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「現代美術に魅せられて-原俊夫による原美術館コレクション展」が、東京・品川の原美術館で6月3日まで開催されている。今展は、同館の創立者で現館長の原俊夫が初めてキュレーションを担当した展覧会。展示作品を通し、同館のコレクションの独自性が感じられる内容となっている。 同館は1979年、日本における現代美術館の先がけとして開館。1977年設立の現・公益財団法人アルカンシエール美術財団を母体に、1950年代以降の絵画、立体、写真、映像、インスタレーション等を丹念に収集しつづけ、現在のコレクションは約1000点となる。 原俊夫が日本に現代美術館をつくろうと決意したのは、40歳の頃だった。デンマークでルイジアナ美術館を訪れた際、個人の邸宅が心地よい美術館へと変貌を遂げた様に感銘を受け、当時空き家となっていた祖父(実業家・原邦造)の屋敷を利用することを決める。1988年には群馬県渋川市に、磯崎新設計の別
「ミュシャ」「国宝」「深海」「レアンドロ・エルリッヒ」「運慶」が60万人超え ― 行列が行列を呼ぶ超大型展 TwitterやInstagram積極活用へ ― 2017(平成29)年度は都内の大型館を中心に、新聞やテレビ等のマス広告による大規模な宣伝を行ういわゆる“ブロックバスター”型展覧会が好調であったが、近年は特にSNSの口コミ効果による、行列が行列を生む現象が過熱の一途を辿っている。こうした流れを受けて国立新美術館「ミュシャ展」「草間彌生」などでは一部展示が、森美術館「レアンドロ・エルリッヒ展」では全作品が撮影可能となるといった従来とは異なる動きが見られた。なお年度を通じて60万人以上が5件、上位20件が25万人以上となったのは、2000年度以降で初めてのことである。 2017(平成29)年度 展覧会入場者数BEST30 展覧会名 会期 会場 主催 入場者数 1日平均 入場者数
1948年創刊の美術専門誌『美術手帖』が、2018年6月号(5月7日発売)より隔月刊化し、誌面リニューアルすることを正式発表した。 同誌は今年で創刊70周年。さらなる発展を目指し、リニューアル後はボリューム、コンテンツともに強化し、より専門性の高い内容にフォーカスしていくとのこと。発売日は奇数月の7日で、価格は変更なしの1600円+税。今後は特集に特化した増刊号の刊行もさらに充実させる。 また、今年7月頃には「ウェブ版美術手帖」をリニューアルし、10月頃にはアートに特化したECサイト「OIL」を開設することも発表された。「OIL」はアート作品を中心に、アート関連商品を扱うEコマースサイトとして開設。名称は、アートの歴史を語るうえで最も重要な素材のひとつである油彩(OIL on canvas)に由来する。なお2つのウェブサイトはグループ会社の株式会社BTCompanyが運営。誌面にとどまらず
2017年1月から12月に会期のあたる大型企画展入場者数は、国立新美術館「ミュシャ展」(3月8日~6月5日)の657,350人が最も多く入場者を集め、第1位となる見通しだ。 それに続くのが、この秋に東京・京都の国立博物館で開催された「運慶」展と「国宝」展。主催者発表では、京都国立博物館「国宝」展が約624,500人。同館の過去最高入場者数になる。そして、東京国立博物館「運慶」展が、主催者発表で600,439人。これにより、2017年の1年間に開催された大型企画展の入場者数は、1位「ミュシャ展」、2位「国宝」展、3位「運慶」展となることがほぼ確実になった。 なお、「ミュシャ展」とともに国立新美術館開館10周年記念展として開催された「草間彌生 わが永遠の魂」(2月22日~5月22日)は、518,893人で第4位。また、自然・科学系では、国立科学博物館「深海2017」(7月11日~10月1日)が
日本では過去最大規模の「フェルメール展」が、2018年10月5日から19年2月3日まで東京・上野の森美術館で、19年2月16日から5月12日まで大阪市立美術館で開催されることが決定した。11月20日、記者発表会が開かれ、今展の出品作品などが公表された。 17世紀オランダ黄金時代を代表するヨハネス・フェルメール(1632-75)は、寡作の画家としても知られており、現存する作品はわずか35点と言われている。そのうち今回の東京展では、日本初公開を含む8点を展示予定。これは2008年に東京都美術館で開催され93万人の来場者を記録した「フェルメール展」の7点を超す、国内過去最多の数となる。 今回の記者発表では、東京展への出品が確定したフェルメール作品4点を先行発表。代表作《牛乳を注ぐ女》をはじめ、聖書の場面を描いた初期作《マルタとマリアの家のキリスト》、日常の場面にスポットを当てた《手紙を書く婦人と
