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アメリカ大統領選
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iPhoneを手放し、ガラケーに乗り換えてから半年。不便なこともあるけれど、それ以上に筆者の人生はより豊かに、よりロマンチックになったという。 アプリを極限まで削除 iPhoneの使いすぎで虚しさと苛立ちを感じていた私は、この5年間、スマホの機能を基本的なアプリだけに削ぎ落としてきた。 真っ先に削除したのはSNSだ。続いてEメール、ニュースアプリ、果てはウェブブラウザまで……。 機能を減らすたびに解放感が増し、スマホをチェックしたいという飽くなき衝動も徐々に薄れていった。それでも完全に消えたわけではない。 1日に少なくとも15回は天気アプリをチェックしていた。それがスマホに残された数少ないアプリの一つだったからだ。ほとんど空っぽのスマホでも、その存在は無視しがたい。 前々からガラケーに乗り替えたいと思いつつ、いつも口実を見つけて踏み切れずにいた。最終的に背中を押してくれたのは、私の2人の生
日本で#MeToo運動を主導してきた伊藤詩織。その半生を描いた映画『ブラック・ボックス・ダイアリー』が、米国で公開された(日本公開は未定)。彼女が映画を作り終えて米紙に語ったこととは──。 「この次は何をしますか?」 これは伊藤詩織が嫌いな質問だ。 35歳の伊藤はジャーナリストで、9年前に東京のホテルの一室で著名なテレビ局の特派員にレイプされたと告発し、日本における#MeToo運動の顔となった。伊藤はのちに、その男性を相手取った民事訴訟で勝訴した。 いま、彼女の初監督作品である映画『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』が米国と英国で公開されている。映画は、日本の男尊女卑と闘い続けた彼女の体験を記録したドキュメンタリーで、観る者に勇気を与えてくれる。 伊藤は、性犯罪に対してこれからどう闘っていくのかという質問に疲れてしまったという。「政治家になる予定は? 性犯罪とどう向き合うつもりですか?」と
2024年10月にオープンした「ニンテンドーミュージアム」は、「任天堂」が単なるゲームソフト・ゲーム機器メーカーではなく、世界的なエンタメ・ブランドの地位を確立したことを証明しているかのようだ。米「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者が同施設を訪れて任天堂の歴史を辿り、宮本茂に今後の展望を聞いた。 宮本茂(71)が任天堂の全新入社員に向かって要求することは、少なくともここ30年間変わっていない。 「スーパーマリオに関するものすべてが好きなら、3000万本は売れそうなゲームを作ってください」 15億ドル(約2240億円)を超える大ヒット商品を作れという壮大な要求も、宮本の口から出るのであれば致し方あるまい。眉を吊り上げて微笑むこの70代の人物は、ウォルト・ディズニーも顔を赤らめるほど万人から愛されるゲームカルチャーを次々と送り出してきたのだ。 任天堂社内における宮本は、新規顧客層に対する任天堂ブ
第二次世界大戦中、ナチスの強制収容所には女性の看守たちがいた。しかし戦後、彼女たちは女性でありながら強いサディズムを持つ「怪物」として扱われ、その後の歴史研究においても論争を引き起こした。彼女たちは実際にはどんな人物だったのか。その語られ方の変遷とともに、英国の研究者が伝えている。 囚人たちを蹴り殺す「雌馬」 1939年から1945年にかけて、ナチスによる強制収容所の看守の約1割は女性だった。だが、こうした女性看守たちは、ホロコーストにまつわる歴史や文学のなかではほとんど取り上げられていない。稀に言及される場合は、過度に男性化されたサディストとして描かれることが多いのだが、その現実はもっとずっと複雑なものだ。 筆者がはじめて女性看守に興味を持ったのは、「ニューヨーク・タイムズ」のある記事を読んだことがきっかけだった。 それは元ナチスの戦争犯罪人としてはじめて米国から本国に送還された人物、ヘ
