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ノーベル賞
ryasuda.hatenadiary.org
マックスプランク研究所は、ドイツを中心にヨーロッパに80個ほどある。1つ1つの研究所は比較的小さくて、PIがだいたい10−20人くらい。そのうちディレクターは2−4人くらいで、あとの十数人がグループリーダーとなる。どちらもマックスプランク全体で決定されるので、フロリダのマックスプランクでもインタビューはドイツだったりする。 ディレクターは終身のポジションでグラントがなくても十分に研究できるだけの予算が毎年つく(ドイツでは、ディレクターには認められていないグラントがかなりあるそう)。審査は5年おきにあり、それにより予算が変わっていく。実際オファーの内容は、大学では考えられないような素晴らしいものだったし、このような機会がめぐっくることはそうそうはないだろう。移動は家族にも大きな負担がかかるので迷ったが、最後はアクセプトすることにした。セレクションのプロセスにはなが〜い時間がかかり、コミッティ
さて、最近NIHからもう1つR01グラント(大型研究予算、1年あたり$150-$250の3−5年が普通か)がとおり、私がPIとなっているR01は、テクニカルには5つになった。複数PIのものが1つ、同僚から引き継いだものを含めてだが、それでもR01に関してはこれまで採択率100%を維持している。おかげで、うちのラボの直接経費予算も$1Mを超え、そのうえにHHMIからの備品予算もつく、というラボが始まった当初かすると、夢のような研究環境となった。これまで敗れたグラントもあるけれど、すべて合わせても80%以上の採択率を維持している。テニュアのほうも問題なさそう。 もちろん、まだR01の審査(Study sectionとよばれる)もやっていないわけで(Tenure前ということで、勘弁してもらっている)、たった4つ5つ連続してとれたからといって(まだ再提出もやったことがない)「勝利の方程式」が見えた
今、上海の近くにあるSuzhouというところにある、コールドスプリングハーバー、アジアという学会にきている。本家のロングアイランドの学会と違って、ホテルも学会室も豪華でなかなかよろしい。 さてさて、Vikingさんのところに英語発表の基本について書かれていたので、それにInspireされて、少し学会発表について書いてみようか。Dukeで大学院生たちに「学会発表のしかた」を議論するクラスを受け持っているわけだし(教えているとはさすがにいえないが)。 まず、学会発表のさいに、絶対に忘れていはいけないんだけど、おもわず忘れてしまうのは、 「相手は私の研究の内容に関して、素人である」 「相手は私の研究に興味を持っているわけではない」 という事実。発表のさいに、当然、自分の研究について一番自分が知っているし、自分が一番面白いと思っている。ということで、イントロでは「なんでその研究が重要なの?」という
上記タイトルに関して、ちょっとしたストーリーがこちらのブログに。若手プロフェッサー用の助言。 まだ予備データの段階で論文を出そうとすると、いわゆる「インパクトファクター」の低い雑誌に出すことになる。仮説をサポートするデータをためて、全体で大きなストーリーを形成できれば、出せる雑誌の格はあげることはできるが、そこまでするには、大変な時間がかかる。そしてレビューワーとの戦いの時間も何倍も長くなる。どこで妥協するのが最適なのか、という質問だ。 もちろんこれは場合によるんだけど、「独立の証明」として、最初の論文は早めにだしたほうがよいという考えがのっている。たしかに、ラボが立ち上がっていて、結果がでてきていることを証明するには、やはり小さい論文でも出しておくと違うだろう。もっとも、大きなストーリーになりそうなときに、小出しにするのは悔しいし、そこは難しいところだ。 うちのラボの場合は、最初の原著論
SJLとMPのお別れパーティーで話題になった、猫がどうやって落ちるときに下向きになれるのか、という話題。物理的に不可能?ぐーぐるさんに聞いたところ、猫の回転のゲージ理論という論文があることをW発見。論文中のこの漫画に大笑い。。。いや、ちょっと無理がありすぎ、というか。。。内容はよくわからんが。。。
日本のどこかの飲み会で、酔っ払ったときに、「自分はCNS(Cell,Nature,Scienceの科学雑誌御三家)にのるような研究がしたいし、そういうテーマを選びたい。」と言ったことがある気がする。これは、かなりぶっちゃけた意見というふうに取られたかもしれない。 サイエンスをゲーム的に考えれば、今のサイエンス業界、特に生物系では、出世も、グラントも、過去に出した雑誌の「格」でかなりの部分が決まる、という状態であるからして、科学雑誌の中でも最高峰であるこれらの雑誌を目指すのは当然のことだろう。雑誌の「格」というのも、実際、トムソンロイターという会社がまとめる「インパクトファクター」という数字で決定されるわけで、いろいろとこの指標について問題が指摘されてはいるものの、しばらくは、これがサイエンスを動かすことになる。それが、ゲームのルールならば、それに「勝つ」ことを目指す、というわけか。 否。実
