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このイラストのように、恒星は燃料を使い果たすと爆発する。天文学者は毎年、何千もの爆発を目撃しているが、そのほとんどは地球から比較的近い場所で起きている。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の新しいデータから、宇宙初期の超新星が多く発見され、太古の宇宙で起きた爆発の記録が急増した。(ILLUSTRATION BY MEHAU KULYK, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 遠く離れた超新星を観測することは、過去をさかのぼるようなものだ。超新星爆発は天文学者に、何十億年も前の宇宙がどのような姿だったかを教えてくれる。天文学者たちは現在、遠くにある宇宙初期の超新星をこれまでより10倍も多く発見しており、6月7日付けで査読前論文を投稿するサーバー「arXiv」に発表した。その中には、観測史上最も古く、最も遠い超新星が含まれる。 これらの超新星は、米航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ
トラウマが遺伝子のオン・オフを変化させ、世代を超えて受け継がれる可能性があることを示唆する科学的証拠が集まりつつある。(PHOTOGRAPH BY TEK IMAGE, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 最新科学の知見によると、戦争や大量虐殺から虐待や環境要因まで、さまざまなトラウマの影響が世代から世代へと受け継がれている可能性があるという。 「あなたのお母さんやお父さんが経験した深刻なトラウマが、自分に影響を及ぼしているような気がすることはないでしょうか?」と、米マウントサイナイ医科大学の精神医学と神経科学の教授で、トラウマについて研究しているレイチェル・イェフダ氏は問いかける。氏の研究は、人生を変えるほどのトラウマが、「エピジェネティックなシグナル」として子孫に受け継がれることを示している。 「エピジェネティクス(後成遺伝学)」は、遺伝子のオン・オフのしくみを研究する学問分
2024年6月、米国イエローストーン国立公園内のラマー・バレーで、白いバイソンの赤ちゃんが生まれた。白いバイソンは、米国先住民の文化においては聖なる動物で、「神の祝福であると同時に警告でもある」と考えられている。(Photograph by Erin Braaten, Dancing Aspens Photography) 野生動物の誕生が大きな話題になることはあまりないが、米国ワイオミング州で撮影された白いアメリカバイソンの赤ちゃんが、人々の関心をさらっている。「数分違いで誕生の瞬間を逃してしまいました」。6月4日、写真家のエリン・ブラーテン氏はフェイスブックにこう投稿した後、イエローストーン国立公園で白いバイソンが誕生したニュースは瞬く間に世界に拡散した。 キリン、バク、サルからピューマ、アナグマ、そしてカエルやヘビに至るまで、白、黄色、またはブロンドの個体は人々を魅了する。しかし今回
ジョン・エベレット・ミレーによって1878年に描かれた「塔の中の王子たち」。英ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校ピクチャーギャラリー所蔵。エドワード5世(1470~83年?)(右)と弟のヨーク公リチャードは、1483年にロンドン塔に幽閉された後、姿を消した。(PHOTOGRAPH BY ROYAL HOLLOWAY, UNIVERSITY OF LONDON, BRIDGEMAN IMAGES) 1483年の夏、イングランド王エドワード5世と弟のリチャードは、ロンドン塔に幽閉されたのを最後に、消息を絶った。それから何世紀もの間、叔父であるリチャード3世が2人を暗殺したのではないかと、確かな証拠もないまま言われてきた。 そこで調査に乗り出したのが、2012年に英国レスターの駐車場からリチャード3世の遺骨を発見したことで知られる歴史家のフィリッパ・ラングレー氏だ。映画『ロスト・キング 500年越
