「ほうじ茶よりも麦茶の方がいいかな、みたいな」 トリプルファイヤー 新作『EXTRA』発売記念 インタヴュー vol.2 吉田靖直 「ガンダーラ」では自らの清らかだった瞬間を声高に叫んだり、「神様が見ている」では引け目を正当化する卑しさを暴露したり、「トラックに轢かれた」では言葉の高低差によってハイセンスな人間を皮肉ったり、「漁師の手」では因果の誤謬を滑稽に描いたり。トリプルファイヤー・吉田靖直のリリックは常に複数の文脈を行き来しては、仄めかしはぐらかし、聴き手を笑わせながらも唸らせ泣かせてきた。 日本語文化圏で生まれた優れたリリックについて考えるときに、吉田靖直の存在を外すことはできない。またリリックそのものだけではなく、発声やフロウ、単語のデリバリーに至るまで、ソングライターの鳥居真道との共犯関係をもって、吉田はヴォーカリストとしての独自性も育ててきた。全てが唯一無二。70年代末のUS