誰もが簡単に発信できる時代、には負の側面もある。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。 * * * 日本体操協会の偉い人は、きっと体操経験者が多いんですよね。みなさんバランス感覚が秀でてらっしゃるのかと思ったら、そうでもないようです。パリ五輪の体操女子で代表に決まっていた宮田笙子選手が、喫煙と飲酒を理由に“辞退”に追い込まれました。 19歳の飲酒や喫煙が、やっとつかんだ五輪行きの切符を取り上げるにほどの重罪だったかどうかは、いろんな考え方があるでしょう。「厳重注意」という選択肢もあったかもしれません。しかし日本体操協会は、わりとあっさり「五輪に出場させない」と判断しました。 あくまで「本人が辞退した」という形にしたところや、知る限り協会の幹部や役員は誰も処分されていないあたりは、持ち前のバランス感覚の成せる業とお見受けいたします。きっと協会の偉い人たちは、20歳になるまで飲酒も喫煙もしなか