サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
画力アップ
courrier.jp
「ファーストクラスによく乗る」という人にとっても、「ファーストクラスなんて夢のまた夢」という人にとっても、その存在は遠ざかりつつある。というよりも、世界からファーストクラスが消えてなくなるかもしれないのだ。 中東の航空会社、オマーン航空がファーストクラスを廃止し、代わりに「ビジネス・スタジオ」という新たなクラスを設定すると発表した。この動きは、トルコ航空やニュージーランド航空に続くものだ。 ヨーロッパメディア「ユーロニュース」によると、航空会社によるファーストクラスの廃止は2000年からすでに始まっていた。その年、市場の低価格帯を格安航空会社が席巻するなか、ブリティッシュ・エアウェイズがビジネスクラスに初のフルフラットシートを導入。すぐにライバル各社も追随し、ファーストクラスの価値は急速に低下しはじめた。 それ以降、ビジネスクラスのサービス品質は向上し続け、ファーストクラスとビジネスクラス
本記事の対談は、スペース10のサステナビリティ経営事例をもとにしています。 スペース10の解説記事はこちらから。 日本企業が「大きなアジェンダ」を取れない原因 山口 時間軸と空間軸でアジェンダを捉えるときに、いろいろなポートフォリオがあります。たとえば、かなり先を見据えつつ精通する領域以外で事業をする場合、プロジェクトの不確実性は高い。でも、この領域にもある程度のリソースを張っておかないと未来は先取りできません。 Space10のギオームが「プロジェクトの成功率が高すぎるのはまずい」と語ったのはまさにそのことを指していましたね。日本を見渡してみると、アジェンダのポートフォリオは時間軸が短く成功が見込めそうなプロジェクトに集中している状態。ゆえにイノベーションが起こせていないのかもしれません。 その点、トヨタのウーブン・シティはかなり時間軸的にも長くとっていて、モビリティから抜け出した部分で
「ユダヤ人差別! ルフトハンザは罰金400万ドル」。ドイツのタブロイド紙「ビルト」は、米運輸省の発表を受けてそう見出しを打った。 2022年5月、米国から来た128人の正統派ユダヤ教徒の乗り継ぎをフランクフルト空港で妨げたとして、ルフトハンザドイツ航空は過去最高額の罰金を科せられた。同社はすでに乗客らに謝罪し、200万ドル(約3億円)を補償していたが、そこにさらに200万ドルが上乗せされる。 現地紙「フランクフルター・ルントシャウ」によると、ことの発端は、ニューヨーク発フランクフルト行きの便の機内で、何人かの乗客がマスクの着用を拒否し、飛行機の非常口を塞いだことだった。ブダベスト行きの乗り継ぎ便での同様の行為を防ぐため、ルフトハンザは、「大部分が正統派ユダヤ教男性の伝統的な服装を着ていた(そしてほとんどお互いに面識のなかった)」100人以上の乗客の搭乗を拒否した。
南米ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ。2010年から2015年の在任中も大統領公邸ではなく、郊外の小さな家で暮らし、「世界一貧しい大統領」としても知られた。彼はいま、食道がんと闘っている。米「ニューヨーク・タイムズ」の記者がムヒカの自宅を訪ねた。 10年ほど前、世界はいっとき、ホセ・ムヒカに夢中になった。ムヒカはウルグアイの庶民的な大統領で、大統領官邸ではなく、トタン屋根の小さな家で、妻と3本足の犬と暮らすことを選んだ。 世界のリーダーたちの前でおこなった演説、外国の記者によるインタビュー、ネットフリックスのドキュメンタリー……。そのなかで、“ペペ”・ムヒカの愛称で知られる彼は、映画さながらの人生の逸話を数え切れないほど語ってきた。 左翼ゲリラの一員として銀行強盗を働き、政治犯として約15年を獄中で過ごした。その間、地面の穴に棲みついたカエルと友達になり、そして、南米の小国である祖国ウルグ