養子に迎えたゲイの筆者。愛娘と男性のパートナー、3人で家族になるが、「普通」とは違うそのあり方を理解することは、当事者であっても難しかった。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 娘との関係を疑われているのか ゲイで白人の僕は、人種が異なる両親の間に生まれた女の子を養子に迎えた。 そんな僕は、娘の水着を選ぶ段になると、途方に暮れた。母がコットンの糸でかぎ針編みした、赤いツーピースの水着を娘に着せてみたが、スタイリッシュなその水着は、水に濡れるとまったく実用的でないことが判明したのだった。 4歳になった年、娘が「パパ、プールパークに行ける?」と聞いてきた。 「すぐに行こう」と答えてから、僕は後悔した。その準備ができていなかったからだ。娘はぐんぐん成長していて、新しい水着
自民党が衆院選で大敗し、過半数を維持できなかったことで、これまで投資家を惹きつけてきた日本の政策の安定性に疑問が生じている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、今後の見通しについてエコノミストらに取材した。 「安定したマクロ環境が必要」 過去2年間の日本経済とビジネス環境の堅調ぶりは、大量の投資を呼び込むことにつながった。しかし、今回の衆院選に起因する政治的混乱から悪影響を受けるかもしれない。 日本経済は急速に成長しているわけではないものの、パンデミックによる混乱から少しずつ回復してきている。待望のインフレにより、日銀には約20年ぶりに利上げの余地が与えられた。 2023年には、ウォーレン・バフェットが日本の5大商社株を買い増ししたことを受け、投資家らは経済的・地政学的なリスクを抱える中国から、日本に資金を移しつつある。 日本の企業収益は堅調に推移しており、買収提案を真摯に検討するよう求める
10月27日におこなわれた衆議院選挙で自民党が敗北を喫し、早くも首相の座が危うくなった石破茂。しかし、「オタク」として知られる石破が日本のトップであり続けるとするならば、日本のポップカルチャー外交はどう変わるのか? 『新ジャポニズム産業史1945-2020』の著者であり、日本文化に詳しい米国人ジャーナリストが分析する。 叩き上げ政治家の石破茂が数度の挑戦を経て、日本の自民党総裁の座を手にした。海外マスコミでは、自民党に関してはリベラルでもなければ民主主義的でもなく、芯まで腐りきっているというのが大方の見方だが、そのたぐいの扇情的トピックについて話すのは、またの機会にしよう。 事実をありていに書けば、自民党は1955年の結党以来、ほぼ一貫して政権与党として実権を握ってきた。ちなみにポップカルチャーに目がない人のためにいうと、1955年は映画『ゴジラ』第1作封切りの次の年だ。日本の議会政治制度
すっかりコスチュームパーティーが定着した「ハロウィン」だが、もともとは死者が戻ってくる日。そのとき一緒にやってくる悪霊や魔物から身を守るため、仮面を被ったのがはじまりだとされている。 そんなハロウィン本来の、ゾクッとするような気分を味わわせてくれる日本の漫画を、フランス誌「ル・ポワン」が厳選。同誌が選んだ「不気味で、幻想的で、官能的な」5本を紹介しよう。ハロウィンが終わっても、秋の夜長に楽しみたい。 服部未定 『スマイリー』(日本文芸社) 妻に家を出ていかれて以来、鬱屈した日々を送るフリーライターの友司。ある日、二人の女性が現れ、宗教団体「心笑会」の素晴らしさを説く。明らかにカルト教団のメンバーである彼女たちを退けようとした瞬間、彼女らは元妻が載ったチラシを差し出した。いつも笑顔を絶やさぬ信者たちと殺人事件との関係が明らかになり……。 ル・ポワンは、「息もつかせぬスリラー。闇深いカルトへの
