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今回から半年の契約で連載をすることになった田中フミヤといいます。 サッカーに例えると、冬のマーケットでレンタル移籍してきた外国人選手という位置づけですが、おそらく期待通りの働きが出来ないお荷物助っ人としてここを去っていくのではないかと思います。 短い間になるかもしれませんが、お付き合い頂けると幸いです。 まずは今回の執筆経緯について少し触れておきたいと思います。 依頼があったのは在日ドイツ大使館の広報担当者からで、依頼内容にオンライン上でリサーチしたところ見つけたと書いてあります。 ドイツでアートや音楽活動をされている方を見つけるには、自分でも現在の状況を知ることが重要ではないかと思い、色んなキーワードで検索してみたところ、華々しい経歴や活動をされているアーティストやミュージシャンがいることを知ることができます。 目につくのはクラシック音楽や現代アートに特化した方々で、こういう方々がドイツ
前回なかなか言いにくいことについて書きましたが、 今回もまた似たようなお話です。・・・・そうです、言いにくいことについてです。 近年ニッポンはパンブームです。とくにコロナ禍では「お店の中に座らなくても、パッと買って帰れる」ということでパンの人気が更に高まった気がします。 うちの近所ではコロナ禍になってから新たにオープンしたパン屋さんが3軒もあります。 色んなこだわりを持ったパン屋さんが登場し、「高級」を謳ったパン屋さんも人気です。 ただ高級なパンを否定するわけではありませんが、ドイツの感覚だと「パン」はもっと「庶民的なもの」です。ドイツでは古くからパンが食べられていたので、パン屋さんはお肉屋さんと同じぐらい身近というか「日常」なわけです。 そして誤解を恐れずにいうと、ドイツでアビトゥアを持った人や、大学を卒業した人がパン屋さんの職に就くということはほぼありません。パン屋さんはakedemi
最近この連載はイベントリポートばかりだ!! とお嘆きの貴方に。 朗報です。今回はガチンコの小説レビューです。それも、『犯罪』『罪悪』に続きドイツ読書界にまたしても衝撃を与えたシーラッハの新作、彼の初の長編『コリーニ事件』なのですよ^^ …で、ネタバレ御免!! と言い切るからには、むしろその方が読書の食前酒として効果的だろうという読みと自信があるわけです。しかしもし、その当てが外れてあなたの感興を削ぐ結果になったとしたらゴメンナサイ。私にはひたすら謝ることしかできないから、それで許してください! (笑) 『コリーニ事件』は、ありていに言えば、 徹底的にナチを裁く良識とは何か!? を深く深く深く描いた小説です。敢えてミステリの流儀で分類するならばホワイダニットものということになるのでしょうけど、読んでいるうちにそんなことはどうでもよくなります。 確かにドイツ人の脳味噌から生まれた文章ではあるけ
©picture alliance / blickwinkel Schweinemett-豚肉を生で食す!? リョウちゃんからのメール ドイツ総領事館に居候しているリョウちゃんからメールが届いたよ♪ 今日の話題は・・・=^_^= ドイツにはたくさんの種類のハムやソーセージなどの食肉加工製品があって、中には「えっ!?」っていうのまであるけど、その中でも日本では絶対食べれないのがSchweinemett(Schweine:豚、Mett:脂身のないひき肉)。 ベルリンではHackepeterとも呼ばれてる。 これは生の豚ミンチに、塩やたまねぎ、ハーブなどを混ぜたもので、焼いてもいいんだけど、焼かずにそのままパンなどに塗っても食べるんだ。 生の豚肉! って聞くとびっくりするけど、ドイツにはひき肉に関する法律「Hackfleisch-Verordnung(ひき肉令)」というのがあって、それに従ったひ
