ポール・クルーグマン ニューヨーク・タイムズに私がコラムを書くのは今回で最後となる。最初に執筆したのは2000年1月だった。引退するのはニューヨーク・タイムズからであって、世界からというわけではないので、私はこれからも他の場所で意見を述べていくつもりだ。ただ、この25年間で何が変わったかを振り返るのには、今回はちょうどいい機会であるように思える。 過去を振り返ってみて考えさせられるのは、米国と西側諸国の人々の多くが当時いかに楽観的であったかということであり、そしてその楽観主義がどれほど怒りや恨みに取って代わられてしまったかということである。私が話しているのは、エリート層に裏切られたと感じている労働者階級のことだけではない。現在の米国で最も怒りを抱き憤慨している人たちの中には、自分たちが十分に称賛されていないと感じている億万長者たちもいる。これらの人々は、次期トランプ政権に大きな影響力を持つ