中国のあるシュレッダー業者のもとには、切実な依頼が殺到している。風が吹けば桶屋が儲かる──その意外なビジネス展開の現場を、米紙「ワシントン・ポスト」が取材する。 リュウ・ウェイは、「ラブストーリーの亡骸引受人」を自称する。 北京にある国営の製薬会社での仕事を2022年に辞めて以来、リュウは北京のすぐ南にある廊坊市の工場倉庫で、書類など個人情報のシュレッダー事業を営んでいる。 とくに儲かる商売でもなかったが、昨年、「ブルーオーシャン」(競争のない未開拓市場)を探し当てた。離婚して結婚写真を捨てたがっている、都会暮らしの女性たちだ。 リュウは「ワシントン・ポスト」の取材に対して、死に関わるまた別の比喩を用いて言う。 「われわれは、そうした写真たちのライフサイクルが終わったときの火葬場なのです」 リュウのビジネスの潜在顧客はたしかに多い。2016〜2020年、中国では離婚件数が1年に400万件を
カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが、セブン&アイ・ホールディングスに買収提案をしてからまもなく2ヵ月。この大型M&Aの糸を引くと言われるクシュタールの創業者アラン・ブシャールとは、どのような人物なのか。地元ケベック州以外ではあまり知られていないというその人となりや経営理念を、英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」が関係者などに取材している。 不遇だった子供時代 カナダのケベック州の給油所で、ドライバーをウインクして出迎えるのはフクロウ──アリマンタシォン・クシュタールのロゴマークだ。 クシュタールは、仏語で「夜のフクロウ」を意味する。 1980年に第1号店を開店したクシュタールは、いまや世界中に1万6700店舗を構え、時価総額は530億ドル(約7兆9099億円)に達するという。 クシュタールがいま狙うのは、世界最大のコンビニチェーンであるセブン-イレブンだ。クシュタールは持
中国で日本人男児が刺殺された悲劇を受け、一部の中国人が政府に目をつけられることを覚悟で、事件の背景にあるとされる「反日教育」を批判しはじめた。「日本人を憎め」と教えられてきた彼らはいま何を思うのか。彼らの動揺や怒りに、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の中国籍の記者が迫った。 男の子は「反日感情」の犠牲者 2024年9月18日、中国で登校中の日本人男児(10)が刃物で刺された。その日付は、ほぼ1世紀前に日本による中国侵略が始まった1931年9月18日と同じだった。 男児は翌朝に死亡した。警察は現場で44歳の中国人男性を逮捕し、その男は犯行を認めたという。 日本の指導者たちは中国側に説明を要求した。中国政府は、この殺害を「個別の事件」と呼び、日本に対して冷静になるとともに「政治問題化」するのをやめるよう求めた。 一部の中国人は、男児は中国で高まる「反日感情」の犠牲になったとみている。それは中国政
離婚、整形、16歳年下の彼女 ジュニオール・カルヴァーリョの人生にほころびが生じたのは2022年春のことだった。29年間連れ添った妻から離婚を切り出されたのだ。 ワンベッドルームの質素なアパートに引っ越し、子供たちと会う機会も減った。食べすぎ、飲みすぎ、テレビの見すぎの生活を送った。 52歳にしてすでに老いを感じていた。孤独死は避けたかったが、こんな自分を誰が求めるだろうか。喪失感と不安を抱え、毎日何時間もビーチを歩いた。 歩くうちに体重が減りだした。ジムに通いはじめ、パーソナルトレーナーを見つけた。サプリメントとテストステロンを摂取した。鍛えて強くなり、筋肉もついたが、目標には近づけなかった。 彼が目指していたのは、ブラジルの太陽の下で、シックスパックの腹筋を輝かせながら颯爽(さっそう)とビーチを歩く、ありえないほど魅力的な男たちの容姿だった。 ネットで検索すると答えが見つかった。超高精
