高台から見下ろすと、屋根が崩れた建物やひび割れた道路が見えた。木々はみな枯れて黒ずんでいる。「ここはリゾートだった。子供のころ、私も母親とよく来たよ。ホテルもガソリンスタンドもあった」。水問題に取り組む地元NGO「エコピース・ミドルイースト」のナダブ・タールさん(46)が指さす先には、穴だらけの大地が広がっていた。 「水」が希少な中東で、パレスチナ問題が水資源やインフラに悪影響を与え、ガザ戦闘がそれに拍車をかけています。「水と戦争」をテーマにした記事8本を順次、お届けします。 第1回 「死海は死につつある」 縮み続ける湖 パレスチナ問題の犠牲に 第3回 「過激主義者が争いの種に」 死海の水源ヨルダン川、流水量が激減(6月26日15時掲載) イスラエル東部エンゲディ。エルサレムから1時間あまりで来られる死海のビーチは、かつて多くの観光客でにぎわっていた。だが、1980年代後半ごろから地面に無