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アメリカ大統領選
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理解に近道はない.だからこそ,初学者目線を忘れないペース配分と励ましで伴走する入門書.可能な限り図に語らせ,道具としての統計手法を,しっかり数学として(一部は割り切って)学ぶ.独習・学び直しに最適 本書の使い方 統計学を学ぶ心がけ/予備知識/本書の学び方/のんびり取り組む/本書の難所/練習問題を解く/数学が得意なら/ご協力ください 序章 はじめに 1.統計学の必要性 2.散らばり(バラツキ) 3.基本的な用語と概念 ①観測値と標本 ②母集団 ③統計学の目的 ④統計学の理論を支える土台 ⑤単純無作為標本 4.本書の2本柱 ①平均の比較 ②2変数の関係 5.検定統計量 第Ⅰ部 統計的仮説検定の論理 1章 検定の論理(二項検定を教材として) 1.例題1:B薬はA薬より有効か? ①例題1.1:18人に効果がある場合 ②例題1.2:14人に効果がある場合 ③例題の解答 2.二項分布 ①二項係数 nC
監修のことば【長谷川耕平】 はじめに 第1章 論文を読む前に知っておきたいこと 01 論文を1本全部読む必要はあるの? 02 なぜ論文が読めないのか 03 そもそも臨床研究ってなに? 04 論文が世の中に出てくるまで 05 論文が掲載される医学誌を知る 06 どの医学誌から論文を選べばいいの? 07 論文の質はどうやって担保されているのか 08 医学誌には原著論文以外も載っている 09 論文を探してみよう!:Googleは便利 10 論文を探してみよう!:PubMedの使い方 11 論文を手に入れるにはどうしたらいいの? 12 どの論文を読めばいいの? 第2章 論文の読み方 01 論文を読む前に心に留めてほしいこと(重要!) 02 論文の読み方に決まりはあるのか タイトルページを読む 03 論文のタイトルを読む 04 アブストラクトを読む 05 論文の著者・共著者:誰が論文を書いたか? イ
新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)の患者さんが,嗅覚障害・味覚障害を訴えることが注目されています.もちろん,これらの症状は亜鉛などの欠乏や薬剤性にもみられますが,今回は新型コロナウイルスがどのようにこれらの症状を引き起こすか,に注目したいと思います. ヨーロッパの耳鼻科医たちの報告では,中等症以下のCOVID-19患者さん417名のうち,86.7%に嗅覚障害,88.8%に味覚障害がみられたそうです.患者さんのうち11%の人の初発症状が嗅覚障害であり,COVID-19の治療後73%が8日以内に,97%が14日以内にこれらの症状が改善しています1).このほかにも,韓国やイタリア,アメリカ合衆国からも同様の報告があり,COVID-19に高率で嗅覚・味覚障害が表れるのは確かな事実のようです2). 嗅覚・味覚障害のメカニズムですが,最も有力な説はウイルスによる直接的な神経細胞の障害と
生命科学研究に機械学習のアプローチをどのように使うのか,それによって何ができるのかを解説します.初心者にも取り組みやすいGoogle ColaboratoryやImageJの入門記事もおすすめです. 序にかえて:生命科学研究を加速する機械学習【小林徹也,舟橋 啓,杉村 薫】 第1章 機械学習入門 1.Google Colaboratory入門―機械学習を体験しよう【舟橋 啓,徳岡雄大,山田貴大】 2.ImageJを使った機械学習による生物画像解析入門【三浦耕太】 第2章 バイオインフォマティクス Ⅰ.遺伝子発現機構・発生・分化 1.1細胞RNA-seqを用いた細胞タイプの同定技術【松本拡高】 2.scRNA-seqを用いた細胞系譜の軌跡推定―データの背後の流れを読みとる技術【前原一満,大川恭行】 3.scRNA-seqデータから空間的遺伝子発現パターンを再構成する機械学習【大河内康之,坂口
