サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
買ってよかったもの
courrier.jp
メッセージングアプリ「LINE」の運営をめぐって、日韓の企業のあいだに亀裂が生じている。近年、外交面で徐々に歩み寄りを進めてきた両国だったが、この「LINEヤフー問題」でまたもや不穏な気配が漂いはじめた。 日韓関係が悪化したさなかの2019年、両国の通信大手2社が立ち上げた合弁事業は協調のシンボルとして歓迎された。 韓国のIT大手「ネイバー」、日本の「ソフトバンク」の両経営陣は、韓国で開発された無料通話アプリ「LINE」の運営会社を共同所有すると発表した。この経営統合プロジェクトは協調の意味を込めて、「Gaia(ガイア)」というコードネームで呼ばれた。 それから5年が経過した今春、日韓両国は、第二次世界大戦中の韓国人強制労働者(徴用工)問題の解決に向けて大きく前進し、両国間の緊張関係も緩和した。 だが、ときを同じくして、LINEの運営をめぐるネイバー、ソフトバンク間の亀裂が表面化した。外交
ゾーイ・コールズはウェールズに一度も行ったことがないにもかかわらず、強いウェールズ訛りでしか話せなくなってしまう。この「新しい話し方」のために、彼女は日常生活で思いがけない困難に見舞われ、性格まで変わってしまったという。彼女の「突然の変化」はなぜ起こったのか──。 私はいつも自分の訛りを意識してきた。1996年、8歳のときに、一家でケントからリンカンシャーのスタンフォードに引っ越したが、私の河口域英語(英国の上流階級の英語と、ロンドンの労働者階級が話すコックニーと呼ばれる英語の中間的存在。テムズ川河口域で話されている)はひどく目立っていた。 私には他の人たちの話し方が北部人のように聞こえたし、彼らは私を「(テレビドラマの)『イーストエンダーズ』の話し方」だとからかった。 訛りを真似するのにも苦労した。14歳のとき、スペインのランサローテ島に行き、そこでリバプールとバーミンガムから来た2人の
最新のニュースに登場した時事英語を紹介するこのコーナーでは、世界のニュースに出てくるキーワードを学ぶと同時に、ビジネスの場や日常会話のなかでも役立つ単語やフレーズを取り上げていきます。1日1フレーズずつクイズ感覚で学び、英語に触れる習慣をつくっていきましょう。語彙力の向上には、日々の積み重ねが大事です。 今日の時事英語 2024年7月9日(火)の英「ガーディアン」紙に次の一文がありました。 The amount of sugar consumed by children from soft drinks in the UK halved in the three years after the announcement of a sugar tax in 2016, a study has found.
日本経済が動いている。日本はようやく復活したのか? あるいは少子高齢化と共に衰退していくのか? 英高級誌「エコノミスト」が東京の日本橋に取材し、日本経済の行方を探る。 日本経済を過去30年の大部分で特徴づけてきたのは、デフレーションと停滞、国際的な影響力の低下だった。だがもはやそうではない。 1991年から2021年までのあいだ、日本の年間インフレ率は平均で0.35%だった。だがインフレ率は2022年4月以来、毎月2%超を保っている。 2024年3月、日本銀行はこの17年間で初めて利率を上げ、マイナス金利という実験に世界で最後に終止符を打った。7月末の会合でさらなる利上げが議論されるだろう。 日経平均株価はこの2月にバブル時代の最高値を更新した。東証株価指数も1990年以来で最高値を更新したばかりだ。失われた数十年は終わったかのようだ。 だが次に何が起こるのか? 好機を見出す人もいる。日本
宵っ張りは日中に何をするにも苦労するという通念は見直されるべきかもしれない。新たな研究で、夜型を自認する人は早寝の人より頭が切れる可能性があると示され、夜更かしがわれわれの知力にとってよいかもしれないことがわかったのだ。 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの学者らが主導する研究チームは、「UKバイオバンク」の調査データを分析した。この調査は、知能、論理思考、反応時間、記憶に関するテストを受けたことがある2万6000人以上を対象としたものだ。 研究者らはそれから、対象者の睡眠の時間や質、クロノタイプ(われわれが一日のうちでいつ最も活発で生産的だと感じるかを決める型)が脳機能にどう影響するかを調べた。 その結果、夜更かしする人たちと、夜型と朝型の「中間」に分類された人たちには「より優れた認知機能」があり、その一方で早起きの人たちのテスト得点は最も低かったことが判明した。 夜更かしは、創造的なタ