© 2017 - Filmgalerie 451, Alfama Films, Opus Film 規律厳格な無法地帯の悪夢!『ちいさな独裁者』 第二次世界大戦ドイツ映画第三帝国ちいさな独裁者戦争犯罪 大戦最末期、ドイツ。 それは人間性の真価が極限に問われ、さらけ出される恐るべき舞台であり、これまでも数々の文芸・映画のテーマとなってきました。 そして今般ここに、注目すべき新たなる問題作が爆誕! 映画『ちいさな独裁者』は大戦末期、偶然にもエリート将校の軍服(ナルヴィク盾章つき)をゲットしてしまったドイツ脱走兵が展開する、 想像を絶するハッタリ+やりたい放題 の物語です。 この設定、アメリカ映画とかだったら痛快まるかじりな内容になるに違いないところ、ぜんぜんそうならないのがドイツ映画です。さすがです。しかも史実ベースだったりするのが凄い! この映画、おそらく多くのレビューにて、 【抑圧的な軍隊
日本では、待ちに待ったGWですね! 今年は最大で9連休という方もいらっしゃるとか。 皆さんどこへ出かけるのでしょうか。 今日紹介するのは Fernweh (フェルンヴェー) です。 この言葉もドイツ語独自の表現です。 ホームシック(ドイツ語でHeimweh ハイムヴェー)の反対語にあたります。 実はこれも分解できます。 Fern ・・・遠い、遠く (ドイツ語は形容詞と副詞が同形なのです) Weh ・・・痛み 遠くの痛み・・・ これはつまり、どこか遠くへ行きたい、遠い国へ出かけたい、という(強い)思いのことを指します。 「遠くへ行きたい病」ですね。 世界トップレベルで旅行好きなドイツ人らしい言葉。 ふと空を見上げて飛行機を見かけたとき、 テレビで知らない国の様子を見たとき、 旅行雑誌を読んだとき、 「あーーーーーーーーーーーー旅に出たい!遠くへ行きたい!!!」 と思ったら、 Fernweh
『ヒトラーと戦った22日間』は、ナチのソビボル収容所で1943年に起きた大反乱の「75周年記念」作品として、2018年にロシア政府の肝いりで製作された映画です。 この史実をめぐっては、名作『ブレードランナー』で主役(ハリソン・フォード)を完全に食うほどの伝説的敵役を好演したことで知られるルトガー・ハウアーが主演した『脱走戦線 ソビボーからの脱出』という英国・ユーゴ合作ドラマ(1987年)がもともと存在するので、それとは違う、21世紀仕様の心理的な深掘り演出などが施されているかと期待したのですが… 全然そんなことは無くて! わかりやすすぎる勧善懲悪ドラマでした。 極めて印象的なのは、最近のナチ系史劇ドラマと違い、「ナチズム」ではなく「ドイツ人」そのものを「悪辣で冷酷」だ、とする演出ポリシーが貫かれている点です。ヤツらは表面的にお上品な教養をひけらかしたりするが、油断するな、ドイツ人の本性は、
ハーフはよく「ハーフっていいなあ」「ハーフがうらやましい」「ハーフって2つの国を行ったり来たりできていいね」と言われるけど、ぶっちゃけハーフの人生はそんなに甘くありません。特に「子供ハーフ」や、思春期のハーフは大変です。理由は学校でハーフに対するイジメがあるから。日本の学校のイジメにも酷いものがありますが、まずはドイツの学校でのイジメの話をしたいと思います。 日本とドイツのハーフの子供がドイツの学校に通うと、「チン・チャン・チョン!」とはやしたてられたり、からかわれたりすることがあります。この「チン・チャン・チョン!」は、ハーフに限らず、ヨーロッパ、または白人の多い地域で子供時代を過ごした日本人、中国人、韓国人などその他のアジア人であれば必ず知っている言い草なのではないでしょうか。 でも、知らない方のために紹介すると、「チン・チャン・チョン」とは、要はアジアの言語をバカにした「からかい」な