本コーナーでは,実験医学連載「Opinion」からの掲載文をご紹介します.研究者をとりまく環境や社会的な責任が変容しつつある現在,若手研究者が直面するキャリア形成の問題や情報発信のあり方について,現在の研究現場に関わる人々からの生の声をお届けします.(編集部) 本稿のタイトルのように大学院生に言われたことがある.これから述べる『研究と創作活動』というテーマについては,おそらくこの言葉にすべてが集約しているのではないだろうか. 私は,研究の傍らに小説を書いているが,それほど古い趣味ではなく,2015年頃に京都大学(当時)と愛知教育大学の友人たちとしていた雑談のなかで「研究費がなくて苦しんでる研究者のライトノベルを書いたらおもしろいのでは」という話になって,はじめてweb小説投稿サイトに登録し,執筆をはじめたのである.この作品『魔法大学院第三呪術研究室には研究費がない』は,幸い多くの反響をいた
ハロウィンの時期になると,吸血鬼の格好をした人をよく見かけるようになりますね.吸血鬼はオオカミやコウモリと一緒に現れ,水やにんにく,日光や十字架を極度に恐がって,夜に凶暴になるとされています.これらの症状で何か思いつく病気がありませんか? これらの症状はみんな狂犬病で説明できるといわれています1).狂犬病は,RNAウイルスである狂犬病ウイルスによる人獣共通感染症で,一度発症するとほぼ100%死亡する恐ろしい病気です.イヌ,オオカミが最も主要な宿主ですが,ネコ,コウモリ,リスなども感染し,感染した動物に咬まれることによりヒトに感染します. 最初は風邪のような症状なのですが,ウイルスは咬まれた部分から神経を介して中枢神経にいたります.ウイルスは,1日数ミリずつ神経を侵しながら中枢神経に向かうといわれていて,中枢神経からの距離によって,手足を咬まれたら数カ月,顔なら数日で発症するといわれています
厳選!ラボ活性化ツール Slack,zoom,Google Drive,esa,GitHub… 尾崎 遼 「実験医学」2019年9月号掲載「厳選!ラボ活性化ツール」(尾崎 遼)では,ラボで使えるメッセンジャー,ビデオ会議,スケジュール共有などの多彩なデジタルツールをご紹介いただきました.昨今のリモートワーク推進の情勢を受け,読者のみなさまに本記事の内容をお役立ていただけることを期待して,この度,ウェブ記事として公開させていただきます.ご活用いただけましたら幸いです.(誌面に掲載の内容をもとに,ビデオ会議ツール「appear.in」の紹介を「zoom」に更新しています) (編集部) 「メールではなかなか連絡をくれない,電話も繋がらないラボメンバーが,メッセンジャーではすぐ返信をくれた」「共同研究者にSkypeで会議しようと持ちかけられたが,どうすれば良いのかわからず取り残されてしまった」…生
「実験医学」2020年5月号(4月20日発行)では,京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸先生,東海大学医学部分子生命科学の中川 草先生に,新型コロナウイルスSARS-CoV-2の最新の科学的知見につき特別記事をご執筆いただきました.日々新たな論文(プレプリントを含む)が発表されるなか,私たち編集部も一刻も早く情報をお届けすべきと考え,このたび掲載号発行に先んじてWebにて記事を先行公開いたします. (編集部) 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,2020年3月11日にWHOによりパンデミック(国際的大流行)として認定された.これまでに,インフルエンザ,AIDS,結核,マラリア,コレラなどがパンデミックを引き起こしているが,今回のCOVID-19による社会的インパクトは非常に大きい.近年では,エボラウイルス,ラッサウイルス,SARSウイルス,MERSウイルス,ジカウ
