S.フロイト, 女性の性愛について, 『エロス論集』(ちくま学芸文庫), pp.331-359 どのようにして女性は父親を対象とするようになるか 正常なエディプス・コンプレックスの段階では、子供は異性の親に情愛をもって愛着しているが、同性の親に対しては敵意の方が優越していることが確認できる。 少年の最初の愛情の対象は母親であり、父親はライバルとなる。 少女の最初の対象も母親である。 では少女はどのようにして父親を対象とするようになるのだろうか。 二つの転換が考えられ、その関係が理解されなければならない。 第一の転換:中心的な位置を占める性器領域がクリトリス→腟に移行する 第二の転換:愛情の対象を母→父に取り替える <父性隠喩> 幼い少女は、一時的であるにせよ、ファルスを奪われたという意味で自分は去勢されたと考えます。少女は自分を去勢した相手を、まず最初は自分の母親であると認識し、そして――