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都知事選
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20年ぶりに新しいデザインの日本円紙幣が発行された。偽造防止のための最新のホログラム技術を世界で初めて採用し、誰でも利用しやすい「ユニバーサルデザイン」を取り入れるのが主な目的とされる。しかし、その導入には多大な混乱を伴う。これは吉と出るのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が分析する。 新紙幣導入に伴う多大なコスト 7月3日、日本は20年ぶりに3種類の新紙幣を発行した。 しかし、この変更は、それほど簡単でも、低コストでもない。日本には現金が必要な自動販売機や発券機が390万台もある。労働力不足が深刻で、政府がキャッシュレス化を推進するこの国で実施するというのは、信じがたいことだ。新しいデザインの紙幣は、インフレを促進するか、抑制するかだが、どうなるか予測するのは非常に難しい。 最新の偽造防止技術一式が用いられたこの紙幣は、魅力的で印象的だ。1000円札にはノーベル生理学・医学賞の最終候補
資本主義とは相いれない 斎藤はベルリンのフンボルト大学に留学し、エコロジーに関するマルクスの視座についての研究で博士号を取得した。2016年には、マルクスの「エコソーシャリズム」に関する学術書を出版。同書の英訳版は、マルクス主義の伝統に基づいた著書に対して与えられる権威ある賞、ドイッチャー記念賞を受賞した。 同時期、環境活動団体のあいだで数十年にわたり議論されていた脱成長理論が、ヨーロッパでブームとなった。斎藤はティム・ジャクソンやギオルゴス・カリス、ケイト・ラワースなどの著作を読みはじめたが、これらの理論家はみな、地球という惑星には限界があり、人類がそれを超えてしまえば大きな混乱は避けられないと主張している。 それまでも、トマス・マルサス以降の思想家たちは人口拡大の限界について語ってきたし、ときにはそこに物議を醸す主張が含まれていた。たとえば、ポール・エーリックは1968年のベストセラー
「クレイジーなアイデア」 自分がおかしいやつだと思われていることを、斎藤幸平は自覚している。それこそが大事なポイントなのではないか、と最近ニューヨークを訪れたこの日本人哲学者は私に語ってくれた。 「たぶん、ショックを受ける人も多いでしょうね」と彼は言う。「このクレイジーなやつは何を言っているんだ? って」 そのクレイジーなアイデアというのが、「脱成長コミュニズム」だ。それぞれ単体でも賛否両論ある概念を、二つもくっつけているのだ。 経済の成り行きと炭素排出量は常に相関関係にあり、したがって気候変動への最善の対策とは、富裕国における消費を縮小させ、エネルギー需要を生み出しGDPを拡大させる「原料処理量」を削減することだと、脱成長理論は主張する。 脱成長ムーブメントは近年、とりわけヨーロッパや学術団体において勢いを増してきた。その理論には劇的な含意があり、贅沢な近代的生活を維持するためのカーボン
米ハーバード大学政治学教授のスティーブン・レビツキーは、2024年11月におこなわれる米大統領選が、どのように民主主義に影響するとみているのか。崩れゆく米国政治に改革をもたらすことは可能なのだろうか。スペイン「エル・パイス」紙がインタビューした。 トランプに追い風 ──11月の米大統領選で、米国の民主主義は危機にさらされるのでしょうか? それはもう疑う余地はありません。といっても、米国がロシア流の権威主義に向かっているとは思いません。権威主義に反対する勢力、米国の民主主義を守る力は、少なくとも中期的には充分、強力です。 どちらかというと、ハイブリッドな体制に向かう危機になるのではないかと思っています。つまり権力が乱用され、メディアや反対勢力に対するある程度の弾圧や攻撃、また一定の暴力が見られる可能性がある「競争的権威主義」ということです。トランプは、民主主義の基本的なルールを破る意思がある