Nature誌に送っていた論文、一人のReviewerが問題になっている話はすでに書いたが、そのあと2日くらいで、とりあえず「こんなかんじでReviseしようかと思います。エディターさんはどう思いますか?」というメールをエディターに送る。メールにはPreliminary rebuttalも添付した。基本的には、新たに要求された実験のほとんどは、この論文では「不要であり、Unreasonableである」という理由を書いたもの。できれば電話会議もしたい、という旨も。私もかなり頭に血がのぼっていて、気持ちをなんとか抑えたつもりだったのだが、後で見たらタイポがずいぶん多かった。書いた後に、「攻撃的かな?」と思われる文章を全部消したので、つながりもちょっと変だったかもしれない。 しかし、さらに数日後にエディターから、論文のアクセプト(Accept in priciple)の手紙が届いた。どうやら、P
経済が収縮すれば、サイエンス業界も影響は免れない。そして重要なことは、業界の「幸せ度」は、絶対的な金額ではなくて、金額の傾きに比例するということ。アメリカでも一時期サイエンスへの予算が倍になったことがあり、それにともなってサイエンティストもど〜んと増えた。でもその予算を維持できずに、減らす方向になると、(新しい)職はなくなるしグラントもとれなくなる。絶対的な金額では昔よりもはるかに多くの予算がつけられているにもかかわらず、不幸な人の割合が増える。予算を永遠に増やし続けることが出来ない以上、こういう時期は必ずやってくる。アメリカや日本なら、それは今、ということになる。経済が不調なときに、今の研究者人口を維持しなければならない明確な根拠は無いと思う。とばっちりは若手のほうにきやすいのが問題なのだが。幸いなことに、NIHは問題に気がついていて、K99やR01の新規グラントシステムなど、若手にもチ
食事のとき、トマススドフ(前シナプスのメカニズムの研究で有名なとっても大研究者)のとなりに座ったのだが、なんとなく家族の話になって、子供はサイエンティストになったのか?と聞いたらNoと答えた後に、続けた言葉が表題のやつ。実際サイエンティストになるにはかなりの辛抱がいる。PhD→ポスドクと、大学でてから10年以上もかかるトレーニングは、ふつうに考えてとてもその価値があるとは思えないかもしれない。そして、実際のところ、アメリカで一流大学の教育をうけてふつうに就職をすれば、プロフェッサーなみの給料がいきなりもらえるわけで、それと10年のトレーニングのすえのポジションを秤にかけるほうがどうかしている。というわけで、情熱があるからこそ、できる、という話。まあそのとおりだね。
NIGMSおよびDrugmonkeyより。 NIHからもらっている研究費と成果、ここでは論文の出版数およびそのインパクトファクター(雑誌のレベルの指標)、の関係のデータ。まったくもってリニアになっていないところが面白い。研究費が年間$200K(R011つぐらい)と$800K(3−4つくらい?)の間を比べると、成果は確かにが多少上昇しているが、研究費の投入量に対してそれほど伸びているわけではないことがわかる。それどころか$1M(1億円くらいか。。。)以上の超裕福なラボでは、生産性が下がっている。。。研究業界全体の、費用対効果でいえば、複数のR01を1つのラボに集中させるより、R011つずつくらいを多くのラボに配ったほうが上がりやすいということなんだろうか。ラボの規模がある程度以上大きくなると、一人あたりの論文数が減る傾向があるだろうとは思うので、このデータは納得はできる気はする。うちのラボの
ウッズホールにいるときに共同研究者から聞いた話。Journal of Neuroscience がSupplemental materialを掲載することをやめるそうである。Supplemental materialsは、ページ制限の関係で主論文に入りきれなかった図や説明をOnlineで閲覧できるようにしてあるシステムのこと。賛否両論あるSupplemental materialsであるが、実際のところ論文審査を大きく変えたといえるシステムであり、廃止はなかなかよい判断だと思う。速報などの場合、重要な実験がSupplemental materialsに入ってしまったりするが、読まない人のほうが多い。Supplemental materialsの審査もいい加減になりがち、という主張も納得できる。私も審査のときはSupplemental materialsもきちんと読むようにしているが、それで