「ヒト細胞はどのくらいの大きさか」「mRNA とタンパク質どちらが大きいか」定量視点・数値情報から,定性的な生命科学知見を再整理.未知数への推算アプローチもわかり,研究の基礎資料にも,講義資料にも活躍 翻訳にあたって まえがき 推算リスト 謝辞 序章:生物における数の指針 なぜ生物を考えるうえで数に気を使う必要があるのか? BioNumbers リソース どのように大雑把な計算をするか? 「桁数の生物学」におけるツールキット 大雑把な計算のための厳格なルール 細胞の地理的特徴 第1章 サイズと幾何学 細胞とウイルス ウイルスはどのくらいの大きさか? 大腸菌の大きさと質量はどのくらいか? 出芽酵母細胞はどのくらいの大きさか? ヒトの細胞はどのくらいの大きさか? 光受容細胞はどのくらいの大きさか? 細胞のサイズと形状の範囲はどのくらいか? 細胞小器官 核はどのくらいの大きさか? 小胞体はどのく
感染症や薬剤投与などの原因により,血中サイトカイン(IL-1,IL-6,TNF-αなど)の異常上昇が起こり,その作用が全身に及ぶ結果,好中球の活性化,血液凝固機構活性化,血管拡張などを介して,ショック・播種性血管内凝固症候群(DIC)・多臓器不全にまで進行する.この状態をサイトカインストーム(cytokine storm)という.(実験医学増刊3112より)
最近,メタノール(メチルアルコール)を飲んで中毒になり搬送されてくる患者さんが増えているのですが,楽に死ねる,とか,思いっきり酔える,などという誤った情報をインターネットから得ているケースが多いようです.かつては密造酒に含まれ,その危険性から「バクダン」と呼ばれていたらしいですが,今回はこのメタノールがテーマです. メタノールの構造式はご存知のとおりCH3OHで,燃料や工業用にも使われており,引火性が強く危険物第四類アルコール類に指定されています.密造酒などに含まれることもありますが,新鮮な果実やフルーツジュースにも含まれるそうで,その致死量は個人差も大きく,0.3〜1.0 mg/kg程度といわれています.メタノールは,アルコールデヒドロゲナーゼで酸化され,ホルムアルデヒドになります.ホルムアルデヒドの水溶液は,解剖実習でご遺体を固定していたホルマリンで,これも毒性が強いように思いますが,
狭心症発作のときにニトログリセリンを使うことは,皆さん知っていると思います.このニトログリセリンは,ダイナマイトの原料でもありますが,火薬がなんで狭心症に使用されるようになったんでしょう? 昔ヨーロッパで,火薬工場で働いていた作業員が,休暇明けに出勤して仕事をはじめると,ひどい頭痛やめまいに悩まされるという苦情が相次ぎました.一方で,狭心症を患う従業員が,自宅では発作が起こるのに工場では起こらないというエピソードがあり,これに注目した医師が「火薬には血管を拡張させる作用があるんじゃないか?」と考えて研究したことで発見されたといわれています. このメカニズムは長年未解明だったんですが,1990年代になって,ニトログリセリンが加水分解されて硝酸ができ,さらに還元されて一酸化窒素(NO)が産生され,それが血管拡張のシグ
救命救急センターには,不幸にも交通事故に遭ってしまった方も多く運ばれて来ますが,いまだに飲酒や酒気帯び運転が原因となっていることも少なくありません.飲酒検問のときには,アルコール検知器が使われますが,全くアルコールを飲んでいないのに呼気からアルコールが検出される病気があります. この疾患は,1972年に日本で発見されたと報告されていて,今は「自動醸造症候群(Auto-Brewery Syndrome)」と呼ばれています.極端な食事制限や抗菌薬の使用で腸内細菌のバランスがくずれることにより,腸管内に出芽酵母(イースト菌)が増加し,酵母が糖をアルコールに変換することが原因です.結果的に,食事をするだけで腸内でビールが醸造され酔っぱらってしまうのです1). アメリカのテキサス州に住む61歳の男性の例が報告されていて,彼はアルコールを飲んでいないのに,酩酊のような意識障害をきたして救急外来に運ばれ
