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米国マクミラン社は7月末、図書館へのデジタル(E-Book+A-Book)コンテンツの貸出規定変更に伴い、対象タイトルを3ヵ月の間貸出停止とすることを発表した。ビッグファイブの4社が同様の発表をしているが、停止を伴う切替えは初めてだろう。図書館関係者だけでなく、利用者の反撥を買っているようだが、それでは済まないかもしれない。 システムの根底を覆す「売切りから更新制」への転換 新規定は、慣習化していた売切りを廃止するもので、図書館には2年毎の更新判断が求められる。価格は各社一様ではない。マクミランの場合、最初の1部/ユーザーは30ドルで、発売後8週間の限定でアクセス自由、以後は1部60ドルで2ヵ年または52回。マクミランによれば、米国で読まれているE-Bookの約45%が図書館で無償貸出されたもので、その数は増加している。販売収益は平均して2ドルを割込んでおり、それは小売販売に影響している、
[EB2Magazineマンスリー4月号] 出版にとって「デジタルの衝撃」が何であったかは、米国でも立ち位置によって、見え方は大きく異なる。しかし、出版市場における最大のサプライズは、誰が見ても「オーディオブック」だろう。これが一つのフォーマットという以上の存在となると考えた人は少ないと思われる。筆者もその一人だ。[全文=♥会員] ※特別公開4/10まで 読書における「モード」 録音・再生技術で音声読書をサポートする商品は、1世紀以上前から存在し、カセットテープやCD-ROMを媒体として一定の存在ではあり続けたものの、それはつねに紙の本の影の存在で、目が使えない時のものだった。専用のツールを必要とし、もちろん安くはなかった。それ以上に大きいのは、「視覚読書能力」をデフォルトとして個人や社会が形成されてしまったことだ。聴覚のほうは職業的にアンバランスな場合が多く「無用」という人もいる。 しか
アップルが先月発表した 「Apple News+」に2つの有力紙(New York Times と Washington Post)が「不参加」を表明した。NYTは「読者との直の関係」を重視、WPは「意味をなさない」とした。それぞれ独自のデジタル戦略と取組んできた両社にとって「メタデータ」が使えない情報発信は無意味だと見られている。 いまだ見えないニュースメディアのデジタル化問題 「ニュースメディアのデジタル移行問題」は10年を経てもまだ決着がついていない。すでに廃刊した新聞や雑誌も少なくないし、Webメディアに転換したものもある。Webの登場から25年以上になり、もはや紙に戻れなくなってもまだ定まらない。それはテクノロジーではなく、人間の活動と精神の基盤となるエコシステム(生活)の問題だからだ。ニュース・ビジネスは非常に精密なシステムだったから、エコシステム丸ごとの再構築は不可能に近い。
出版科学研究所は1月25日、『出版月報』1月号で2018年(1~12月期累計)の出版市場規模を発表した。紙(書籍・雑誌計)は5.7%減の1兆2,921億円。デジタル市場は前年比11.9%増の2,479億円。全体で1兆5,400億円で、デジタルが紙の減少幅を緩和したことになる。デジタル比率は16%で前年から2ポイントあまり増えた。 価格の流動化が20年の低落基調に変化を生む 注目点のみコメントするが、紙市場は、雑誌の下げ幅が10%あまりと危険なレベル、書籍が2.3%減の6,991億円とで、文芸、実用、文庫、新書など主要ジャンルがマイナスなのでこれも安心できない。電書(文字もの)が同10.7%増の321億円だが、タイトル、価格ともに魅力は乏しく、1割増はあまり評価できるものではない。電子雑誌が1割近い減少で200億円を切った。読み放題サービス「dマガジン」の購読者減少が影響したと考えられている
アマゾンジャパンは1月31日、取引出版社(現在約3000社)との間で「買切条件で仕入」、同時に「自動発注システム」を全商品に対して試行するという新方針を記者会見で発表した。返品率を現在の20%から引下げるのが目標というが、在庫品の値下げ販売(協議制)を含んでおり、事実上の「卸販売」への移行を意味する。 アマゾン「買切制」になぜ出版社は「歓迎」したのか? 「今回のアマゾンの方針に関して、出版社からは歓迎の声があがる。」と日経新聞 (2/2)は(これまで聞かなかった)声を伝えている。「取次制度」に対する不満や批判は出版社にとってタブーとされていた。また「返品率の改善は業界全体のテーマで、アマゾンが買い切りを本格的に始めることで、既存の書籍チェーンも取り組みやすくなる」という大手書店チェーン幹部が「打ち明け」たことも伝えた。要するに取次は日本の出版界にとって「十字架」であり、重荷になっていたのだ