南極の巨大ウミグモの一種。南極のデイトンズウォールとよばれる多様な生物が生息する場所で、2015年に撮影。(PHOTOGRAPH BY ROB ROBBINS) タツノオトシゴのお父さんが子育てすることはよく知られている。しかし、ウミグモも似たようなことをすることは、あまり知られていない。(参考記事:「【動画】一気に2000匹!タツノオトシゴのオスの出産シーン」) 長い脚を持つウミグモは、世界中の海に1500種ほどが生息している。潮の満ち引きの合間に潮だまりをうろつく小さなものから、極地の深海を歩きまわる大型のものまで、ほとんどのオスのウミグモは生まれる前から子どもを大切にする子煩悩な父親だ。そして、このほど発表された南極に生息する巨大なオオウミグモ(Colossendeis megalonyx)の研究で、父親の子育てがどのように始まったのかについて、新たな手がかりがもたらされた。 かつて
マヤ文明の古代都市チチェンイツァの大ピラミッド「エル・カスティージョ」。生贄を埋葬した貯水槽チュルトゥンと聖なるセノーテは、ともにこの近くにある。(PHOTOGRAPH BY CRISTINA MITTERMEIER, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 1967年、古代マヤで最も栄えた都市の1つチチェンイツァの貯水槽「チュルトゥン」とそこにつながる洞窟で、考古学者たちが多数の人骨を発見した。このチュルトゥンは8世紀にわたって若い成人や子どもの生贄の埋葬に使われ、遺体のほとんどが若い女性とされてきた。マヤ文明は儀式の生贄に女性を捧げることを好んだと考えられていたからだ。(参考記事:「チュルトゥンの図解も、知ってるようで知らないマヤ文明」) しかし、2024年6月12日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文が定説を覆した。回収された64体の遺骨のDNAを分析したところ、す
山形県山辺町の湖沼、「畑谷大沼」で遺伝子型が異なるミジンコの2集団が共存しているのは、飼育下では負けて絶滅する側の集団が休眠卵を早めに産むことで長期に生き残る戦略をとっているためと東北大学などのグループが明らかにした。9年にわたる観測で休眠卵が不適な環境を乗り越えるだけでなく、競争による絶滅の回避や共存にも重要であることがわかった。今後その生態的意義や進化、分子機構の解明が期待されるとしている。 山形県の畑谷大沼において共存しているミジンコのJPN1(左)とJPN2。見た目の違いはほぼ無いが、遺伝子型で区別できる(宇都宮大学の丸岡奈津美博士研究員提供) ミジンコ類は湖沼に生息する代表的な動物プランクトン。日本にいるミジンコは北米大陸からの侵入種で、オスとメスが交尾して子どもができることはなく、単為生殖によってクローンを生産し続ける。 水温20度下では約3日のペースで全く同じ遺伝子をもつ卵を
ボツワナのオカバンゴ・デルタを歩くアフリカゾウ。一帯にはどこよりも多くのアフリカゾウが住んでいる。(PHOTOGRAPH BY BEVERLY JOUBERT, NATIONAL GEOGRAPHIC IMAGE COLLECTION) 1975年にアフリカゾウの研究を始めたときから、生物学者のジョイス・プール氏は、ゾウたちがときどき仲間に向かって呼びかけていることに気づいていた。呼びかけに対しては、多くのゾウが返事をすることもあれば、1頭だけが応えることもあった。 「ゾウには特定の個体に呼びかける方法があるのではないかと、わたしは考えていました」と、非営利団体「エレファント・ボイシズ」の科学ディレクター兼共同創設者であるプール氏は言う。それでも「どうやって確かめればいいのかわからなかったのです」。だが、2024年6月10日付けでプール氏らが学術誌「Nature Ecology and E
