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衆院選
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東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻の岩崎渉教授の大学公式Webサイト。「お探しのページは見つかりませんでした。」と表示されている(出所:同Webサイトのスクリーンショット、2024年4月11日撮影) バイオインフォマティクス領域の著名な若手研究者である東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻の岩崎渉教授の大学公式Webサイトや研究室Webサイトが、2024年4月初めごろに突然閉鎖された。また、科学技術振興機構(JST)が運営する研究者データベースの「researchmap」からも岩崎教授のページが無くなった。岩崎教授は2023年度時点で数十人規模の学生・研究員が所属する比較的大きな研究室を主宰している。しかし、これまでのところ、本人や東大から何の発表もなく、関係者からは心配の声が上がっている。 本誌が2024年4月11日に東大本部広報課に問い合わせたところ、広報課
3週間に1回、金曜日のメルマガを担当している日経バイオテク副編集長の河野修己です。 本日から開催中の日本遺伝子治療学会学術集会を取材するため、大阪にやってきました。今年の大会長は大阪大学の森下竜一教授です。 さてこの森下教授が旗振り役となって4月に新規導入されたのが、「機能性表示食品」という制度です。特定保健用食品(トクホ)は臨床試験データを基に申請を行って国の承認を取得しなければならず、時間と金がかかり過ぎるとの批判がありました。 一方、機能性表示食品は、ピアレビュー付きの学術誌に論文が掲載されているなど事業者自らが機能性の根拠を示し、届け出を行うだけで機能性表示が可能になるという制度です。国による審査はありません。ただし、事業者は何を根拠としているかを具体的に開示しなければならず、この点はトクホよりも優れていると評価されていました。 7月15日時点で消費者庁に届け出があったのは全部で5
エラグ酸(Ellagic acid)は抗酸化物質であるポリフェノールの一種。果物や野菜に含有される機能性食品素材で、イチゴ、ラズベリー、クランベリーなどベリー類やザクロの果実などに多く含まれる。エラグ酸を含むサプリメントは数多く商品化されており、内臓脂肪の低下や老化防止などに効果があるとパッケージに表示されている。ただ、過剰なヘルスクレーム(機能性に関わる表示)に対して米食品医薬品局(FDA)は警告を発している。 植物は紫外線など有害な光から身を守るため、フェノール系の化合物を体内で生成する。エラグ酸は植物体内で多数重合して、タンニンの形で存在する。ヒトが摂取すると、加水分解されてエラグ酸が再生成される。 消費者庁が提供する機能性表示食品の届出情報検索によると、エラグ酸を機能性関与成分とする届出は101件ある(2023年2月時点、以下同)。そのうち販売中の商品は38件で、大半の製品は脂肪の
日経バイオテクは、文部科学省の「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和3年度)」などから全国に85ある国立大学法人の賃金情報を収集。役職別に平均年齢と平均年収、最高年収、最低年収を整理して、表にまとめた。 本記事では全国の国立大学について、本務職員(教授・准教授・講師・助教・助手)の賃金情報を掲載した。一部の大学では、職種によっては該当者が少なく、個人の特定につながるとの理由などから情報が開示されていない場合もある。また、2020年4月に名古屋大学と岐阜大学が運営法人を統合したことから、「東海国立大学機構」の項目に併合したデータを記載した。 国立大学の職員の給与は、他の大学の職員や国家公務員の給与を参考にして設定されている。そのため、役職別の平均年収に大きな差は見られなかった。なお、教授の平均年収で最も高額だったのは、東京大学の1193万円だった。
