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科学論の現在 金森修,中島秀人 / 勁草書房 / 2002/04/20 ★★★★ まあ普通 金森修(『サイエンス・ウォーズ』と中島秀人(『橋はなぜ落ちたのか』)を含む8人による、教科書として使うことも念頭に置いた概説書。帯には「トーマス・クーン以降の科学論を総括し、21世紀を展望する」とある。 第I部「科学論の理論的基礎」ではSSK、実験室研究、テクノロジー論を扱い、第II部「科学論と社会のインターフェイス」では科学教育、コミュニケーション、政策を扱い、第III部「科学論最前線」ではレギュラトリー・サイエンス、実験装置論、カルチュラル・スタディーズを扱っている。 率直な印象を言うと、いずれも「常識の範囲内」である。クーンを起点とする相対主義/懐疑主義がいったん極端なところまで行った後に、外部的要因と内部的要因によって揺り戻しが起こり、「まあそんなところで手を打ちましょうかね」というあたりに
なぜ日本人は日本を愛せないのか この不幸な国の行方 Why can't the Japanese love Japan? カレル・ヴァン・ウォルフレン / 毎日新聞社 / 98/03/25 ★★★ まあべつにぃ~ ウォルフレンの本を初めて読んだとき、あまりに当たり前のことばかり書いてあるので驚いた。こんなことは、日本人なら誰でも知っていることではないのかと思った。ウォルフレンの主張に反論する人もいるけれども、そういう人たちはたぶん心の底で、「それは正しいけど、外国人に指摘されるのは腹立たしい」と思っているに違いない。 この本も、細かいところで同意できない部分はあるけれども、大筋では当たり前のことを書いている。ひとつ疑問が生じた。ウォルフレンは、日本の官僚とかジャーナリストばかりと、つまり日本人の中でも知性が劣っている部類の人たちと接触しているので、自分の言っていることが珍しい、新しい主張だ
日本語のできない日本人 鈴木義里 / 中央公論新社 / 2002/03/25 ★★ まとまりがない 著者は『論争・英語が公用語になる日』の編者。本書は若者の日本語力の低下とか言葉の乱れについて、いろいろな側面から論じている。まとまりがない内容で、何が言いたいのかよくわからなかった。 「若者の日本語力の低下」について、世の中ではいろいろと言われている。本書では「漢字が読めない」とか「本が読めない」などのトピックが取り上げられている。まず漢字を含む語彙について。私は若者ではないが、江戸時代や明治時代どころか、昭和初期の日本語の漢字も自然体では読めない。主観的には、英語の16世紀の文章以上に違うように感じる。この日本語の不安定さは悩みの種ではあるけれども、そういうもんなんだと思って諦めてきたわけだ。そこから、たまたまいま使われている語彙のセットを特権視する理由がないという結論も生まれてくる。 「
北から見直す日本史 上之国勝山館跡と夷王山墳墓群からみえるもの 網野善彦、石井進編著 / 大和書房 / 2001/06/05 ★★★★★ エキサイティング 本書の内容の紹介文を、「はじめに」から抜粋して引用しておく。少々長くなるが、非常に良い文章なので。 近年ようやく従来の日本の歴史の、こうした問題点[引用者註: 中央の「正史」と文字資料の重視]が指摘され、列島内の各地域の独自な歴史性や、それらが複雑にからみ合いつつ織りなしてきた全体的な姿を解明しようとする研究が様々な形で始まってきた。本書はその中でも本州の北方に拡がる北海道を中心とする北の世界から日本史を見直そうとする試みの一つである。具体的には北海道道南の檜山郡上ノ国町にある中世後期の城館勝山館の過去二十年にわたる考古学的発掘の成果を手がかりとしつつ、ひろく北方世界の歴史を明らかにしようとしている。勝山館の概要については、本文の最初の
魂まで奪われた少女たち 女子体操とフィギュアスケートの真実 Little Girls in Pretty Boxes: The Making and Breaking of Elite Gymnasts and Figure Skaters ジョーン・ライアン / 時事通信社 / 97/12/20 ★★★★ おそらくこれを書いたこと自体が勇気あることなのだろうが 女子体操とフィギュア・スケートの世界で行われている児童虐待を扱ったノンフィクション。著者はスポーツ・コラムニスト。虐待の対象となっている少女たちへの感情移入が激しすぎるようにも思えるけれども、そうせざるをえないほど憤っていることは理解できるし共感できる。 しかしこんなことは当然のことだろう。フィギュア・スケートはそれほどでもないけれども、体操をやっている女子体操選手たちを見ていれば、彼女たちが恐ろしいほどのプレッシャーにさらされて