現代の美人画家として注目されている池永康晟(1965年大分県生まれ)の新作展が、7月5日から17日まで髙島屋新宿店10階美術画廊で開催される。今回は池永と、その作品を20年以上見つめてきた旧知の友人でありUAG美術家研究所の松原洋一に、現代の美人画のあり方などについて語ってもらった。 松原:最近すごい人気ですね。今年のアートフェア東京(3月16日~3月19日、東京国際フォーラム)ではお客さんが殺到したとか。 池永:開場前から長い行列ができてしまいました。その時点で適切に対応すべきだったのですが、できませんでした。開場後に混乱を招いてしまい、大変ご迷惑をかけてしまいました。 松原:安全面では万全を尽くさないといけませんが、新作を求めてファンが押し寄せるなんてすごいですね。バブルの頃みたい。ほかに、出版物も好調みたいですね。 池永:昨年末に刊行した監修本『美人画づくし』(芸術新聞社刊)は3刷を
クリスティーズは3月15日、藤田美術館(大阪市都島区)が所蔵する中国美術の名品31点をニューヨークでのオークションに出品。落札総額2億6千280万ドル(約301億円)を記録し、一夜にして、これまでのアジアアートウィーク一連の落札総額を更新した。 出品されたのは殷周時代の祭礼用の青銅器や、大理石の釈迦三尊像、古書画など。事前に開催された下見会の効果もあり、世界各国より強い関心が寄せられ、オークションは大きな反響を呼んだ。トップロットは清の乾隆帝が所有した陳容作の書画《六龍図》で、落札価格は4千896万ドル(約56億円)。同作を含む古書画6点の総額は、1億2千390万ドル(約142億円)となった。また、青銅器のオークションレコードを記録した《青銅儀首饕餮文方尊》(商後期 紀元前13~11世紀)の落札価格は3千720万ドル(約42億6千万円)。(※価格は買い手手数料を含む。日本円参考価格 US$
2017年に在京の主要新聞社が主催する展覧会を以下にリストアップした。掲載は朝日新聞社、産経新聞社、日本経済新聞社、毎日新聞社、読売新聞社(50音順)。展覧会名、会期など変更の場合あり。詳細は各展覧会公式HPまたは新聞社HPまで。
森美術館は29日、2017年度に開催予定の企画展ラインアップを発表した。「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」と「レアンドロ・エルリッヒ展(仮題)」の2つの展覧会が開催される。 7月からの「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」は、ASEAN(東南アジア諸国連合)設立50周年に当たる2017年に開催される。国内では過去最大規模の東南アジア現代美術展となり、国立新美術館・国際交流基金アジアセンターと共催される。「サンシャワー(天気雨)」は、晴れていながら雨が降る不思議な気象で、熱帯気候の東南アジア地域では頻繁にみられるもの。経済発展や投資、都市開発が進むなど、さまざまな政治的、社会的、経済的変化を遂げてきたこの地域の紆余曲折とその解釈の両義性に対する、詩的なメタファーでもある。同展では東南アジアにおける1980年代以降の現代アートの発展を
10月28日、平成28年度の文化勲章が発表され、草間彌生氏(87)らの受章が決定した。 草間彌生(本名:草間弥生)氏は、1929年長野県松本市生まれ。10歳頃から水玉と網模様をモチーフに絵を描き始め、49年に京都市立美術工芸学校(現・京都市立銅駝美術工芸高等学校)を卒業。57年に渡米してニューヨークのアート・スチューデント・リーグに学び、巨大な平面作品やソフトスカルプチャー、鏡や電飾を使った環境彫刻などを次々と発表して注目を集める。65年頃よりはハプニングや映画製作、新聞発行など活動の幅を広げ、ヨーロッパ各国でも発表。73年の帰国以降も国内外で精力的に活動を続け、93年ヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表として参加。2009年には文化功労者の顕彰を受けた。 今年10月20日に発表された米Art Review誌「2016 POWER 100」では、日本人で唯一ランクイン。来年には東京・国立新