英国の著作権管理団体ALCS (Authors’Licensing and Collecting Society)は6月27日、5,500人を対象とした調査レポート「英国作家の所得 2018年版」を公表し、著者の収入が2013年以降15%、2005年以降で42%と急速に下落していることを示した。中間値は 1万ポンド(£10,500≒153万3,000円)と最低賃金以下となる。当然、専業作家は40%からさらに下落して13.7%となった(詳細は比較対象を厳密に照合して今秋発表)。 専業ライターの「崩壊」 10年あまりで収入が半分に、ということが一つの職業の崩壊を意味するかどうかは、支給対象の「業務事例」を絞った、かなり厳密な比較を必要とすると思われるが、所得の減少が広汎で持続的であること、米国でも(そしておそらくは日本でも)同じ傾向が見られるので、これは事実だろう。デジタル/インターネットによ
「版」中心の出版は、モノとしての本の「独立性」「完全性」「経済性」を実現して産業革命や通信革命を乗り越えて600年を経過している。しかし、世紀末に登場したインターネットは、それまで出版ビジネスを助けてきたテクノロジーとは違った作用を及ぼし、出版社は不意を突かれた。「版」の3つの価値は同時に相対化され、印刷本という贅沢なフォーマットを維持することが困難になった。 読者こそ「王様」だった すでに多くの人の記憶から消えていると思うが、前世紀末の一時期、デジタル時代に「コンテンツは王様」というユーフォリアが「コンテンツ」業界を包んだことがあった。ブロードバンドの普及がコンテンツの爆発を生むという期待からである。それはその通りだったが、結果は業界を経験したことのない苦境に追い込んだ。それはデジタルという技術の本質を見誤っていたことによる。 希少な資源、資本の優位、非対称性という市場が一変したために、
米国で「独立系書店の復活」が注目を浴びるようになったのは2012年頃と記憶しているが、こういう話題は語られるコンテクストによってイジられやすく、誤解を誘因して都市伝説化するので、真面目に考えたい場合には、各種コンテクストの中に生きている各種「専門家」を超えて学者の仕事を検討するしかない。 デジタル転換による危機をどう乗り越えるか ハーヴァード・ビジネススクール(HBS)で組織行動学を専攻するライアン・ラッファエリ助教授 (Ryan Raffaelli)は、成熟産業が基盤技術の変動に直面した時、いかに再構築するかという問題を、スイスの時計産業を起点として考察してきた。デジタル時代の「技術再浮上論」(“technology reemergence”)をテーマとしたラッファエリ助教授が、独立系書店のサバイバル問題に関心を抱いたのは2012年のことという。以来、フィールドサーベイ、フォーカスグルー
E-Ink社とソニーが合弁事業を設立したことは4月に伝えられていたが、フランク・コーCEOが台湾紙とのインタビューで、「電子ペーパーを使ったラップトップおよびeノートブック製品を開発し、来年にもリリースする」意向を述べた。電子ペーパーの大型・高精細化が注目されてきたが、はたしてこれはPCなのかタブレットあるいはE-Readerなのだろうか。 ソニーとE-InkのJVは何をつくる「eノートブック」!? Linfinyは、E-InkとSony Semiconductor Solutions (SSS)との合弁で資本金1.390万ドルで設立された。「eノートブック製品」は、Linfinyが開発しており、ペン入力をサポートし、業務用と教育用の需要に対応するという。最初の発表は1月のCESになりそうだ。この記事だけで分かることは、大型のパネルを使ったプロフェッショナル用途で、医療、教育にカスタマイズ
英国のケンブリッジ大学出版(CUP)は、8月18日に中国政府の要請を受けて行われた中国関係の論文315点(いずれもThe China Quarterly誌所載)へのアクセス禁止措置を撤回し、原状を回復したことを発表した。ジュネーヴの国際出版連合(IPA)はCUPの決定を支持する声明を発表。昨日開催された北京ブックフェアが政治化することは避けられなくなった。 自由と「政治」 CUPが出版し、いったんは検閲を受け容れた中国関係論文とは、領土問題に関する中国政府の公式見解に反するものと見られるが、学術研究の自由と言論出版の自由を尊重する欧米の言論界と学界から「検閲の輸出容認」との批判を浴びて撤回した。CUP関係者は北京ブックフェア(BIBF)でのスピーチをキャンセルしたと伝えられる。 中国の出版市場が年々拡大して存在が大きくなり、厳密な国家管理の下にあるなど市場環境の異なる中国の出版業界との関係