イスラエル最大の精子バンクは、テルアビブのスーラスキー医療センター内にあり、5万3000以上の精子サンプルを保存している。 英紙「フィナンシャル・タイムズ」の詳細な取材記事によれば、そのなかには、「死亡したイスラエル軍兵士たちの遺体から採取された」精子もあり、それが遺族に「死後の生の可能性」を提供しているという。 イスラエル軍は2023年10月11日以降、兵士の遺体から「迅速に」精子採取する選択肢を遺族に提供している。2023年10月7日のハマスによる未曾有の攻撃後9ヵ月間で、死亡した兵士160名と民間人15名の遺体から生きた精子サンプルが採取されたとイスラエル保健省は報告している。
豚肉を食べないユダヤ人だが、豚とは切っても切れない関係にあるらしい。その3000年におよぶ歴史をたどった新著を、米ユダヤ系メディア「フォワード」が“美味しいとこどり”する。 この記事は米大手ユダヤ系報道機関「フォワード」で最初に掲載されたものです。フォワードの無料ニュースレター登録はこちら。 豚肉がコーシャ(ユダヤ教の食規定で認められた食物)でないことは、誰もが知っている。ではなぜ、ユダヤ人はそんなに豚に執着しているのか。 ユダヤ人のほぼ全歴史を通じて、豚は回避できないものだった。古代ローマ時代、支配者たちはユダヤ人に豚肉を食べろとけしかけて、帝国への忠誠を試した。 何世紀にもわたり、反ユダヤ的な彫刻や絵画、装身具には、雌豚の乳を吸ったり、豚に乗ったりするユダヤ人が描かれてきた。ユダヤ人が豚として描かれてきたことさえある。 ユダヤ人も、ときにはこの関連づけを受け入れてきた。そのなかでおそら
米「ニューヨーク・タイムズ」の調査報道ジャーナリスト、アニー・ジェイコブセンは、数々の米政府高官へのインタビューをもとに、「核抑止が破綻したとき、何が起こるか」を、著書『核戦争:一つのシナリオ』で示した。映画『デューン 砂の惑星』シリーズの監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴによって映画化も決まっている同作で描かれた、「核戦争」のリアルすぎるシナリオ──それを裏付ける根拠を、仏誌「レクスプレス」がジェイコブセン本人に聞いた。 人類が核戦争の惨禍を免れてきた要因の一つに、「幸運」がある。決定的な瞬間に誰も悪い選択をしなかったこと、過ちや失敗への反省が手遅れにならなかったこと……。これは核軍縮に関する国連のレポートのなかの言葉である。 ピューリッツァー賞の最終選考に残ったこともある米国人ジャーナリスト、アニー・ジェイコブセンは、新著『核戦争:一つのシナリオ』(未邦訳)のなかで「その幸運が失われたとき」を
結論から言おう。欧州中央銀行前総裁マリオ・ドラギが欧州委員会に提出した欧州の競争力と未来についての報告書の方向性は、いいものだった。 ドラギの提言は、欧州連合(EU)が今後、年間の投資額を8000億ユーロ(約130億4500万円)に増やさなければならないというものだ。年間8000億ユーロといえば、欧州の域内総生産(GDP)の約5%に相当する。第二次世界大戦後に欧州を再建したマーシャル・プランと比べると約3倍の数字となる(マーシャル・プランでは、GDPの1~2%が毎年投資されていた)。 これができれば、欧州大陸の投資水準を1960~70年代の高さまで戻せるわけだ。それを実現する方策として報告書が提言しているのが、EUの共同借り入れだ。要するに、2020年、EUが新型コロナ対策の復興基金として7500億ユーロを集めたときと同じ仕組みだ。 異なる点は、これがパンデミックという異例の事態に対処する