日経バイオテクは、文部科学省の「独立行政法人、国立大学法人等及び特殊法人の役員の報酬等及び職員の給与の水準(令和3年度)」など所管省庁が公開している資料から、バイオ分野の研究で実績のある国立研究開発法人(国研)の賃金情報を収集。役職別に平均年齢と平均年収、最高年収、最低年収を整理して、表にまとめた。 調査対象は、バイオ分野の研究で実績のある(1)理化学研究所、(2)産業技術総合研究所、(3)医薬基盤・健康・栄養研究所、(4)農業・食品産業技術総合研究機構、(5)水産研究・教育機構、(6)国際農林水産業研究センター、(7)海洋研究開発機構、(8)森林研究・整備機構、(9)量子科学技術研究開発機構、(10)物質・材料研究機構──の10法人とした。 本記事では各法人について、研究職員の賃金情報を役職別に掲載した。役職によっては該当者が少なく、個人の特定につながるとの理由などから情報が開示されてい
理化学研究所が2023年3月末に、研究者600人を雇い止めするというニュースが、2022年3月下旬に報じられた。トップの解雇によって部屋やチームがなくなるため職を失う研究者が300人もいるのは気の毒だ。一方で10年の雇用期間が終了して雇い止めになる残りの300人は、厳しい言い方かもしれないが、研究の「プロフェッショナル」である以上、やむを得ないだろう。ひとくくりに、研究者の雇用不安の問題にするべきではない。 理研非正規雇用問題解決ネットワーク(理研ネット)は2022年3月7日、理研の松本紘理事長(当時)に「2023年3月末の約600人の研究系職員の雇い止めを撤回してください。無期転換ルールの適用を意図的に避けるための雇用上限は撤廃してください」との要請を、署名と共に行った。3月23日に松本理事長から、要請には応じられないと正式に回答があった。 そこで理研ネットは3月25日午前、末松信介文部
塩野義製薬は、2022年2月25日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して開発中の経口抗ウイルス薬(開発番号:S-217622)について臨床試験結果を発表した。第2/3相試験のうち、第2b相部分の主要評価項目について、抗ウイルス効果に関する1つ目の項目は達成し、症状改善効果に関する2つ目の項目は未達だった。今回の解析結果などを基に、国内で製造販売承認申請を行ったことも明らかにした。 S-217622の第2/3相臨床試験は、(1)軽症/中等症患者と無症候/軽度症状のみの感染者合計69例を対象とした第2a相部分、(2)軽症/中等症患者428例を対象にした第2b相部分、(3)軽症/中等症患者1260例を対象とした第3相部分、(4)無症候/軽度症状のみの感染者約300~600例を対象とした第2b/3相部分──から構成された多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験。うち、(3)と
S-217622は北海道大学と塩野義の共同研究から創製された経口の低分子薬だ。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はウイルスを増殖する際に3CLプロテアーゼを利用するが、S-217622が3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制すると考えられている。 塩野義製薬はS-217622の第2a相試験で、軽症、中等症および無症候のSARS-CoV-2感染者にS-217622を5日間反復投与して抗ウイルス効果を検討した。また、同試験の開始から28日目まで、フォローアップ期間として被験者の観察を続けた。被験者69例からPCR検査で陰性だった22例を除き、残りの47例をITT(Intention To Treat)集団とした。そして47例を、(1)プラセボ群17例、(2)S-217622の低用量群16例、(3)S-217622の高用量群14例──の3群に分けた。
米国研究製薬工業協会(PhRMA)は10月28日、「次期薬価制度改革に向けたPhRMAの見解について」と題する記者会見を開催した。James C. Feliciano在日執行委員会委員長は、「日本の医薬品市場は主要国の中で最も魅力がない」と指摘。続けて、「その最大の要因は、度重なる薬価引き下げにより、研究開発に投じた費用を回収できるのか不明瞭なことだ」と説明した。そして、2022年の薬価改定に向けて3つの改革案を提示した。 この記事は有料会員限定です 会員の方はこちら ログイン 2週間の無料トライアルもOK! 購読に関するご案内 ※無料トライアルのお申し込みは法人に限ります。(学生や個人の方はご利用いただけません)