「彼らは『人皮面具』を使って犯罪行為をしている」と上海の朝刊紙「新聞晨報」は断じる。この面具はより具体的にいえば、シリコンマスクのことで、一般的には映画や芸術の分野で使われている。 中国の多くの都市で、警察はこうしたマスクの危険性を警告している。自らの正体を隠したい犯罪者らの新たな手段になっているからだ。 江蘇省の徐州市では、住居侵入窃盗事件20件ほどがシリコンマスクをかぶった容疑者1名によるものだったことを警察が突き止めた。容疑者は変装して「顔を変え」、警察から逃れようとしていたと同紙は説明する。 上海市では、ひとりの泥棒が老人男性に見えるマスクをかぶって、民家4戸に侵入した。この泥棒は、10万元(約220万円)以上に相当する物品を盗んだと同紙は報じている。 マスクが社会リスクになりつつある 「シリコン顔面マスクは社会リスクになりつつあり、われわれは自らの顔を守らねばならない」と「光明日
「kawaii」、「emoji」、「sushi」などとともに、「hentai」も海外へ流出した日本語の一つだ。だが、日本での「変態」とは少々意味が異なり、海外での「ヘンタイ」は漫画やアニメのジャンルの一つ、「ポルノ漫画」、「ポルノアニメ」を意味する。 「ファンタスム(幻想)」はどこで生まれるのか──? ポルノ関係者にこの質問を投げかければ、「日本」という答えが返ってくる可能性が高い。数字は明白に示している。大手ポルノ共有サイト「Pornhub」で、2019年からもっとも多く検索されたワードは「ヘンタイ」(ポルノ漫画、ポルノアニメ)、そして2番目は「日本人」である。 この流行は世界的なもので、ポーランドからメキシコまで、男女問わず長く続いている。まったく驚くべきことだ。 そこで数々の疑問が浮かぶ。長らく青少年のコンテンツだった漫画が、どうして大人の隠れ場に入り込んできたのだろうか? 文化的に
経済学者のタイラー・コーエンは、自身のポッドキャスト番組に社会心理学者のジョナサン・ハイトを招き、悪化が懸念される子供たちのメンタルヘルスについて議論を交わした。 親の政治的信条が子供に与える影響はあるのか、SNSに人類が適応するのは可能なのか──などコーエンが投げかける話題は多岐に渡る。 米国を代表する知性二人による刺激的な対話から見えてくる私たちの未来とは?
名声経済に飲まれるZ世代 ジョナサン・ハイト(以下ハイト): 私の学生と話していると、Z世代の人たちはオンライン上の人間関係を維持するために毎日何時間も費やしています。これが彼らの生活の大部分を占めており、ほかのことに注意を向ける余裕がほとんどありません。 30歳未満で多大なインパクトをもたらしたインターネット界の人物がいないことはOpenAIのCEOサム・アルトマンも指摘しています。 しかし、あなたはZ世代がもっとも創造的で生産的な世代だと語っていましたよね。誰かZ世代で世界に大きな影響を与えた人たちを挙げられますか?
医療制度の改善が先 前編で紹介したアリソンの事例は、医療・社会福祉制度が破綻し、恥ずかしいほど長い治療の待機者リストと、他国と比べて低いがんの生存率という背景がありながらも、安楽死導入へとまっしぐらに向かおうとする英国などの国に疑問を投げかける。 アリソンは、こうした改革に向かう人々に何を伝えたいだろうか? 「まず、医療システムを改善してから安楽死導入を検討せよと言いたいです。さもなければ、それはとても危険な一歩となります。私たちには、死を選ぶ前に適切でタイムリーなケアを受ける資格があるのですから」 世界に先駆けて安楽死を導入したベルギーやオランダを取材すると、すでに医療差別や社会的疎外を受けている弱者集団への影響が大きいとわかる。 たとえば、2023年のある研究では、学習障害や自閉症を抱えて生きるのが苦しいというだけの理由で、8人のオランダ人が安楽死したことが明らかになった。ほかにも、そ