英紙「ガーディアン」は、10月27日付けで「ふたつのことに心奪われた日本:総選挙と大谷翔平の肩」と題した記事を掲載し、次のように報じた。 「月曜日、日本の新聞は総選挙の結果で持ちきりになるだろう。だが、大接戦となった今回の投票を受けての政治的未来に関する憶測は、何千キロも離れた場所で起きている別の出来事と紙面を争うことになる。たったひとりの男──大谷翔平によって」 10月26〜27日の週末にかけて、日本では衆院総選挙の投開票が、米国ではワールドシリーズの第2戦がおこなわれた。今後の日本にとって重要な出来事である総選挙と、ドジャースの大谷が試合中に肩を負傷したニュースの注目度が同等なことに、英紙も驚いているようだ。アニメ『ONE PIECE』の最新シリーズの放送開始がワールドシリーズのスケジュールと重なるため、1週間延期されたことにも触れている。 大谷が怪我をしたのは26日、二塁盗塁を試みた
ハマスの指導者を殺害しても、イスラエルはガザ地区への攻撃を続けている。ガザ地区北部はイスラエル軍に包囲され、多くの住民に安全な避難場所はなく、南へ向かうルートはイスラエル軍に封鎖されている状態だと、米紙「ワシントン・ポスト」などは報じる。 激しい攻撃と避難の強制、そして人道支援の妨害などによって民族浄化をおこない、イスラエルはガザ地区を自分たちの土地にしようとしている──イスラエル政府は否定しているものの、そのような疑惑は消えることはない。 いま、2005年に撤退したガザ地区のイスラエル人入植地(これは国際法違反である)を再び作ろうという運動が、イスラエル内で盛り上がっている。そしてその集会には、政権与党の幹部や閣僚も顔を出し、公然と支持を表明しているという。 与党や閣僚が「パレスチナは存在しない」 2024年10月21日、ガザ地区との境界に近い場所で、ユダヤ教の三大祭である仮庵の祭りを祝
フランスでは最近、著名な知識人が漫画家と組んで、自分の理論を解説する漫画を出版することがトレンドだ。日本で人気の高い人類学者、エマニュエル・トッドも漫画を出していて、同作では自ら考案した家族構造の理論を解説した。刊行にあたり、仏紙「フィガロ」がインタビューしている。 思想にも繋がる「家族のあり方」 ──あなたは西洋の敗北について、350ページに及ぶ著作を出版されました。その後、家族システムについてのあなたの研究は、漫画『テルール・グラフィック』のなかで描かれていますね。どのような考え方なのか、簡単に説明いただけますか。 話をシンプルにするために、私は4つの主要な家族システムを明確にしました。それらはヨーロッパの4つの大国であるフランス、ドイツ、英国、そしてロシア(まあ、一応)にそれぞれ対応しています。 まずはフランス。18世紀のパリ盆地に暮らす、農民家族を考えてください。そこの子供たちは大
値上げが止まらない電気料金。火山を利用して電気を作ることができれば、限られた資源に頼らなくてもよくなるのでは──? 専門家が、その可能性について解説します。 灼熱の溶岩を吐き出す火山を発電に利用するのは、危険だし当てになりません。いつ噴火するかわからず、溶岩はすぐ冷えてしまうからです。しかし米国を含む多くの国で、火山の熱を利用して発電する方法が編み出されています。それが、地熱発電と呼ばれる方法です。 地熱エネルギーは、地下深くで起こる地球の活動から生まれる熱エネルギーです。こうした活動はほとんどの場合、地表付近の岩石や地下水を温めるだけですが、火山活動が活発な地域では、その熱ははるかに強く、ときには岩石を溶かしてマグマを作り出すほどの超高温になります。 火山は巨大な熱の噴出口のような働きをして、マグマを地表近くに押し上げます。どろどろに溶けた高温の岩の一部はそのまま地表へ噴き出しますが、ほ
投票日が目前に迫った米大統領選で、民主党候補のカマラ・ハリスが苦戦を強いられている。7つの激戦州のなかでも、とりわけ中西部ミシガン州での勝敗が命運を分ける可能性が出てきた。国際政治学者の三牧聖子氏が解説する。 注目すべきはペンシルベニア州だけでなく… 米大統領戦が1週間後に迫るなか、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領の勢いに陰りが見えてきた。 大統領選は全米での得票数を競い合うのではなく、全米50州と首都ワシントンに人口等に応じて割り当てられた合計538人の選挙人の獲得数を競い合う。ほとんどの州が、民主党候補が勝利する「青い州」と、共和党候補が常に勝利する「赤い州」に色分けされるが、両党の支持率が拮抗し、大統領選ごとに結果が変わる激戦州が7州ほどあり、これらの州での勝敗が最終的な勝利の行方を左右する。 11月5日の投票日を目前に控えたいま、7つの激戦州の支持率でハリスは共和党候補のドナルド