最近出た学会である人から聞いた話。なるほどと。椅子の数(でも予算でもいいけど)がもう増えないと決まっている場合、このゲームではだれかが椅子を得れば、だれかが退場することになる。こういう状況では、他人の成功はそのまま自分の失敗の確率を高めることになる。こう考えれば、匿名での論文審査は公正では難しいのではないかと。極端な話、レビューする人は常に自分の競争相手、ということである。 本当の問題は、研究者の評価および予算の獲得が論文の質ではなくて、論文がでている雑誌の名前によってしまうほうだけれど。。。自分の論文を有名雑誌に載せる、というインセンティブはそこから来る。逆に上記理論によれば、レビューワーには、それを阻止するようなインセンティブが働くことになる。それが、時に理不尽で不毛と思われるようなレビューなったりする可能性はあるのかもしれない。一部で、論文が通ったあとに、レビューワーを公開するような
暗〜い話をニュースにのせている。ここまで暗くしなくてもよいのに。N誌の表紙なんて、「When the grants go away」。これが他の科学の発見を押しのけて表紙になるようなものなんだろうか。本文の出だしも、 「学部長殿(マイク)、今回申し込んでいた2つの研究助成は、結局どちらも採用されませんでした。2つめが不採用だったことを、つい数分前に確認しました。どうやら私の研究者としてのキャリアは終わったようです。6才のころから研究者としての人生のみを描いてきたので、今後どうしたらよいか見当もつきません。明日、このことについて、お話できますか?」 6才から、っというのはまあ大げさとしても、実際問題こういうことって、よくありそうである。3−4年調子がわるいと、すぐにグラントの更新ができなくなってしまうわけだから。どうやら、若い研究者の最初のグラントは比較的容易に取れるものの、そのせいであおり
なんか、たくさんの実験を要求されたNatureへのReviseだが、ようやく70%程度の実験がおわり、Reviseをし、図をつくったり、Rebuttalを書き始めた。しかし、最初に提出したのと同じくらいの追加実験が必要というのは、多少アンフェアな気がしないでもない。確かにやってよかったと思う実験もずいぶんあり、おかげで論文もずいぶんよくなったのだが、論文の質とは関係ないと思われる実験にかんしては、反論するべきであろう。Supplemenary Figureの量がどんどん増えていくが、これらの図を読む人はあまりいないので、いいデータをこういうところに埋没させるのは、もったいない気がする。まあ、最近の流行なのでしかたがないか。。。Reviewerが質問や問題点をスキップしたりされると、(そのReviewerは)それ以上読みたくなくなると思われるので(少なくとも私はそう)、とにかく全質問に丁寧に
マックスプランクの建物も完成し、各研究室もほぼ動き始めた12月から2月まで、一連のオープニングイベントが始まった。まずは、名前が変わり、Max Planck Florida Institute for Neuroscienceと、なった。日本語は、マックスプランク フロリダ神経科学研究所、とでも訳せばよいだろうか。これでこの研究所がどんな研究をやるのかを説明しなくてもよくなった。for Brain Scienceとfor Neuroscienceが最終候補だったが、結局Neuroscienceのほうがわずかな違いで勝利となった。 最初のイベントは、12月5日のテープカット。数年前に当時フロリダ州知事だったジェブ=ブッシュ(ブッシュ大統領の弟?)のアイディアではじまった研究所誘致のプロジェクトも大詰めとなった。前日から、Max Planckのプレジデントのピーター=グルスや、ドイツのMax
ここ数年でカレルのラボも急激に大きくなり、10個以上のプロジェクトが常時 走るようになってきた。こうなると1つ1つのプロジェクトに関してカレルが完 璧に把握、コントロールすることは、できない。そして1つのプロジェクトに 関して考える時間は実際にやっているポスドクよりもはるかに短くなる。この ような状況で、たまにデータを見せに行くとどうなるかというと、ボスはその 場限りで考えたアイディアをsuggestしたりするわけだ。よいボスほどクレー ジーなアイディアをSuggestしがち、ということもあって、ボスのいうとおり に仕事を進めて行っても、なかなかはかどらない。やはり日々の実験のアイディ アは自分で考えなければならないし、ボスのアイディアのうち大事そうなもの 以外は聞き流すのも大事なことになる。もちろん、プロジェクト全体の方向性 はボスと話し合って決めて行かなければならないとは思うが、できれ
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