演曲「行つてしまつた」、挾間美帆がホーンアレンジで参加した「恐怖の星」、さらにマスタリング/ミックスエンジニアも数名が参加。初めてオープンになったアーティスト写真、立て続けに公開された「THE FIRST TAKE」の動画など、いま長谷川白紙と作品と聴衆の間には生身の身体が介在しはじめ、新たな緊張感を生んでいるだろう。ソニックマニアへの出演も近づく中、最新の長谷川白紙が捉える世界について、踏
88年にデビュー・シングルにして全英ナンバー・ワン・ヒットとなった「パーフェクト」とその曲を含む名作デビュー・アルバム『ファースト・キッス』(The First Of A Million Kisses:全英第2位)で一躍大人気を得ながら、2作目のアルバムを完成させることなく、90年初頭に解散と、短命に終わった4人組、フェアーグラウンド・アトラクション(Fairground Attraction)。看板歌手のエディ・リーダーと全曲の作詞作曲を手がけるマーク・ネヴィンはそれぞれシンガー・ソングライターとして活躍してきたが、ドラムズのロイ・ドッズ、ギタロン(メキシコのアコースティック・ベース)のサイモン・エドワーズと共に、35年もの年月を経て、このほど遂に再結成を果たした。 そんな彼らが再出発の場所に選んだのが、この日本だった。89年の初来日時に名古屋のクラブ・クアトロのこけら落としに出演した縁
フランスはベルサイユ出身の4人組、フェニックス(Phoenix)はフランスの現代ポップ音楽史におけるエポックメイキングな存在――そう言っても決して大袈裟ではない。彼らはかつて「ロック不毛の地」とされていたフランスから90年代末に登場し、2009年の名作『Wolfgang Amadeus Phoenix』でアメリカを制覇したことによって、それまでの常識を完全にひっくり返した。彼らの盟友ダフト・パンクがフランスの電子音楽を世界に広めた先駆者であるように、間違いなくフェニックスはロックミュージックのそれに当たるアーティストだ。 そんなフェニックスもアルバムデビューから約四半世紀。バンドのこれまでの道のりや歴史を詳しくは知らないという若いリスナーや、最近の活動は見逃していたという往年のファンも少なくないだろう。そこで今回は、ソニックマニア(8月16日開催)、サマーソニック大阪(8月18日出演)での
細野晴臣がプロデュースしたリンダ・キャリエールのアルバム『Linda Carriere』のCDが7月17日に、アナログ盤が8月3日に、アルファミュージックより発売された。 本作品は1977年に細野晴臣とアルファレコード(当時)がプロデューサー契約を結び、その記念すべき第1作としてニューオーリンズ生まれのリンダ・キャリエールのデビューアルバムを山下達郎、佐藤博、吉田美奈子、矢野顕子らの協力で制作したものの、世界戦略を担う当時の海外スタッフの反応が悪く、不運にもお蔵入りになっていた伝説のアルバム。この度、アルファミュージックに保管されていたマルチテープから本アルバムのプロデューサー細野晴臣が立ち合いの元、世界的なエンジニアのGOH HOTODAの最新ミックスが行われ、録音から47年を経て遂に商品化が実現した。 本作について、『細野晴臣と彼らの時代』(文藝春秋)の著者でライター/編集者の門間雄介
2023年に札幌市の高校で結成されたテレビ大陸音頭の台頭は、今年上半期の音楽シーン最大の事件といっても過言ではない。彼らの初シングルにして現時点で唯一の正式リリースである「俺に真実を教えてくれ!!」が6月に入ってSNSで注目を集めると、Spotifyバイラルチャートで3週連続1位を獲得。驚きのサクセスストーリーは地上波のニュース番組でも取り上げられ、その名を日本中に轟かせている。 70〜80年代のポストパンクに影響を受けた鋭いリフ、ぎくしゃくした痙攣グルーヴ。1分34秒を一瞬で駆け抜ける「俺に真実を教えてくれ!!」は、どう考えてもメインストリームのトレンドから逸脱した楽曲で、ここまで型破りなバズも珍しい。そこで調べるうちに、7月1日に東京・渋谷クラブクアトロで開催されるイベント『Pure vibes only ~風景 Landscape~』に出演することを知り、「今見ておかなければ!」とい
7月26日、21時半開演、フジロックの初日ヘッドライナーであるザ・キラーズのステージ。セットリスト中盤に差し掛かった頃、16歳の少年へ語りかける楽曲「boy」を歌い終えて、フロントマンであるブランドン・フラワーズはフロアにいるザ・キラーズのTシャツを着た青年と目を合わせた。「I like your shirt(君のTシャツいいね)」。そう言葉をかけてから、彼が「For Reasons Unknown」を知っているかどうかを確かめて、「Let him come up」とステージへ呼び込んだ。 ステージに上がった青年はブランドンと熱い握手を交わし、ブランドンからグリーンステージ前にいる何万人ものお客さんに向かって「Wataru from Tokyo!」と紹介された。その青年の正体は、16歳の頃にザ・キラーズに魅了されて日本から海外にまでライブを観にいくほどの大ファンである、現在24歳のWata
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