20年前と比較して、犯罪件数が大幅に減った日本。海外から来た観光客は、カフェのテーブルに置きっぱなしのスマートフォンや、道端の自動販売機に「平和」を感じ、日本に詳しい海外紙記者も、日本で流れるニュースの「のどかさ」に驚く。そして、仏紙「フィガロ」の記者は問う。「いったいなぜ、この国はこんなに犯罪が少ないのか」、「その理由は、どこにあるのか」と。 日本で1年間に押収された大麻の量は、フランスの320分の1、強盗の件数は37分の1、窃盗は13分の1。これが日仏の犯罪に関する主要統計の差だ。両国は多くのテーマに関して何かと比較したがるが、この興味深いテーマに関する研究は、あまりにも少ない。 日本のマスコミが報じる軽犯罪の数々は、この国の“のどかさ”を物語っている。「ぶどうが盗まれた」、「『ショート』のお金を払っておいて『ロング』のコーヒーを入れた」、「豆腐が盗まれた」……。ほんの些細な理由で逮捕
2024年6月、日本のソニー銀行は円の預金の金利が最大10.52%になる期間限定の定期預金プログラムを開始した。20年近くも預金の金利がほぼゼロだったこの国で、この利率は驚異に値する。 日本の地方銀行の多くは、ネット銀行との熾烈な競争によって自行の預金が流出する可能性に頭を悩ませている。 折しも海外金利の上昇と国内のマイナス金利政策の終了によって、銀行が保有する資産価値の目減りや、リスクの高い借り手が財政危機に陥る可能性が高まっている。日本に62ある地銀と250以上ある信用金庫は、以前から少子化と大都市圏への人口集中の問題に苦しんでいた。これに預金流出が加われば、いよいよ立ち行かなくなるかもしれない。 地銀のひとつ、しずおかフィナンシャルグループの柴田久社長は、5月に開催した2023年度の決算説明会において、ネット銀行に小口預金の一部を奪われている点を認め、預金の流出を抑制する取り組みを強
北朝鮮から中国に売られる人毛 近くの店舗に並ぶ、つけまつげや、かつらは、もしかすると北朝鮮産かもしれない。英紙「ガーディアン」は、人毛が北朝鮮の重要な外貨獲得源になっていると報じている。 北朝鮮にとって中国は最大の貿易相手だが、対中輸出の60%をつけまつげ、ひげ、かつらなどの人毛製品が占める。中国の税関データによると、2023年の輸出量は1680トンで、その金額は約1億6700万ドル(約270億円)にもなる。これらの製品が中国で最終加工されて包装され、「中国製」として、日本や韓国、欧米諸国に販売されているというのだ。
コンピュータが全人類の知能を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が2045年にやってくると予見した、発明家のレイ・カーツワイル。 テック楽観主義者と呼ばれる彼は、昨今のAIに関する議論について「大事なことを見落としている」と英誌「エコノミスト」に書く。その理由とは──。 AIが実世界にもたらす3つのインパクト 今日産まれた子供たちが幼稚園に入るころには、科学から創作にわたりあらゆる認知的作業において、おそらく人工知能(AI)が人間の能力を超越しているはずだ。 2029年までに我々はこうした汎用人工知能(AGI)を手にすることになるだろう──私がそう初めて予言した1999年、ほとんどの専門家は私が小説家にでも鞍替えするつもりなのかと笑ったものだ。 だが、ここ数年で目覚ましいブレイクスルーが何度も起こり、いまや多くの専門家が、我々はもっと早くAGIを手にすると考えている。当時は夢のような
82歳の筆者は、生涯を通して「女性として生きること」の喜びも苦しみも味わってきた。中年を過ぎ、晩年となったいま、年齢を重ねたからこそ手に入れた美しさと官能を、ある男性のひと言を通して自覚する。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 「若さ」にしがみつかなくてよくなり… 閉経してから何十年も経つ。当時、自分が街で男性の気にとまらなくなり、透明人間になってしまったようで悲しかった。 思えば若い学生の頃、イタリアに住んでいた頃が一番楽しかった。「美人さん、かわいこちゃん」という言葉のシャワーを浴びながら街を歩くことに慣れていった。 その後、中年になってフィレンツェを訪れたとき、スクーターに乗った二人の少年が後ろから「美人さん! 綺麗だね!」と叫んだ。でも通り過ぎるときには「