『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT──100年時代の人生戦略』の著者リンダ・グラットンが、変化の激しい現代のワーク・ライフ・バランスを論じる連載。 これからの時代、どうやって人材管理をするのがベストなのか──そう悩む管理職に、グラットンは「基本に立ち戻れ」とアドバイスする。 もしいまあなたが経営者や管理職の立場にあるなら、まさに荒波を航海するような心地だろう。 経済は衰退しているにもかかわらず、労働市場は逼迫している。パンデミック以後、50代以上の労働者の多くがそのままリタイアしてしまい、その穴を埋める人材が見つからないことも一因だ。 物価の高騰は生活水準に関するさまざまな不安を呼び起こし、賃上げの要求も高まっている。他方、在宅とオフィスのハイブリッド労働は、スケジュール調整の地獄を生み出した。 もしあなたが若手のリーダーや管理職であれば、この組み合わせはあなたのキャリア史上最大の困
治療もなしに「安楽死」を勧める 2022年の感謝祭休暇のことだ。アリソン・デュクリュゾーは、腹部の痛みを感じはじめた。最初はターキーの食べすぎだろうと思っていたが、痛みは長引いた。 2週間後、彼女はかかりつけ医を受診しCTスキャンを受けたものの、原因はわからなかった。直後、痛みはさらに悪化したため、彼女のパートナーはバンクーバー島にある地方病院の救急センターに行くことを勧めた。そこの医者は、彼女が重度に進行した腹部のがんに侵されていると告げた。最も恐れていた事態だった。 当時56歳だったアリソンは結局、進行の速い腹膜がんのステージ4と診断された。2023年初頭に専門医の診察を受けると、あと数ヵ月しか生きられないだろうとのことだった。化学療法は彼女のがんには効かず、せいぜいわずかな時間稼ぎになるだけで、手術も不可能だというのだ。その代わり、家に帰って法的な書類を整理し、医療による死亡幇助(M
フランス国民議会(下院、定数577)選挙の1回目投票が6月30日におこなわれ、極右政党「国民連合」が躍進し、最大の得票率を得た。 国民連合は得票率33%で首位に立ち、次いで左派連合の「新人民戦線」が28%、エマニュエル・マクロン大統領率いる与党連合は21%にとどまった。 フランスの総選挙は2回投票制で実施される。7月7日の決選投票で国民連合が勝利を確実にすれば、極右の首相が誕生する可能性がある。 2回投票制とは? フランスの総選挙の仕組みは、1回目投票で過半数を獲得した候補がいれば、そのまま当選となるが、いない場合は決選投票で決める。その際、1回目投票の上位2候補は自動的に決選投票に進み、得票率が12.5%を超えた候補も進むことができる。 このため、決選投票が三つ巴の戦いになる選挙区も出てくる。 国民連合が躍進した理由 移民排斥や人種差別的な主張を掲げる極右政党がなぜこれほどまでの支持を集
死亡率はサプリ摂取者のほうが高かった 複数のビタミンが配合されているマルチビタミンは人気のサプリメントだ。米国では成人の3分の1が摂取しているとされる。 だが6月26日に医学誌「JAMA」に掲載された研究によると、マルチビタミンを毎日摂取しても心臓病やがんによる死亡率は下がらないことがわかった。 米国立がん研究所がおこなった同研究は、約39万人の成人のデータを20年以上にわたって追跡調査したもの。被験者の年齢の中央値は61.5歳で、慢性疾患の既往歴はなく、概して健康な人たちが研究に参加したという。
中年期は大きな転換が必要だ。人生の後半に栄光と輝きを夢見る人はほとんどいないが、ベストセラー作家でホスピタリティー起業家のチップ・コンリー(63)の考え方は違う。 著書『ミッドライフを楽しむには:年を重ねるごとに人生が良くなる12の理由』(未邦訳)のなかで、コンリーはこう問いかけている。 「中年期の自然な移行を、危機としてではなく、“さなぎ”の時期と考えてはどうか。脱皮して、羽を広げ、知恵を世界に授粉しながら、私たちのなかにある深遠なものが目覚める時期だ」 米国の人口が急速に高齢化するなか、中年期を前向きな変化が起きる有望な時期として捉え直すことが新たな課題となっている。それを実現する方法についてコンリーに聞いた。 ──中年期の変化のロールモデルは誰でしたか? 父親です。彼は会社員として無難な道を歩んでいたのですが、40代後半で起業を決意しました。スタンフォード大学に子供2人を通わせ、もう
