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マンハッタンのハドソン通りにある3階建ての建物が2009年に3.5百万ドルで売られた。 不動産価格が高騰しているニューヨークではよくある話だ。ニューヨークでは家賃の上昇についていけなくなり、市内のより周縁地域や市外へと引っ越す人たちが増えている。 それは招いたのはジェイン・ジェイコブスだ。 1. 3.5百万ドルで売れたハドソン通り555番地は、ジェイコブスが1950-60年代に住み、彼女の主著となる『アメリカ大都市の死と生』(1961年) をしたためた場所だ。 ハドソン通りが南北に走るウェスト・ビレッジは、ニューヨーク市内でも理想的なネイバーフッドのひとつだ。 高層が少なく、入りくんだ小さな通り沿いに雰囲気のいいレストランやバーが点在する。 ジャズ・クラブの存在もビレッジに独自のキャラクターを与えている。 1950-60年代には、近くのワシントン・スクエアを分断し、マンハッタンを横断する高
都市には記憶がある。 それはただの喩えではない。「都市の記憶」は定量的に示すことさえできる。 1. スイス連邦工科大学のアルベルト・ヘルナンドたちは、米国内の3千郡に関する1830年から2000年までの170年にわたる国勢調査をもとにモデルを構築した。 2015年に発表されたその報告によると、米国の都市のある年とそれ以前の年の人口成長率の間には相関があることがわかった。 相関はより近い年との間で高くなり、人口が大きな都市で高い相関がみられる。 たとえば今年の成長率は、10年前よりも昨年とより大きく相関している。 時間の経過とともに相関は薄れていくものの、その記憶はおよそ25年間持続している。 都市の人口成長率は、それ以前の年の成長率に依存していることになる。過去の成長率から将来の人口を予測することが可能になるともいえるだろう。 ヘルナンドたちはスペインについても同様のスタディを行なっており
あらゆる都市環境は「ノード (結節点)」と「ノード間のつながり」として考えることができる。 そういうのは、都市の原理を「つながり方」に求める数学者のニコス・サリンガロスだ。 ノードは住居と考えてもいいし、オフィスでもいい。2つのノードの間は「経路」によってつながる。 住居とオフィスがそれぞれ1対1でつながっているとしよう (左)。そこには最低限のつながりの数しかない。家とオフィスを往復するだけで、それ以外には接点がない世界だ。 一方、すべての住居がすべてのオフィスと直接つながると (右)、著しく多くの経路が必要になる。おそらくその経路の多くはほとんど利用されることはないだろう。 都市の「適切なつながりの度合い」は、「最低限のつながり」と「すべてがすべてとつながっている状態」の間のどこかにあるはずだ。 その「どこか」はどのあたりにあるんだろう。サリンガロスはそれに答えを与える。 1. すべて
いまから1世紀前、都市がある規則性に従っていることがあきらかになった。 都市をサイズ (人口) によってランクづけすると、最も大きな都市は2番目に大きな都市の2倍になり、3番目に大きな都市の3倍になり、4番目に大きな都市の4倍になり…。 都市の分布は、人口が集中する少数の大きな都市と、数多くのより小さな都市に分かれる。 上位になればなるほどランク間に大きな差がつくようになり、それは一定の規則性に従っている。 それを示したものが右のチャートだ。 1991年時点の米国の135都市圏のランクとサイズを両対数グラフにプロットすると、人口が最も大きい都市圏 (ニューヨーク) から135番目の都市圏まで、ほぼ一直線上に並ぶ。 「ジップの法則」とよばれるこの規則性は、ここ1世紀の間、米国の都市で観察されている。 1. この135の都市圏は、米国行政管理予算局が規定する「大都市統計地域 (MSA)」にもと
世の中には「つくる人」と「広める人」がいる。 どちらがより多くの利益を手にしているんだろう。MITのセザール・イダルゴたちは、それは社会的ネットワークのあり方によって決まってくると考える。 世の中のすべての人を知っている人がいたとする。誰にでも直接売ることができる彼のような「つくる人」には、自分の商品を広めるためのミドルマンは必要ない。 誰もがたくさんつながっている社会は、能力のある個人がより報われる実力社会 (メリトクラシー) だ。 つながりが少ない世界では、多くの人に売るためには「広める人」に依存せざるをえない。つながりをもっていることの価値が高くなり、ミドルマンの利益が大きくなる。 そうした世界では、ネットワークのなかで占める位置 (トポロジー) によって、私たちが手にする利益が決まる。それを「トポクラシー」とよぼう。 1. イダルゴたちがとりくんだのは、実力社会とトポクラシーの境界