20世紀後半を代表する美術家であるクリスチャン・ボルタンスキーが、東京で初、国内では26年ぶりとなる個展を東京都庭園美術館で開催する。今展のための新作「声」を含む、日本未発表作中心のインスタレーション6作を展示。その一部が国の重要文化財でもある同館との、空間の「対話」も見どころとなるだろう。ボルタンスキーの制作、そして今回の展示作品について、同館学芸員の田中雅子氏にご寄稿いただいた。 旧朝香宮邸に交錯する 時間、空間、そして記憶 東京都庭園美術館では9月22日より、フランスの現代美術家クリスチャン・ボルタンスキー(1944年~)の個展を開催します。ボルタンスキーは映像作品やパフォーマンス性の高い作品を制作していた初期から、多様な形態のインスタレーションを手掛ける現在まで一貫して、歴史の中で濾過される記憶の蘇生、匿名の個人/集団の生(存在)と死(消滅)を表現してきました。 自己の幼年時代の再
DIC川村記念美術館は、サイ・トゥオンブリーのブロンズ彫刻を新たに収蔵。これにより、同館所蔵のトゥオンブリーの絵画作品《無題》(1968年)とあわせて展示することが可能となり、9月3日「トゥオンブリー・ルーム」が開設された。 サイ・トゥオンブリー(1928~2011)はロスコやポロックらアメリカ抽象表現主義と呼ばれる巨匠たちの次世代を代表する画家で、彫刻、素描、写真作品においても優れた業績を残した。同館で8月末まで開催された「サイ・トゥオンブリーの写真」展では、写真を中心にその全貌が紹介されたことも記憶に新しい。 新収蔵品の原型となった作品は、1966年に旧友に贈るため制作された、作家の人生において極めて重要なもの。トゥオンブリーは1946年に彫刻の制作を始めたが、その作品数は絵画や素描に比べ少なく、作品に対する真摯な姿勢を示すかのように寡作であったといえる。繊細な眼差しと感性によって導か
アメリカをはじめ、世界で爆発的なブームとなっているスマートフォン専用アプリ「Pokémon GO」がついに日本でも配信された。 「Pokémon GO」はスマホをかざすと実際の風景にポケモンがARとして出現するもので、プレイヤーはそれを捕獲して自分のものすることができる。またポケモンを捕まえるモンスターボールは、マップ上に現れる「ポケストップ」と呼ばれる、特定の場所で手に入れることができる。このアプリ、米国では日間アクティブユーザー数が2100万人となりスマホ向けゲームとしては過去最高を記録するなど、連日のようにメディアを賑わせており、内閣サイバーセキュリティセンターは配信前にプレイにあたっての注意事項を呼びかけるなど異例の事態となっている。 「Pokémon GO」ではポケモンや『ポケストップ』が美術館や博物館などの文化施設にも出現する。そのためアメリカではホロコースト記念博物館が館内で
6月29日、東京都江戸東京博物館と東京都庭園美術館の新館長が発表された。 東京都江戸東京博物館の新館長は、建築史家・建築家の藤森照信氏。 藤森氏は1946年長野県生まれ。長野県茅野市の神長官守矢史料館、赤瀬川原平の自邸であるニラ・ハウス、静岡県浜松市の秋野不矩美術館など、自然素材や植物を用いた建築作品の数々を発表してきた。現在東京大学名誉教授、工学院大学特任教授。 東京都庭園美術館の新館長は、工芸評論家の樋田豊次郎氏。 樋田氏は50年東京都生まれ。79年から2002年まで東京国立近代美術館工芸館に勤務し、94年に企画担当した「素材の領分」展で「倫雅美術奨励賞」を受賞。その後京都工芸繊維大学美術工芸資料館助教授、秋田公立美術大学学長などを歴任し、現在武蔵野美術大学客員教授。 任期はそれぞれ7月1日から17年3月31日まで。なお東京都江戸東京博物館の前館長を務めた竹内誠氏は、98年より18年の
原美術館で、1960年代から現在まで常に写真界の先頭を走り続けてきた篠山紀信の個展「快楽の館」が開催される。 2012年以来「篠山紀信 写真力」展が全国各地の美術館を巡回している篠山だが、今展はまったく異なるコンセプトにより、原美術館だけで開催するユニークな展覧会。テーマは1938年完成の邸宅が元になった原美術館を、篠山紀信がカメラによって《快楽の館》に変貌させること。出品作品はすべて撮り下ろしの新作で、およそ30名にものぼるモデルを起用したヌード写真が発表される。 今回展示される作品は全て原美術館で撮られたもので、プリントのいくつかは《撮影したその場所》の壁面に展示される。展覧会入れ替えの休館期間を利用して敢行された撮影。作品のない空っぽの展示室や、1938年の竣工当時の面影が残る階段、木々が繁り落葉が舞う庭、通常は公開されない屋上など館内のあらゆる場所で、佇み・座り・横たわり・跳び・躍
