中でもよく話題に上るのが「犬の戦時供出」。しかし、解説する側に近代犬界史の基礎知識がないため、漠然としたイメージや感情論だけで語られがちなテーマでもあります。 たとえば下の画像を見て「軍部によるペット毛皮供出の証拠だ!」と勘違いする人もいれば、「社団法人帝国軍用犬協会を介した在郷軍用犬の調達記録だな」と判別できる人もいるでしょう。戦時下の日本犬界は、その状況ゆえにナカナカ複雑でした。 「戦地の犬」とは別に、今回から「銃後の犬」について解説します。 ※この記事では、昭和6年の満州事変から昭和20年の敗戦に至る約15年を「戦時」としました。 ●昭和16年に栃木県で開催された軍犬購買会の案内状(印刷前の原稿)。 この購買調達システムは、「犬を売りたい飼主」「犬を買いたい陸軍」「仲介窓口の帝国軍用犬協会」の三者で成り立っていました。