『セックス・アンド・ザ・シティ』はそのタイトルがいいといつも思う。 「セックス」と「ザ・シティ」を並べて、人間とニューヨークを同じように扱っている。 このドラマの第5の登場人物はニューヨークだといわれる。ほかの4人と同じように、ニューヨークが人格や意思をもつ人間のようにふるまう。それはただの場所ではない。 「ニューヨークはタフな街だ」というとき、ニューヨークでの生活がタフだという意味ではない。ニューヨークという都市そのものがタフなのだ。 「都市は生き物のようだ」と私たちはいう。それは喩えではない。 1. 都市は社会的なネットワークだ。 社会的なつながりが豊かな都市ほど、経済的なパフォーマンスが高い傾向にあるらしいことがわかってきた。 インターネットだけがつながりではない。 都市内では、地下鉄などの大量輸送機関や住居のしくみが社会的なつながりをつくりだす。 大量輸送機関がなく、人種や所得によ
「都市はクールでなければならない」—。 今日の都市をリードするのは才能だ。ブルームバーグ市長のような都市を運営する者にとって、才能ある人たちを集めることはもっとも重要な使命といっていい。 都市の魅力は数字だけではわからない。「ブルックリンをみろ」と同市長は言う。人びとはクールな場所を求めてやってくる。 なるほどその通りだ。クールじゃないニューヨークに私も住みたいとは思わない。 1. 1980年代の終わり頃から、ブルックリンのウィリアムズバーグにアーチストたちが住み始めた。「クールなブルックリン」のはじまりだ。 彼らは使われなくなった工場や倉庫を制作のためのスタジオとして利用し、そこでパーティーを繰り返した。 噂が噂をよび、2000年代にはアーチストだけではなく、より多くの人が集まるエリアになっていった。追いかけるようにバーやブティックもオープンした。 2006年にはゾーニングが変更されたこ
ツイッターでパンチを交わし、相手が本気になればしめたもの。観衆の前にひきずり出して、いよいよショーのはじまり。 対戦相手はビッグネームや人気者にかぎる。果たし状は大歓迎。向こうがリングに背を向けるまで、何ラウンドでも応戦しよう。 1. 「テクノロジーやアルゴリズムが人類のあらゆる問題を解決する」—。 クレイ・シャーキー、ケヴィン・ケリー、スティーブン・ジョンソンなどおなじみのテクノクラートたちが、こうした考えを広めている。 気をつけよう。それは都合のいい解釈のよせ集めにすぎない。エフゲニー・モロゾフはそういう。 2011年に「サイバー空想家」を攻撃したモロゾフは、2冊目の著書『To Save Everything, Click Here』で、テクノロジー主導のソリューションをあらゆる角度から検討している。 2. ソリューションを万能視する「ソリューショニズム (solutionism)」は
「ニューヨークは大きなサンフランシスコだ」—。 そういうと、ニューヨークの人たちは激しく反発するだろう。サンフランシスコの人たちも黙ってはいないはずだ。いろいろな点で、この2つはむしろ対照的な都市だ。 サンタフェ研究所のジェフリー・ウェストは、両都市に違いはないという。違いがあるとすれば、そのサイズだ。 1. 物理学者のウェストは、都市が「スケール則」に従っていることを発見した。 平均賃金や人の歩くスピードは、都市によって異なる。だが、そうしたデータを都市の大きさに沿ってプロットすると、一直線上に並ぶ。 ウェストによると、都市の人口が2倍になると、その都市の平均賃金や生産性、研究機関の数、特許数などが15%ずつ増加するという。 動物は体が大きくなるほど、エネルギー代謝率が落ちることが知られている。 たとえば、ゾウはネズミよりも代謝率が低い。 それに対して、都市の場合は、サイズが大きくなれば