英語編集サービスを提供している Global English Editing (GEE)は、グローバルな出版市場の現況から各国別文学地図のようなものまでをユニークなインフォグラフィックで提供している。2016年時点で調査会社が発表した公開情報を組合わせてバランスよくまとめたもので、デジタル化の進展と読書習慣の変化などについて考える手がかりにはなる。 新刊の半分以上はデジタルになる 「読書習慣」は、図書館や新聞の数から学校教育期間、コンピュータの普及などを指数化してランク15位までを表示しているが、フィンランドが第1位、ノルウェーが第2位など北欧が5位までを占め、米国は7位、ドイツ8位、フランス12位、英国は17位といったところ。残念ながら日本も韓国もない。「1週間当たりの平均読書時間」は、読書好きランキングのようなものかと思うが、ここでのトップは10.7時間のインドで、タイ (9.4時間)
アマゾンの書籍販売ページでは、フォーマット別の購入オプション・ボタンが価格とともに囲みで表示されるが、アマゾンは2ヵ月前から表示ルールの変更を出版者に通知し始めた。新ルールでは、相対的に低価格な再販本ーが版元のより優先表示されるケースが生じることで出版社や作家団体が怒っていると言われる。 原出版社=アマゾン仕入本を優先しない新方針 全米作家協会 (AG)は5月8日、サードパーティ・リセラーが出版社と版権者の権利と利益を損なうとして激しい言葉でアマゾンを非難した。背景にあるのは、最近何かと話題になることが多い「マーケットプレイス」だ。周知のように、アマゾンは出版社から仕入れた商品のほかに、個人や再販業者からの「古書」を販売するマーケット・プレイスを提供しており、通常ルートの品よりも安いことから、一定の人気もあるし、そもそも絶版本でそれしか入手不能な場合もある。アマゾンの新方針は、原出版社本を
アマゾン・ジャパンは、出版社との直接取引を段階的に拡大してきたが、出版社へ直接集荷・宅配するサービスを今秋までに始めることを日経新聞(3/22)が報じた。日本の書籍流通の根幹であり「鉄壁」とも考えられてきた取次-書店チャネルが、あっさりと回避できるとすれば、E-Bookへの心理的抵抗などは容易に解消に向かうだろう。 出版流通一元化は最終段階に入った 日経の記事には「埼玉県所沢市に1月、設立した『アマゾン納品センター』を直接取引専用の物流拠点として使う。…すでにKADOKAWAなどが参加しており、複数の大手出版社と交渉をしているもよう」と書かれている。出版社の倉庫から本や雑誌を集め、沖縄を除く全国で発売日当日に消費者の自宅に届けるサービスは、ロットの少ない中小の出版社にも利用しやすくなる。出版社にとっての最大のメリットは、取次手数料を削減することだろう。取次手数料は約1割と言われているが、こ
産業革新機構(INCJ)傘下の「公的企業」であったはずの(株)出版デジタル機構(2012年4月設立)が、民間企業のビットウェイを買収した時(2013年7月)には、「民業圧迫」でルール違反という声も上がった。その「機構」の持株(70.52%)が逆に民業の大手のメディアドゥに「譲渡」されることになったが、これは何と言えばよいのか。 「非競争領域」論は正しかったか 「機構」は、電書の配信は「非競争領域」の公共インフラであるべきという、通称“三省懇”報告書(2010年6月)の規定に基づき、「出版業界主体」でスタートした。わずか5年で、この「公共インフラ」は放棄されることになる。「公共」の名のもとに、公的資金主体で始めた事業を事実上「払い下げる」以上、その妥当性は厳しく検証される必要がある。しかし、そうした議論は起こらず、あたかも民間の企業売買のように扱われようとしている。ここでは「機構」の経営や金