Text by Claire Fu and Daisuke Wakabayashi Photographs by Gilles Sabrié 出生率の低下が止まらない中国では、子供向けのビジネスが立ちいかなくなっている。そこで、彼らが目をつけたのがシニア向け事業だ。幼稚園は老人ホームへと形態を変え、スクールでは子供にダンスを教える代わりに、高齢者にモデルウォークを教え、インフルエンサーになる方法を伝授する。米「ニューヨーク・タイムズ」紙が、中国で盛り上がる「シルバーエコノミー」の最前線に迫る。 リー・ドンメイ(36)は10年以上、中国の出生率低下という現実に耐えながら、幼稚園や幼い子供向けスクールの系列を運営してきた。ついにその結果を引き受けねばならなくなったのは、2020年のことだった。 子供の数が減るということは、彼女の学校に入学する赤ちゃんや幼児の人数も必ず減るということだ。新型コロ
シリコンバレーのグル 「いまからおよそ一四〇億年前、いわゆる『ビッグバン』によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生した」 イスラエル人歴史家ユヴァル・ノア・ハラリの著書『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(2011年)はこのように始まる。そしてこの一文によって、21世紀のアカデミアにおいて最も目覚ましいキャリアのひとつが始まった。 『サピエンス全史』はさまざまな言語に訳され、全世界で2500万部を売り上げている。その後もハラリは数冊の著書を出版し、さらに数百万部を売り上げた。現在ハラリは15人ほどの職員を雇い、仕事のマネジメントや自身のアイデアを発展させるのを手伝ってもらっている。 アシスタントの雇用はハラリにとって不可欠だった。滅多にオンライン上に登場しない著名人として、ハラリはダライ・ラマの次に有名だろう。 彼はスマホを使わない(「時間と集中力をとっておきたいんです」とのこと
印刷機の歴史的意義 AIにつながる先例として、可動式印刷機を挙げる人は多い。彼らいわく、この発明はヨーロッパに書物を氾濫させ、それが科学革命へとつながった。 ハラリはこの物語を怪しいと見ている。印刷が科学のために用いられることを保証するものは何もなかった、と彼は述べる。1543年にコペルニクスが発表した『天体の回転について』は、初版わずか500部を売り切ることもできなかった。それは「オールタイム・ワーストセラー」だったと、作家アーサー・ケストラーが冗談にしたくらいだ。 逆に売れた本といえば、ハインリヒ・クラーマーの『魔女に与える鉄槌』(1486)が挙げられる。これは魔物と番い、人間の男のペニスに呪いをかけるという性に貪欲な女たちが、悪魔的な陰謀を企てていると喧伝した書物である。 歴史家テイマー・ハージグは、この本を「前近代において印刷されたもののうち、おそらく最も女性嫌悪的なテクスト」と表
真の報道がない世界 情報時代の経済は油断ならないものだ。そこでは、安く消費できるが、利益の少ないコンテンツが生み出される。 たとえば、ターゲティング広告付き無料コンテンツがジャーナリズムに与えた影響を考えてみよう。2005年時点と比較して、米国ではすでに全体の約3分の1の新聞、3分の2以上の新聞関連職が失われ、新聞関連の被雇用者のおよそ7%がニューヨーク・タイムズという単一の企業に勤めている。 21世紀の米国──情報革命の頂点にして中心──において、我々は「ニュースの砂漠」、すなわち報道が実質的に消滅する場所について語らなければならない。 AIはこの状況を悪化させる危険がある。優れたチャットボットがありさえすれば、各プラットフォームは外部コンテンツへのリンクを必要としなくなる。チャットボットが同じコンテンツを合成できるからだ。 グーグル検索はユーザーを外部サイトに送り出すことになるが、チャ