国際交流基金は6月15日、第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2017年5月13日~11月26日開催)の日本館の出品作家とキュレーターを発表、作家は岩崎貴宏に、またキュレーターは鷲田めるろになった。 今回出品作家に選ばれた岩崎貴宏は1975年広島県生まれで、現在も広島を拠点に活動を続けている。近年では「六本木クロッシング2007」や「ヨコハマトリエンナーレ2011」などに参加。また昨年は「日産アートアワード」に参加したことも記憶に新しい。またキュレーターの鷲田めるろは1973年京都府生まれ。金沢21世紀美術館のキュレーターとして妹島和世+西沢立衛/ SANAAや島袋道浩などの個展を手がけており、2010年に金沢青年会議所が主催した「かなざわ燈涼会」で岩崎に作品を依頼し、展示した経緯がある。 歯ブラシや雑巾など身近なものを素材に使い、繊細な作品を作り上げることで知られる岩崎。「Ups
子育てをするオオカミ、草むらで眠るオオカミ、月に向かって吠えるオオカミ…。福島県相馬郡飯舘村の山津見神社は、全国でも珍しいオオカミ信仰を受け継ぐ神社で、明治37年に描かれた237枚ものオオカミ絵が格天井に納められていた。ところが、3年前の火災でオオカミ絵は全て焼失してしまった。東京藝術大学保存修復日本画研究室では大学院生ら26名が、火災直前の写真を参考に10か月間をかけてオオカミ絵の模写を完成させた。 火災に遭った絵画を模写でよみがえらせた例としては、昭和42~43年に描かれた法隆寺金堂壁画の再現模写が広く知られている。金堂壁画の再現模写は、古色、剥落、変色までも再現する精密な手法で描かれたが、オオカミ絵の模写には、図像の正確さを重視する再現模写ではなく、筆遣いという“行為”の再現を重視する「臨模」の手法を選んだ。大震災と原発事故からの復興を背景にしたオオカミ絵の模写は、失われた過去の再現
国際美術評論家連盟日本支部(会長:峯村敏明)は7月24日(日)に2016年度シンポジウム「美術と表現の自由」を東京都美術館講堂で開催すると発表した。 同シンポは近年、ろくでなし子氏の逮捕とそれに続く裁判や、愛知県美術館「これからの写真」展(2014年)で展示された鷹野隆大氏の作品に対する愛知県警察からの撤去指導、東京都現代美術館「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(2015年)における会田家《檄》に対する館側からの作品撤去または改変要請をはじめ、表現の自由が問われるケースが立て続けに起きたことを受けて企画されたもの。 また同連盟は5月25日、会長名義で上述の会田家問題に関し、東京都現代美術館に質問状を送付。現時点でアーティスト側(会田誠、岡田裕子)からの情報のみが発信されている状況に対し、もう一方の当事者である美術館側に公式な経緯説明を求めている。 同連盟事務局によるとシンポジウ
今回の地震発生時に熊本市現代美術館(2004年開館)では「だまし絵王エッシャーの挑戦状」が開催されていた。これはオランダの画家M・C・エッシャーと近・現代の内外アーティストによる展覧会であり、初日から多くの観客が詰めかけ、好調に滑り出していた。しかし開催一週間たらずで大地震に見舞われ、展覧会は中断。館が入っているビル全体の修理が必要となり、一時閉館を余儀なくされた。 この地震は2度とも夜間の閉館時に発生し、したがって観客の避難誘導等の必要性はなかった。館内の被害状況は、メインの企画展示室において展示用大型移動壁の多くが動き、固定壁をつなぐ壁紙が裂けた。また細かな器具や部品が飛散し、天井からの細かな落下物が多く、床は埃で白く覆われていたが、幸い移動壁がレールから外れたり、倒れたりはしなかった。この展覧会では、エッシャー、ダリ、草間弥生、福田繁雄等の展示作品は、数点が落下したが損傷はなく、概ね