東京国際ブックフェア(TIBF)は、24回目となる今年の開催を休止し、2018年9月の開催を目指すことを決めた。2016年に電子出版EXPOが消え、一般消費者向けの「純粋な『読者イベント』」として再出発したTIBFはさらに漂流することになる。ニューヨークのDigital Book World (DBW)も1月が最後となりそうだ。何が起きているのだろう。 市場に背を向ける出版業界の運命 TIBFは書籍産業全体のイベントであり、米国のBook Expo America (BEA)、ロンドンのLondon Book Fair (LBF)、パリの Salon du livre、北京の国際ブックフェア (BIBF)、そしてフランクフルトのブックフェアと並ぶ存在だ。ブックフェアは、国の文化産業の国際的影響力を反映する重要なイベントだが、DBWはデジタル出版の専門イベントで、直接の比較には無理がある。
2009年に登場したクラウド・ファンディングのKickstarterが、米国の出版プロジェクトに定着したことを示す数字が、Good eReader (02/07)で紹介された。昨年、書籍出版では5,617件の募集に対して目標金額に達したのが32.6%、2,054万1,000ドル。コミックでは1,087件中58.7%で1,256万3,000ドル。募金額は優に1億ドルを超えた。 成功の要因:キャンペーン・オーガナイザー 2015年と比べて若干の減少はあったものの、1,800件を超える書籍出版と600件以上のコミック出版プロジェクトを成立させた。1件あたり4.1万ドル。Kickstarterの成立プロジェクトにおける書籍・コミックの割合は、2015年で13%を占めた。調達の成功率が3件に1件、金額が4万ドルあまり、ということはインディーズ作家や小出版社にとっては(中堅出版社にとっても)まず考慮す
Kindle Unlimited (KU)日本版が始まった時、大出版社がマンガを持って参加したことに驚いたが、やはり問題を起こしてしまった。これは、関係者の間に定額モデルの性質と使い方への認識が欠けていたことを物語っている。再度基本を確認し、定額制は、扱い方によっては火傷するということを確認し、継続のための知恵を絞るべきだ。 定額制は「取扱注意」モデル 本誌は定額制(読み放題)サービスについて、 読者拡大などマーケティング/キャンペーン目的(対象書籍/期間限定) 規模の大きい会員サービスなどの特典の一部(顧客限定) という限定付で有効であるが、一般的な定額は成り立たない、と考えてきた。「読み放題」という表現は注意が必要で、それが成り立つと言えばネズミ講(ポンジー・スキーム)になる。 会費だけ払ってほとんど読まない(サービス側には都合の良い)怠惰なユーザーが相対的に多ければいうことはないわけ
今年から形を変えて再登場することになった東京国際ブックフェア(TIBF)を見てきた。「コンテンツ」と別れ、「電子」と手を切った「ブック」だが、やはり、このままでは続かないだろう、という印象だ。過去も未来も見えず、現在という「売り場」を提供するだけでは出版の歴史的・社会的責任を果たせるわけもないからだ。 「読者のための」展示即売会? ブックフェアから「電子」と「ビジネス」が消えたらどうなるか、と考えていたが、やはりかなり悲しいものだった。スペースは縮小、狭い通路に中小サイズのブースがひしめき、本棚を並べた夜店状態。とても日本を代表する「書籍イベント」という雰囲気はない。コンテンツをガードしていた「デジタル」が消えたら、「出版」が丸裸になった印象だ。 主催者・出展者ともにコンセプトがないので、フロアプランも明確でなく、ゾーニングもあまり意味がない。書店の陳列棚に出版社ブースが付いた程度のものだ
1970年からの半世紀。それまで成長の世紀を享受した日本の近代出版は、奇しくもバブル期において頂点を迎え、デジタルというパラダイムの転換に遭遇し、その本質を理解しないままに没落を迎えた。著者はデジタルに本の未来を見ているが、言語文化の継承なき未来はないという立場だ。「戦記」で描かれたのはどんな戦いだったのだろうか。 なぜ「戦記」か、なぜ見えにくいのか 「戦記」の構成は、過去(第1、2章)・現在(第3章)・未来(第4章)の三部構成。あえて過去を重くしたのは、懐旧の情からではなく、コンテクストとしての現在(あるいはEPUB)を理解し、所与ではなく当為としての未来を問題にするためであることは、終章で語られる。そして、本書そのものが「未来の本」の一つの形である、タイムラインを開放した「共観年代記」構想の一部であることも。ちなみにそれは複数の視点で「戦記」を拡張するものであり、冊子体の中に封印されて
