同人誌印刷で業界などで名の知れた石川県珠洲市上戸町北方の印刷会社「スズトウシャドウ印刷」は、元日の能登半島地震により、存続の危機に陥った。日本が誇るポップカルチャーの一端を担ってきた同社が、全国からの支援を受けて再起へ向けて奮闘している。(高橋信) 戦後間もない時期に創業した印刷会社。「オタク」文化の興隆を見越し、1980年代から同人誌印刷に力を入れてきた。複数色を重ねて印刷する「多色刷り」を安価で手がけることができたことから、業界で知られるようになり、近年は注文の8割が同人誌だという。国内最大級の同人誌即売会にブースや広告を出していて、一風変わった社名も、サブカルチャーに造詣の深い人たちはなじみが深い。 同地震では印刷機などの機材が壊れた。1月7日に大阪市であった漫画などの即売会に向けて同3日が仕事始めの予定だったが、会社周辺は停電と断水に見舞われた。仮に印刷できたとしても発送手段もない