お勧め映画、第4回、ミュージカル映画篇 第4回の「お勧め映画」は、ミュージカル映画をあまり見たことがない人のためのガイドです。『雨に唄えば』、『バンド・ワゴン』、『サウンド・オブ・ミュージック』、『ウェスト・サイド物語』などは見ているが、その次の一歩を踏み出すための指針が欲しいという人を対象とします。そんな人がこの世の中にどれほどいるのかわかりませんが、あまりマニアックでないものを選んだということです。 ビデオや映画専門チャンネルの充実のおかげで、ミュージカル映画に限らず、古い映画ははるかに見やすくなっています。いまから映画を見る人は非常に恵まれているのであり、このチャンスを徹底的に活かすべきでしょう。 メイン・ページへ戻る 『四十二番街』"42nd Street" (1933) ★★ この映画は有名ですが、あまり大したことはありません。コレオグラファーのバズビー・バークレイの初期の代表作
wad's 読書メモ メイン・ページへ 検索ページへ このサイトについて イルカが知りたい 村山司 ノンフィクション/イルカ、生物学、認知科学 ★★★ 2003/04/27 動物化する世界の中で 東浩紀、笠井潔 ノンフィクション/世代、ポストモダン ★ 2003/04/27 産廃コネクション 石渡正佳 ノンフィクション/産業廃棄物、環境問題、行政 ★★★★★ 2003/04/27 まだまだまともな日本 フロリアン・クルマス ノンフィクション/ドイツ、日本、文化論 ★★★★ 2003/04/27 黒人アスリートはなぜ強いのか? ジョン・エンタイン ノンフィクション/スポーツ、人種、生物学 ★★★★ 2003/04/27 イラク戦争 ウィリアム・リバース・ピット、スコット・リッター ノンフィクション/イラク、湾岸戦争、告発本 ★★★★ 2003/04/27 ファイアハウス デヴィッド・ハルバー
ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争 高木徹 / 講談社 / 2002/06/30 ★★★ 内容は興味深い 著者はNHKのディレクター。NHKスペシャル『民族浄化』(未見)で話題を呼んだ内容を本にしたということらしい。ボスニア紛争において、アメリカのPR会社が果たした役割がどんなものだったかを描いている。 バリー・レヴィンソンの『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』は、ダスティン・ホフマン演じるハリウッドの映画プロデューサーが、大統領を窮地から救うために情報操作を行うという話だった。こういうタイプの陰謀史観は古くからある形式であると言える。また、他国がアメリカにおける地位を改善しようとして行う活動は、「ロビイング」と呼ばれるごく当たり前の活動である。本書で取り上げられているケースの特異性は、アメリカとはほとんど関係のない異国の地での内戦(という言葉は不適切かもしれないが)を有利に
動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 東浩紀 / 講談社 / 2001/11/20 ★★★ どうなんでしょうか? オタクという文化現象をポストモダン化の流れの中に位置づけて論じようとする本。この読書メモで取り上げている似たようなトピックの本には『戦後民主主義のリハビリテーション』や『戦後の思想空間』があるが、こちらの方が圧倒的にわかりやすい。これは、自らオタクである著者が、自分の心のあり方を世間に向かって説明し、納得してもらいたいという情熱によって書かれた本だからである、と理解した。 私はオタクであってもおかしくない世代に属しているが、オタクではない。自分のことを「映画オタク」と呼んでもいいかもしれないと思ったことがかつてはあったが、いまの日本では、そのような広義のオタクの存在を許さないほどに、狭義のオタクがはっきりとした形をとってきているように思う。いまとなっては映画オタクを描
二次大戦下の「アメリカ民主主義」 総力戦の中の自由 上杉忍 / 講談社 / 00/11/10 ★★★★★ 非常に面白い好著 著者はアメリカ南部社会史を専門とする人。本書は第二次世界大戦の時期に焦点を当てて、この時期がアメリカの民主主義にどのような影響を与えたかを論じる本である。詳しく論じながらも議論の広がりは大きく、書き手の有能さを感じさせる良い本だった。 映画メモで最近取り上げた『ヒマラヤ杉に降る雪』のテーマである、第二次世界大戦下での日系人の強制抑留については1つの章を充てて、経緯を詳しく追っている。興味深かったのは、この強制抑留が大戦後の日系人に与えた影響についての指摘。抑留された人々の中には、収容所から解放された後に、東海岸に移り住んだ者が少なくなかった。このことが、それまで小さなコミュニティを作って閉鎖的になりがちだった日系人が、都市へと入り込み、アメリカ人全般から認知を受けるき