待望の『EPUB戦記』(小林龍生著、慶應義塾大学出版会)が刊行された。約四半世紀にわたる、著者自身の電子出版との格闘を綴った貴重な記録であり、DTPからインターネット時代に至る、出版技術とそれをめぐる関連現場のインサイドストーリーとして出色の読み物となった。内容は実に多いが、筆者なりの感想を簡単に記しておきたい。 一人称の「歴史」 本書は様々な機会に著者が書いた文章、というよりはドキュメント(日付とコンテクストが記録された文書)を駆使して構成されている。これらは一人称の「自分史」の断片だが、客観的に叙述された「戦記」のコンテクストを時間的、テーマ的に構成し、説明する下敷きとして意味を持っている。ドキュメントには、公開されたものも、私信もあり、こうした素材を使いやすくなったのはデジタル時代の恩恵だが、材料が多いほど扱うには知的タフネスを必要とし、とくに昔自分が書いたものと本気で付合うには忍耐
Publishers Weekly編集長を起点に、アマゾンを経てハーパーコリンズ副社長へ華麗な転職を実現した、サラ・ネルソン氏のインタビュー(Podcast)が面白い。出版界は「アマゾン出戻り」の経験をフルに生かすことで、再生へのきっかけを掴むことが出来るかもしれない。アマゾンはこれまで出版界からの人材を得て成長してきたが、そろそろ返すべき時だ。 「出版界のチア・リーダー」からアマゾンへ PW編集長時代は「出版界のチア・リーダー」と呼ばれたほど人気があり、PWのリストラでハースト系の 'The Oprah Magazine' (購読200万部以上)編集長に転身した時(2009)も話題になった。その彼女が2012年5月、アマゾン(Amazon.com Books)の編集ディレクターに就任した時には、憎っくき出版業界の敵のチアリーダーとして「雇われた」ことに胸を痛めた業界人もいたほどだ。彼女が
アマゾンEchoのロールモデルはラジオだ、と筆者は指摘*したが、ラジオは放送があって成り立つ。その放送局は、どうやらAudibleになりそうだ。Bloomberg (Lucas Shaw, 1/30)によれば、アマゾンは最近、ポッドキャスト型放送コンテンツ制作の体制強化に動いている。人気芸人、プロデューサーと契約したほか、A-Book関連技術者の採用も活発だ。 世界7都市でラジオ関係専門職を大量採用 Bloombergのルーカス・ショウ氏の記事は、アマゾンがオリジナル・プログラム制作への投資によって、Prime Videoと同じようにAudibleをコンテンツ制作者となろうとしていることを伝えている。すでに多くの優秀なプロデューサーを世界的にリクルートしており、その数は100に余る。ポッドキャストやラジオ番組は、もちろん長期的観点からこのインターネット・ラジオ・メディアへのエンゲージメント
『ハリー・ポッター』シリーズのデジタル版販売会社Pottermoreが独占販売を止めて他のストアに開放したことの背景に、同社の急速な業績悪化があったことが明らかになった。3,180万ポンドを売上げたあと、2014年の1,490万ポンドから、昨年はわずか700万ポンドで、600万ポンドの赤字を計上し、人員整理(40→30人)を余儀なくされている。 Pottermoreは、2012年のE-Bookリリース以来の『ハリー・ポッター』の専売書店であり、Kindleユーザーでさえ、E-BookとA-Bookを購入するにはここから買うしかなかったが、コンテンツ売上はここ数年低下の一途をたどっていた。昨年10月に「拡張版」を発売し、iBookstoreに開放したが、中途半端なものだったので、あまり売れなかったようだ。そして12月、何も発表もないままに、通常版がKindleほかにリリースされた。 著者=出
“消費立国”米国の冬商戦最初の山場である感謝祭+週末(Black Friday)は、低調な景気を反映して消費は前年並みに終わったが、在来店舗が若干の減少であったのに対して、モバイルが牽引するオンライン消費が前年比で2桁伸びて実店舗を上回った。メディアは「ホリデー・ショッピングの習慣が変わってしまった」ということで一致している。 消費行動の文明史的転換 毎年、この季節は米国を追いかけているが、消費が最も集中するこの50日あまりの数字から、E-Bookの動向を知ると同時に、オンライン化の進展をチェックするのが目的である。Webアナリティクスによって発表される数字はますます迅速・詳細になっている。全米小売業連盟(NRF)の推定では、先週木曜(TG)と金曜(BF)両日の消費は121億ドル。約4,500サイトをフォローするアドビ社の推計によれば、オンラインの売上は44.5億ドル。購入者の数は前者が1
