STAP細胞の問題について、調査報告書の内容を説明する調査委員会の桂勲委員長=東京都千代田区で2014年12月26日、竹内紀臣撮影 新たな万能細胞として、理化学研究所が2014年1月に華々しく発表した「STAP細胞」。しかし同年7月に論文は撤回され、世紀の発見は幻に終わった。最終的に不正を認定して引導を渡したのは、理研が設置した調査委員会だ。10年前、その調査委員長を務めた桂勲・元国立遺伝学研究所長がこの度、初めて調査についてメディアの単独取材に応じ、当時を振り返った。 精神的重圧の中で不正を認定 10年前、問題の発覚を受けて理研から「研究不正があるかどうかの判定をしてほしい」と調査委員会の委員長就任を依頼された。社会的に影響が大きい問題になっていたので、誰かが決着をつけないといけないと考え、引き受けた。 論文は図表の大半が不正を疑わせ、研究チームでは図表に関する具体的な議論がなかったので