アップルではやり尽くした アップルを離れてからの5年間、ジョナサン・アイブは何をしていたのか──彼が所有する土地にそのヒントが眠っている。 数億ドルもの資産を持つアイブは、サンフランシスコのジャクソン・スクエアにある複数の不動産を、4年かけて手に入れた。 最初の物件を購入したのは、新型コロナのパンデミックが始まったばかりの頃だった。当時、IT業界の大物はこぞってサンフランシスコを脱出していた。だがアイブには、1990年代に移住してきたこの土地を去るという選択肢はなかった。 「サンフランシスコは、たくさんの優秀な人材を惹きつけてきた土地です。ところがパンデミックで社会が停滞したとたん、多くの人が離れていきました。しかし私は、この街に恩義を感じていました」 白い長袖のパーカーとチノパン、クラークスのワラビーシューズといういで立ちで取材に応じるアイブは、このエリアにクリエイティブな人々を集めたい
ジョナサン・アイブ(57)がアップルのCDO(最高デザイン責任者)を退いて、まもなく5年が経つ。 現在アイブは、米サンフランシスコに拠点を構える。アイブが所有する建物群はハンノキの木々に囲まれている。 私たちはそのうちのひとつで、ジャクソン・スクエアにある築115年の2階建ての建物にいた。1840~50年のゴールドラッシュの時期に発展したジャクソン・スクエアは、チャイナタウンと金融街の間に位置している。 「最初にこの物件を買って、それから気づいたんです。ここは広いし、街の中心部にあるじゃないかとね」と、仏高級眼鏡ブランドであるメゾン・ボネの老眼鏡をかけたアイブは言う。 そこはもともと駐車場だった。がらんとした土地を目の当たりにすると、そこにないものが見えるとアイブは言う。たとえば庭、そしてアイブが愛するロンドンのリバー・カフェのように、人が集まって交流できる場所──アイブは次々と近隣の物件
俳句を詠む際に使われる「季語」。その季節を表す言葉であるはずだが、気候変動の影響を受けてズレが出てきているという。スペイン紙記者が、この環境の変化が俳句の世界にもたらす影響を考えた。 地球温暖化によって引き起こされた気候サイクルの乱れが、日本の伝統的な詩形である「俳句」に影響を与えはじめている。俳句は、ときの流れや自然のリズムに着想を得て、儚い世界を創り出す詩である。世界で最も短い詩形の一つとして知られ、典型的な形式は、5音、7音、5音で構成された3つの句からなり、「季語」と呼ばれる季節を表す言葉を含むことが求められる。 その役割は、描写される場面の季節感を伝えることにある。国際俳句協会理事で、日本大学で英文学を教える木村聡雄はこう説明する。 「この規則の起源は、私たちの日常生活にあります。誰かと会うと、私たちはたいてい天気について話します。『暑いですね』や『雨はやむでしょうか』といったよ
2028年までに完了予定 ロシアと中国が共同で月面に原子力発電所を建設するプロジェクトが進行しており、インドメディア「ミント」は、インドもこのプロジェクトに参加する可能性があると報じている。 月面では夜が14日ものあいだ続くため、太陽光発電などに頼らず電力を継続的に供給できる原子力発電への期待は大きい。 将来的に月面居住地を建設した際に電力を確保することがこのプロジェクトの目的だ。最初のミッションは2026年に予定されており、2028年までに完了する予定だという。 同プロジェクトを主導するロシアの国営原子力エネルギー企業ロサトムは、この月面原発は小規模な地域を賄うほどの電力(最大0.5メガワット)を供給する計画を発表している。 ロサトムのプロジェクト責任者アレクセイ・リハチェフは、月面原子力発電所の構築に関して、「中国やインドのパートナーもこのプロジェクトに強い関心を持っている。国際宇宙プ