Animals in the Flower garden Right hand screen ITO Jakuchu Google Cultural Institute 最大で5時間超の入室待ちを記録し、大きな話題を呼んでいる東京都美術館の「生誕300年記念 若冲展」(~5月24日)だが、その行列に観覧をあきらめる声も少なくない。そこで「どうしても伊藤若冲の作品が見たい!」という方に向けて、代替案を探ってみた。 ①生誕300年記念 伊藤若冲-京に生きた画家-(細見美術館、京都) 今回の「若冲展」にも作品を貸し出している京都の細見美術館は《糸瓜群虫図》や《雪中雄鶏図》など約19件の若冲作品を所蔵している。6月から開催されるこの展覧会ではこの所蔵品が全て展示されるほか、相国寺を含む若冲ゆかりの寺院からも作品が出品される予定だという。会期は6月25日(土)~9月4日(日)。 ②生誕300年記念
今夏、東京で開催される「ダダ100周年フェスティバル」の記者会見が、東京・麻布のスイス大使館で開催された。 ダダイズムは、1916年にチューリヒにあるキャバレー・ヴォルテールで生まれ、グローバルなアート・ムーブメントとして世に広がった運動だ。詩人のトリスタン・ツァラ、美術家のハンス・アルプ、ゾフィー・トイバー、ドイツの文学者フーゴー・バル、詩人のエミー・へニングスや文学者のリヒャルト・ヒュルゼンベックらが参加し、その流れはベルリン、ニューヨーク、パリにも拡大。東京でも、柳瀬正夢、村山知義らが「マヴォ」を結成し、日本のダダイズムの先駆けとなっている。 誕生から100年がたった今日においても、アーティストたちにグローバルかつ普遍的なインスピレーションを与えているダダイズム。「ダダ100周年フェスティバル」は、東京の様々な施設でパフォーマンスや展示、イベントなどを開催することで、ダダの発想を今日
65歳以上の入場料が無料になるシルバーデーの5月18日、東京都美術館で開催されている「生誕300年記念 若冲展」では最大で320分待ちの長蛇の列ができた。東京都美術館でも「例がない事態」(東京都美術館広報談)だ。 東京初の若冲大回顧展となった今展は「釈迦三尊像」3幅(相国寺蔵)と「動植綵絵」30幅(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)が一堂に会する機会として様々なメディアで大々的に取り上げられており、5月2日に来場者数10万人、10日には20万人を記録。会期終了までに30万人突破は必至のペースとなっている。 しかし今展は最初から長蛇の列ができていたわけではない。会期初日の4月22日(金)時点では20分程度の待ち時間で、最初の週末となった4月23日(土)・24日(日)でも最大50分程度だった。来場者の増加が目立ち始めたのはゴールデンウィークが明けてから。5月8日(日)までは最大で140分だった待ち時間が1
瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF)とNPO法人ピースウィンズ・ジャパンは、ゲルハルト・リヒターの立体ガラス作品の一般公開を瀬戸内海のほぼ中央に浮かぶ無人島・豊島(愛媛県上島町)で開始すると発表した。 今回の作品恒久展示はリヒターが2011年秋に瀬戸内海を初めて訪問し、滞在した豊島の風景や自然が気に入ったことから実現したもので、施設デザインもリヒター自身が担当。竹林に囲まれた斜面に立つ建物は、海側が全面ガラス張りになっており、陽光がふんだんに入るように設計され、無垢のナラ材が張られた側壁には縦長の窓が3カ所ずつ設置。時間の経過や季節、天候に応じて、室内に入る光の強さ、方向、色合いが変化するという。 また内部には新作などを展示。「ゲルハルト・リヒター 14枚のガラス/豊島」と名付けられた作品は、190×180cmの透明な14枚のガラス板が、連続して「ハの字」を描くように少しずつ角度を変え
現代芸術振興財団は5月10日にニューヨークで開催されたクリスティーズイブニングオークションセールで、同財団の創設者であり、株式会社スタートトゥデイ代表取締役の前澤友作氏がLOT NO. 36Bのジャン=ミッシェル・バスキアの作品「Untitled」を$57,285,000 (円換算約62.4億円)で個人所有として落札したことを発表した。 前澤氏は今後数年の間に、生まれ故郷である千葉市内にプライベート美術館の設立を予定しており、そのための作品集めを約10年前から行ってきた。同氏は今回のバスキア作品の購入に関して、次のようにコメントしている。 1982年当時22歳だった彼の想いや技法が詰め込まれたこの作品に、クリスティーズのプレビュー会場で出会った時、全身に鳥肌が立ちました。作品のコンディションや投資を念頭に置いたリセールバリュー云々ではなく、彼のカルチャーや生き様を理解して、後世にこの作品を