コーヒーを飲むことは、2型糖尿病、認知症などの神経疾患、死亡のリスクの低下との関連が見つかっている。しかし、カフェインを取り除いたデカフェコーヒーでも同じ効果が期待できるのだろうか。(PHOTOGRAPH BY SAM ABELL, NAT GEO IMAGE COLLECTION) コーヒーは世界で最もポピュラーな飲みもののひとつだが、健康への懸念からカフェインを取り除いた「デカフェ(カフェインレス)コーヒー」を選ぶ人も増えている。全米コーヒー協会(NCA)の調査によると、米国では成人の約1割にあたる2600万人が定期的にデカフェを飲んでいるという。その理由は、血圧が気になる、遅い時間のカフェイン摂取を減らしたい、睡眠が妨げられるのを避けたい、カフェインに過敏な体質などさまざまだ。 選ぶ理由が何であれ、「デカフェの人気はますます高まっています」と、オーストラリア、クイーンズランド大学の教
年齢を重ねるにつれ、筋肉の硬化や肺活量の低下といった身体の変化により、声の響きやトーンが変わることがある。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 年齢とともに、自分の声が変わってきたと感じている人はいないだろうか。声の変化は高齢に近づくにつれて多くの人に起こるものだが、声が円熟味を増してやわらかくなる人もいれば、声が震えたり、ささやき声になったり、話すのに苦労するようになったりする人もいる。加齢に伴い声が変化する理由と、医師に相談すべき場合やタイミングについて解説する。 声帯も変化する 年齢を重ねると、筋肉量の減少や姿勢の変化により、以前は簡単に出せていた声を同じように出すのが難しくなることがある。歌手を生業とする人たちからは、声が低くなったり、震えたりするようになるとの報告が聞かれる。 声も小さくなり、嚥下(えんげ、飲
米イリノイ州中央部にある約16平方キロメートルの保護区、ナチューサ草原で木に登るセミ。ナチューサ草原はセミの大群が広がるのに十分なスペースを提供した。セミが一斉に鳴き始めると、その音は耳をつんざくようなものだった。(Photograph by Keith Ladzinski) 謎に満ちたロマの守護聖人サラ・ラ・カリ、あつき信仰と巡礼 写真8点 ナショナル ジオグラフィック トラベラー英国版写真賞2024 いざなう受賞作15点 米国の中西部と南東部で今、耳をつんざくような音が響いている。17年周期ゼミと13年周期ゼミが221年ぶりに同時に姿を現したのだ。地上に出た何十億匹という周期ゼミの目的は交尾をすることであり、そのために木にとまってジージーあるいはカチカチと鳴き続ける。ナショナル ジオグラフィックの写真家キース・ラジンスキー氏はイリノイ州中央部で数日間を過ごし、周期ゼミが脱皮し、空を埋め
高濃度乳房の女性の乳がん検診では、マンモグラフィーに加えて写真のようなMRIや超音波の検査を行うことが有益かもしれないが、米予防医学専門委員会(USPSTF)は今のところ「根拠が不十分」としている。(PHOTOGRAPH BY MARK KOSTICH, GETTY IMAGES) 乳房中の乳腺の密度が高い「高濃度乳房(デンスブレスト)」は、乳がん検診のマンモグラフィー(乳房X線検査)で乳がんを見つけにくい。そこで、マンモグラフィーで高濃度乳房と判定された女性に対して、乳房超音波検査やMRI検査が追加で行われることがある。米疾病対策センター(CDC)によれば40歳以上の米国人女性の約半数、日本乳癌学会によれば同日本人女性の約4割が高濃度乳房だと推定される。 しかし、公衆衛生に関する勧告を行う米予防医学専門委員会(USPSTF)は、2024年4月の勧告で、そうした追加検査が有益かどうかを判断
窓に鳥が衝突した跡。2019年のロンドンで撮影。(PHOTOGRAPH BY CG7 IMAGES / ALAMY) このほど学術誌「Wilson Journal of Ornithology」に発表された論文によると、少なめに見積もっても、毎年12億8000万〜34億6000万羽の鳥がガラスに衝突して命を落としている可能性があるという。この数字は、2014年に発表された以前の推定値より350%も多い。それでもこれは米国のみの数字であり、世界でははるかに多くの鳥たちが死んでいるはずだ。 「忌々しいことに、世界はガラス窓だらけです」と、米ミューレンバーグ・カレッジの鳥類学者で、2024年4月8日付けの論文の筆頭著者であるダニエル・クレム氏は言う。 鳥が窓ガラスに激突したときの衝撃はかなりのものだ。ガラスは振動し、鳥は骨折し、脳出血を起こすこともある。 とはいえ、衝突で即死する鳥はごく一部で、