お盆ですね。すでに各地の高速道路ではUターンラッシュの渋滞が起こっているようです。 渋滞って、嫌ですよね( ≖_≖)・・・ 子供は退屈して騒ぎ出し、トイレに行きたいと焦り、運転するお父さんは眠気との戦いでもある。 そんな「渋滞」、もちろんドイツの高速道路 アウトバーン (Autobahn)でもあります。そこで今日は、ドイツのどうでもいい「渋滞とアウトバーン事情」をお伝えします。 渋滞中の方は、ぜひ暇つぶしに(もちろん、助手席と後部座席の方のみですが)読んでみてください。 そもそもドイツのアウトバーンは全長何キロ? 日本で言う「高速道路」にあたるアウトバーンの総距離は、12,993km(2016年時点) 。 これは、中国、アメリカ、スペインについで世界第4位の長さです。 ちなみに日本の高速自動車国道の総延長距離は、2015年4月1日現在で9,265.8 kmだそうです。(出典:国土交通省)
『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』は2016年製作のチェコ映画で、歴史に名高いナチスのチェコ副総督、ラインハルト・ハイドリヒSS大将の暗殺(エンスラポイド作戦)を描く内容です。 映画にて描かれる暗殺作戦の経緯 1942年春、ナチス占領下のチェコ。 ハイドリヒSS大将は執念深い鬼畜であり、彼の暴虐かつ仮借ない攻撃により、チェコ市民の生活およびレジスタンス活動は壊滅寸前だった。そこに英国から飛来したチェコ人特殊部隊員ふたり。彼らの使命は英国の指示によるハイドリヒ暗殺。だが待て、と地元レジスタンスたちはたじろぐ。そんなことをしたらどんな苛烈な報復が来るかわからんぞ。やるべきなのか? …そう、確かに報復はあるだろう。だが、今だって地獄じゃないか。この状況で何もやらないままでいる姿勢が人として正しいといえるのか? かくして人間の尊厳を守る大義のため、特殊部隊員たちは禁断のラブロマンスを交え
Ⓒ Bernd Schuller 映画『ヒトラー暗殺、13分の誤算』:神の見えざる手に我々は何を見るべきか! ナチスドイツドイツ映画歴史ヒトラー暗殺、13分の誤算オリヴァー・ヒルシュビーゲルサスペンスゲオルク・エルザー 1939年11月8日、対ポーランド戦の圧勝に意気あがるナチスドイツ、ミュンヘン。ひとりの家具職人が製作した精巧で強力な時限爆弾が、演説会場のアドルフ・ヒトラーを狙っていた。事前に周到に調査したヒトラーの行動パターン、そして現場「ビュルガーブロイケラー」の構造からみて、この爆弾はまさに必殺の一撃となるはずであった… あの『ヒトラー~最期の12日間~』で全世界を震撼させたオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督の最新作、『ヒトラー暗殺、13分の誤算』は、ゲオルク・エルザーによるヒトラー暗殺未遂事件という史実をベースとした問題提起ドラマです。 本作のひとつの主軸をなすのが、逮捕後の取調べ
ベルリンの人にとって、スパイシーなケチャップをかけたカリーヴルストは、単なるファストフード以上のもの。 カリーヴルストは、生き抜くためのソウル・フードであり、伝統であり、郷土の名物なのです。 カリーヴルストの食べ方は、小型の丸パンまたはフライドポテトを添えたり、マヨネーズをつけたり、またはシンプルに何もつけずに、さらに皮つき、皮なし、カットしたもの、カットしていないものと、様々です。 カリーヴルストは、戦後ベルリンで考案されました。このほか、ハンブルクやルール地方の都市が起源だという説がありましたが、ベルリン起源説が優勢です。 カリーヴルストの基本材料は、加熱加工ソーセージをグリルしたもので、ソーセージの原材料は、豚肉を主体に牛肉または仔牛肉が加わります。 ソースの材料は、ケチャップ、カレーパウダーですが、このカレーパウダーに入れるスパイスに関して、人気のソーセージスタンドは、それぞれ秘密