魚を締めるための日本固有の技術「活け締め」。この技法を用いれば、魚を長時間苦しませることなく、鮮度もより良く保つことができる。海を超えて輸出されたこの日本の技がいま、フランスの美食家たちを魅了している。 午前10時30分、静岡県焼津市──小さな店の前で、競りから戻ってくるライトバンの到着を十数人がいまかいまかと待っている。がっしりした身体つきの男が顔を輝かせて車から降りてくると、喜びの声が一斉に上がった。 その男の名前は、前田尚毅(まえだ・なおき)。彼は、市長などといった地元の名士というわけではなく、魚屋「サスエ前田魚店」の5代目で、迎えに出ていた小さな一団はわざわざ車を4時間走らせて京都からやって来た料理人たちだ。彼らはここで、「どうやったら海産物の良さを最大限に引き出すことができるのか」を会得しようというのである。 「前田さんの技術は、唯一無二のものなんです」と地元のシェフ、井上靖彦が
人工知能(AI)は、喧伝されているほどの期待には応えられないとMIT経済学教授のダロン・アセモグルは主張する。だから、AIに闇雲に投資するのはリスキーだと──。AIをめぐる物語は今後どう展開していくのか。アセモグルが3通りの筋書きを提示する。 人工知能には何の反感も持っていない──ダロン・アセモグルは、真っ先にそのことをはっきりさせようとした。AIのポテンシャルを理解するアセモグルは、インタビューに入ってから数秒でこう断言した。 「私はAI悲観論者ではありません」 では、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)の有名なアセモグル教授を、この先高まる経済・金融の危機を見据える予言者然とさせているものは何なのか。 それは、AI技術をめぐる執拗な誇大宣伝があり、その煽りをうけて投資ブームが生まれ、テック株式市場が激しく上昇していることにある。 AIはたしかに有望かもしれないが、誇大宣伝どおりになる
『断固たる日本──企業を復活させるリーダーたち』(未邦訳)の著者である早稲田大学の池上重輔教授、そして米ウォートン・スクールのハービル・シン教授とマイケル・ユジーム教授は、日本の大企業のCEOや幹部たち100人以上にインタビューを実施し、成功の秘訣を尋ねた。 めざましい成長を遂げたビジネスリーダーたちのエピソードから浮かび上がる「持続可能な会社を創るリーダーシップ」とは? 長期の目標に短期の目標を組み合わせる 『断固たる日本──企業を復活させるリーダーたち』(未邦訳)のなかで、池上たちは次のように書いている。 「私たちが出会った強い意志を持つ日本のリーダーたちは、欧米に比べてより長期的な計画に集中しつつも、短期の目標設定を組み合わせていることがわかった。 同時に彼らは、投資家だけでなく顧客たちを重視している。一方で米国企業は、投資家によって支配されている。日本のリーダーたちは、リスクを恐れ
過重労働で失われた命 英紙「ガーディアン」によると、経済ブームに沸くインドで、ある若い女性の「過労死」事件が波紋を呼んでいる。 7月20日、大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)で勤務していた公認会計士のアンナ・セバスチャン・ペライユ(26)が、入社から約4ヵ月後に亡くなった。英通信「ロイター」は、その死因を急な心肺停止であったと報じている。 それに対し、彼女の母親はEYインドの会長、ラジブ・メマニに手紙を送り、娘の死は「圧倒的な仕事のプレッシャー」のせいだと非難した。この手紙は9月にソーシャルメディア上で拡散されて大きな議論を引き起こし、同社は政府の調査を受けている。 手紙には次のように書かれていた。 「彼女は息つく暇もなく、週末さえ夜遅くまで働いていました」 「絶え間ない要求と非現実的な期待に応えなければならないというプレッシャーは持続可能なものではありません。そうして多くの
日本でも「親ガチャ」という言葉が話題になったが、経済が停滞する中国でも、親から既得権益を受け継ぐ富裕層への反感が高まっているという。中国で格差が急激に拡大する社会背景を英誌「エコノミスト」が取材した。 高まるエリート層への反感 中国ではSNS上で、「タバコ企業の3代」という言葉が広く使われるようになった。この言葉は、「国有タバコ企業の管理職といった優良な仕事を代々受け継ぐ特権エリート層」を指す。 85万人以上のフォロワーを持つあるブロガーは、ミーム化したこの言葉を引き合いに出して次のような投稿をした。 「世襲制のせいで、限られた人しか支配階級の恩恵にあずかることができない。彼らがそれ以外の階層の機会を奪っているため、底辺にいる人たちはそこからはい上がることもできない」 この投稿に、数百人が賛同した。 ある人は「支配階級は固定化されつつある」とコメントし、またある人は「エリートの子供は出世す