3歳、5歳、8歳の兄弟。兄弟姉妹はあなたの経験を形成するが、生まれた順番はあなたの性格と関係があるのだろうか? 研究者によれば、遺伝と環境の組み合わせが関係している可能性が高いという。(PHOTOGRAPH BY HANS NELEMAN, GETTY IMAGES) あなたは責任感の強い長男長女か、見過ごされがちな真ん中か、それとも自由奔放な末っ子か? 生まれた順番による「きょうだい型」が性格に影響するという説を信じる人にとって、この質問の答えは、あなたがどのような人物であるかの鍵を握っているかもしれない。パーティーや家族の食事会、セラピーのセッションなどでは、きょうだい型が性格を表す略語のように使われることがある。わがままな一人っ子、注目されたい真ん中というように。 あなたの個人的な経験は、その説が正しいことを示唆しているかもしれないが、心理学者の意見は異なる。ここでは、その固定観念を
海洋での存在が知られるマイクロプラスチックが落葉広葉樹のコナラの葉の表面に多く蓄積していることを、日本女子大学などのグループが確認した。細かい凹凸がある葉の表面で捉えたマイクロプラスチックを壊さず回収する方法を確立し、実証した。森林が自然界の空気清浄機の役割を果たしヒトの吸入リスクを低減している可能性がある。今後、針葉樹や常緑樹などでの存在や、土壌移行など環境循環での影響について研究を続けるという。 大気中のマイクロプラスチックは100マイクロメートル(1マイクロは1000分の1ミリ)未満で、海洋のマイクロプラスチック(5ミリメートル以下)よりも小さく、空気中を漂っている。ポリエチレンやポリプロピレンと呼ばれる物質の総称で、プラスチックでできている衣類を着脱したり、屋外に置いたプラスチック製のものが劣化で細かく砕けたりすることで発生する。さらに、海洋のマイクロプラスチックが波しぶきなどによ
NGC 604は、さんかく座銀河のなかで星々が誕生する領域だ。写真は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影したNGC 604。このなかに、技術が発達した文明は潜んでいるのだろうか。(PHOTOGRAPH BY NASA, ESA, CSA, STSCI) 宇宙が140億年近く存在しているのなら、地球外に知的生命が存在していてもおかしくないのではないか。それならば、彼らは一体どこにいるのか。「フェルミのパラドックス」と呼ばれるこの疑問は、半世紀以上、天文学者たちを悩ませてきた。宇宙人はなぜ地球にやってきてあいさつしてくれないのだろう。これまであらゆる説が提唱されてきたが、「暗黒森林理論(ダークフォレストセオリー)」ほど背筋が寒くなるような説明はないのではないだろうか。 暗黒森林理論とは、地球外文明は存在しているが、自らの姿を隠しているため、われわれ地球人には見つけられないという説だ。すでに近
つながりたいと思っていても、旧友に連絡を取ることはためらうものだ。最新の研究では、どのような介入を行えば、私たちが古い友情をよみがえらせる気になるかを明らかにした。写真は、インドのジョードプルで撮影した、異なる世代のそれぞれの友情。(PHOTOGRAPH BY NEVEN GRUJIC, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 音信不通になっていた旧友から連絡が来るのはうれしい驚きであり、友情が復活すれば満たされた気持ちになる。心理学者は長年、友人との交流の多さや友人の多様さがもつ利点を指摘してきた。しかし、カナダのサイモンフレーザー大学と英サセックス大学の心理学者たちが、2024年4月23日付けで学術誌「Communications Psychology」に発表した最新の研究によれば、私たちは多くの場合、旧友と再びつながることをためらうようだ。 この研究では全部で約2500人