The Daughter from California Syndromeという概念があります.皆さんはこの疾患名を聞いて,どのような疾患を想像しますか? 病院は全員が元気になる場所ではありません.岡山大学病院高度救命救急センターにも,高齢や悪性腫瘍や慢性疾患の末期,心筋梗塞や脳卒中で回復が見込まれない患者さんが来ることも少なくありません.そういう場合には,患者さんのご家族,患者本人に予後不良である旨を説明し,医療チームとくり返し話し合いをする過程で,人生の終末期に過度な医療が行われることを避け,穏やかに最期のときを迎えることを提案することがあります.この過程を,終末期医療におけるACP(Advance Care Planning)といい,研修医の先生に必ず知っておいていただきたい言葉です. こうやって,何度も話し合いをして決めた方針があるにもかかわらず,遠方に住む娘(あるいは息子)が突然
以前,産業廃棄物処理施設で暴力団が出したゴミから猛毒のフッ化水素酸が見つかったと報道され,フッ素化合物が話題になったことがありました. フッ素化合物,なかでもフッ化水素は工業用に使われますが,人が曝露されると体内のカルシウムと結合してフッ化カルシウムを形成する性質があります.フッ化水素の怖いところは,非常に強い透過性にあり,ゴム手袋などは容易に通過して皮膚,筋肉を抜けて骨に到達します.そして骨中のリン酸カルシウムと反応して炎症を引き起こし疼痛の原因になります.また,血中のカルシウムイオンをもフッ化するため,カルシウムが急速に消費され,低カルシウム血症による全身症状,主に心室細動を起こし致死的になることがあります.フッ化水素の中毒患者さんには,十分な循環管理を行い,グルコン酸カルシウムの投与を積極的に行わなければいけません1). 一方で,フッ素には歯のエナメル質を強くする効果と,虫歯の原因菌
ホーム Onlineコンテンツ一覧 科研費獲得のための応募戦略 第1回 応募種目の選び方 第1回 応募種目の選び方(2023.07.14更新) 科研費で基本的な研究種目は「基盤研究」と「若手研究」なので,まずはこれらのどれかの種目に応募することを考えよう.年齢と実績によって基盤研究か若手研究のなかから1つと,それに加えて,もし自分の研究に適した研究領域があれば学術変革領域研究の公募研究に申請することが基本的な応募方法だと思う. 基盤研究への応募 基盤研究には(S),(A),(B),(C)の4種目がある.基盤研究(S)と基盤研究(A)は採択率がそれぞれ,12.3%,27.4%であり,応募者のレベルが非常に高く激戦である.本書の読者には基盤研究(C)に応募する研究者が多いかと思う.基盤研究(C)が科研費の一番ベーシックなものであるし,採択数も多い.令和3年度の基盤研究(C)の新規採択率は28.
かつて日本がまだ戦争をしていたころ,病気になって徴兵を逃れようと醤油を大量に飲んだ人が多くいたそうです.醤油は今やsoy sauceとして世界中で手に入る調味料ですが,本当に醤油をたくさん飲むと病気になるのでしょうか? 醤油の塩分濃度は,種類にもよりますが約15〜18%です.海水の塩分濃度は約3.5%ということを考えると,醤油の方がかなり高いのですが,海水も醤油と同じくらい塩辛く感じます.これは,醤油ではうま味成分といわれるアミノ酸や糖分,有機酸などが塩辛さをマイルドにしているためといわれています. 日本では,醤油を飲んで自殺した方の剖検例が報告されています1).この方は60歳女性で,12年間,精神病で苦しんだ末,醤油を1 L飲んでしまいました.このときの血中ナトリウムは177 mEq/Lまで上昇したそうです.昔は塩は催吐剤として使われており,今でもペットが異物を飲み込んだときには塩を飲ま
第122回 ヘッドバンギングしたいけど… レジデントノート2024年11月号掲載 私はヘビーメタルが大好きで,長髪のミュージシャンが音楽にあわせて頭を振るヘッドバンギングは実に格好よく,憧れたものです.しかし,首を激しく振る動作は頭頸部傷害のリスクともいわれており,赤ちゃんを激しく揺さぶることによって起こる乳幼児揺さぶられ症候群という疾患概念もありますし,あまり身体にいいこととは思えません.