ピカディージョ 作り方 1 厚手の大きな鍋にオリーブ油を入れ、強めの中火にかける。油がふつふつとしてきたら、玉ねぎ、チョリソー、にんにくを加えて混ぜ合わせ、玉ねぎがしんなりするまで約10分炒める。 2 牛ひき肉を加え、ほぐしながら焼き目をつけていく。塩胡椒で味付けをする。 3 トマト、ワインビネガー、シナモン、クミン、ローリエ、クローブ、ナツメグを加えてかき混ぜる。火を弱め、ふたをして約30分煮込む。 4 ふたを取り、レーズンとオリーブを加えてさらに15分ほど煮込む。ご飯を添えて召し上がれ。 © 2024 The New York Times Company
11月の米大統領選に向け27日開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている Photo: Kenzo Tribouillard / Reuters 11月の米大統領選に向けて27日に開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている。 討論会では、バイデン大統領は序盤から時折声がかすれ、言葉に詰まる場面もあった。バイデン氏が討論会で「高齢懸念」を払拭するという期待も高まっていたが、同氏の精彩を欠く姿を受けて民主党内でも動揺が広がり、一部の民主党員からは、候補者の交代という異例の措置が必要かもしれないとの見方も出ている。 海外の新聞各紙の紙面も、バイデン氏に対する非難が目立った。仏
テスラは2024年6月に開催した定時株主総会でイーロン・マスクCEOの560億ドル(約8兆8000億円)の巨額報酬案を承認した。報酬額は米国で史上最高額となる。一方、この巨額の報酬を巡っては米国デラウェア州の裁判所が無効との判断を下し、そのゆくえが注目されていた。株主総会を前に、テスラのデンホルム会長に英紙が単独取材。これまであまりメディアの前に登場しなかった彼女は、イーロン・マスクの巨額報酬についてどう語ったのか。 イーロン・マスクをどう思っている? テスラの会長でシドニー在住のロビン・デンホルムは、CEOであるイーロン・マスクの予期せぬツイートで目覚めることに慣れている。「もし私に魔法の杖があれば、ツイッター(X)なんて消してしまうのに」と、彼女は本紙「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューで冗談を飛ばした。 マスクがXに投稿する挑発的な発言は、規制当局や政府とのトラブルを引き起こす
銅価格の高騰が止まらない。銅不足のリスクをはじめ、今後の銅市場を理解するための4つの質問に、世界で2番目の銅取引量を誇る大手資源商社「トラフィギュラ」のエコノミスト、グレアム・トレインが答える──。
多くの外国人観光客が押し寄せるなか、日本各地の観光地のみならず、以前はそうでなかった場所までもが彼らの振る舞いに悩まされている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、住民たちの複雑な心境を聞いた。 最近では2回、マツモト・ショウジの理髪店に、散髪を希望する外国人観光客が入ってきた。正面のドアは半分以上開けると大きな音で軋む、そんな店だ。 1人目はイタリア人、2人目は英国人だった。75歳で、どちらの言語も話さないマツモトは、どうコミュニケーションをとればいいのかわからなかった。彼はハサミを手にとり、散髪を始めた。長年の経験だけを頼りに、この気まずいめぐり合わせを切り抜けることができますように、と願いながら。 2022年に新型コロナウイルス関連の入国制限が撤廃されて以降、円安の後押しを受け、旅行者が日本に押し寄せている。岸田文雄首相をはじめとする政府関係者のなかには、オーバーツーリズムを懸念する声
占星術や血液型など、自分の性格や人との相性を診断する方法は、無数にある。そんななかでも筆者が信頼を置くのが、半世紀以上前に米国で提唱され、現在も使われているマイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標(MBTI)だ。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 性格診断に夢中になったワケ 3度目のデートの後、クレアに診断を受けてほしいと言った。 私たちの関係は順調だった──手と手が触れ合い、膝と膝がかすめ、頭と頭が近くにあった。家に帰ってひとりでベッドに倒れ込む頃には、これはいけるんじゃないかと思って顔が火照った。かなり酔ってもいたけれど。 クレアは16性格診断に興味をもったみたいだったから、彼女にそのリンクを送った。それからメモアプリを開いて、診断結果を予測して「クレア、INFP」