wad's 映画メモ メイン・ページへ 検索ページへ このサイトについて ママはゴースト (O'Hara's Wife) 1982 William Bartman USA/幽霊もの、コメディ ★★ 2003/06/06 マテリアル・ウーマン (Saving Silverman) 2001 Dennis Dugan USA/コメディ ★★★★ 2003/06/06 ゆかいな天使(ペット)/トラブるモンキー (Monkey Trouble) 1994 Franco Amurri USA/ファミリー、動物 ★★★ 2003/06/06 ベートーベン2 (Beethonven's 2nd) 1993 Rod Daniel USA/ファミリー、シリーズもの、動物 ★★★★★ 2003/06/06 ベートーベン (Beethoven) 1992 Brian Levant USA/フ
Who Stole Feminism? How Women Have Betrayed Women Who Stole Feminism? Christina Hoff Sommers / Simon & Schuster / 1994/01/01 ★★★★★ 迫力のある批判 90年代のアメリカで勢力を拡大した「ジェンダー・フェミニズム」を批判・攻撃する本。本書は1994年に出版されたものだが(私が読んだペーパーバック版は1995年)、著者は2000年に入って『The War Against Boys』という2冊目の著作を出している。 アメリカの90年代のフェミニズムの最も目立つ特徴は、いわゆる「ジェンダー論」を中心に置いて尖鋭化したフェミニストたちが、権力の場を確保したということだろう。個人的に強く印象に残っているのは、クリントン大統領のモニカ・ルインスキー・スキャンダルのときに、NOW
精子戦争 性行動の謎を解く Sperm Wars: Infidelity, Sexual Conflict and Other Bedroom Battles ロビン・ベイカー / 河出書房新社 / 97/06/16 ★★ いつかこういう本が書かれるだろうと思っていたが…… この本では「精子戦争(sperm wars)」という言葉が使われているようだが、sperm competitionという言葉の方が「学術的」なんではないかと思う(あまりこの世界の現状を知らないので、信用しないこと)。定訳を知らないので(「精子競争」か?)、スパーム・コンペティションという言葉を使うことにする。 まず素人向け解説。スパーム・コンペティションとは、動物のメスの膣の中に入った精子が行う競争のことである。オスは自分の子孫を残すためには、メスに子供を産んでもらわなくてはならない。そのためには、交尾可能な年齢まで生
インサイダー Insider,The Michael Mann / Al Pacino,Russell Crowe,Christopher Plummer,Diane Venora,Philip Baker Hall,Gina Gershon,Hallie Kate Eisenberg / 1999 ★★★★★ こりゃすごい マイケル・マン監督。CBSが、アメリカのタバコ会社に関する"60 Minutes"のセグメントをお蔵入りにしようとした実話をもとにした映画。このところアメリカ映画には自己正当化型の映画が急激に増えているが、本作は1960~70年代的な「左翼系硬派社会告発映画」。絶滅寸前の動物を目撃したというような感慨。 この映画は文句なしの大傑作だ。これまでのマイケル・マンは、1983年の『ザ・キープ』と、1986年の『刑事グラハム/凍りついた欲望』(これはトマス・ハリスの『レッド・
ジョー・ブラックをよろしく Meet Joe Black Martin Brest / Brad Pitt,Anthony Hopkins,Claire Forlani / 1998 ★★★★ ぎりぎりのところで支持せざるをえないテンポの遅い映画 監督のマーティン・ブレストは『ビバリーヒルズ・コップ』、『ミッドナイト・ラン』、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』の人。ブラッド・ピットが主演のラブ・ロマンス。上映時間が181分。というような諸条件から、手を出さなかった人も多いと思うが、これはなかなか注目すべき映画だった。 この映画が181分という長尺になっているのは、入っているエピソードが多いからではなく、ひたすら1つのシーケンスに費やすショットが多く、さらには1つのショットに費やす時間が長いためである。また、普通の映画であれば緩急ということを考えて、序盤はゆっくりとしたペースにするとしても
ノーベル賞経済学者の大罪 Vices of Economists, The - The Virtues of the Bourgeoisie ディアドラ・N・マクロスキー / 筑摩書房 / 2002/10/10 ★★★★★ それ言われても困っちゃうんですよ的指摘 どこかで見た名前だと思っていたら、『性転換』の人だった。50歳を越えて性転換手術を受けて女性になった経済学者である。その事情を汲んで、翻訳はオカマ文体というかオネエ言葉になっている部分がある。勘弁してほしい。 現代経済学について「そう言われても困ります」と返すしかないような根本的指摘をする本。著者によれば、経済学者に個別に話をすれば、みんな「そのとおり、私もずっとそう思っていました」と答えるが、いざ公の場で口にすると反感を買うそうである。その論点は次の3つ。(1) 経済学における統計的検定の使い方の問題、(2) 数学重視の傾向の弊