「友達」と呼べる人はいるのに、関係が希薄で孤独を感じてしまう──そんな人もいるかもしれない。米誌「アトランティック」によれば、そうした孤独を感じている人が米国に大勢いるという。 もっと深い仲になりたい 公衆衛生総監や何十人もの研究者によれば、米国人は「孤独のエピデミック」に悩まされているという。そう聞くと、誕生日パーティーに呼ぶ相手もいない、友達のいない世捨て人ばかりの国家を思い浮かべるかもしれない。 だが2つの新しい調査によれば、米国の孤独はもっと複雑だ。平均的な米国人は、ソファでひとりでTikTokを見る前に「集まろうよ!」と数人に連絡し、そのまま寝落ちしているらしい。つまり、米国人には友達がいる。ただし本当に会うことはない。 7月に発表された研究のために、コロラド州立大学のナタリー・ペニントン教授と論文の共著者たちは、米国の成人約6000人を対象に、友人関係に関する調査をおこなった。
毎日、目の痛みに苦しむ もう20年以上、農薬散布の飛行機の音がリデス・ゴメスの日々の生活のリズムを作っている。コスタリカの、カリブ海に面したリモン州の都市マティーナ。明け方と夕方には、その上空に大量の飛行機が飛ぶ。バナナ農園に、粘着性のある農薬を噴霧するのである。 ゴメスの質素な木造住宅を囲む、どこまでも続く緑のバナナ農園は、グルーポ・アコーンの傘下、リモフルーツ社の所有物である。この会社は、コスタリカのバナナとパイナップル輸出産業の主力に数えられる。 ゴメスは3人の子供を育てるシングルマザーであり、コスタリカ国立大学の地域毒性物質研究所(IRET)の研究に協力した、451人の女性のひとりだ。バナナに用いられる殺虫剤への暴露に関するこの研究は、足かけ14年にもわたり、甲状腺や妊婦の胎児生育への影響を明らかにしてきた。
倫理と環境のために「タコ禁止」 「日本人は──そしてスペイン人も──タコが大好きだ。大阪ではたこ焼きが人気だし、東京の小さな居酒屋では、タコの唐揚げや刺身が食べられる。スペインのガリシア地方では、茹でた触手をパプリカで味付けしたポルポ・ア・フェイラが文化として深く根付いている」 そう報じるのは、米紙「クリスチャン・サイエンス・モニター」だ。同紙によれば、日本におけるタコの総輸入量(1万トン以上)の約40%を占めるのは、モーリタニア産のものだという。そのため、同国ではタコのことをフランス語でもアラビア語でもなく、日本語で「タコ」と呼ぶ。そして最高基準値を満たすタコは「ジャパン・クオリティー」とされるそうだ。
かつて強大な権力を握っていた日本の官僚は、いまや憧れの職業ではなくなった。その過酷な労働環境から「ブラック霞が関」とも呼ばれ、若く優秀な人材がスタートアップ企業へ流出していると、英誌「エコノミスト」が報じる。 日本の官僚は「冬の時代」を迎えている 「おれたちは国家に雇われている。大臣に雇われているわけじゃないんだ」 小説『官僚たちの夏』の主人公、風越信吾は誇り高くそう言う。通商産業省(現・経済産業省)の官僚である風越は、階級がわずかに高いだけの政治家である大臣に対し、挨拶のために立ち上がることを拒んだ。 1975年に出版されたこの小説は、戦後の高度経済成長期、名門大学の卒業生がこぞって一流官庁の仕事を求めた時代に、日本の官僚がいかに権力を持っていたかを物語っている。当時の高級官僚は、エリート銀行員に匹敵するステータスと権力を有し、日本の国家機構を動かしていた。 しかし、このようにかつて強大