4-5年前の私は、イースト・ブロードウェイによく出かけていた。 友人と会う場所に指定されることが多かったし、そこに行くと別の友人にも出くわした。 イースト・ブロードウェイはマンハッタン南部のエリアで、交通の便も良くはない。中国人が多く、実質的にはチャイナタウンの一部といえる。 その一角にローカルの面白い連中が集まり、静かに盛り上がっていた。 いまイースト・ブロードウェイは、多くの人が集まる場所になっている。 バーやレストランも増えて、ギャラリーなどもオープンしはじめた。 すぐ北には観光地化が著しいロウワー・イースト・サイドが隣接しているため、これから本格的に人が流れてくるだろう。 1. 中国語の看板がひしめくエリアにどこからともなく人が集まりはじめて、にわかに「クールなエリア」として注目されるようになる。 ニューヨーク市がイースト・ブロードウェイの開発に着手したわけではない。有名人が店を構
Follow the accident. Fear the set plan. Type your email… Subscribe Read all posts ↓ May 8 この場所で Jan 12 アストリアの植樹騒ぎ Dec 13 アテネに学ぶ Subscribe Subscribed Follow the accident. Fear the set plan. Join 41 other subscribers Sign me up Already have a WordPress.com account? Log in now. Follow the accident. Fear the set plan. Edit Site Subscribe Subscribed Sign up Log in Report this content View site in Reade
飛行機に乗るときは、通路側の席と決めている。 例外は、ニューヨークのラガーディア空港に着くフライトだ。窓側に座ると、運が良ければ、手が届きそうなところにマンハッタンを見下ろすことができる。 高層ビルの合間を走りぬけるタクシー。遅刻間際の学生が地下鉄の駅に駆け込めば、5番街の店を次々とショッピングする人がいる。 ニューヨーク市には約1千万人が住み、年間5千万人近くが訪れる。その1人1人が全く違うことを考え、別々の目的を追い求めて、勝手気ままに、日夜市内をかけめぐる。 ひとつの街としてかろうじて機能していることが、奇跡のように思えてならない。そして、ある疑問がわきあがってくる。 都市とは一体何だろうか。 「ゾウの時間 ネズミの時間」 サンタフェ研究所のジェフリー・ウェストにとって、都市は物理法則だ。あらゆる都市を貫くパターンを、ウェストは発見した。 だが、まずは、ゾウとネズミから始めよう。 生
緑あふれる郊外と、高層ビルが競うように並び立つニューヨーク—。 サステイナブル (持続可能) なのは、どちらだろうか。 答えはもちろん、ニューヨークだ。 ニューヨーク市ほど、環境に優れた場所はない。とくにマンハッタンは、サステイナブルな街として理想的とさえ言える。 こうした見方が、識者の間で広がっている。 1. 『Green Metropolis』の著者デイヴィッド・オーウェンはその1人だ。オーウェンによると: ニューヨーク州のガソリン消費量は米国全州の中で最も少ない。 これはニューヨーク市が大きく貢献しているため。 マンハッタンの住民の82%は、公共交通機関、自転車、徒歩で通勤している。 これはロサンジェルスの10倍以上の割合。 ニューヨーク市は、住民1人当たりの温室効果ガス排出量が全米で最も少ない。 米国平均と比べると30%も少ない。 ニューヨーク市の1人当たりのエネルギー消費量は、米
米国でテクノロジー系ベンチャーの拠点といえば、シリコンバレーを連想する人が多いだろう。 そのシリコンバレーの地位は決して安泰ではない。ニューヨーク市が急ピッチで起業家の街へと変貌を遂げようとしているからだ。 躍進するニューヨーク発のベンチャー ニューヨークでは、近年、ベンチャービジネスが活発化している。 2008年には、ニューヨークのスタートアップ企業 (創業後間もないベンチャー企業) 116社が、アーリー・ステージ (初期段階) の投資を受けた。2009年にはその数が150社に増加している。 2009年に投資を受けたシリコンバレーのスタートアップ企業は336社。数では依然シリコンバレーに及ばないが、ニューヨークのスタートアップビジネスは急速な伸びを示している。 Tumblr、Vimeo、Foursquare、Meetup、Etsy —。こうしたニューヨーク発のベンチャービジネスは、日本の
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