インドのベンガル地方北部のニュー・ドゥアーズ茶園で見つかった、土に埋められたゾウの死骸。(PHOTOGRAPH BY WEST BENGAL FOREST DEPARTMENT) サバンナで暮らすアフリカゾウが仲間の死を悼むことは以前から知られていたが、野生のアジアゾウではこれまでほとんど報告がなかった。しかし、2024年2月26日付けで学術誌「Journal of Threatened Taxa」に発表された研究によると、アジアゾウは死んだ子ゾウを埋葬している可能性があるという。 論文では、2022年と2023年にインドのベンガル地方北部で、5つの異なる群れが、死んだ子ゾウを灌漑(かんがい)用の溝まで引きずっていき、そこに埋めた事例が報告されている。どの事例でも、子ゾウの脚は地面から突き出し、頭部や鼻、背中は土で覆われていた。 埋葬という行為は、動物の世界ではほとんど見られない。アフリカ
女性がテニスをするようになり、テニススカートの歴史も始まった。その丈は徐々に短くなっていき、テニス界のスーパースター、セリーナ・ウィリアムズ(写真)が着たことによって、テニススカートはコートの外でも通用するおしゃれなアイテムとなっていく。(Photograph by Vincent Kessler, Reuters/Redux) 動きやすく風通しのいいテニススカートは、本来の用途以外にも多目的に使える、おそらく唯一のスポーツウエアだろう。テニスプレーヤーたちの恋愛を描く映画『チャレンジャーズ』の宣伝を兼ねて、主演した米国の女優で歌手のゼンデイヤがテニスウエアを思わせるドレスでレッドカーペットに登場するなど、テニススカートの人気はコートの外でも高まっている。 だが、そんなテニススカートがスポーツファッションのセンターコートに立つまでには長く険しい道のりがあった。テニススカートはその時々に応じ
アメリカンフットボールのチームでクォーターバックを務めることは、ストレス要因ではあるものの、そのことを楽しめる人にとっては悪くはない。世の中にはストレス要因をまったく苦にしない人もいるが、それは必ずしも良いことではない。(PHOTOGRAPH BY BRIAN FINKE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 人間を幸せにするものは何だろうか。大人の感情のプロセスを研究してきた米カリフォルニア大学アーバイン校の心理学教授スーザン・チャールズ氏は、その問題に何度も立ち返ってきた。ほとんどの感情は社会的な状況の中で経験されるので、「私たちは安全だと感じるときに幸せを感じます。他者との関係に満足しているときに、自分の人生は有意義だと感じるのです」と氏は言う。だから、私たちの生活に小さな波風を立てる日常的なストレスのもとを量的に測れば、他者との関係がもたらす幸せについて考えるヒント
コルチゾールの結晶の偏光顕微鏡画像。コルチゾールは副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの一種で、肉体的・精神的なストレスに対する体の反応を促す。(PHOTOGRAPH BY SIDNEY MOULDS, SCIENCE SOURCE) ストレスの場合はどうだろう。ストレス反応は、私たちに人生のあらゆる色合いを経験させ、学習を促す。 記憶による学習を促す海馬という脳の部位は、目新しいものごとが大好きだ。私たちは日常生活の小さなストレス要因をたえず克服することで、多くの新しい経験をし、成長できる。 日常的な挑戦がないと、脳の調子は悪くなる。MIDUSで「ストレスはない」と報告した参加者の記憶力や問題解決能力の低さには、このような背景があるのだろう。 「私たちは、自分には無理そうだと思ったことからは逃げ出したくなります」とジェイミソン氏は言う。「けれども、対応力を身につけ、困難を耐え抜くのは
米南カリフォルニア沖の海底にとどまっているラウンドスティングレイ(Urobatis halleri)。(PHOTOGRAPH BY ERIN CHANDLER) おそらく世界で最も有名なエイの「シャーロット」が病気にかかっていると、水族館のスタッフが発表した。2024年2月、米ノースカロライナ州ヘンダーソンビルにあるチームECCOの水族館「アクアリウム&シャークラボ」は、ラウンドスティングレイ(Urobatis halleri)のシャーロットが科学的には単為生殖と呼ばれる「処女懐胎」をしていると報告した。しかし、数カ月が経っても子どもが生まれなかったため、このエイに何が起きているのかについて憶測が飛び交っていた。 2024年5月30日、ついに水族館はFacebookに「シャーロットが珍しい生殖器系疾患を発症し、生殖系に悪影響がでている」と投稿した。この結果は「本当に悲しく、予期せぬ医療的な
