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古来より磁力や静電気力はオカルト的な遠隔作用として認識されており、魔術を禁止するキリスト教の力が強かった時代に磁力や静電気力の研究は廃れた。しかし、ルネサンス期以降、敢えて魔術に取り組む研究者が現れ、彼らが近代的な電磁気学や力学の基礎を築いた。ニュートンやクーロンは、万有引力や電磁気力を遠隔作用と認識していたが、今日それらは近接作用で説明されるようになった。この電磁気学の歴史から私たちが学ばなければならない教訓は、オカルト的であることを理由にオカルト現象の研究を拒否することはするべきではないが、遠隔作用を遠隔作用のまま肯定することはオカルティズムであって科学ではなく、遠隔作用は近接作用によって説明されなければならないということである。 1 : 古代では電磁気はどのように考えられていたのか 磁石が鉄を引き寄せるとか、摩擦した琥珀が軽い物体を引き寄せるとかいった遠隔力の事実は古くから知られて
パラダイムの本来の意味は「模範」であり、クーンは、科学教育において学生が模範として模倣する教科書的な理論や実験方法をパラダイムと名付けた。正常科学においては、科学者はパラダイムに基づくパズル解きに従事するが、これは軽蔑するべき非生産的活動ではなく、科学が本来の機能を発揮するために必要なことであり、科学革命を頻繁に起こすよりも経済的に合理的である。科学革命においても新しいパラダイムは古いパラダイムを引き継いで生まれる。革命が非連続に見えるのは、競合するパラダイムの権力関係が急激に変化するからであって、新しいパラダイムが無から生じることはない。科学革命は、政治革命と同様に、システムの存続のための権力闘争であり、理論が現実をよりよく模写するためにパラダイム・シフトが起きるのではない。 1 : パラダイムの本来の意味は何か パラダイムは、トーマス・クーンが、1962 年に公刊した科学革命の構造にお
学術雑誌が紙媒体を用いて論文を出版していた頃、紙面による制限ゆえに、掲載する論文を専門家による査読で選別することに意味があった。しかし、インターネットの普及とともに、低コストの出版が可能となり、こうした査読システムは時代遅れとなった。これからの時代には、出版と評価を切り離し、出版は査読なしで即座に行い、評価は出版後に計測される被引用度などの指標に基づいて行う新たなシステムが求められる。このページでは「評価される人ほど評価する能力がある」というエリート主義の原則と「評価する人の数が増えるほど不正や偏りは少なくなる」という民主主義の原則という対立する二つの原則を取り入れた再帰的投票システムを提案する。 1 : 査読システムの必要性 査読(peer review)とは、専門を同じくする研究者仲間(peer)による論文の批評(review)のことで、学術雑誌の編集者はこれを参考にして投稿された論
コペルニクスが、当時支配的だったプトレマイオスの天動説に反して地動説を主張したことは、宗教的迷信に対する科学の勝利と呼べるものではなかった。コペルニクスのモデルはプトレマイオスのモデルよりも正確でもなければ単純でもなかった。それにもかかわらず、コペルニクスが太陽中心の地動説を唱え、かつそれに魅了される天文学者が少なからずいたのは、当時太陽崇拝のネオプラトニズムが流行していたからであり、そしてそれは当時が近代小氷期と呼ばれる寒冷期であったことと関係がある。 1 : コペルニクスの地動説に科学的合理性はあったのか 地球上に存在する私たちが、地球は静止し、運動しているのは天体の方であるとみなすことは自然なことであり、古来、そうした地球中心の天動説が当然視されてきた。古代ギリシャの時代には、サモスのアリスタルコスなど、太陽中心の地動説を唱える者も少なからずいたが、彼らは異端として扱われ、ヨーロッパ
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神は完全な無限者であり、その神がたんに観念的で現実に存在しないならば、完全な無限者とは言えないので、神は現実に存在する。このような神の存在の証明を存在論的証明と言い、アンセルムスやデカルトなどによって行われてきた。カントは、存在論的証明が、分析的判断と総合的判断を混同する間違いを犯していると指摘したが、存在論的証明の誤謬は、それとは異なるところに、すなわち、存在論的証明がその存在を証明する完全な無限者は、キリスト教徒が神と考える全知全能の至高な存在者とは全く逆の存在者であるというところにある。 [編集] アンセルムスによる存在論的証明 神の存在の存在論的証明を最初に明確な形で行ったのは、中世ヨーロッパの神学者、カンタベリーのアンセルムス(Born: 1033; Died: 1109)である。アンセルムスによると、神とは、それよりも偉大なものを考えることができない無限の存在者であり、無神論者
フロギストン説とは18世紀に支持されていた化学の仮説である。この理論によると、可燃物にはフロギストンと呼ばれる可燃元素があって、ある物質が燃えると、フロギストンがその物質から放出され、燃えた後に残る灰は、その物質本来の形であると考えられた。フロギストン説が流行した時代背景には、魔女狩りや瀉血に典型的に表われているカタルシス願望があった。すなわち、前者に関しては、魔女たちを火炙りにすると、彼女たちから悪魔主義が追い出され、彼女たちが軽い灰となることでその罪も同様に軽くなり、悪魔に魂を売る前の本来の健全な姿に戻ると考えられており、後者に関しては、血液を放出することで病気の原因が体から追い出され、その症状は軽くなり、患者は本来の健康な姿に戻ると考えられていた。 [編集] フロギストン説の盛衰 フロギストン説とは、なぜ燃焼が物質を変化させるのかを説明しようとした、かつて存在した化学の仮説である。こ
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