太極拳を終えた大崎博子さん。公園のベンチに座り、スマホでささっとツイートする=東京都練馬区で2020年6月10日、鈴木琢磨撮影 おばあちゃんになっても団地でひとり暮らし。おカネもない。でも、いまが一番、幸せ。そんな生き方をつづった著書がベストセラーになった大崎博子さんが7月23日に旅立った。享年91。78歳で始めたX(ツイッター)のフォロワーは20万を超え、8月になると自身の体験をもとに「戦争反対!」を訴え続けた。 その死に大崎さんが住んでいた東京都練馬区の石神井公園かいわいは悲しみが広がった。私もそのひとりだ。公園を散歩し、太極拳で体をほぐし、喫茶店でおしゃべり。健康マージャンの会にも通った。白髪を薄い紫色に染め、ジーンズのおしりのポケットにスマートフォンを差し込み、さっそうと歩く。コロナ禍のさなかに出会ったが、わがまちの自慢だった。駅前の本屋には5万部を突破した「89歳、ひとり暮らし。