2023年8月14日、モスクワは不安に包まれていた。ウクライナのドローンが市内の建物を攻撃していた。数週間前に反乱軍を率いて首都へ向かったエフゲニー・プリゴジンはまだ野放しになっていた。だが、その暑い月曜日にモスクワ市民を最も不安にさせたのは、自国の通貨ルーブルの状態だった。 世界のエネルギー価格の動きに敏感に反応して通貨の価値が上がったり下がったりするのを見ることは、ロシアの国民的娯楽だった。ところが、1ドル100ルーブルよりもルーブル安になると、人々は心配しはじめた。これ以上は許容できないと考えるラインよりも下落するなか、険しい表情でパソコンの画面にかじりつく人もいた。中央銀行の「利口なプロ」たちはどこで何をしているんだ? とみんな不平を漏らした。 この数年、ロシア人たちに特に信頼されてきた「利口なプロ」が一人いる。 ロシア中央銀行の総裁を務める、60歳のエリビラ・ナビウリナだ。 眼鏡
さまざまな解釈を呼ぶファッション ロシア中央銀行の建物はクリーム色とベージュのネオルネサンス様式の宮殿で、最後の皇帝によって19世紀後期に建てられた。現在、中央銀行はほかのロシアの機関にはほとんどない、一定の独立性を享受しており、金利の設定と銀行の規制の権限を有している。 建物の周りを囲む錬鉄製のフェンスは、ナビウリナの帝国の国境を示すものだ。中央銀行の仕事に詳しい有識者によると、彼女はほとんどの時間を敷地内で過ごし、ヘアサロンや衣装室やドライクリーニングサービスを仕事場に設置しているという。 ナビウリナは決して洒落ているとは言えないが、見た目に気を使っており、彼女の服装は金融界や物好きなロシア人女性たちの詳しい考察の対象となっている。彼女は派手でけばけばしい服装は避け、「隠れ富裕層」的な服装を好む。 「初期の頃、彼女は田舎の会計士のような格好をしていました」とロシアのファッション業界の関
「敵」であるはずのナチ賛美の詩にロシアで人気が集まったことは、ナチもプーチン体制も同質だと示している Photo: Trifonov_Evgeniy / Getty Images 愛国詩の「新星」 ロシアでは、反戦や体制批判のメッセージを作品に盛り込む芸術家が国内で活動できなくなっている。その代わりに、体制によって推奨され、体制を支持する文化人らによって高い評価を受けるようになっているのが、いまウクライナでおこなわれている戦争やウラジーミル・プーチン大統領を賛美する「愛国的」な芸術だ。 そのような状況のなか、2023年夏から「愛国詩」(プーチンのプロパガンダに使われるZの文字から「Z詩」と通称される)の分野でにわかに頭角を現しはじめた人物がいた。 ゲンナジー・ラキーチンと名乗るその「詩人」は、モスクワのしがない学校教員で、それまで文学活動をしていなかったという。だが2023年7月から、ロシ
フランスで7月7日、国民議会選挙の決選投票がおこなわれ、予想に反して左派の連合が最多の議席数を獲得し、極右政党を抑えて最大勢力となった。 議会下院に当たる国民議会の議席数は577。今回の決選投票では左派の連合「新人民戦線」が180議席、エマニュエル・マクロン大統領率いる中道の「与党連合」が163議席、極右政党「国民連合」などが143議席を獲得し、圧倒的多数派が不在の議会となった。 フランスはこれまで以上に分裂している フランスの著名な政治学者アラン・デュアメルはこの選挙結果をうけて、米紙「ニューヨーク・タイムズ」にこうコメントしている。 「フランスはこれまで以上に分裂している。マクロン氏が議会を解散し、この選挙を実施しようと考えたのは非常にまずかったということをわれわれは思い知らされた」 英紙「ガーディアン」は、「衝撃的な選挙結果のあとで迫る政治停滞」との見出しで、パリ特派員による分析記事