電気自動車(EV)などの電池に使われる希少金属(レアメタル)は、採掘と電池廃棄の過程で環境問題を引き起こす恐れがあるため再生利用(リサイクル)が重要だが、東南アジアは他の地域に比べて取り組みが遅れている。 電気で動くEVその他の機器の電池には、リチウム、ニッケル、コバルトなどのレアメタルが使われる。国際エネルギー機関(IEA)によると、これらの金属の需要は2040年までに4倍に増える可能性がある。 人権団体や環境活動家によると、これら有限な鉱物の採掘には環境汚染や労働搾取などのコストが伴う。また、電池の寿命が尽きると、廃棄された電池と有害化学物質が環境と人の健康にさらなる危険をもたらす。 NGO「クライメート・ライツ・インターナショナル」の研究員、クリスタ・シェナム氏は、各国政府はEV電池に最低限の再生材料使用を義務付けることで、再生可能エネルギー移行に必要な鉱物の需要を減らすべきだと訴え
新興国でロシアが原子力発電所を建設する動きが広がっている。ロシアの原子力エネルギー外交によって、世界のエネルギー勢力図が変わろうとしている。 ロシア語が飛び交うバングラデシュの町 バングラデシュ西部の地方都市ループルでは、ロシアの存在感が急速に拡大している。通りにはロシア語の看板が並び、食品市場で並ぶ野菜にもロシア語の記載があり、病院でもロシア語で診察が受けられる。 なぜロシアから遠い地であるバングラデシュでロシア語が町にあふれているかというと、ロシア国営の原子力企業ロスアトムが、この地でバングラデシュ初の原子力発電所を建設しているからだ。2400メガワットの発電能力を持つループル原子力発電所は、近く試験運転を開始する予定だ。 この発電所は、深刻な電力不足に悩むバングラデシュにとって、必要不可欠なエネルギー供給源となると、英「フィナンシャル・タイムズ」紙は報じている。特に輸出に依存する繊維
マスク氏、ロシアのプーチン大統領と定期的に対話 世界一の富豪で米宇宙開発の要であるイーロン・マスク氏が、2022年終盤から定期的にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と接触していることが分かった。 複数の米国、欧州、ロシアの現・元当局者が確認したところによると、両者の対話は個人的な話題のほか、ビジネスや地政学的問題に及んでいるという。 プーチン氏は中国の習近平国家主席に配慮し、台湾上空でマスク氏率いる宇宙開発企業スペースXの衛星通信部門「スターリンク」のインターネットサービスを稼働させないよう同氏に要請したこともあった。これについて説明を受けた人物2人が明らかにした。 マスク氏は今年、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ前大統領の選挙戦において重要な支援者となっている。トランプ氏が勝利した場合は政権入りする可能性がある。 米国とその同盟国がここ数年でプーチン氏を孤立させる中、マスク氏の
日本人には馴染み深い「癒し系」作品の人気が、海外でも高まっている。英国の研究者である筆者が、海外の視点から癒し系の魅力を語るとともに、物語によって実際に人を癒す試みについて、興味深い例を紹介している。 西洋の伝統とは相容れない 日本研究者のポール・ロケットによると、「癒し系」とは穏やかさの美学を通じて、疲れた読者を癒すことを目的に作られた日本の物語ジャンルだ。彼が述べているように、この目的を達成するため、それらはプロットに衝突や対立というものがほとんど、あるいはまったくない物語として提示される。 だが、このシンプルなアイデアは、対立こそが物語を展開する鍵だと考えられてきた西洋の物語の伝統とはいくぶん対照的なものだ。脚本家であり、世界で最も人気のあるシナリオ講師のロバート・マッキーは、「対立を通じてしか物語は前進しない」と述べている。 しかし、教育者でジャーナリストのパトリシア・タンが指摘す