大学の教授という立場では,あまり自分の失敗談は話さない方がいいのかもしれませんが,私は学生さんや研修医に自分の恥ずかしい経験を話すことは最も大切と考えています. ある日,私が当直に行っている市中の二次救急病院に,突然の胸痛を訴える50歳代の患者さんが運ばれてきました.食後に急に胸の痛みを訴え,苦しがっておられるとの触れ込みを循環器科に一報して救急車を収容しました.患者さんは発語もしっかりしておられ,呼吸,循環も異常はなく,バイタルサインも安定していました.しかし,冷や汗をかいて少し不穏もあったので,急いで心電図と胸部X線検査,血液検査を行いましたが,トロポニンや白血球の増加もありません. どうしたものかと胸のCTを撮ってみますと,食道内腔に大きな腫瘍のような影が写り,改めて病歴聴取をしたところ,夕食は大好物のステーキで,かなり急いで食べたとのことでした.水を飲んでもらっても改善せず,内視鏡
本連載の幕開きとなる前回は,統計的データ分析と聞いたときに多くの人が連想する“理論的”かつ“数学的”な統計学という先入観にひるむことはないと述べました.この世の現象は,自然界であれ人間社会であれ,例外なく不確定な要素を含みつつ立ち現れます.多かれ少なかれ偶然に支配される現象を観察したり計測したりして得られるデータが,さまざまな「ばらつき」をもっていることは当然の帰結です. しかしひるむことはありません.私たち人間は生物として進化してきた過程で,ばらつきをもつ情報をよりどころにして不確定な状況での意思決定をする認知能力を備えるようになったと考えられます.前回の説明で私が強調したデータの可視化の重要性は,細かい統計計算をする前に情報を視覚化することにより,私たち誰もが人間としてもともともっている認知能力をデータ解析という作業のはじめにきちんと認めようという点にありました. 近年の統計分析ソフト
編集部より 「実験医学」に2014年2月から開始した連載「統計の落とし穴と蜘蛛の糸(三中信宏)」が単行本化いたします.人間が進化の過程で得てきた「認知的性向」は統計学の本質ともいえるものです.単なる計算方法や理論ではなく,「ものの考え方」としての統計的思考について,分野の歴史から,科学哲学の視点も含めつつご紹介いただきます.Smart Lab Life上では全部をご覧いただけますのでぜひご一読ください. このコーナーについて 私の職務上の表看板は「生物統計学」です.農林水産省系の独立行政法人農業環境技術研究所を本務地とし,兼任している東京大学農学部にも研究室をもっています.そういうポジションにいれば,ごく日常的に,農学系あるいは生物科学系の研究員や学部生・大学院生に統計学を教える機会が多くなり,また統計分析に関する質問を受けるコンサルタント業務も年々増えてきました.仕事や研究を進めるうえで
織田信長の家臣であった羽柴秀吉は,播磨三木城や鳥取城を,兵糧攻めにより落城させたと伝えられています.ご存知のとおり,兵糧攻めとは,城を包囲し城内へ食料を持ち込ませないことで,城内にいる兵士や馬などを飢えさせる戦法で,直接武器を使うわけではないけれど,残酷な方法です. 歴史の詳細は専門家にゆずるとして,城内では植物はすべて食べつくされ,肉食ではないこの時代の人々が,牛や馬,さらには人肉までを食べたと伝えられています.秀吉はその惨状をみかねて,城主の自決を条件に降伏を許可し,開城後に飢餓でふらふらになって出てきた兵士たちに大釜でお粥を振舞ったそうです.ところが,兵糧攻めで生き延びたものたちも,このお粥を食べてほとんどが死んでしまった,とされています. どうすれば,生き残ったものたちは,死なずにすんだのでしょうか? これは,飢餓状態のあとに急に食べ過ぎたことによるリフィーディング症候群が起きたと
データのもつ“ばらつき”の情報をいかに利用するかは統計的データ解析の根幹です.前回はこの“ばらつき”をいかに数値化するかを解説しました.今回はその続きで,データセットの“ばらつき”を視覚化する平方和についてさらに説明を続けます.個々のデータの「偏差」を集計して「平方和」を計算すれば,データセット全体の“ばらつき”が一つの数値で表されます.しかし,平方和はデータセットの大きさ(サイズ)をまったく考慮しません.その欠点を解決するために,「自由度」という新しい概念が必要になります.データを集計するだけの記述統計学とは違って,データが取られた元の集団(母集団)に関する推定をする推測統計学にとって,データからの推定が真の値にどれほど近いかは重要な問題です.自由度を用いることで,私たちははじめて“ばらつき”の尺度である推測統計学的に妥当な「分散」の概念に到達できます.データセットのふるまいを表す「平均
『Smart Lab Life』は,研究費や英語,統計など,研究生活を応援する情報をお届けするポータルサイトです.