世界最大の出版社が自ら望み、アマゾンとの厳しい交渉の末に実現したE-Bookの値上げで苦境に陥っていることを Wall St. Journal紙が報じた(09/03)。本誌が予想していたシナリオが起動し始めたようだ。11月からのハイシーズンを前に、値下げするか、出版における覇権を失うか、かなり困難な、そして緊急な決断を迫られている。 部数だけでなく収入がダウンした 出版社協会(AAP)加盟出版社の今年1-3月のE-Book売上は前年同期比7.5%のダウン。米国アシェット社の今年前半のE-Book売上比率は前年同期の29%から24%に落ち、書籍売上全体の数字も7.8%下落した。価格上昇が販売部数に止まらず、金額の減少を招くとともに、E-Bookの減少が紙によって補われず、業績全体に影を落としたことになる。WSJが注目したのは、昨年末からの半年間にアマゾンと契約を公開し、委託販売制へ転換した大
E-Book 2.0 Magazineは、最新号記事へのアクセスがサーバの能力を超えて集中したため、8月28日深夜より不通状態になっております。復旧を急いでおりますが、とりあえず直接の原因になりました記事を公開いたしますので、こちらをお読みいただければ幸いです。ご不自由をおかけしたことをお詫びいたします。 紀伊国屋書店が8月21日、「インターネット書店への対抗策」として、村上春樹氏の著書の初版10万冊の9割を出版社から直接買い取り、自社店舗のほか他 社の書店に限定して供給する、と発表したことは、日本の書籍流通における歴史に画期を成す出来事と言える。それは栗田出版販売の倒産に続く、日本的流通の 自壊における里程標を示すものだ。 紀伊國屋書店の「宮廷クーデター」 俗受けする衣装を纏ってはいるが「敵」がアマゾンでなく、取次制であることは明白だ。紀伊國屋は取次不要を宣言したのだ。それが「今回のよう
紀伊国屋書店が8月21日、「インターネット書店への対抗策」として、村上春樹氏の著書の初版10万冊の9割を出版社から直接買い取り、自社店舗のほか他社の書店に限定して供給する、と発表したことは、日本の書籍流通における歴史に画期を成す出来事と言える。それは栗田出版販売の倒産に続く、日本的流通の自壊における里程標を示すものだ。 紀伊國屋書店の「宮廷クーデター」 俗受けする衣装を纏ってはいるが「敵」がアマゾンでなく、取次制であることは明白だ。紀伊國屋は取次不要を宣言したのだ。それが「今回のような儲かりそうな本に関しては」という商売優先の限定付なのか、それとも「日本にはもはやそうしたものは不要である」という新秩序のビジョンをもったものかは分からない。たぶん同じことだろう。 第1に、これは大手書店が(既存の取次をスルーして)DNP=大手印刷会社と組んで買切り・直仕入を行い、他の書店への再販売も行うという
昨年2月に拙稿「日本的出版流通解体へのカウントダウン」を掲載し、「現在の出版業界は、5年以内、あるいは売上規模1兆2,000億円、アマゾン・シェア30%あまりの水準で独立性、一体性を失い、分解を始めるだろう。」と予想した。果たして「業界」の要と言える「取次」の一角が崩れたが、その処理過程はさらに次の段階の始まりを予告するものとなるだろう。 出版金融システムの破綻 取次準大手の栗田出版販売の倒産は、総合取次に起こった初の事態であり、システムとしての再版制が危機に際してどのように機能するのかを示すことになった。重苦しい雰囲気で行われた債権者説明会で弁護士から提案された再建スキーム(強引な「お願い」)は、千数百社と言われる版元関係者の想像を超え、疑惑と怒りを呼んだようだ(『新文化』7/14付によれば、7/6提案より緩和した新提案が13日にあった)。詳細は、複数の版元関係者によってネット上にアップ
6月26日、取次準大手の栗田出版販売が倒産した(民事再生申請)。同じ日、アマゾンは「夏の読書推進お買い得キャンペーン」で、(かつての)ベストセラーを含む110タイトルの2割引販売を開始した。再販制の下で、出版社と書店の間のインタフェースとして機能してきた取次というビジネスに何が起こっているか。 「3位、4位」の不幸と再版制の空洞化 2つのイベントの間には、もちろん直接的関係はないが、日本の再販制度(独禁法の適用除外として認められてきた業界慣行)の空洞化を示すものだ。東日販の2社が寡占する市場で、3位の大阪屋が半死半生、4位の栗田が消滅という事態は、シェア云々という以上に、いわゆる「唇歯・輔車」(唇と歯、上顎と下顎)の関係にあった業界の安定化要素が欠損し、国策会社・日本出版配給(1941-1949)を母体としない取次会社が消滅したことになる。昨年9月に発表された栗田の年間売上高は329億円。
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