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 近くのエルメス店舗でハンドバッグ「バーキン」を買い、それを転売すれば、5分で価格が倍になる。だが、世界で最も入手困難なハンドバッグを手に入れるプロセスは想像以上に複雑だ。 ベーシックなブラックレザーの「バーキン25」の価格は、エルメスの店舗で税抜き1万1400ドル(約180万円)。購入者はすぐに2万3000ドルでプリヴェ・ポーターのようなハンドバッグ転売業者に売り渡すことができる。その後、プリヴェ・ポーターはインスタグラムやラスベガスのポップアップストアで最高3万2000ドルで販売する。エルメスの製造原価は約1000ドルとアナリストは推定する。 常軌を逸した「バーキン経済学」は、客と店員の力関係をひっくり返した。エルメスの店舗では、こびへ
EUは域内の自動車産業を守るため、中国製のEVに追加関税を課すことを決めた。だが「中国のテスラ」とも呼ばれるBYDにとって、この規制強化は痛くもかゆくもないようだ。BYDの強みと戦略に英紙が迫った。 「EUは私たちを恐れている」 サッカー欧州選手権が開幕した6月14日、開催国ドイツはミュンヘンで開幕戦を飾った。ミュンヘンはサッカーの街として有名だが、それだけではない。ここは、ドイツを代表する自動車メーカー、BMWの本拠地なのだ。 しかし、開幕戦がおこなわれたスタジアムやテレビ中継にBMWやフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツといったドイツメーカーのロゴが現れることはない。このヨーロッパ最高峰の国際大会のスポンサーを務める唯一の自動車メーカーが、中国の比亜迪(BYD)なのだ。 自動車売買サイト「オートトレーダー」によると、この広告キャンペーンの結果、大会最初の週末の6月14〜16日に、BY
「読書を好きになる機会」が激減 ニューヨーク市の公立小学校が「子供たちに本の読み方を教えなくなった」として物議を醸している。 同市が進める新プログラムでは、これまで約20年にわたって実施されてきた読み書きを大幅に変更し、音声学と理解力を重視したアプローチ「フォニックス」(英語の綴りと発音の間にある規則性を学ぶことで、英語の読み方を習得するための学習法のひとつ)を採用する。 この変更は「同市の3〜8年生の児童たちの読解力の急落を受けてのもの」だと報じられている。
ソウルで活動する巫堂のイ・キョンヒュンさんの祈祷所には、仏像や土着の神々の像とともにロウソクや線香が並べられていた Photo: Kim Soo-hyeon / Reuters ソウルで活動する巫堂(ムーダン=朝鮮のシャーマン)のイ・キョンヒュンさん(29)の祈祷所には、仏像や土着の神々の像とともにロウソクや線香が並べられていた。その様子は、何世紀も前から受け継がれてきた巫堂の祈祷所と何ら変わらないように見える。 だが、「エギ・ソンニョ」(ベビー・エンジェル)という愛称で知られるイさんが相談者と接触する方法は完全に現代的だ。数十万人のフォロワーを抱えるソーシャルメディアのアカウントを利用するのだ。 イさんは、「巫俗(ムーソク=朝鮮のシャーマニズム)は、目に見えない神秘的で精神世界に属するものと信じられてきた」と語る。だが2019年、ユーチューブ上に自身のチャンネルを開設して以降、このスピリ
砂漠に無機質な建物 ペルシア湾岸諸国を舞台にした人工知能(AI)覇権争いを自分の目で確認したいなら、ドバイ近郊のゴルフ場近くの工業団地内にある、看板も社名もない建物に行ってみるのもひとつの手だ。窓がなくて無機質で、驚くほど清潔な施設である。 内部に足を踏み入れると、床に粘着性のある青いフロアマットが敷かれており、外から砂粒が持ち込まれないようになっている。 肌を焼くような屋外の熱と同様、ごく小さな砂漠の砂塵ひと粒であっても、そこに格納されている数百万ドルもの機器に害を及ぼしかねない。 この巨大な施設は面積が2万3648平方フィート(2197平方メートル)で、稼働を開始したのは着工から18ヵ月後の2023年9月。データセンター企業エクイニクス(Equinix)がUAEで運用する4つ目のデータセンターだ。米国カリフォルニア州レッドウッドシティに本社を置く同社は、UAEの隣国サウジアラビアへの進
