作家、コラムニスト/ブレイディみかこ この記事の写真をすべて見る 英国在住の作家・コラムニスト、ブレイディみかこさんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、生活者の視点から切り込みます。 【写真特集】大物がズラリ!AERA表紙フォトギャラリーはこちら 英労働党のスターマー首相は、与党リーダーとして初めて臨んだ国会で、新政権は「国家再生の道」を目指すとしながら、「即効性のある解決策はない」と語り、「まがいものの魅力で人をだますポピュリズム」について警告を発した。 「生活費危機」で疲弊した国を再生させるには、貧困問題、特に子どもの貧困への取り組みが最優先だろう。いまや英国では4人に1人の子どもが絶対的貧困の状態だ。この窮状を生んだ原因の一つが、公的扶助の増額を第2子までとする上限の存在である。2017年に保守党政権がこの上限を導入したとき、労働党議員たちは激しく反対し