最初の武家法として名高い御成敗式目。鎌倉幕府の基本法とも言われるが、それは本当か。どのように生まれ、何が定められ、なぜ広く知られるようになったのか――。『御成敗式目 鎌倉武士の法と生活』を著した佐藤雄基さんに話を聞いた。 ――まずうかがうのですが、佐藤さんのご専門は? 佐藤:日本中世史です。中世といっても、平安時代の後半(11・12世紀)から戦国時代(16世紀)まで長いのですが、特に平安~鎌倉時代(11~14世紀)を専門としています。 この時代の法制史や古文書学を主な研究テーマにしています。法制史とは「法の歴史」、古文書学とは当時の朝廷・幕府の作成した命令書や判決、土地売買の契約書などの文書(もんじょ)を分析する学問です。 そう説明すると、支配者を中心に歴史を見ていると思われるかもしれません。しかし、王を王として認める者がいなければ王は王たりえません。権力を支える中間層、さらに権力の動きを