【今回のお悩み】 「最近、夫婦間の会話が少ない気がします。どうしたら会話を増やすことができますか?」 最近、夫婦で話すことがあまりなくなった。家ではテレビを見ていたり、外出先でも沈黙が続いたり。時間を惜しむように夢中で話していた時代はどこへやら。どうしたら、そんな状況を好転させることができるのでしょうか。哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 本当のところは、会話が少ないのは今に始まったことではなく、前からそうだったのかもしれません。結婚当初からずっと会話が少ない夫婦もいると思います。ですが夫婦間の会話が少ない気がするのは、以前多かった時と比べて、今は少ないと感じているということです。 以前は今よりも会話が多かったとすれば、まず、付き合い始めた頃とは違って、長く一緒にいると、いちいち細かなことまで説明しなくても話は通じ、相手が次に何をするかもわかるようになるからです。 会話が少ないことは快
父は些細なことで突然怒りを爆発させ、怒鳴り散らかす。子供のころから怒鳴り声に浴びながら育ってきた筆者だが、そんな父の怒りの奥で横たわる痛みに気づき──。 この記事は、愛をテーマにした米紙「ニューヨーク・タイムズ」の人気コラム「モダン・ラブ」の全訳です。読者が寄稿した物語を、毎週日曜日に独占翻訳でお届けしています。 名前のない傷 僕は“怒れる世界”に生まれた。子供の僕が最初に学んだことは、家の至る所にある目には見えない引き金の存在を理解して、それに触れないようにすることだった。 母は、しょっちゅう父に対して怒っていた。兄は両親の離婚と、6年間一人っ子だったあとに生まれた僕の存在に動揺すると同時に、しょっちゅう僕に対して怒っていた。そしてベトナム帰還兵の父は、絶えず、僕たちの誰かに怒鳴り散らしていた。 絶叫とわめき声の形で訪れる父の怒りは、ほんの些細なことで誘発された。それは、兄が夕食のときに
受刑者が受刑者を介護 刑務所に行けば、その国が犯罪者をどう扱っているのかがわかる。世界には、音楽スタジオやトレーニングジムまで備えた人道的な刑務所もあれば、衛生管理が行き届かず、劣悪な環境に囚人たちが詰め込まれている刑務所もある。 英紙「オブザーバー」は、日本最大の刑務所である府中刑務所を訪ねた。ガラス張りの「市役所に間違えられるような」玄関と、FC東京を応援する垂れ幕のかかった受付エリアを通って独居房のエリアに行くと、そこには「穏やかで、整然とした雰囲気」が漂っていた。シミひとつないミントグリーンの壁の独居房には、きれいにたたまれた寝具や山積みの本が置かれている。 府中刑務所には1700人ほどの受刑者がいる。そのうち370人は外国人で、彼らは英語と中国語のラジオの視聴を許可されている。近年、刑務所全体の受刑者数が減少しているため、外国人受刑者の割合はわずかに上昇している。だが、それ以上に
円の下落を受けて、旅行するのに「安い国」となってしまった日本には、大量の観光客が押し寄せている。そのせいで、日本人が重視する公共の場でのマナーが脅かされていると、スペイン紙が報じている。 公共の場における極端なまでの礼儀正しさとマナーの良さが、日本のオーバーツーリズムの“被害者”となっている。日本の通貨が下落するにつれ、文化よりも買い物に関心がある観光客のあいだで、日本の評判が高まっているのだ。 「最近は、文化に関する予備知識は皆無で、行き当たりばったりにやってくるお客が増えています」とエンリケ・メディナは嘆く。マドリード出身の写真家の彼は、観光ガイドとして、とくにスペインとラテンアメリカからのグループを連れて日本を巡っている。 「少し前までは、外国人観光客はいつも『予習ができた』状態で日本にきていました」と彼は続け、4月に満開の桜を見るために訪れた観光客らを例に挙げる。桜の開花は毎年お待
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『クーリエ・ジャポン | 海外メディアから記事を厳選!』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く