あらゆるトラブルを想定して周到な計画を立ててトレッキングに出かける人がいる一方、何の準備もせずに出かける安易な考えの人もいる。そんな準備不足は、いつ遭難につながるかもわからない。香港でワイン商を営むフランス人のマルタン(33)が沖縄のジャングルで過ごした地獄の夜を振り返る。 2017年、私は友人のヴァランタンとともにサーフィンをしに、3~4泊で沖縄に行く計画を立てた。私も彼も当時は香港在住だった。私たちは沖縄本島最大の都市に到着して早速レンタカーを利用しようとしたが、運転免許証の翻訳などが必要で手続きが複雑だったため、タクシーを使うことにした。ところが、そうやってかなり高い運賃を支払ってたどりついた最初のサーフィン・スポットには全然、波がなかった。 シーズンを完全に間違えていたのだ。私たちは沖縄本島の西岸にいた。おかしな考えが頭をよぎったのは、そのときだった。島の反対側まで歩いてみようかと
米国ではいま、2万人の高齢者たちが、大学が彼らのために用意した施設で暮らし、キャンパスで学びながら老後を満喫しているという。ベビーブーマー世代の高齢者と大学の双方にとって有意義なこのプロジェクトを、英誌「エコノミスト」が取材した。 大学内に高齢者施設 「宇宙には私たちしかいないのでしょうか? それが、ここで答えを出そうとしている核心的な問題です」と、NASAとも協働している惑星科学者、ミーナクシ・ワドワは熱心に聞き入る学生たちに語りかける。この問いに答えるためには、「火星に行き、岩石を採取する必要があります」と彼女が説明すると、ある学生はノートに書き留め、別の学生はiPhoneでスライドの写真を撮った。 アリゾナ州立大学(ASU)のこの教室は、多くの点で他と変わらない。熱心な女子学生たちが前列の席を占め、男子学生たちは後方の席に散らばっている。だが、彼らが身につけた補聴器が、この教室が普通
20年ぶりに新しいデザインの日本円紙幣が発行された。偽造防止のための最新のホログラム技術を世界で初めて採用し、誰でも利用しやすい「ユニバーサルデザイン」を取り入れるのが主な目的とされる。しかし、その導入には多大な混乱を伴う。これは吉と出るのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が分析する。 新紙幣導入に伴う多大なコスト 7月3日、日本は20年ぶりに3種類の新紙幣を発行した。 しかし、この変更は、それほど簡単でも、低コストでもない。日本には現金が必要な自動販売機や発券機が390万台もある。労働力不足が深刻で、政府がキャッシュレス化を推進するこの国で実施するというのは、信じがたいことだ。新しいデザインの紙幣は、インフレを促進するか、抑制するかだが、どうなるか予測するのは非常に難しい。 最新の偽造防止技術一式が用いられたこの紙幣は、魅力的で印象的だ。1000円札にはノーベル生理学・医学賞の最終候補
資本主義とは相いれない 斎藤はベルリンのフンボルト大学に留学し、エコロジーに関するマルクスの視座についての研究で博士号を取得した。2016年には、マルクスの「エコソーシャリズム」に関する学術書を出版。同書の英訳版は、マルクス主義の伝統に基づいた著書に対して与えられる権威ある賞、ドイッチャー記念賞を受賞した。 同時期、環境活動団体のあいだで数十年にわたり議論されていた脱成長理論が、ヨーロッパでブームとなった。斎藤はティム・ジャクソンやギオルゴス・カリス、ケイト・ラワースなどの著作を読みはじめたが、これらの理論家はみな、地球という惑星には限界があり、人類がそれを超えてしまえば大きな混乱は避けられないと主張している。 それまでも、トマス・マルサス以降の思想家たちは人口拡大の限界について語ってきたし、ときにはそこに物議を醸す主張が含まれていた。たとえば、ポール・エーリックは1968年のベストセラー
「クレイジーなアイデア」 自分がおかしいやつだと思われていることを、斎藤幸平は自覚している。それこそが大事なポイントなのではないか、と最近ニューヨークを訪れたこの日本人哲学者は私に語ってくれた。 「たぶん、ショックを受ける人も多いでしょうね」と彼は言う。「このクレイジーなやつは何を言っているんだ? って」 そのクレイジーなアイデアというのが、「脱成長コミュニズム」だ。それぞれ単体でも賛否両論ある概念を、二つもくっつけているのだ。 経済の成り行きと炭素排出量は常に相関関係にあり、したがって気候変動への最善の対策とは、富裕国における消費を縮小させ、エネルギー需要を生み出しGDPを拡大させる「原料処理量」を削減することだと、脱成長理論は主張する。 脱成長ムーブメントは近年、とりわけヨーロッパや学術団体において勢いを増してきた。その理論には劇的な含意があり、贅沢な近代的生活を維持するためのカーボン