なぜかドイツのケーキは、倒れて来る。見た目綺麗なのにもったいない。でも、とても美味しい。 こんにちは、T.Yです。そろそろ来る大学の最終テストや課題に戦々恐々としながら毎日を過ごしております。 石川君のところは、日本に興味のある学生が多くていいですね。バイロイトには日本のスタムティッシュはありますが、ドイツ人の数は日本人ほど多くはないです。ドイツ語を学ぶ場としてはいいのかもしれませんが、やはり日本に興味を持っている人といない人とでは付き合いやすさが格段に違うと思います。コミュ能力皆無(ドイツ語学科にいて留学しているくせに)の私は、純ドイツ人に下手くそなドイツ語で話しかけにいけるほどの豪胆さはないので、ドイツ人の知り合いがあまり増やせないでいます。それが今のところの問題点ですかね。 さて、そんなコミュ能力皆無(大事なことなので二回言いました)の私は、年明け早々トラブルを抱えて色々大変でした。
©2015 Mythos Film Produktions GmbH & Co. 映画『帰ってきたヒトラー』:気になったらマスト観るべし! ナチスドイツドイツ映画河出書房新社帰ってきたヒトラーギャガ第三帝国民主主義クリストフ・マリア・ヘルプスト難民問題極右台頭戦後ドイツ 前回記事で少しご紹介した、映画版『帰ってきたヒトラー』。 観る前に原作小説を読むべきか、観てから読むべきか、あるいは読まなくてもおっけーか? 1945年、死の瞬間にタイムスリップして現代に蘇ったヒトラーが社会を侵食して行くという大筋では同じはずだが… と、そのあたりが気になる方もいらっしゃると思います。結論を言いますと、 片方でも大丈夫だが、両方味わえば滋養分4倍。順序は問わない! なのです。 原作小説は、基本的にヒトラーの内面描写、というか、「ヒトラーの主観フィルタを通した」一人称の世界描写の連なりで成立しています。そこ
「シャア! 謀ったな、シャアっ!」 「君はよい友人であったが、君のドイツ語がいけないのだよ」 …皆様いかがお過ごしでしょうか? ドイツ的職場と日本的住居の間を毎日高速移動する機動戦士マライです。 ガンダムといえば。 実はむかし、知人の付き合いでアキバの某巨大家電量販店のプラモ売り場に行った際、ガンプラ箱に書かれていた「ノイエ・ジール(Neue Ziel)」という、文法的にも発音的にも超アウトアウトアウト! スリーアウトチェンジ! なニセドイツ語と遭遇してしまったのが、なんと私とガンダムの最初の出会いでした。あまりハッピーとは言いかねるシチュエーションです。 ちなみに、「ノイエ・ジール」がいかにドイツ語としてヤバいかというのはWikipediaにも明記されているほどなので本稿では繰り返しませんが、これについてオタ系の知人に対し啓蒙を図ってみたところ、以下のような実に興味深い&勇気ある反応をい
全体的な傾向として、ドイツ語のほうが日本語よりも「ハッキリ」が似合う言語ですよね。実際に、ドイツ人のほうが日本人よりも物事をハッキリ言っている印象を受けますし。 ただし前回書いたようにテーマが「夫」になると、ドイツ人女性よりも日本人女性のほうがモノをハッキリ言っていたりします(笑) 思えば「結婚」というものについて、そう、たとえば婚活という場においても、日本人女性のほうが相手に求める条件が「はっきり」していて、それを口に出して言う事がドイツ人女性よりも多いですね。「結婚相手の男性に求めること」について、日本人女性のほうがドイツ人女性よりも「はっきりと」語る事が多い印象です。 たとえば、ドイツにおいては女性が堂々と「結婚相手の男性は安定した職業で安定した収入の人がいいです」(“Mein potentieller Ehemann sollte einen stabilen Job und ei