子供を持つことで、女性のキャリアに支障が出るということはよく言われてきた。だが、長期的に見たとしても、女性たちが失われたキャリアを回復することはできないのだろうか? 私は前週までの育児休暇から復帰して、書く気満々だ。「子持ちになった途端、築いてきたキャリアが損なわれる恐れがある」とする研究も枚挙にいとまがないではないか。次は我が身、という恐れは早急に振り払うに越したことはない。しかし、ここで思い出す──自分は父親だった。それで、ほっとしてコーヒーを飲みに行く。 子供を持つことで被るキャリアの打撃、経済学者がいう「チャイルド・ペナルティ」で割りを食うと考えられているのは、母親だけだ(マザーフッド・ペナルティと呼ばれる)。 実は、子供の出産後に職場復帰する母親も、ひと息入れることはできるかもしれない。母となった自分の当面の手取りは減りそうで、父となった男の収入は変わりがないと知れば腹も立つだろ
日本でも揺らぐ「報道の自由」 近年、世界中でメディアへの脅威が高まっている。 パレスチナ自治区ガザやロシア、中国などでは記者が不当に拘束され、暴力を受ける事例が相次ぐ。権力の不正を暴こうとする記者をインターネット上で組織的に中傷する問題も起きている。 東京新聞と中日新聞の海外特派員らによって書かれた『報道弾圧 言論の自由に命を賭けた記者たち』(ちくま新書)は、政治思想・派閥による分断や、ポピュリスト政治家の台頭、SNSやデジタルプラットフォームの普及といったメディアを巡る諸問題を切り口に、各国の報道機関が直面する危機と、それに果敢に立ち向かおうとするジャーナリストたちの姿に迫っている。 ではなぜ、いまメディアに逆風が吹いているのか。本書において、豪メルボルン大学でジャーナリズムを研究するデニス・ムラー上級研究員(取材当時)は、メディアを統制しようとする動きが世界中で加速する背景には、200
生き残るためには「取材」をすべき ──生成AIが急速に普及するなか、メディア業界でもこの技術をどのように活用していくかという議論が起きています。AIが記事を作成するようになった場合、記者の存在意義が薄まる可能性も指摘されています。また、情報の正確性の見極めが難しくなるという懸念もあります。こうした状況をどのように見ていますか? 個人的には、生成AIは慎重に使うべきだと考えています。記者の役割はできる限り一次情報に近づき、自分で見聞きしたことを、自分の言葉で伝えることで、その基本はいまも変わっていません。 そこを安直にAIに頼れば物事の本質を見誤る可能性がありますし、記者の存在価値を自ら下げることになります。出所がはっきりしない情報を使ってフェイクを流すという行為は、記者として、メディアとしてあってはならないことです。 翻訳やリサーチなどの作業を効率化するといった活用方法はよいと思いますが、
中国の魅力あふれる恐竜は、日本の国民的漫画『ドラえもん』でもその迫力ある姿が描かれている。中華圏をフィールドに多彩なテーマに取り組む安田峰俊氏の新著『恐竜大陸 中国』から、日本でも人気の高い“あの中国恐竜”にまつわるほっこりエピソードを紹介する。 ドラえもんでおなじみのあの恐竜が見つかるまで──マメンチサウルス 日本は、状態のいい恐竜の化石が比較的見つかりにくい国である。 2010年代後半に世間の話題をさらった「むかわ竜」ことカムイサウルスがあれほど注目されたのは、ほぼ全身の骨格が見つかった新種だからであった。日本は恐竜の全身骨格が見つかるだけで大騒ぎになる国なのだ(ちなみに中国の恐竜関係者に聞いたところ、日本の25倍の国土面積を持つかの国では年間に20体くらいは恐竜の全身の化石が見つかり、ありふれた現象であるそうだ)。 しかし、日本人の恐竜人気の裾野は中国よりもずっと広く、また深い。その