日本の株式市場に上場するバイオベンチャー企業の株価を週ごとにウォッチしていく「バイオベンチャー株価週報」。2021年10月8日金曜日の終値が、前週の週末(10月1日)の終値に比べて上昇したのは4銘柄、下落したのは43銘柄、不変だったのは1銘柄だった。今週も連日の大幅な株安に引っ張られて、バイオ関連銘柄は全体的に軟調だった。 この間、上昇率の第1位はそーせいグループで、+2.1%だった。第2位はヘリオスで+1.2%、第3位はファーマフーズで+0.7%と続いた。一方、下落率では大きい順にペプチドリームが-16.1%、レナサイエンスが-14.3%、キッズウェル・バイオが-11.1%となっている。 ペプチドリーム(2983円、前週比-16.1%) 今週のバイオ株の中で最大の注目銘柄は、ペプチドリームだろう。ここのところ株価の下落が続いており、ついに3000円を割り込んでしまった。同社の株価が300
厚生労働省は2021年9月14日付の人事で、大坪寛子氏を審議官(医政、医薬品等産業振興、精神保健医療、災害対策担当)に就任させた。医政局審議官は医薬品産業振興などを担当し、内閣府の健康・医療戦略推進事務局(以前の内閣官房健康・医療戦略室)の次長を自動的に併任するため、政府の健康・医療政策の中核に返り咲いたことになる。いわゆる大坪氏問題の再燃にバイオ業界は警戒感を募らせている。 この記事は有料会員限定です 会員の方はこちら ログイン 2週間の無料トライアルもOK! 購読に関するご案内 ※無料トライアルのお申し込みは法人に限ります。(学生や個人の方はご利用いただけません)
米食品医薬品局(FDA)がアルツハイマー病の治療薬として、米Biogen社の「Aduhelm」(アデュカヌマブ)を迅速承認してから約1週間。今回の迅速承認を巡っては、患者や家族、医療・介護者などから歓迎の声が上がる一方、今もなお専門家や業界関係者の間で物議を醸している。 報道によれば、2021年6月13日までに、FDAの末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(Peripheral and Central Nervous System Drugs Advisory Committee)を務める11人の専門家のうち3人が、今回の迅速承認を受けて相次いで辞任した。そのうちの1人は、「今回の迅速承認は、近年の米国での医薬品の承認の中でおそらく最悪の決定だ」と述べるなど波紋が広がっている。 臨床的有用性について2本の第3相臨床試験では相反する結果 いったい、今回の迅速承認のどこが問題なのだろうか──。多くの
京都大学大学院医学研究科の高橋克准教授(現北野病院[大阪市北区]歯科口腔外科主任部長)らの研究グループは2020年2月15日、骨形成蛋白質(BMP)シグナルを活性化する中和抗体を用いることで、マウスやフェレットで歯の形成および再生に成功したと発表した。無歯症のモデルマウスで新たな歯が形成された他、ヒトと同じ二生歯性(乳歯から永久歯に生え変わる)のフェレットでは第三の歯が誘導された。歯の再生医療につながる研究成果で、まずはヒトの先天性無歯症治療薬として医師主導治験による臨床開発を行いたい考えだ。 この記事は有料会員限定です 会員の方はこちら ログイン 2週間の無料トライアルもOK! 購読に関するご案内 ※無料トライアルのお申し込みは法人に限ります。(学生や個人の方はご利用いただけません)
2020年、世界に感染が広がり、医療だけでなく経済にも大きな影響を与えている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。しかし、製薬企業やバイオ企業が異例のスピートで研究開発を進めた結果、第3相臨床試験で有効性・安全性がが示されるワクチンが出てきた。第3相臨床試験でのデータに基づき、12月2日に世界で初めて英国で、続く11日には米国でCOVID-19ワクチンが認可(緊急使用許可)を得た。 英国と米国が緊急使用を一時的に許可したのは、米Pfizer社とドイツBioNTech社がCOVID-19に対して開発していたmRNAワクチン(開発番号:BNT162b2)。既に英国では、優先接種の対象である高齢者などの接種がスタートしている(米国でも14日から接種を開始)。他にも、米Moderna社のmRNAワクチン(mRNA-1273)、英Oxford大学と英AstraZeneca社のウイルスベクター