第1回 データ解析の第一歩は計算ではない 涙なしの統計学は可能か 講師のひとりとして私も参加したある統計研修の受講生が別の講師が担当した講義内容に関して次のような質問を投げました: 多くの確率分布があることはわかったのですが,いずれも数式で説明されていて,ほとんど理解できませんでした.グラフや図を用いてもっとイメージしやすい説明はできないのでしょうか?それぞれの確率分布は,実生活のこんな場面で使えますとか,こんなデータに当てはまりますというような身近な事例を用いて説明できませんか? 読者のみなさんもご存知のように,いわゆる数理統計学の理論体系では,現実世界のデータの挙動をある数式で表現された確率密度関数をもつ確率分布によってモデル化します.たとえば,確率変数(変量)が連続的ならば正規分布,離散的ならば二項分布のような確率分布がこれまで数多く提示されてきました.そして,数理統計学に基づく統計
「速報」では常に変更している科研費の制度に関して,本書の内容から更新された情報を児島先生に随時紹介していただきます. 例年通り,9月1日に来年度(平成30年度)の科研費公募がはじまった.今回は科研費の制度が大きく改革される年である.その改革(変更点)の要点をまとめると図1のようになる. 2.平成30年度公募用の申請書の項目と書き方 この速報では,「科研費獲得の方法とコツ 改訂第5版」では詳しく触れられなかった来年度からの新しい申請書への対応について解説していく. 平成30年度の申請書(研究計画調書)は,これまでの申請書とかなり異なる.体裁として罫線・枠線がなくなるとともに,これまで別々の項目だった「研究目的」と「研究計画・方法」が,1つの項目「1 研究目的,研究方法など」にまとめられた.また,これまで「研究目的」や「準備状況」に分かれていた部分も,「2 本研究の着想に至った経緯など」として
実験医学600号突破記念号より 基礎研究の入口かつ出口としての好奇心 [インタビュー]谷内江 望,荒川和晴 編集部より 研究のモチベーションは何か.医学研究と科学研究とでその意味合いは変わると思いますが,両者に共通するものに好奇心が挙げられます.一方,いま医学・生命科学に残されたクエスチョンは往々にして複雑で,個人の好奇心で取り組めるレベルを超えているという話も伺います.また,基盤的研究費が減り,競争的研究費は「役に立つ」ことを主張しないと通りにくいと囁かれる昨今,好奇心の対象と仕事の研究の間にギャップがあり,研究を心から「楽しい」と言えない方が増えているようです. そこで本記事では,慶應義塾大学の荒川和晴先生,東京大学の谷内江 望先生に“いまどき”の若手研究者の基礎研究との向き合い方をテーマに対談いただきました.荒川先生は“最強生物”クマムシの研究の仕掛人であり,他にも人工クモ糸の事業化
羊土社では,初めて科研費を申請する研究者,慣れていない研究者へ向けて,科研費の概要・応募戦略の立て方・申請書の書き方などを解説した単行本『科研費獲得の方法とコツ』(現在は第5版)を刊行しています. ここでは,常に変更している科研費の制度に関して,本書の内容から更新された情報を,著者の児島将康先生に「速報」として随時紹介していただきます.ぜひ定期的にチェックしてください. また,下の方には,実験医学に掲載された,本書のもとになった連載を公開しています.本連載をもとに,書籍には,具体的な実例やポイント,最新の内容などを大幅に書き加えていただきました. なお,研究費や英語,統計など,研究生活を応援する情報をお届けするポータルサイト『Smart Lab Life』では,本書第5版から一部を抜粋・改変したいくつかのWEBコンテンツを掲載しております.こちらもあわせてご覧下さい.(編集部)
科研費獲得の方法とコツ 改訂第4版実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略 児島将康/著 2015年08月10日発行 B5判 237ページ ISBN 978-4-7581-2059-3
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