マルボ族の近代化を推進した「一家」 ジャバリ・バレー先住民区域は、地球上で最も隔絶された場所の一つだ。ポルトガルに匹敵する広さの熱帯雨林が鬱蒼と広がり、道路はなく、迷路のように入り組んだ水路が張り巡らされている。ジャバリ・バレーに住む26部族のうち、19部族が完全な孤立状態で暮らしている。 その一つであるマルボ族も、かつては外界との接触がなく、何百年もの間、森の中を移動しながら生活していた。19世紀末に天然ゴムの違法伐採業者がやってきたことで、長年にわたる暴力と疫病に見舞われたが、同時に新たな習慣や技術がもたらされもした。 マルボ族は服を着るようになり、なかにはポルトガル語を学ぶ者も出てきた。イノシシ狩りに使う弓矢は銃に、キャッサバ畑を開墾するための鉈(なた)はチェーンソーに持ち替えられた。 この変化をとくに推進した一家があった。セバスチャン・マルボは、1960年代に森の外で暮らしはじめた
演説が長引くにつれ、人々の視線はスマホ画面へと逸れていった。インスタをスクロールする10代の若者たち。ガールフレンドにメールを送信する男性。そして、グループ初の女性リーダーが演説中だというのに、スマホに群がりサッカー中継を観戦する男性たち。 どこにでもあるような、ありふれた光景だ。だが、これが起きているのは、地球上で最も隔絶された地域の一つにある、先住民族の集落なのだ。 マルボ族は長年、アマゾンの熱帯雨林の奥地を流れるイトゥイ川沿いに、何百キロにもわたって点在する共同小屋で暮らしてきた。彼らは独自の言語を話し、森の精霊とつながるために幻覚剤のアヤワスカを飲み、クモザルを捕まえてスープの材料にしたりペットにしたりする。
建設現場の作業員たちがよく穿いているニッカボッカ。その不思議なフォルムに、世界でも関心の目が向けられているようだ。そこでスペイン「エル・パイス」紙がニッカボッカの歴史を探ってみると、単なる作業着以上の意味が見えてきた。 「日本の建設作業員は、ズボンを穿いて奮闘する必要がない」 インスタグラムに投稿された画像には、仕事着を着込んで並んだ日本の職人たちの姿が映る。脚の部分が幅広くて、くるぶしはギュッと絞ったズボンには、不思議な魅力がある。すでに1万2000人以上が、この制服に対してハートマークを贈っている(何人かは炎のマークも付けている)。 工事現場用の制服が、なぜこれほどまでに人を惹きつけることができるのだろう?
「スポッチャ」などの遊戯施設運営で知られるラウンドワンが米国で人気を集め、業績を伸ばしている。コロナ禍後、米国では郊外のショッピングセンターでテナントの立ち退きが相次いでいたが、ラウンドワンが起死回生に一役買っているという。米国で人気の理由とは? 全米で50ヵ所以上に 2021年末、米国コネチカット州郊外のショッピングモールに日本のビジネスマンご一行が訪れた。彼らは、破綻したアパレルブランド「フォーエバー21」が立ち退いた後、空っぽになっていたショピングモールを視察していたという。 このショッピングモールのオーナーは、米国ではもはや百貨店は流行しないと気づき、百貨店の代わりにモールの起死回生のために目をつけたのが、ゲームセンターなどを運営する日本のアミューズメント施設「ラウンドワン」だった。 米国ラウンドワンは現在、全米で50ヵ所以上の店舗を展開している。日本のゲーム機がたくさん並び、なか
【今回のお悩み】 「人生に疲れてしまって気力が出ません」 これまで仕事に熱心に取り組んできたのに、突然やる気を失ってしまった。モチベーションを保てなくなってしまったとき、どうしたらいいのでしょうか。哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 仕事がたくさんあって忙しい毎日を送っていると疲れないわけはなく、もう何もしたくなくなることがあります。それでも、「人生」に疲れるのではありません。「仕事」に疲れるのです。 仕事を辞めれば、疲れは取れるでしょう。しかし、仕事を辞めたら生活していけなくなるので、それは現実的な選択肢にはなりませんが、ひとまず立ち止まるしかありません。気力のスイッチは、切らないと入れることはできません。 「疲れて気力が出ない、どうしたらいいか」と相談したら、誰もが仕事を休んだらいいと助言するでしょう。そんなことはいわれるまでもなく、わかっていると感じるかもしれません。何のためらい
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