北里研究所は2020年9月17日、北里大学病院(神奈川県相模原市)で、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を対象に、抗寄生虫薬である「ストロメクトール」(イベルメクチン)の医師主導治験(第2相臨床試験相当)を開始すると発表した。2020年5月の段階で、医師主導治験の開始に向けた準備を進めていた。既に治験薬の手配は進んでおり、近く患者への投与が開始される見通しだ。
米Pfizer社とドイツBioNTech社は、2020年11月9日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して開発中のmRNAワクチン(開発番号:BNT162b2)の第3相臨床試験(米国の臨床試験データベースの登録番号:NCT04368728)について、中間解析を初めて実施した結果、90%を超える有効性が示されたと発表した。あくまで中間解析の結果ではあるが、発表を受けて日米欧の株価は大幅に上昇している。 第3相臨床試験は、18歳から85歳の4万3998例の被験者を対象として、BNT162b2接種群またはプラセボ接種群に1対1で割り付け、安全性と有効性を評価するランダム化観察者盲検試験(観察者である医師にのみ割り付けを隠蔽した臨床試験)。2020年7月から、米国、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、ドイツなど複数国の154施設で実施されている。これまでに4万3538例の被験者が登録
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発が急ピッチで進められている。新型コロナワクチンに適したモダリティは何か、開発期間短縮化の影響はあるか、懸念材料だった接種後増悪は今どうなっているか、ワクチンの有効性はどの程度期待できるのか――。開発現場の取材を通じ、見えてきた4つの課題の現状を検証した。 今回、世界で進んでいるワクチン開発の最大の特徴は、古典的なものから先端的なものまで、多様なモダリティ(治療手段)のワクチンが一挙に開発されていることだろう。公衆衛生上の緊急事態に、製薬企業やベンチャー企業、アカデミアが自ら保有する基盤技術を活用し、続々とワクチン開発に参入している状況だ。主なものだけでも、(1)ウイルスベクターワクチン、(2)mRNAワクチン、(3)DNA(プラスミド)ワクチン、(4)組換え蛋白質ワクチン、(5)組換えウイルス様粒子(VLP)ワクチン、(6)不活化ワ
国立国際医療研究センター(NCGM)国際感染症センターの大曲貴夫センター長、齋藤翔医師らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者を対象に実施しているレジストリ研究の中間解析結果について、2020年9月30日、オンラインで記者会見を開催。国内では、2020年5月までの第1波の入院症例に比べて、2020年6月以降の第2波の入院症例では、あらゆる年齢層において死亡率が低下していることが明らかになった。 NCGMが中心となって進めているレジストリ研究「COVIREGI-JP」は、2020年1月以降、COVID-19と診断され、医療機関で入院管理されている症例を対象に現在も実施されている。2020年9月28日時点で、研究に参加しているのは802施設、登録症例数は累計で1万84例に上る。 研究グループは今回、レジストリが開設されて以降、2020年9月4日までに登録さ
バイオの専門情報が毎日届くメルマガ(無料)の登録はこちらから 「日経バイオテク」の無料試読のお申し込みはこちらからお進みください。 新型コロナウイルス感染症(COVD-19)のパンデミックが続いているが、幾つかの国では第1波は着実に収束に向かっており、完全に収束した国も出てきている。それぞれの国での感染率や死亡率などが出揃ったところで、日本や東南アジアでの死亡率が欧米や南米に比較して2桁少ないことが注目され、その背景として幾つかの可能性が示唆されて、検証が始まろうとしている。 その1つは、BCGワクチンの接種が何らかの役割を果たしているのではないかとの考えであり、別の1つは、ウイルス抗原の提示に関与しているヒト白血球抗原(HLA)の違いによるのではないかという考えである。どちらもあり得る仮説ではあるが、個人的により高い可能性を持った仮説として、先日報告された「交叉反応性T細胞」による免疫記