ソーダやポテトチップスのような超加工食品は多くの健康問題と関連しているが、摂取をやめるのはたばこをやめるのと同じくらい難しいかもしれない。(PHOTOGRAPH BY DAN KITWOOD, GETTY IMAGES) ポテトチップスの大袋をいつの間にか完食してしまったり、思っていた以上にドーナツを食べてしまったりした経験がない人はいないだろう。この現象の原因が、意志の弱さではなく「超加工食品依存症」という状態にあることを示す証拠が集まってきている。 超加工食品(高度に加工された食品)には、袋菓子、朝食用シリアル、ほとんどのファストフード、大量生産されたパンやデザート、ソーセージ、ホットドッグ、冷凍魚フライ、ソフトドリンク、アイスクリーム、キャンディーをはじめ、包装されてスーパーに陳列される多くの食品が含まれていて、米国の成人が消費するカロリーの60%近くを占めると推定されている。 超加
イベリア半島沖で暮らすシャチ(写真はポルトガル沖で撮影された個体)は現在40頭未満で、IUCNは近絶滅種(Critically Endangered)に指定している。(Photograph by Cape Cruiser Sagres) ヨーロッパ南西部のイベリア半島沖には、小型船を沈没させる有名なシャチたちがいる。沈没事故はつい数週間前にも起こった。2020年に始まったシャチたちのこの不可思議な行動について、遊び、人間への復讐などさまざまな理由が推測されたが、専門家たちがようやく結論に達した。(参考記事:「シャチの船への集団攻撃が多発、沈没も、ケガの仕返し? 遊び?」) 国際捕鯨委員会(IWC)が5月24日付けで発表した最新の報告書によると、船にぶつかってくる15頭ほどのシャチの群れは、いたずら盛りの「ティーンエイジャー」たちのようだという。 研究者たちが、狩りなどで攻撃的な行動をとるシ
医学誌「BMJ」に掲載された論文によると、硬膜外麻酔による無痛分娩で、出産による重い合併症にかかる割合が著しく減るという。(PHOTOGRAPH BY CASARSAGURU, GETTY IMAGES) 出産は世界の多くの地域で主な死亡原因であることから、妊婦たちは長い間、お産に伴う恐怖や不快感を和らげようとしてきた。歴史上、出産の痛みの緩和には、催眠術やアヘン、水中分娩、ハーブ療法のほか、ありとあらゆる手段が用いられてきた。 現在、出産の痛みを和らげる方法としては、背中や腰から麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔法」による無痛分娩が最も一般的だ。しかし新たな研究により、この方法には痛みの緩和以上の効果があるとわかった。硬膜外麻酔を受けた場合、出産から6週間後までの間に重い合併症にかかるリスクが35%も下がることが示されたのだ。英グラスゴー大学と英ブリストル大学の研究者による論文は、2024年5
―― 擬似的生産性がもたらすプレッシャーは、上司や同僚にどのような影響を及ぼすでしょうか。 できるだけ多くのことを抱え込もうとすると、結局は生産に非常に時間がかかるようになります。擬似的生産性は、仕事をする我々の足を引っ張るだけです。実際に良いものを生産するのが目標であるならば、擬似的生産性ではうまくいきません。 ――より多くの仕事を引き受ければ、より多くのことが成し遂げられるのではありませんか。 皮肉なことに、現実にはそれが逆の効果を及ぼすこともあるのです。管理上の負担が増え、最終的には、一日の大半が引き受けたさまざまな仕事の管理に費やされるという状況に陥ります。仕事を進める時間はほとんど残りません。仕事を仕上げる速度はガタ落ちになります。誰にとっても良いことはありません。会社の利益は増えず、価値も生まれません。従業員は燃え尽き、離職率が上がります。 米ニューヨークのアルファベット・シテ
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