「日本は単一民族の国なんでしょ?」と海外の人に聞かれたら、どうやってそうは言い切れないことを説明しますか? アイヌ民族の存在について話せるでしょうか? 通常、歴史の授業では深く学ぶことのないアイヌ民族について、札幌大学教授でアイヌ研究者の瀬川拓郎さんが解説します。 列島の基層文化を伝える人々 アイヌは、狩猟漁撈(ぎょろう)と交易を主な生業として北海道を中心に暮らしてきた、独自の文化と言語をもつ人々です。彼らの特徴を一言で表すとすれば、縄文文化の精神的伝統を色濃く受け継ぐ人々、といえるでしょう。 それはたとえば、縄文時代を代表するモニュメントである貝塚に読み取ることができます。貝塚は食べカスや壊れた土器などが集積したものですが、そこでは墓や祭祀跡も見つかります。 つまり、貝塚はたんなるゴミ捨て場ではなく、あらゆるものを神からの贈り物とみなし、役割を終えた贈り物はたとえ木の灰であっても感謝とと
米大統領選まで2週間を切った10月23日、「天才データアナリスト」として知られる統計学者のネイト・シルバーが米紙「ニューヨーク・タイムズ」に直前予想を寄稿した。 世論調査では、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が7つの激戦州すべてで1~2ポイント差の大接戦を繰り広げている。 そんななか、シルバーいわく「唯一の責任ある予測は50対50の確率」で、どちらに転ぶかわからないというものだ。それでもあえて選ぶなら、「私の直感はドナルド・トランプと言っている」。 とはいえ、「私の直感も含めて誰の直感にも価値を置くべきではない」とシルバーは念を押す。 「それよりも50対50の予測は本当に50対50を意味しているという事実を受け入れるべきだ。同時に、その予測が間違っている可能性にも目を向けるべきであり、それはトランプとハリスのどちらにも等しく当てはまる」 つまり、現
他人事では済まされない 南仏にある、丘の上の小さな村マザン。ブドウ畑に囲まれたこの村には、まさにプロヴァンスのポストカードのような風景が広がっている。 ここは長年、ツール・ド・フランスでも使われる近くのサイクリングルートと、18世紀の悪名高き小説家、マルキ・ド・サドが住んでいたことで知られていた。村の中心部にあるサドの優美な邸宅は、この地の最高級ホテルとなっている。 だがいまでは、ジゼル・ペリコ(71)が50年間連れ添った元夫のドミニク・ペリコに定期的に睡眠薬を盛られ、見知らぬ男たちにレイプされた場所として有名になってしまった。9月にはフランス南東部のアヴィニョンで51人の男性が裁判にかけられ、その大半がジゼルに対する加重強姦の罪で起訴された。
富士山を隠す幕、外国人向け価格、メディアによるネガティブ・キャンペーン……。外国人観光客はもう、日本で歓迎されない存在なのだろうか。だが、仏紙記者から見れば、日本はまだまだその訪日外国人を活かしきれていないという。 2024年の夏、日本の米の値段が高騰した。その理由として、「外国人観光客のせいでもある」と日本の主要メディアはこぞって報じた。7月13日付の日本経済新聞も、スーパーで米の価格が2割も上がっていることについて、不作に加えて、訪日外国人という「余計な客」にも原因があると書いた。 米は日本人の主食なのだから、確かにこれは由々しき話である。しかし、実際には外国人による需要はごくわずかであり、この主張は支持できるものではない。 日本政府観光局によれば、2023年に日本が受け入れた外国人は2500万人。滞在期間は平均7.2日だとすると、全人口の0.4%でしかなく、日本人1億2500万人の食
