第3 内閣法制局の憲法解釈権に対する批判 1 内閣法制局に対する様々な批判 内閣法制局の憲法解釈に対しては、様々な批判がされてきた。 とくに、内閣法制局の憲法解釈を否定しようとする立場から、内閣法制局の憲法解釈権自体を問題視する発言が強く出されている。 そこで、内閣法制局の憲法解釈権に対する批判的発言について、個別に検証を試みたい。 2 「三権分立に反する」という批判 (1)1つは、「憲法に対する最終的な判断権者は最高裁判所であり、行政機関の1つに過ぎない内閣法制局の憲法判断があたかも国の唯一の憲法判断のようにされているのは三権分立の観点からおかしい」という批判である。 (2)確かに、憲法に対する最終的な判断権者は最高裁判所である。 しかし、まず、内閣法制局の憲法解釈は、あくまで政治的意見であって法的拘束力を有しているわけではなく、その意味で、最高裁判所の最終的な憲法解釈権を何ら侵害してい