民主党代表の政策秘書の逮捕にすぐさま「国策捜査」という批判がなされていた。こういうことは言うべきではない。現在の検察は,批判されるような「国策捜査」をする体制にない。裁判官は職務の独立性は憲法上保障されている。弁護士の独立性も弁護士自治によって守られている。検察の仕事も基本的に独立性が保たれている。検察一体の原則があり,組織としてはピラミッド型の統制のとれた集団であるが,その方針が確定されるまでは,それぞれの職制のなかで自由な議論が保障されている。法務大臣の指揮権発動が唯一その独立性を制約するものである。それが検察であると教わってきた。 東京地検特捜部のもっとも華やかところは,霞ヶ関,永田町の権力の中枢に入り込むところである。現在の広島高検検事長は,司法修習時代同じクラスで席も近かった。彼も東京地検特捜部の経験があり,国会議員を逮捕して晴れやかな表情で黒塗りのクルマでその議員を連行している