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光 東方シリーズに由来する実況動画の定番「ゆっくりボイス」を歌わせ、無名のホームビデオのパッチワークをミュージックビデオと謳い、意味をなさない文章をTwitterに垂れ流し、”映える”わけでもない拾い画をInstagramに投下する……。2021年に登場した覆面アーティスト・耳中華が表現するのは、インターネット匿名文化の残滓をかき集めたような、ナンセンスなユーモアだ。 しかし、このアーティストは単なる”ネタ枠”に収まらない。作品を見聞きすると、コミカルだと思いきやシリアスな気分になるし、不条理なはずなのに納得させられている。それは、支離滅裂ながら奇妙な親しみを感じさせるリリックセンスと、たしかなメロディメイクの才によるものだろう。いつの間にか私たちの意識を正面突破するような、得体の知れぬ魅力が耳中華にはある。 今回、そんな謎に包まれた耳中華にコンタクトをとり、Discordでのチャットイン
dariacoreは死んだのか text by namahoge visual by naka renya 新たなディケードが始まったばかりの2021年、「dariacore」という音楽が一部のマニアの中で話題を呼んだ。 ことの発端は2020年の末頃、SoundCloudの「leroy」というアカウントが矢継ぎ早に投稿した「#dariacore」と冠されたシリーズにある。その狂躁的なサンプリング音楽がインターネットを伝播し、leroyを倣うプロデューサーたちが#dariacoreのタグを付けた楽曲をハイペースで投稿することで、僅かな期間でdariacoreは裾野を広げていった。 このサンプリング音楽について、2021年10月に筆者がインタビューした、国内でいち早く実践を試みたトラックメイカー・hirihiriの言及を引用する。 <<<<< ――dariacoreとは一体何なのでしょうか?
不和の時代を打ち破る「全員友達」という必勝法 残念ながら、2020年代を迎えた我々を待っていたのは、圧倒的な閉塞感と慢性的な憂鬱だけだった。hyperpopの持つどこか病的なアッパー感の裏で流行したサウンドの最大勢力は #depressivebreakcore や #weirdcoreといったジャンルであり、繁華街の片隅にも、アルコールの空き缶や処方薬のシート、不織布マスクなどのゴミが漂う。我々はいくら待っても過ぎない嵐を前に、ひたすら耐え忍ぶばかりの暮らしを半ば強制されている。 ただ、そんな地獄を詰め合わせたパンドラの匣にも、希望は確かに残されている。それは案外笑えるようなものだったりする。そんな希望、つまりは枯渇寸前のポジティブな感情を”VICTORY”の名の下に異常増殖させ、愛知から地球全土に向けて放つのが、”VICTORY HARDCORE”ユニット・BBBBBBBだ。 EBMのB
オタク文化と電子音楽を結びつけた1本の線 オタクカルチャーに広く根を張る「二次創作」の中でも、音楽と近接した創作物は「同人音楽」という特殊なカテゴリに区分される。これはいわゆるインディペンデント・ミュージックとはまた異なるものとして、1980年代後半~90年代初頭の「DTM草創期」あるいは「家庭用シンセサイザーの普及」などとともに発展した文化であると目される。 その中で一際異彩を放ち、オタク発信のファンメイドな創作物でありながらアンダーグラウンドなクラブ・カルチャーと近接したジャンルが存在する。それが「ナードコア」あるいは「J-CORE」と呼ばれる”オタクのためのテクノ”だ。90年代からゼロ年代頃に全盛期を迎え、そして緩やかに衰退していった文化ながらも、現代のネット・ミュージックに今もなお多大な影響を遺している。今回はそんな亜流のジャンルが辿った足跡を、歴史とともに整理していきたい。 Te
電脳的反抗と絶頂 90年代の本邦サイバー・オカルトとメディアアートの地下水脈で暗躍した音楽家、ヘンリー川原の初アーカイブ作品『電脳的反抗と絶頂: エッセンシャル・ヘンリー川原』がエム・レコードよりリリースされる。 今作は、90年代前半におびただしい数の作品を発表した後、表舞台から姿を消したアウトサイダー作家ヘンリー川原の作品を、メディアアートで活動を共にした沖啓介の寄稿と、その作品を果敢に送り出した八幡書店の社主かつ本邦オカルト界のフィクサー、武田崇元のインタビューを交えて検証している(作品解説は江村幸紀)。 収録曲は、挑発的で実験色強いものから、東南アジア音楽を流用したもの、サイバー感が充満したアンビエント・チューン、スピリチュアルなピアノ曲など、楽曲ごとの振り幅は尋常ではない。精神世界とテクノロジーが怪しく交錯したカウンターとしてのオカルト精神が見え隠れし、聴くものを向こう側の世界へ導
Back To Chill Talking Session ”Heavy weight musik from Tokyo”を掲げてきた原点と軌跡