人工知能(AI)は学問の世界にどう貢献していくのだろうか。存命する世界一の数学者と目されているテレンス・タオに、知られざる数学とAIの未来について、米誌「アトランティック」が聞く。 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の数学教授テレンス・タオは、実在の超知性だ。「数学界のモーツァルト」と呼ばれることもあるタオは、存命する世界一の数学者として広く認められている。その学績により、数学界のノーベル賞に相当する賞も含めて数多くの賞を受けている。 人工知能(AI)はいまのところ、タオの足元にも及ばない。だが、さまざまなテック企業が、その領域までたどり着こうと奮闘してはいる。 近ごろ注目を集めているAIだが、あの全能なるChatGPTですら、数学的推論を処理するようには構築されていない。むしろAIが特化しているのは、言語だ。 こうしたAIのプログラムに基本的な問いに答えるよう指示すると、理解したり、方程
10月19日の早朝、自民党本部に火炎瓶を投げ込み、首相官邸に車で突入しようとした臼田敦伸容疑者(49)が現行犯逮捕された。日本では「ローンオフェンダー」と呼ばれる過激化した単独犯による凶悪犯罪が後を絶たない。 こうした状況を受けて、警視庁は2025年に対策部門を新設する予定だ。だが、中国メディアはこれまでの日本のローンオフェンダー犯罪を振り返り、取り締まりにはさまざまな困難が伴うと指摘する。 テロが存在を証明する「唯一の方法」 日本では近年、組織に属さずに過激化した単独犯「ローンオフェンダー」による犯罪が相次いで起きている。 公正な刑事政策の実現を目指す組織、刑事司未来の石塚伸一によれば、ローンオフェンダーによる犯罪を阻止することはきわめて困難だという。「社会から孤立し、他者との接触をほとんど持たない人々が、犯罪に走っている」と石塚は言う。 日本のローンオフェンダーは、社会から拒絶されて追
「子供のIQを6ポイント向上させることができる」 米スタートアップ「ヘリオスペクト・ゲノミクス」の「胚をスクリーニングするサービス」が物議を醸している。 英紙「ガーディアン」によれば、同社は知能指数(IQ)や身長、肥満のリスク、精神疾患のリスクなどの特性を持つ胚をスクリーニングするサービスを提供しており、かかる費用は最大100個の胚を検査するのに約5万ドル(約760万円)、より少ない胚の検査には約4000ドル(約60万円)を請求しているという。 それぞれの胚が持つ前述のような特性をスコア化、そしてランク付けをし、最も「賢くて健康的な」胚を選ぶことで、子供のIQを6ポイント以上向上させることができると主張している。 これまでに12組以上のカップルがこのサービスに協力しており、そのなかの5組のカップルが妊娠に成功した。それらの胚は2023年末までに選別されたもので、その赤ちゃんがもうすぐ産まれ
イスラエルが解き放った危険 1年あまりで4万人を超える死者を出している、イスラエルによるガザ地区への攻撃。それは無差別攻撃に等しく、犠牲者の大半は民間人だ。 イスラエルがガザ地区の人々の命を脅かす手段は、爆弾や銃のみではない。特にこの1年間、容赦のない建物の破壊によって、大量のアスベストがガザ地区の空気中に放出されている。 国連の推計によれば、爆撃によるガザ地区の瓦礫のうち約80万トンが、アスベストに汚染されている可能性があるという。 毎日が「9.11状態」 英国のアスベスト法の策定に関わったアスベストの専門家ロジャー・ウィリーは中東メディア「アルジャジーラ」に対し、現在の状況はガザ地区の住民にとって「死刑宣告」だと述べる。ガザ地区の空気中のアスベスト濃度は非常に高く、住民が今後、中皮腫などに苦しめられることは間違いないという。 その影響は長期的なものだ。2001年9月11日の世界貿易セン
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