戦時下を舞台にした「第三帝国もの」本格サスペンス… といえば英米作家的にはひとつのドル箱ですが、ドイツ人エンタメ作家にとってなかなか踏み込みにくい分野でした。目に見えない自戒の壁があった感じです。ドイツ語圏全体をみればオーストリア人作家J・M・ジンメルの『白い国籍のスパイ』のような例もありますけど、あの作品の本質はどちらかといえばユーモア・ミステリですからね。 しかし質・量で着実に成長を続ける近年のドイツミステリは、ついにこの領域でひとつの画期的な作品を世に送るに至りました。それが今回のお題、ハラルト・ギルバースの『ゲルマニア』(原著出版2013年)です。 1944年、第三帝国首都ベルリン。ナチス親衛隊の関係者を巻き込む連続猟奇殺人事件が発生。親衛隊(当時、警察機能を吸収していた)による捜査は行き詰まり、窮余の一策として、なんと公職を追放されていたユダヤ人(妻がドイツ人であるため収容所送り
以前、ドイツでも通じる冗談、日本でも通じる冗談というコラムを書きましたが、冗談の内容を問う以前に、ドイツと日本では「笑うこと」への感じ方やとらえ方がだいぶ違ったりします。実はこのことは子供のころから感じていました。 私が子供のころに通っていた日本人学校では、誰かがドジをしたりすると、周りの子達が「あはは」と笑いましたが、それは親しみを込めた笑いでした。友達を笑った後に「私もよく、やるよー(そういう失敗を私もよくするよー)」と言ったり。 ところがドイツの学校ではドジをしたり失敗をした人についてうっかり笑う人がいると、先生に怖い顔で「auslachenは良くないことです」と注意されたものです。そう、auslachenとは「嘲笑う、笑殺する」の意味です。 このようにドイツではシチュエーションによっては「笑うこと」についてシビアだったりします。人のドジや失敗にうっかり笑ってしまうと、人をausla
2015年、翻訳ドイツ文芸界最初の衝撃は、「あの」フェルディナント・フォン・シーラッハの『禁忌』(原題:TABU)の出版であるといってよいでしょう。 シーラッハはドイツ文壇の言論人として強力な影響力を有しています。その彼の冒険的な試みであるだけに、本書はドイツ国内で大きな議論を呼びました。実際の話、なんとドイツのメジャー雑誌の書評がほぼすべて酷評(例えば:これやこれ)でした。 …という萌える背景もあり(笑)、東京ドイツ文化センター(ゲーテ・インスティトゥート)の文芸シリーズイベント『ドイツ・エンターテインメントの夕べ:Tatort Bibliothek』2015年1月分は、この『禁忌』特集でした! 本書は、ある特殊な感性をもった人物の生い立ちと彼が起こしたひとつの事件を描く内容で、物語前半・後半のタッチの違いが大きなポイントです。それがどういう意味を持つのかというと…ぐむむっ(笑) そう、
ヤングアダルト(YA)小説というジャンルがドイツでは隆盛しています。児童書から本格文学への橋渡しを行うための青少年向け小説というのが端的な定義です。 日本で同種の書物というと「ラノベ」という単語がつい思い浮かびますが、読書文化の中で同じ機能を果たしているかといえばちょっと疑問です。その良し悪しは簡単に評価できないけど。 さて、ドイツのYA小説は層が厚い。すると、ときどきとんでもない傑作が出現するのです。 今回ご紹介する2011年ドイツ青少年文学賞の受賞作、ヴォルフガング・ヘルンドルフの『チック』(邦題『14歳、ぼくらの疾走』)は、まさにそのような逸品と申せましょう。子供にだけ読ませるのは勿体無い!!(笑) 本書は要するにロードムービー小説です。 いまひとつ周囲に馴染めない、目立たないベルリンのギムナジウム生の「ぼく」は、転校生である変わり者の「チック」と微妙に親しくなる。そして夏休み、2人
