古文書の上に紙を置き、毛筆で筆跡まで書き写す「影写」を行う職員(東大史料編纂所で) 日本の歴史の基礎は東大で紡がれている。 書庫は7階建ての建物を10層に分けてある。かがんで歩かないと頭をぶつけてしまうほど天井が低い。 東京大学史料編纂(へんさん)所は、その名の通り、史料の収集、解読、整理をするのが仕事だ。今では多くの史料を写真に撮って保存しているが、絵地図を模写したり、古文書を筆跡まで模写(影写)したりする専門の職員もいる。 その前身をたどると、200年以上前までさかのぼる。「江戸時代中期まで、日本の歴史は神話や物語の世界でした。当時の史料を集めて検証することで客観的な歴史になる」と所長の保立(ほたて)道久教授(58)が解説する。 例えば、大名の禁止事項などを定めた武家諸法度の制定(1615年)は、「駿府記」「土御門泰重卿記」「慶長見聞書」などの記述を参考に検証した。 このように、平安中