マクドナルド化する社会 The McDonaldization of Society ジョージ・リッツァ / 早稲田大学出版会 / 99/05/25 ★★★ 現象の整理はよくできているが、そこからの一歩が甘いか ファストフード・チェーンのマクドナルドを、効率化という社会現象のメタファーとして使っているポップ社会学。著者は、1980年代には、アメリカと日本の産業を比較し、アメリカのフォーディズム(Fordism)よりも日本的な経営の方が優れているというようなことを言っていた人らしい。本書は、社会の「マクドナルド化」している要素のカタログとしては広いジャンルをカバーしているが、そこからの踏み込みは甘く、「マクドナルド化(McDonaldization)」という言葉の響きの良さに依存しすぎている感がある。 著者はこの現象に効率性、計算可能性、予測可能性、制御という要素を見て取り、これらが消費者だ
立花隆先生、かなりヘンですよ 「教養のない東大生」からの挑戦状 谷田和一郎 / 洋泉社 / 2001/12/07 ★★ 世代ギャップを感じた 著者は1976年生まれの、東大文学部を卒業したばかりの人。立花隆の著作のガードの甘いところを指摘する批判本。似た本に『立花隆の無知蒙昧を衝く』があったが、あちらは(特に後の方が)奇怪だったのに対し、こちらは素直で地道である。 私は本書で取り上げられている著作のほとんどを読んでいないのだが、引用されている文章を見ていると、さすがにやばいとは思った。というよりは、そのやばさが90年代に入って立花隆の著作に手を出さなくなった理由の1つなので、本書の中心的な主張の1つ、つまり、この人は文系の人の科学の知識の欠如についてさんざん嘆くわりには、穴が多いという批判に異議はない。ただ、これを含めた数々の問題点についてどう思うかという点での彼我の差に「世代間ギャップ」
wad's メイン・ページへ戻る 更新記録 このサイトについて クォータリー・レビュー: 02年第1期 過去-> 一覧 読書メモ: 検索ページへ 一覧ページへ 映画メモ: 検索ページへ 一覧ページへ お勧め映画 同・第2回 同・第3回 同・第4回 同・第5回 同・第6回 邦題考・第6回 特別企画: TSUTAYA ベスト100 音楽メモ: MP3.COM鑑賞日記 身内へのリンク: 自爆攻撃やテロリズムやスリランカについて (C) 1998-2002 wad@ywad.com
銃・病原菌・鉄 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎 Guns, Germs, and Steel: The Fates of Humans Societies ジャレド・ダイアモンド / 草思社 / 00/10/02 ★★★★ 人類社会の進化を進化生物学的な立場から解説する 著者は『人間はどこまでチンパンジーか?』、『セックスはなぜ楽しいか』などを書いている生物学者。本書は人間社会の変遷を進化生物学のフレーバーの入った立場から解説するという野心的な企て。タイトルの『銃・病原菌・鉄』は、競合する複数の人間社会の間の競争の勝者と敗者を決定した代表的な要因だが、これらの要因がなぜある社会では発達し、なぜある社会では発達しなかったのかという理由を、その社会が置かれていた自然環境に探るという趣旨である。 全体として、断片的な知識を統合する大きなストーリーを構築しているという点できわめて有用な本だった。
江分利満氏の優雅な生活 江分利満氏の優雅な生活 岡本喜八 / 小林桂樹,新珠三千代,東野英治郎 / 1963 ★★★★★ 大傑作 岡本喜八の1963年の作品の10回目ぐらいの再見。「お勧め映画、第6回、コメディ映画篇」の最後の方にちょっと書いたように、私はこれが『ああ爆弾』(1964)に続く岡本喜八の代表的傑作だと思っている。今回久しぶりに見て、本作の魅力は2001年の現在でも通用するという確信を持った。 昔はあまり気づかなかったけれども、これはかなり奇怪な映画だ。直木賞を受賞した山口瞳の同タイトルのエッセイ集の映画化なのだが、映画の中ではそのエッセイを書いた江分利満(山口瞳のオルター・エゴ)を主人公に据え、その人が直木賞を受賞するところも描くという入れ子構造になっている。そもそも山口瞳のエッセイは、山本夏彦、椎名誠、中島らも、泉麻人などの系譜に連なる(このリストにはかなり異論があると思う
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