新型コロナウイルス感染症に対する抗ウイルス薬「アビガン」(ファビピラビル)の臨床研究を行っている藤田医科大学は、2020年7月10日、有効性に関して統計的有意差は見いだせなかったとの暫定的な結果を発表した。ただしサンプルサイズを拡大すれば有意差が得られる水準であったことを踏まえ、研究責任医師の同大学医学部感染症科の土井洋平教授は「ファビピラビルは有効である可能性がある」と評価した。 同研究は、ファビピラビルのウイルス量低減効果を主な評価項目とした多施設非盲検ランダム化比較試験で、3月上旬から89人の患者が参加した。ファビピラビルの通常投与群(1日目から内服)と遅延投与群(6日目から内服)に分け、ウイルスが既に消失していた患者などを除き、通常投与群36人、遅延投与群33人で解析した。 累積ウイルス消失率はハザード比1.4で高い傾向 その結果、主要評価項目の「6日目まで(遅延投与群が内服を開始
「役に立たない」と言われていた図形が、熱中症予防の切り札になる。あえて「はしっこを歩いてきた」という、京都大学大学院人間・環境学研究科の酒井敏教授。教授には、真ん中を歩いているだけでは見えないものが見えていた。 数学者に負けた 「これを思いついた瞬間、してやられたと思いましたね。完全に数学者に負けました」 と笑うのは、京都大学大学院人間・環境学研究科/総合人間学部の酒井敏教授。座っているのは京都大学構内にある食堂前の休憩場所。頭上には藤棚のような日除けがあり、よく見ると奇妙な三角形の連続でできている。2006年に教授が作り出したフラクタル日除けだ。人工物でありながら木陰のような「涼」を作り出すとして注目され、2009年のグッドデザイン賞金賞も受賞した。 フラクタルとは、図形の一部分と全体が相似形をなしているものをいう。シェルピンスキーの三角形と呼ばれる図形はとくに有名だ。正三角形の各辺の中
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチンが、世界中から熱望されている。2020年5月22日に世界保健機関(WHO)が発表した「Draft landscape of COVID-19 candidate vaccines」によれば、世界では、100品目以上のワクチンの開発が進められており、10品目で臨床試験が実施されている。そんな中、ワクチン開発に追い風となる知見が発表された。 有効なワクチンを開発するためには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の病因についての情報だけでなく、感染した患者のSARS-CoV-2に対する免疫応答に関する情報が必要であるが、そうした報告はこれまでほとんど無かった。特に、(1)感染した患者の免疫系によってSARS-CoV-2に対してどのような免疫応答が誘導されているのか、(2)その免疫応答は持続するのか、(3)自然界に存在する、いわゆる
厚生労働省は、2020年5月15日、日本医療研究開発機構(AMED)の研究班が日本赤十字社の協力を得て取りまとめた「抗体検査キットの性能評価」の研究結果を公表した(表1)。しかし、今回結果が公表された性能評価の研究については、複数の業界関係者から「そもそも研究のデザインからしておかしいのでは」と根本的な指摘が幾つも出ている。 「性能については、なかなか一概には判断できないことが分かった」 まず、公表された「抗体検査キットの性能評価」の研究結果について振り返りたい。厚労省が公表した結果によれば、今回研究で使用された抗体検査は、A社からE社まで5社のキットや試薬だ。うち、4社は、イムノクロマト法(ICA法)を使って、新型コロナウイルスに対する抗体の有無を調べる定性のキットであり、1社は、化学発光免疫測定法(CLIA法)を使って、新型コロナウイルスに対する抗体の有無を調べる定性の試薬だった。いず
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して、免疫があるかどうかを調べる抗体検査に注目が集まっている。抗体検査とは、被検者の血液や体液中に、細菌やウイルスなどに対して反応する抗体(IgGやIgMなど)があるかどうかを調べる検査だ。血清などを検体に使うことから、海外では、血清検査(Serology Testing、Serological tests)とも呼ばれる。 「抗体検査」とは一体何か? 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しては、被検者の鼻咽頭(びいんとう)拭い液や咽頭拭い液の中の、新型コロナウイルスのゲノム(RNA)があるかどうか調べる「PCR検査」が行われている。また、被検者の鼻咽頭拭い液や咽頭拭い液の中に、新型コロナウイルスの蛋白質があるかどうかを調べる「抗原検査」の実施も始まった。これらはいずれも、“新型コロナウイルスの存在そのもの”の有無を調べるための検査で