本日19時 世界各国の政府が、COVID-19対策における、リーダーシップ、危機管理能力、ITリテラシーなどを問われているなか、デジタルテクノロジーを巧みに用いた政策で、パンデミックを早期に抑え込み世界中から賞賛の声を集める台湾。なかでもダイナミックなIT利用を主導した「IT担当大臣」の唐鳳(オードリー・タン|Audrey Tang)の手腕に、ひときわ大きな注目が集まっている。 そのオードリー・タンのインタビュー音源をトラックに敷き詰め、彼女が放つ未来に向けたメッセージをヒップホップの言語をもってアンプリファイする、異色のシングルを気鋭のヒップホップトリオ”Dos Monos”がリリース。 発案は、3月にオードリー・タンのインタビューを敢行したコンテンツレーベル黒鳥社の若林恵。インタビューのなかでもとりわけメッセージ性の強いフレーズを選び抜き、Dos MonosのラッパーTAITANに打診
水面下で加速する新しいロックの波 「速さ」をキーワードに掲げ、Us・Waaterと2組のバンドを中心に結成された集団・SPEED。東京のパーティーシーンに突如現れた彼らの存在は、わずか半年のあいだでその名の通り猛スピードで広まっていった。そして先日、新型ウイルス感染予防対策として数々のパーティーが自粛に追い込まれる中、苦渋の末にSPEED初となるオールナイトイベント〈MAX SPEED〉の開催を決行。幸いにもパーティーから罹患者は生じず、娯楽を規制されつつある若者たちに希望を与える一夜となった。 その後も全世界的に厳しい状況が続いているが、速さを追求する彼らの勢いが衰えることはない。レーベル〈SPEED〉としてのリリース、Instagramのライブ機能を利用したWaaterの無観客ライブ、S亜TOHをはじめとしたポストコロナ・プロジェクト #2021survive への参加など精力的に活動
耳に聴こえている美しさを視覚的なものに変換する Gloxhid Christmix 10th Anniversary Edition, TechMas 2017 CD-R, 100 copies Collab with James Roemer Collin Fletcherはアリゾナ州のテンピを拠点にしているグラフィックデザイナー。エレクトロニックミュージックが好きな人なら、彼の名前を知らなくても彼の手がけてきた作品を一度は見たことがある or 持っているのではないだろうか。Ascetic Houseの初期からデザイン面を支えつつも、Tri Angle、Halcyon Veilといったレーベルのアートワークも多く手がけている。2018年、彼の名前はエレクトロニックのシーンを超えて一気に世界的な広がりを見せている。Drakeがリリースした今年の大ヒットシングル『God’s Plan』が収録
2019年、印象に残った5曲 Artwork by Daiki Miyama 微かに紐付けされながらもランダムに配置された参加者。シーンやコミュニティは複雑に交差しているが、そこで記載されている音楽をランクや再生回数で記録する必要はない。数値では測れない熱の渦の中で、新たなディケイドに入っても我々は引き続き「音楽」にフォーカスするだろう。 昨年末に続き、様々な方の今年印象に残った5曲を記録。2019年作という縛りはありません。3日連続で公開の初日。「AVYSS ENCOUNTERS 2019」-DAY1- ・PYUR – “All Others Within Us” ・Sully – “Verité” ・minimal violence – “Persuasive Behaviour” ・Kassem Mosse – “Silica Gel” ・Xao – “Hydroxyapatite”
2010年代初期の日本のインディシーン、その前夜|Teen Runnings × Super VHS × Elen Never Sleeps 当事者による鼎談 話題の中心になるのは主にUSインディと共鳴 / 同期していた2011年から2012年の日本のインディシーンについて。それ以降から現在に到るまでの彼らが見た光も闇も含めた真実。 2011年から2012年、そのたった2年の間で日本と世界では何が起きていたのだろうか。現在、海外のインディシーンで活躍する中堅以降のバンドには、この時期の前後にスタートしたバンドが多いほどに局地的にシーンは膨れ上がっていた。そして、それらの点在したシーンを繋ぎ合わせ、潮流の形成に大きな役割を果たしていたのは世界に無数にあった個人のブログだった。個人ブログが大きな力を持ち、彼らはプレスリリースの文章をコピペするのではなく、自分達が感じた曲への想いや感想をただひた
50組づつ、3回に分けて掲載 先鋭的な音楽シーンのみならずメジャーシーン含め、新しい潮流として注目が集まるデザインスタイル「Acid Graphics(アシッド・グラフィックス)」。 サイケデリックなオブジェクト、エモーショナルな色彩感覚、エッジなフォント、背景は漆黒。90年代のアシッドハウスのフライヤーの影響が色濃く、そのリバイバルとも捉えられるデザインが多数生まれている。Instagramのハッシュタグ「#acidgraphix」には、3万件以上の投稿があり、国境を越えた交流が活発だ。 Oneohtrix Point Neverのジャケットなどで知られるデザイナーDavid Rudnickの作品から波及し、Boiler Roomのロゴデザインを手掛けたJonathan Castro、日本人ではGUCCIMAZEなどがスターデザイナー的な存在として知られ、2010年代後半ならではのデザイ
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