2014年秋、日本にて、『シャトーブリアンからの手紙』という映画が絶賛公開されます。詳細についてはこちらをご覧ください。内容を端的に申し上げると、 ①第三帝国が占領下フランスで犯した大量処刑事件(抗独レジスタンス活動への報復としてフランス人政治犯を大量銃殺)について、独仏双方の視点で描く。 ②フランス人政治犯たちについては、キャラが明確になったところでみんな殺されてしまう。死亡フラグが立った人もそうでない人も、分け隔てなく殺される。 ③ドイツ側の主要登場人物は、事件の記録者である陸軍将校エルンスト・ユンガーと、運悪く銃殺隊の一員となってしまう弱気兵士のハインリヒ・ベル(*)。 (*:この兵士はハインリヒ・ベル本人ではなく、「ハインリヒ・ベルをモデルにした兵士」だ、というツッコミが来そうだが、そんなことはどうでもよろしい) …という感じです。 まずこの史実、特にギィ・モケ少年の死については、
日本語とドイツ語の両方ができることの醍醐味はやっぱり、両方の国の冗談がわかること!笑えること。 日本語が母語でないと分からないような冗談、ドイツ語が母語でないと分からないような冗談にクスッと笑える時、あ、自分は二ヶ国語ができてラッキーだな、と思います。どちらの国の冗談にも笑えるということは、二倍の楽しみがあるということですからね。 大勢の人と一緒にいる時、例えばドイツ人同士がドイツ語の冗談を言って笑っている時、同席している日本人に「あのドイツ人達はなんで笑ってるの?どういう冗談?」と聞かれることがあります。一緒に笑ってもらいたいので、私も冗談をドイツ語から日本語に訳していましたが・・・あることに気付いてしまったのでした。それは・・・「冗談って訳すと面白くない!」ということ。ドイツ風に言うと“Die übersetzten Witze sind die schlechtesten Witze
以前、ドイツの「都会」、日本の「都会」というコラムの中で私の故郷のミュンヘンについて書きました。 ミュンヘンは私の育った町、色々な思い出がつまった町です。私にとってミュンヘンとは故郷なので、ミュンヘンのことを思い出すと、あたたかい気持ちになります。(もっとも今の暑い夏、「あたたかさ」は必要ないのかもしれませんが・・・笑) 冒頭に書いたとおり、ミュンヘンは私の故郷ですので、私自身はミュンヘンに行くたびに癒されるのですが、もしかしたら自分の故郷や育った場所というのは、人間、やっぱりどうしても贔屓目に見てしまうものなのかもしれません。 ただ贔屓目ナシで見ても、たとえばミュンヘンの街の景観などにスポットをあてると、客観的に見ても、ミュンヘンは素敵な街だとは思うのですけどね。 でも、違う町や違う国で育った人がミュンヘンに引越しをし、現地になじもうとすると、けっこう大きな壁にぶち当たったりします。そう
2014年7月4日、日独協会の主催で、ドイツ業界にあってはけっこう大胆な試みといえる トークセッション:小説『帰ってきたヒトラー』を語る が実行されました。 関係者が内心恐れていたナチス信奉者の乱入&勝手な自己主張開始! みたいな困った展開もなく、終始非常に良い雰囲気でした。 皆様どうもありがとうございました! それにしても、当初、参加40人想定だったところに申し込みが殺到、結果的におよそ100人来場したという事実はインパクト大です。あらためて総統の集客力の凄さを…じゃなかった、ナチズムという歴史問題に対する知的関心の高さを痛感致しました。 今回のイベントは2部構成で、 【前半】翻訳者:森内薫さんの翻訳作業エピソード紹介 【後半】私による、ドイツ社会での本書への反響の紹介 という流れでした。 まず前半、森内さんのお話は非常に興味深かったです。中でも特に印象的だったのは、「ヒトラーの主観にシ
aus dem Ruder laufen アウス デム ルーダー ラウフェン aus は「〜から(外へ)」という前置詞、das Ruder (ここでは前置詞ausによって冠詞が3格のdem に変化し…
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