COVID-19の収束シナリオとその後の社会、経済について分析する寄稿の第6回⽬は、第4回で紹介した4つの経済回復シナリオをベースに、今後考えられる変化と中長期的な世界観を各シナリオについて考察する。 図10に、4つの経済回復シナリオに基づき、考えられる社会や生活の変化と、その先にある世界観を整理した。一般市民の移動が制限されることによって、地方都市の活性化やデジタル化が進行する。ただ、移動制限の程度や期間、つまりシナリオの種類によって、行き着く先の世界観は異なると考えられる。 早期収束でもリモート化が進展 まず、アップサイドのシナリオについて触れる。これはワクチンの早期開発により感染が収束し、経済がV字回復するシナリオである。この場合、短期的な移動制限により人々の活動の主体がベッドタウンなどの居住都市に移行することで、居住都市のローカルエコノミーが発展すると考えられる。 移動規制中にEC
厚生労働省は2020年5月13日、みらかホールディングス子会社の富士レビオが承認申請していた新型コロナウイルスの抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」を承認し、同日の中央社会保険医療協議会(中医協)で保険適用の検査費を6000円に定めた。行政検査となる場合は全額公費負担となる。まずは患者発生数の多い都道府県で帰国者・接触者外来を持つ医療機関や特定機能病院から供給が開始される見込み。 陽性ならほぼ確定だが、陰性は精度低くPCRが必要 同キットはイムノクロマト法でウイルス抗原を検出する。鼻咽頭拭い液を含む検体を滴下し、約30分後までに判定ラインの有無を確認することで感染の有無を判定できる。同キットは診療の現場で陽性者を早急に検知するのに有用で、使用ガイドライン案では、陽性の場合には確定診断として扱えると記載された。一方、陽性一致率が低いため除外診断には適さず、陰性であっても確定診断
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全世界で猛威を振るっている。欧米だけでなくアフリカ大陸でも感染が拡大、1日当たり数千人が死亡する状況が続いている。COVID-19はいつ、どのような形で収束に向かっていくのであろうか。そして収束後はどのような社会が待っており、経済はどう回復していくのか。現時点の情報に基づく分析を行った。 COVID-19のまん延は何が課題なのか COVID-19の収束シナリオを論じる前に、基本的な情報共有をしておきたい。寄稿の第1回目は、COVID-19はなぜここまで感染が拡大し、世界中で猛威を振るっているのかを確認しておきたい。 まず挙げられるのはその感染力である。現在判明しているCOVID-19の基本再生産数(R0)は1.4から2.5とされ、通常の季節性インフルエンザと同程度と考えられている。この数値は同じコロナウイルスである重症急性呼吸器症候群(SARS
COVID-19の収束シナリオとその後の社会、経済について分析する寄稿の第4回⽬は、前回紹介した感染収束のシナリオをベースにしながら、経済活動の回復に関する4つのシナリオについて触れたい。 COVID-19の収束には集団免疫が必要で、「ワクチンの早期開発」「集団免疫の獲得」の成否によってシナリオが3つに分かれることを前回説明した。しかし経済活動の回復については要素がもう1つ加わる。COVID-19が収束していない中では、「一定の経済活動を許容しながら感染をコントロールしていく」のか、あるいは「感染制御のために強い経済活動への制限をかける」のか、どちらかを選択しなければならないからだ。 そうした視点で分岐を新たに加えると、経済回復のシナリオは図7の通り4つに整理される。最も明るいシナリオ(アップサイド)では1、2年で収束し経済がV字回復するが、最も暗いシナリオ(ダウンサイド2)では収束前に経
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