昨年6月に設置が発表された「COOL JAPAN FOREST 構想」のアドバイザリーボードが判明、美術館部門に南條史生氏が就任したことが明らかになった。 「COOL JAPAN FOREST 構想」は所沢市と株式会社KADOKAWAの共同プロジェクトで、その中心となるのが株式会社KADOKAWAが東所沢地域に建設を予定している「(仮称)ところざわサクラタウン」だ。「(仮称)ところざわサクラタウン」は文化コンプレックスと製造・物流施設によって構成され、文化コンプレックスは図書館、美術館、博物館が融合した複合施設となる予定。同市はアニメ・ゲームにとどまらない日本文化の底力をや魅力を発信する「クール・ジャパンの総本山」として位置づけている。 今回、その美術館部門のアドバイザリーボードに就任した南條氏は「日常生活に身近なところにアートがあり、ひとつの街として様々な体験ができる。この美術館は街づく
いま「アメリカで最も重要な写真家」と高く評価されるライアン・マッギンレー(1977年生まれ)が4月16日より待望の日本初美術館個展「ライアン・マッギンレー BODY LOUD!」を東京オペラシティ アートギャラリーで開催する。 2003年、若干25歳の時にホイットニー美術館で個展「The Kids Are Alright」を開催するなど早くからその才能を開花させたマッギンレー。その作品に登場する人物たちは、そのほとんどがヌード。特に特徴的なのが、見渡すかぎりの広大な草原のなかを疾走し、小高い木の上から飛び、雪原に横たわる全裸の被写体たちの奇妙な行為だ。 彼らは皆プロのモデルではなく、マッギンレーは、衣服を脱いだ彼らがふと垣間みせる一瞬のふるまいを作品にしており、マッギンレーのヌード写真は、表面的な美しさと言うよりも、日常の制約や束縛から解放された精神の自由を捉えているといえる。 今展では約
土色のサスペンス劇場 たらちねの、母。瀟洒な、マンション。静謐な、モランディ。というような符牒でもあるのかと思うほど、モランディについての短い紹介文などに静謐、静寂といった言い回しを見かける。常套句である。まさか「静物画」だから静かだというわけではあるまいが、そう書けば上品な香りが漂うとは限らず、むしろモランディに関しては徒らに印象を損ねることにならないだろうか。 モランディは静かではない。 たとえば、いわゆる背景だけでも相当、穏やかでない。いわゆる、と言わねばならないほど、それは手前にある器などと張り合っていて、手応えがある。モランディの絵では、じつに色面どうしが押しくらまんじゅうをしているのだ。モランディの線は揺らいでいると指摘されるが、正しく言えばこれは隣接する領域が互いに押し合った結果としての痕に他ならない。だからこそ、奥にあるはずの器の輪郭が手前ににゅっとはみ出しているようなこと
1月30日に横浜美術館で開幕した「村上隆のスーパーフラット・コレクション」が大きな話題となっている。現代美術家として知られる村上隆氏が私財を投じて蒐集してきた約5000点におよぶコレクションの中からおよそ400点を紹介するこの展覧会。美術館に入るとまずグランドギャラリーでアンゼルム・キーファーの巨大な作品が来場者を迎え、度肝を抜かれた人も多いだろう。会場では古美術から現代美術まで、極めて多様な作品が並び、その幅の広さとバリエーションの豊かさにSNSなどで多くの驚きの声が上がっている。この展覧会を見てあらためて「アートコレクション」に興味を持った人も多いのではないだろうか。 日本のアートコレクターといえば現代美術の分野では精神科医・高橋龍太郎氏(1946年生まれ)の「高橋コレクション」を筆頭に、ミスミグループの創業者である田口弘氏(1937年生まれ)の「タグチ・アートコレクション」(ミスミグ
大盛況の「モネ展」 70万人超は3年ぶり 戦後70年という節目を迎えた2015年。春と秋に実施した大型展覧会の入場者数調査に、新年明けの追加調査を加えて「展覧会入場者数BEST20」として表に掲げ、その特色と背景を探った。東京集中は相変わらずだが、昨年は「琳派誕生400年」に沸いた京都にも勢いがあった。本調査(新美術新聞による)で京都の展覧会が4つ以上入ったのは、この10年で初めてことである。 2015年展覧会入場者数BEST20 展覧会名 会期 会場 主催 入場者数 1日平均 入場者数
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