米ハーバード大学政治学教授のスティーブン・レビツキーは、2024年11月におこなわれる米大統領選が、どのように民主主義に影響するとみているのか。崩れゆく米国政治に改革をもたらすことは可能なのだろうか。スペイン「エル・パイス」紙がインタビューした。 トランプに追い風 ──11月の米大統領選で、米国の民主主義は危機にさらされるのでしょうか? それはもう疑う余地はありません。といっても、米国がロシア流の権威主義に向かっているとは思いません。権威主義に反対する勢力、米国の民主主義を守る力は、少なくとも中期的には充分、強力です。 どちらかというと、ハイブリッドな体制に向かう危機になるのではないかと思っています。つまり権力が乱用され、メディアや反対勢力に対するある程度の弾圧や攻撃、また一定の暴力が見られる可能性がある「競争的権威主義」ということです。トランプは、民主主義の基本的なルールを破る意思がある
「彼らは『人皮面具』を使って犯罪行為をしている」と上海の朝刊紙「新聞晨報」は断じる。この面具はより具体的にいえば、シリコンマスクのことで、一般的には映画や芸術の分野で使われている。 中国の多くの都市で、警察はこうしたマスクの危険性を警告している。自らの正体を隠したい犯罪者らの新たな手段になっているからだ。 江蘇省の徐州市では、住居侵入窃盗事件20件ほどがシリコンマスクをかぶった容疑者1名によるものだったことを警察が突き止めた。容疑者は変装して「顔を変え」、警察から逃れようとしていたと同紙は説明する。 上海市では、ひとりの泥棒が老人男性に見えるマスクをかぶって、民家4戸に侵入した。この泥棒は、10万元(約220万円)以上に相当する物品を盗んだと同紙は報じている。 マスクが社会リスクになりつつある 「シリコン顔面マスクは社会リスクになりつつあり、われわれは自らの顔を守らねばならない」と「光明日
2000年代から働きはじめたミレニアル世代が中年期に差しかかり、この先どうなるのかが気になっている。自身もその世代に属するカナダ人作家・プロデューサーが、同世代に取材しつつ、これからの40年を思い描く。 「夢を追いかければ、お金はあとからついてくる」 クレア(仮名、42)はずっとそう聞かされてきた。だから、そのとおりにしたのだ。24歳で、カナダの首都オタワの繁華街に友だちと小売店を開いた。大学に通いながらパートタイムで政府の仕事をして充分な貯金があったので、融資を受けずにビジネスを始められた。 店は長年にわたって繁盛し、2号店まで開いた。クレアは経済的な安定を感じはじめていた。 「あら、このまま退職するまで行けるかもみたいに数年前は思ってました。リッチにはならないだろうけど、すごくいいワークライフバランスを保っているし、そこそこ満ち足りた暮らしができるだろうと──」 だが中年になったいま、
「kawaii」、「emoji」、「sushi」などとともに、「hentai」も海外へ流出した日本語の一つだ。だが、日本での「変態」とは少々意味が異なり、海外での「ヘンタイ」は漫画やアニメのジャンルの一つ、「ポルノ漫画」、「ポルノアニメ」を意味する。 「ファンタスム(幻想)」はどこで生まれるのか──? ポルノ関係者にこの質問を投げかければ、「日本」という答えが返ってくる可能性が高い。数字は明白に示している。大手ポルノ共有サイト「Pornhub」で、2019年からもっとも多く検索されたワードは「ヘンタイ」(ポルノ漫画、ポルノアニメ)、そして2番目は「日本人」である。 この流行は世界的なもので、ポーランドからメキシコまで、男女問わず長く続いている。まったく驚くべきことだ。 そこで数々の疑問が浮かぶ。長らく青少年のコンテンツだった漫画が、どうして大人の隠れ場に入り込んできたのだろうか? 文化的に
経済学者のタイラー・コーエンは、自身のポッドキャスト番組に社会心理学者のジョナサン・ハイトを招き、悪化が懸念される子供たちのメンタルヘルスについて議論を交わした。 親の政治的信条が子供に与える影響はあるのか、SNSに人類が適応するのは可能なのか──などコーエンが投げかける話題は多岐に渡る。 米国を代表する知性二人による刺激的な対話から見えてくる私たちの未来とは?
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『クーリエ・ジャポン | 海外メディアから記事を厳選!』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く